サムチャック島
グレートビッグキャノンのよって地上から爆煙が上がる。
「やりました・・・・かな?」
カーネルはグレートビッグキャノンの威力を目の前にして勝利したと思えた。
「みんな!!!」
「まさか、今の砲撃でみんな・・・・・・」
鈴たちは心配そうに煙が上がっている方を見る。しばらくすると煙が薄れ、ジェットシルバー等シルバーナイツが飛行している姿が確認できた。
「シルバーナイツ!!」
「よかった、三人は無事だったようだ。」
千秋は少しホッとしたように言うがゴルドランとアドベンジャーの姿が見当たらない。
『アドベンジャー!』
『ゴルドラン!』
地上ではボロボロになったゴルドランとアドベンジャーが倒れていた。
『か・・・・・・体が・・・・・動かぬ・・・・・・』
ゴルドランは何とか立ち上がろうとするがダメージが大きかったせいで動くことができない。アドベンジャーの方も同様だった。
そんな二人の前にワルツハイマーが迫りつつあった。
『おのれ!』
『ゴルドランたちは我々が守る!!』
『しかし、アレをもう一発喰らったら・・・・』
シルバーナイツは目の前に立ちはだかっているワルツハイマーを見る。
ザゾリガン
「くうぅ!!撃ち損じたか!第二波の準備を!」
カーネルは悔しそうにしながらも第二波の準備を指示する。
「エネルギー充電開始。」
「発射、90秒前。」
発射までのカウントが開始される。
ワルツハイマー 最上部
「ハア・・・ハア・・・へえ。戦況はこちらの方が有利なようだな。」
シャランラをどうにか振り切ったワルターは、最上部からゴルドランたちの様子を見る。
「勇者共め、後もう少しで私の物に!」
「ワルター様もあと少しで私のものに♡」
「ハッハハハ・・・じゃない!?」
ワルターは思わず後ろを振り向く。しかし、後ろには誰もいなかった。
「しつこいぞ!シャランラ・・・・・・やれやれ、気のせい・・・・・」
「じゃ、ないですわ♡!」
「なあぁ~!?」
シャランラは既にワルターのすぐ後ろにいた。シャランラはワルターの右腕に強引に羽ペンを持たせる。
「な、何の真似だぁ!?」
「ワルター様、サインしてくださいな♡この、婚・姻・と・ど・け・に♡」
シャランラは胸から婚姻届けの申請書を出す。
「婚・姻・と・ど・けえぇぇぇぇぇぇぇ~!?」
一方外では残ったシルバーナイツ三人がチャージが完了するまでに何とかワルツハイマーを破壊しようと奮闘していた。しかし、装甲は頑丈でいくら攻撃しても傷一つつかなかった。
『我々の力では奴には敵わないのか?』
ジェットシルバーはそう言いながらもワルツハイマーに向かってシールドからミサイルを放つ。そんな攻撃も虚しくワルツハイマーの砲撃に三人は吹き飛ばされてしまう。
「エネルギー充電はまだか!?」
カーネルはチャージ完了まで抵抗させまいとコントローラーを無我夢中に操作する。
「はっ、あと40秒で発射されます。」
「よおぉし!次の一発で奴らも『はい、それまでよ~!』じゃ!」
「がんばれ!シルバーナイツ!!」
「ゴルドランたちが動けない以上頼れるのはあなたたちだけなんです!」
「みんな~がんばれ~!」
「二人を守れるのは貴方達しかいないの!」
一方、ワルターはシャランラに婚姻届けを無理やり自分のサインを書かされそうになっていた。
「ぬ、ぬっ、ぬぅう・・・・・」
ワルターはシャランラに取り押さえられながらも書くまいと抵抗する。
「さあ、ワルター様早く!!」
「ぬぅう、やめろ~!」
対するシャランラは力を込めてワルターの右手を動かそうとする。
「ここにサインをすれば~」
「ここにサインをしてしまったら・・・・」
そうしている間もワルツハイマーの砲撃は続き、シルバーナイツは追い詰められていった。
「どうしよう、かんちゃ~ん・・・・・」
「どうするも何も私たちの手じゃ・・・・・」
「くそ~!このままだともう一発喰らって全滅しちまう!」
『だ、ダメだぁ・・・・・』
『か、勝ち目がねえぇ・・・』
『わ、我々にも力が・・・・・』
『『『力があれば・・・・』』』
「・・・・・・そうだ!」
シャランラに無我夢中に抵抗していたワルターの脳裏に衝撃が走る。
(今、勇者たちに敗北すれば・・・・・このピンチから脱することができる。しかし、あと一歩のところで勇者たちを我が僕にできるのに・・・・・)
ワルターの中に天秤が現れ、二つの概念がひしめき合う。
(人生を捨てて勇者を得るか、勇者を捨てて・・・・・人生をとるか・・・・・)
「ワルター様~♡早くぅ~♡」
「グレートビッグキャノン、発射二十秒前!!」
「にっひ、ひっ、ひっ・・・・・全員まとめて吹き飛ばしてくれるわ。」
勝利を確信するカーネル。
