IS世界のガイスター   作:赤バンブル

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何となく思いついた作品。
本当はエクスカイザーでやる予定だったけど・・・・


本編
復活


『うぅ・・・・・・ひ、ひと思いに・・・・・・殺せぇ!』

 

 

 

俺は、奴に負けた。既に死力を尽くした結果だ。奴にやられるのなら悔いはない。

 

だが、奴の口からは期待外れの答えが出た。

 

 

 

『そうはいかん!宇宙刑法により、貴様を逮捕する!』

 

 

 

逮捕するだと?

 

貴様の言う「命」、つまり俺の命を貴様に渡せと言うのか?

 

この期に及んで冗談ではない。

 

貴様に渡すぐらいなら・・・・・・

 

 

 

『フフフフ・・・・・・出来るかな?』

 

俺は、覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エクスカイザー!貴様の思い通りにはならんぞぉ!』

 

俺は奴に「命」を渡すのではなく自らの手で消すことに決めた。

 

俺は太陽へと堕ちて行った。もはや後戻りはできない。

 

『命は宝だと・・・・・? ならば、この俺様の命、貴様の手に渡してなるものかぁっ!! ワッハハハハァ──ッ!!』

 

 

俺は、勝負には負けたが最後にある意味で奴に勝った。

 

奴の言う「命」と言う宝。

 

その一つであるこの俺様の命を・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「くそー!ここから出せ!」

 

一人の少年が見知らぬ倉庫のドアを叩きながら叫ぶ。

 

しかし、返事はなく虚しくなる一方だった。

 

「くそ・・・・・」

 

少年は叫ぶのをやめてしゃがみ込む。その隣では松葉杖を片手に持ったポニーテールの少女が寄り添っていた。

 

「一夏・・・・・・私たちはこれから先一体どうなってしまうんだ?」

 

少女、篠ノ之箒は心配そうな顔で一夏の顔を見る。不安なのは一夏も一緒だった。

 

「正直言って俺にもわからない。」

 

一夏は不安な顔を彼女に見せないように手で隠す。

 

「俺のせいで・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑一夏と篠ノ之箒は、小学生の時知り合った幼馴染同士である。

 

小学一年の頃に同じ学級になり、どういう縁か彼女の実家である道場に通っていた。

 

最初の頃の二人は兎に角馬が合わず、たびたび衝突していたが二年の時、彼女がいじめを庇ったことがきっかけで徐々に打ち解けていくようになっていった。

 

しかし、小学校三年の終わり頃のある日、箒は学校への帰り道の途中でトラックにはねられた。この騒ぎは彼女の家族は愚か一夏も姉と双子の兄と共に病院に行くほどのものだった。

 

奇跡的に命はとりとめられたがこの事故の後遺症で車椅子での生活を余儀なくされる。

 

つまり、幼い頃からたしなんでいた剣道をすることができない体になってしまったのことを意味していた。

 

これには家族よりも本人がショックだった。特に姉である束はひき逃げした犯人を許せないというほど怒りを露にしていた。

 

当の一夏は何も言えない状態だった。

 

そして、その数カ月後。

 

箒が退院したと同時に篠ノ之一家は引っ越すことになった。

 

別れの時、一夏は、姉弟で篠ノ之家を訪問していた。千冬はお世話になっていた彼女の父親に礼を言っている間も一夏は何とも言えない顔で箒を見ていた。

 

箒の顔は以前とは違い気力を失っていた。しかし、どう声をかければいいのかわからない。兄の方は、日頃の道場の練習でやられていた仕返しなのか言いたい放題言っていた。

 

そんなことを考えながらも別れの時が来た。

 

箒は姉の束に車椅子を押してもらいながら車に乗せてもらおうとする。

 

一夏は迷ったが思いっきり叫んだ。

 

「箒!」

 

一夏の声に箒は振り向いた。

 

「次に会うときまで歩けるようになれよ!」

 

「え?」

 

「お前はそんなことで挫ける奴じゃない!医者だって言ってたじゃないか!『リハビリすればまた自分で歩ける様になれる』って!だから・・・・・・・諦めるなよ!俺は待ってるからな!」

 

「一夏・・・・・」

 

箒は思わず泣きながら頷いた。

 