「まあ、勇者がまとめて手に入るんだから別に問題ねえか。」
「織斑千秋も一緒に吹き飛ぶ。これでダイノガイストに集中できる。」
オータムもエムもその結果に不満はないようだった。
「わかった!シャランラ!!」
「あぁ!?」
ワルターは勢いよく自分の上に乗っていたシャランラを吹き飛ばすや、婚姻届けを書き始める。
「ワルター様?」
さっきまで抵抗していたのが嘘のように書き始めたワルターにシャランラは少し驚いていた。書き終えたのはワルターはシャランラに笑顔を送る。
「きゃは♡ワルター様♡シャランラ、超感激♡・・・・・・はあぁ?」
喜んだ持束の間、ワルターは婚姻届けを折り始めた。
「何をなさるんですの?」
婚姻届けで紙飛行機を作り終えるとワルターはワルツハイマーの上部の窓を開ける。
「このワルター・ワルザック、野望のために人生は捨てぬ!」
ワルターは、勢いよく紙飛行機を外に向かって飛ばす。
「小娘たちよ、受け取れ~!!」
紙飛行機は、ヒラリと飛んでいき、鈴たちの目の前に落ちて来た。
「ん?何この紙飛行機?」
鈴は紙飛行機を手に取るとバラしてみる。
「これは・・・・・婚姻届のようですね。」
「でも、何か書いてある・・・・・」
よく見ると婚姻届けには日本語で『シルバーナイツは合体できるぞ!!』と大きな字で書いてあった。
「シルバーナイツは合体できる・・・・・・・ガンバルガーかよ(汗)」
弾は嘘くさそうに感じた。
「でも、もし本当なら逆転できるチャンスはこれしかない!」
「鈴さん、急いでシルバーナイツに!」
「オッケー!シルバーナイツ!!」
鈴はシルバーナイツの方に向かって叫ぶ。
『主?』
「合体するのよ――――――!!」
『『『?』』』
鈴の言葉に三人は一瞬キョトンとなった。
『あ、主・・・・』
『今なんと?』
『俺たちに合体しろだって?』
『そ、そうだ!』
『『えぇ!?』』
ジェットシルバーの反応に二人は思わず驚く。
『思い出したぞ、我々シルバーナイツは合体することができたんだ!』
『!!そうだ!』
『思い出したぜ!』
三人は顔を合わせながら言う。
「よし、みんな急いで!」
『シルバーナイツ!フォ―――――――――ム、アップ!!!』
シルバーナイツ三人は掛け声と同時に上空へと飛ぶ。
それと同じ頃、ワルターはシャランラに追い詰められていた。
「いいんです、ワルター様。」
「ひいぃい!!」
「形式なんて取りませんわ♡誓いのキスがあ・れ・ば♡」
「ひいぃい!シルバーナイツ!早く!!」
キスを求めるシャランラにワルターはもはや半泣き状態だった。
まず初めにジェットシルバーの頭部・両腕が収納され、下半身は背部に向かって折り曲げられる。続いてスターシルバーは頭部・腕部を収納後、脚部が腕パーツへ、ドリルシルバーは、脚部へと変形し、三体が合体する。
『白銀合体!シルバリオン!!』
『『おぉ!!』』
ゴルドランとアドベンジャーは自分たちの目の前に着地したシルバリオンを見て歓喜する。
「す、すごい!」
「本当に合体しちゃったよ~。」
「あの槍、『トマホークランスッ!!』とか言って投げそう・・・・」
「簪さん、あれゲッ〇ーロボじゃないぜ・・・・」
「生かしてるぜ!シルバーナイツ!!」
千秋たちはシルバリオンを見て感動していた。
『いや、合体を果たした私の名は・・・・シルバリオン!!!』
シルバリオンは改めて自分の名を名乗る。
『シルバリオン・・・・』
『君たちの失われた記憶とはこのことだったのか・・・・』
ザゾリガン
「なあ、なんかやばいんじゃねえか?」
オータムはシルバリオンを見ながら言う。
「合体した・・・・・・」
「何故だ!なぜ彼らは合体に気づいた!?」
向こうが知らないはずの合体をしたことによりカーネルも同じように動揺していた。
「えぇ~い!!グレードビッグキャノン、発射!!」
グレードビッグキャノンは磁気を帯び、再びゴルドランたちに向かって発射される。
「あぁ!!またあのビーム砲が!?」
「シルバリオン逃げて!!」
『トライシールド!!』
シルバリオンは自分の持つシールドを前に突き出し、大出力のビーム砲であるにもかかわらず上空へと反射する。
『な、何と強力な盾だ・・・・』
ゴルドランはその強固なシールドに感心する。一方で反射されたビーム砲はザゾリガンに向かって行った。
「およよよよよよよよよぉ!?なぁあんと!?」
何とかか三人へに避けられたもののあまりの衝撃によりカーネルはコントローラーを手放してしまう。そのせいでワルツハイマーはコントロールを失い、右斜めに大きく傾き、キスをしようと接近していたシャランラはワルターの元へ押されるように落ちていく。
「すりすりすりすり~♡」
「わあぁあ!?」
ワルターはやらせまいとシャランラを取り押さえるが傾きもあってキスしてしまうのも時間の問題だった。
「い、急げ!勇者よ!!」
『今だ!!』
傾いてバランスを失ったワルツハイマーを攻撃しようとシルバリオンはバーニアを全開にして突撃して行く。その頃ザゾリガンでもカーネルが急いでコントローラーを拾おうとする。
「うぅ、おのれ勇者め!」
「じゃあ、今度は私がやる。」
エムはそう言うとカーネルの代わりにコントローラーを拾う。
「おい、エム!お前じゃ・・・・」
「くたばれ!!ファイヤー!!」
エムのコントロールでワルツハイマーの砲撃が再開するが何故かシルバリオンには一発も当たらない。
「あれ?これじゃなかったのか?」
エムは慌ててコントローラーの操作を変える。今度は謝ってザゾリガンに向かって砲撃を始める。
「回避しろ!!」
「ラジャー!」
「やっぱり、ゲームのコントローラーじゃどうにもならねえか・・・・・」
『トラ―――――――イ、ランサー!!!』
シルバリオンはランサーを構えながら突っ込んでいく。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
シルバリオンはワルツハイマーの装甲を貫き、上へ上へと切り裂いていく。
『トラ―――――――――――――――――――イ、フィニッシュ!!!!』
ワルツハイマーは下から徐々に爆発し始める。その頃ワルターはもう限界だった。
「も、もう、ダメだぁ・・・・・・・・・・あぁ!?」
「シャラ?」
その直後、シルバリオンがすぐ横を通過して行った。
ワルツハイマーは所々から光を発し、見事に大爆発した。
ゴルドランとアドベンジャーはシルバリオンは無事かと一瞬心配したがすぐ後ろでシルバリオンがゆっくりと着陸した。
『『シルバリオン!!』』
その一方で爆煙の中にはワルターも上空へと飛ばされていた。
「やった~!ついにアイツから逃げられたぞ!ナハハハハハハハ・・」
「ワルター様~♡」
しかし、束の間すぐ下にシャランラが現れた。
「ゲッ!?シャランラ!?」
ワルターは逃げたいあまりに上空なのにもかかわらず平泳ぎをしながらシャランラから逃げていく。
「もう、ワルター様~!逃げちゃいや~!!」
シャランラも追いかけるように空を泳いで行った。
「やった!」
「よかった~!みんな無事で何よりだ!」
「本当によかったですね、虚さん!」
「そうですね。」
「もう、お姉ちゃん、完全にベットリだな~。」
鈴たちもシルバリオンの勝利に喜ぶのであった。
数時間後 日本
「いや~、次のヒントが出てきてよかったな。」
千秋は弾のゴルドスコープを見ながら言う。ゴルドスコープには「〇」が表示されていた。
「今度は一体何を現しているのかな?数字の0?英語のO?」
「また調べることになりそうですね。」
「それにしても、悪太の奴、一体何で追いかけられていたのかしら?」
鈴が不思議がるのも無理はなかった。
シルバリオンへの合体によって新しいパワーストーンの在処が表示された直後、ワルターがシャランラに追いかけられていたところを偶然見たからだ。
「まあ、何はともあれ。明日からまた忙しくなるぜ?」
「そうね。」
「そうだ!今日はもう遅いし、みんな俺ん家で飯食ってけよ。」
「そうだな・・・・・・まあ、千冬姉はまた遅くなるだろうから、ご馳走してもらってもいいな。」
「確かに今から帰ってつくりの面倒くさいしね。」
「わ~い~ご~は~ん~!」
弾の意見に全員賛成し、鈴たちは五反田食堂に行く。
「ただいま~・・・・・・・ってうわあぁあ!?」
「どうした弾・・・・ってえぇ!?」
弾と千秋は驚きの声を上げる。
「どうしたのよ・・・・・・・って、へっ?」
鈴も思わず言葉を失った。それは、目の前にいる店員が原因だ。
「い、い、い・・・・・いらっしゃいませ・・・・・・」
「織斑先生!!」
「先生だ~。」
簪と本音も思わず驚いていた。
「どうしたんだよ、千冬姉?そんな格好して?」
「きょ、今日からここで見習いすることになったんだぁ。」
「へー。」
「ご、ご席へどうぞ・・・・・」
千冬は緊張のせいかギクシャクした様子で千秋たちを席へ座らせた。
「千冬姉もこれじゃあ、大変だなぁ・・・・・・」
ガイスター基地
『今、帰ったぞ。』
その頃、ダイノガイストは箒と一緒に土産の袋を持って帰ってきたところだった。
『あっ、ダイノガイスト様。お帰りなさいませ。』
『丁度、ドリルからの連絡が来たところでさ。』
『そうか。』
ダイノガイストはそう言うと通信室へと行く。
『俺だ。』
『はっ!自分であります!ドリルシルバーであります!!』
『今日の事を報告しろ。』
『は、はい!今日は・・・・・・』
次はいつかな・・・・・?