思えば二人は共通点があったからかもしれない。

 

一夏には、優秀な姉と兄がいるが自分はどう見ても劣る。そのため周りからは「劣等品」やら「恥さらし」と言われることも珍しくもない。

 

一方の箒も優秀な姉を持っているため、劣る自分に劣等感を感じていた。

 

だからこそ二人は、ここまで意気投合できたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

その後、一夏の周りは変わることのない日常生活を続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、一夏が中学に上がって間もない頃、彼は姉の出場するISの大会第二回モンド・グロッソの会場に姉を応援しに行くことになった。本来は兄も行くはずだったのだが、体調を崩してしまったため一人で行くことになった。最も行きたがっていたのは兄の方だったのだが。

 

一夏も正直姉の優勝は確実だと判断していたためあまり行く気にはなれなかった。

 

だが、偶然にも会場で箒と再会することになる。

 

箒は、消息を絶った束のために家族全員を重要人物保護プログラムによってバラバラにされてしまっていたがそれでもリハビリは続けて松葉杖をつきながら歩くことができるようになっていた。

 

久しぶりの再会に喜ぶ二人。

 

特に箒は、一夏に片思いをしていたため一夏との再会が何よりも嬉しかった。

 

ところが世間話をしながら会場にいた二人をISのようなものを装着した謎の集団に拉致されてしまった。

 

そして、現在に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「俺が・・・・・俺が箒と一緒にいなければ・・・・・箒はこんな目に合わずに済んだのに・・・・・」

 

一夏は頭を抱えながら小言で言った。

 

犯人の目的は、恐らく大会に出場している姉の決勝進出への棄権だろう。

 

そうでなければ誘拐するはずなどない。

 

でも、箒まで巻き込んでしまった。

 

そう思うと一夏は自分のことを憎く感じる。

 

「一夏・・・・・・」

 

落ち込んでいる一夏の手を箒はそっと握る。

 

「大丈夫だ。きっと千冬さんが助けに来てくれる。それと・・・・・あまり、考えたくないけど姉さんなら・・・・」

 

箒は少し嫌な顔をしながらも姉のことを言った。別に憎んでいるわけではない。

 

姉の夢は宇宙への進出でISもそのために作った。

 

しかし、姉は開発者でありながら政府から姿を消したため、箒は家族と離れ離れにさせられ、各地を転々させられるという羽目になってしまった。そのため、自分以上に自分勝手なところが多い姉に対しては苦手意識がある。

 

そんなことを考えていながらもドアの外の方から足音が聞こえて来た。一夏は箒を庇いながらドアから離れる。

 

ドアが開くとそこには銃を持った男たちを従えた女性が一人立っていた。

 

「出な、依頼者がお待ちだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

二人は目隠しをさせられて少しばかり歩かせられた。

 

一夏は不安ながらも疑問を感じていた。

 

連中は何をしようと言うのだろうか?

 

姉の棄権なら、要求が通らなかったのなら自分をさっさと処分するはずだ。

 

なのにどうしてこんな目隠しまでされて連れて行かれるのか?

 

それがどうにも分からなかった。

 

しばらく歩くと目隠しは外された。見る限りだと何かの実験施設の様だ。

 

しかし、二人が不穏に感じたのはその周りに立っている物だ。

 

どれもが巨大なロボットなのだ。

 

「おい、ドクター。依頼した奴を連れて来たぞ。」

 

女性は机に向かいっぱなしの女性に声をかける。容姿は茶髪のロングヘアーでかなりの美貌を持った女性だ。女性は声をかけられているのに気付くなり驚く。

 

「やややぁ!?よく見たら『スコール』ちゃんところの『オータム』ちゃんじゃないの!」

 

「誰がちゃんだ!てめえ、ぶっ飛ばすぞ!」

 

オータムと呼ばれた女性は不機嫌そうな顔で女性に言う。

 

「まあまあ、落ち着きなさい!あまり怒ると皺が増えて老けるよ!」

 

「ったく、スコールの頼みじゃなかったらここで撃ち殺していたぞ。」

 

「うわあぁ~こわあぁ~い!この人。」

 

女性はふざけながら言うが後ろに控えていた一夏たちを見るなりはしゃぐ様に言う。

 

「あらまっ!依頼したの本当に連れて来てくれたの~!それもおまけ付きで!」

 

「まあな、それで報酬のアレは用意してくれたんだろうな?」

 

「もちろんですとも。」

 

女性は一つのスーツケースを机の下から出すと中身をオータムに見せる。見た目は球体であるようだがそれ以外は何なのかさっぱり分からない。

 

「・・・・・確かにあるな。」

 

オータムはケースを閉じると自らのISを展開する。

 

「そんじゃ、また用ができたらまた来るからな。」

 

「あいよ~!でも、そんな古臭いIS付けるよりもアレ使えばいいんじゃないの?」

 

「うるせえ!こんな物騒なもん易々使えるか!使うところを見るだけ気味が悪いったら・・・・・」

 

「はいはい、それじゃあスコールちゃんによろしく~!」

 

女性はハンカチを振りながらオータムを見送ると一夏の方を振り向き気味の悪い笑みを浮かべながら近寄る。

 

「やあやあやあ!初めましてだね!織斑一夏君!それと篠ノ之箒君!」

 

女性は二人の名前を言いながら挨拶をする。箒はやり取りが姉の束に少し似ているように見えたが姉よりも薄気味悪い何かを感じた。

 

「誰だよお前は!?俺たちをどうしようってんだ!」

 

一夏は警戒しながら言う。女性は少し抜けたような顔をしていたがすぐに答える。

 

「おっと、自己紹介がまだだったね。私の名前は『ドライアス』、ドクター・ドライアスだよ!ちょっとした『マッドサイエンティスト』って奴だよ!」

 

「「はあ?」」

 

二人はドライアスと名乗った女性に対して口を開いた。

 

箒の姉である束もある意味ではマッドサイエンティストなところはあったがどうもこのドライアスは少し変だった。

 

(ドライアス・・・・・・どっかで聞いたような・・・・・)

 

「信じられない?無理もないよね!でもね、私はそんなことどうでもいいんだ!」

 

ドライアスは、そう言うとさっきオータムに渡したのと同じものを二人の前に見せる。

 

「これは何に見える?これはね、あの篠ノ之束すら作ることもできない『IS』すら超える代物だよ!」

 

「「ISすら超える物!?」」

 

二人は余計に状況が読めなくなった。

 

現在、ISよりも上回る兵器は存在しない。

 

しかし、ドライアスは平然とした態度でそのことを言っているのだ。

 

一夏たちはまさかと思いながら周りに立っているロボットたちを見る。

 

「いやあ~私はロボットアニメが大好きだったんでね~。まあ、女でロボットアニメ好きだって言われて馬鹿にされていたけど・・・・・・でも、ロマンがあるでしょ?」

 

「ロボットアニメ?あぁ、『太陽の勇者ファイバード』か。懐かしいな。でも、あれは最終回泣けたな。」

 

「一夏と私が剣道以外で共通の趣味の一つだったからな。私は玩具はさすがに買ってもらえなかったけど・・・・」

 

「ファ、ファイバード・・・・・・・・」

 

二人は、懐かしそうに言う中、ドライアスは一瞬不機嫌そうな顔になるが話を続ける。

 

「そして、これはISすら成しえなかった人類の進化のための能力!これは人体に取り込ませることによって人間の肉体を分子から組み替えなおしてボディをISを纏っているのよりも優れたロボットの体へと変化させることができるのだ!これを私は『DC(ドライコア)』と呼んでいる!そして・・・・・・」

 

ドライアスは、そう言った直後『DC』を一夏の胸へと押し付けた。

 

「ゲッ!?」

 

DCは、一夏の体に吸い込まれるように入ってしまった。

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

一夏はもだえ苦しみながら倒れた。

 

「一夏!」

 

「ありゃ?失敗か?世界最強の弟なら普通に耐えられると思ったんだけど・・・・・」

 

「貴様!一夏に何て事をしてくれるんだ!」

 

箒は、一夏を支えようとしながら言う。

 

「いやね~これ取り込んで生きた人間今のところ『ゼロ』なのよ~。だから世界最強の弟ならうまく行くと思ったんだけどね・・・・・」

 

ドライアスは言い訳をしながらももう一つDCを出し、箒へと近づく。

 

「ま、まさか・・・・・」

 

「うん、こっちはもう死んじゃうと思うから次はその世界最強にも劣らぬ友人の妹に・・・・・・・」

 

ドライアスは不吉な笑みを浮かべながら箒に近づく。

 

「い、嫌だ・・・・・・・・」

 

「無駄無駄無駄。君じゃ私から逃げきれないよ~。ウフフフフ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(く、苦しい・・・・・・・・!?)

 

一夏は薄れかけている意識の中奇妙な残像を見た。

 

それは二体のロボットが戦っている姿だった。

 

(この光景・・・・・・・・どこかで見たことがある・・・・・・でもどこで・・・・・)

 

一夏がそう考えていながらも現実で箒の悲鳴が聞こえた気がした。

 

(箒が・・・・・・俺が・・・・・俺が守らないと・・・・・・・守る?どうして俺が箒を守るんだ?・・・・・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴様、それほどまでしてこのガキが大事か・・・・・』

 

『大事なのはコウタだけではない。この宇宙に生きるすべての生命が大事なのだ!』

 

『このちっぽけな地球人の命を守るために、自分はどうなってもいいというのか?』

 

『どんなに小さくとも、命は宝だ! たとえそれが、貴様のような悪党の命であってもな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・・そうか・・・・・・・ようやく思い出した。)

 

 

 

 

 

一夏は、何かを思い出した。

 

(エクスカイザーめ、余計なことを思い出させてくれたな。まあいい。これでようやくわかった。箒は・・・・・・この俺の・・・・・・・俺様の・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(このダイノガイストの「宝」だ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、嫌だ・・・・・・」

 

「無駄だよ~ん!ここは私の秘密実験場の一つだし、誰にもわからな~い!だ・か・ら、君も実験台になりなさ~い!」

 

ドライアスは笑いながら箒の胸にDCを押し付けた。DCは見る間に箒と同化していく。

 

「いやだ!助けて!助けて一夏!」

 

「だから、彼は死んじゃうんだって。ここにあるロボットはみ~んな、実験で失敗した素体たちなんだから。」

 

ドライアスはさらに不吉な言葉を言いながら笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やめろ。』

 

そのとき後ろから聞き覚えの無い声が聞こえた。

 

「およ?今のは誰の声?」

 

ドライアスは、箒にDCを押し付けるのをやめて後ろを振り向く。後ろには恐竜の姿をした巨大なロボットが立っていた。

 

「あり!?君はもしかして一夏君!?でも、おかしいな?そんな怪獣のロボットいたっけ?」

 

ドライアスは一夏?を見ながら言う。

 

「う~ん~まっ、いっか。見た感じ失敗作のようだし。」

 

ドライアスはそう言うと一つのリモコンを取り出す。

 

「失敗作には用はないし。」

 

リモコンのボタンを押すと周りのロボットが突然と動き出す。

 

『むっ。こ、これは・・・・・』

 

「ムフフフフ、この周りのロボットは失敗作と同時にこの私のガードロボットでもあるのだ!さあ、あの失敗作をやっつけておしまい!」

 

ドライアスの指示の元、ロボット軍団は、次々と一夏?に襲い掛かる。

 

『ふん、小賢しい!』

 

一夏?は怪獣の如くロボットを破壊していく。あるものは足で踏み潰され、あるものは尾で叩き潰し、あるものはかみ砕いでしまった。

 

「あちゃば・・・・・・・」

 

『こんなものを使うとは随分地に堕ちたものだな・・・・・「ドライアス」。』

 

「なぬ!?」

 

『チェンジッ!ダイノガイストォ!!』

 

恐竜はたちまち変形し、巨大なロボットの姿へと変える。その姿を見てドライアスは唖然とする。

 

「き・・・・・・貴様はダイノガイスト!?そんな馬鹿な!ブリュンヒルデの弟のクソガキが貴様だったというのか!?」

 

ドライアスは突然口調を変えた。

 

『その反応を見る限り本物のようだな。かつて自らを宇宙皇帝と名乗っていた貴様がまさか人間の女になっていたとはな・・・・・・さっきの箒との会話を聞く限り貴様・・・・・・・一度死んだな?』

 

「黙れい!それは貴様とて同じではないか!」

 

ドライアスは焦った顔で後ろに下がり始める。

 

『どうした?昔みたいにこの俺とやり合わないのか?』

 

「ふん、この俺様を心配する前に後ろにいる女の方を心配するべきじゃないのか?」

 

『何?・・・・・・!箒!』

 

ダイノガイストは、後ろでうずくまっている箒を見るなり慌てて近寄る。

 

「この間に俺は失礼させてもらう!」

 

ドライアスは、胸のポケットからボタンを出すなりスイッチを押す。すると巨大なロボットが彼女を手に乗せて飛び去ろうとする。

 

『貴様!』

 

「生憎、貴様を復活させた実験は失われたこの俺様が再び元の肉体を取り戻すためのテストだ。亡国企業に売り渡しているのもそのサンプル、せいぜい大事な女の最期を看取るんだな!」

 

ドライアスは、叫ぶとロボット共に天井を突き破り飛び去って行ってしまった。

 

『箒・・・・・そんな・・・・・』

 

ダイノガイストは、倒れている箒を抱きかかえる。

 

『い、嫌だ・・・お、俺の宝が・・・・・・・』

 

ダイノガイストにはどうすることもできなかった。

 

『所詮俺は、奪うだけの存在なのか?人間として生きてきた意味は何だったのだ?』

 

ダイノガイストは、箒を抱きしめる。

 

『死なないでくれ箒!俺は・・・・俺はやっと手放したくない宝を見つけたというのに・・・・・』

 

ダイノガイストは思わず叫ぶ。

 

「・・・・・・・一夏?」

 

自分の顔のすぐ脇で聞き覚えのある声が聞こえた。ダイノガイストは思わず隣を見る。

 

『・・・・・箒?』

 

距離を置いてみると箒がきょとんとした顔でダイノガイストを見ていた。

 

「一夏・・・・・これは一体どういう事なんだ?私もお前と同じようにあの変なものを・・・って、何だこの姿は!?」

 

箒は自分の体を見て驚く。

 

私服だったのとは別に全身鎧のようなもので体が覆われていたのだ。

 

『お、お前も・・・・ロボット生命体になってしまったという事か?』

 

ダイノガイストはどういうことか不思議に考えるが取りあえずここから離れることにした。

 

『取りあえず、ここから離れるぞ。』

 

ダイノガイストは戦闘機へと変形し、箒を乗せる。

 

「なあ、一夏。」

 

『ダイノガイスト様と呼べ。』

 

「えっ?」

 

『・・・・・・詳しいことは後で話す。お前の体と俺の体の異変についても調べる必要があるしな。』

 

ダイノガイストはそう言うと空高く飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ~おっかしいな~!?確かにここにいっくんと箒ちゃんの反応があったのに。」

 

二人が去った数分後、束はドライアスの抜け殻となったアジトに来ていた。

 

「それにしてもこのロボットは・・・・・」

 

束はダイノガイストが破壊したロボットの残骸を見ながら黙る。

 

「・・・・二人に何か起きていなければいいけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは生まれ変わって復活した元エネルギー生命体とその幼馴染の少女の物語である。

 

 




ここでのキャラ紹介

織斑一夏/ダイノガイスト

ISの主人公。原作とは違い仲が微妙な頭脳派の双子の兄がいる。誘拐事件をきっかけにダイノガイストとしての記憶を取り戻す。幼馴染である箒を自分の「宝」と認識している。

篠ノ之箒

本作のメインヒロイン。原作とは違い一夏と別れる前に交通事故で下半身不随になる。本編においてはリハビリで松葉杖で歩けるようになっている。ドライアスの実験台にされてしまう。


ドライアス

「太陽の勇者ファイバード」のキャラ。何らかの原因で一夏同様人間になっている。おのれの体を取り戻すため様々な実験を行っている。女性として生きてきたせいか普段の口調がおかしくなっている。自称「マッドサイエンティスト」。


設定

DC(ドライコア)

ドライアスが自分の体を取り戻すために制作した謎の物体。人体に同化させることで体をロボット生命体へと変化させる。しかし、実験段階なのか成功率は極めて低い。


















多分

続かない!

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