サムチャック島
『ど、どうしたんだ?』
突然、砲撃が止んだことにアドベンジャーは驚く。
『砲撃が止んだぞ。』
『何故だ?』
ドランたちは戸惑う。
「とにかく絶好のチャンスだ!」
「ドラン、今のうちに!」
『心得た!ゴルゴ――――――――ン!!』
ドランは、急いでゴルゴンを呼び出すと合体シークエンスへと入る。
『・・・・・・何故だ?ゴルドランの合体を見ていると・・・・・』
『あぁ、心動くぜ・・・・』
『自分たちは何かとても大事なことを忘れている気が・・・・・・』
シルバーナイツ一同は、合体の様子を見て何かが引っ掛かっているようだった。
『記憶だ・・・・』
『『『えっ?』』』
『君たちに残った微かな記憶があの光景(ゴルドランの合体)に揺り動かされているんだ。』
『『『?』』』
三人は顔を合わせながら微妙によくわからない様子だった。そうしている間にもゴルドランの合体は完了する。
『黄金合体、ゴルドラーン!!!』
ゴルドランは、合体をし終えると先頭に立つ。
『さあ、今のうちに奴を叩くぞ!』
上空 ザゾリガン
「フッフフフ・・・・愚かな小娘たちよ。パワーストーンは、このワルターワルザックが必ず手に入れる(裏声)。」
「・・・・・・・・・お、おい、カーネル爺さん(汗)。」
ワルターの真似をしているカーネルに対してオータムは、何とも言えない顔で声をかける。
「あぁ!似とらんかったかな?」
「・・・・・・・プッ。(聞こえない声で)」
「い、いや・・・・・・・うちの大将が乗ったデカ物要塞が攻撃を止めちまったぜ?」
オータムは、モニターに指を指しながら言う。
「なあぁに!?」
カーネルは思わず飛び上がる。
「どうしたことだ!?若君に何か!?ブリッジの映像を!」
「はっ!」
カーネルの命令で部下はモニターをアップする。
「んん!?」
よく見るとブリッジではシャランラに抱きつかれて硬直状態になっているワルターの姿があった。
「あ、あれは!?」
「誰だ、あのコスプレ女?」
「ま〇マギ?プ〇キュア?」
シャランラを見てオータムとエムは訳が分からなかった。
「誇り高き貴族シースルー家のご息女、シャランラ様ではないか!?」
「えっ!?コスプレじゃなくて本物のお嬢様かよ!?」
オータムは意外そうに言う。
「なぜ彼女があそこに!?・・・・・・・はっ!なるへそ!シャランラ様は若君を愛するが故、全てを捨てて戦場にまで!なんと美しき愛の気高さよ・・・・・」
カーネルは感動のあまり涙を流す。
「・・・いや、どう見てもあれは嫌がっているようにしか・・・・」
「ダメ、全然聞いていない。」
突っ込もうとしたオータムに対してエムは言う。
「カスタムギア隊、発進!!」
「ラジャー!」
カーネルの命令を受け、ザゾリガンのカタパルトからカスタムギアが次々と発進して行く。
「ワルター様の愛の時間をお守りするのだ!!これより戦闘の指揮は私が執る!」
「えっ?優先順位そっちかよ!?」
「アーメン。」
カスタムギアの大群はゴルドランたちに向かって行く。
サムチャック島 地上
『うォおぉぉぉぉぉぉぉォ!!!』
『『『『おぉぉぉぉぉぉぉォ!!!』』』』
地上ではゴルドランを先頭に勇者たちがワルツハイマーへと向かって行っていた。そこへカスタムギア隊の銃撃が始まる。
『ぬっ!?新手か!?』
ゴルドランはスーパー竜牙剣を引き抜く。
『みんな、行くぞ!!』
『『『『おう!』』』』
ゴルドランたちは、カスタムギアの大群に挑んでいく。
一方ワルツハイマーのブリッジでは、すぐ目の前で戦闘が行われているにもかかわらず、シャランラはワルターにベッタリしていた。
「ンハッ♡シャランラ、幸せ~♡!」
日本 五反田食堂
「・・・・・・・・」
「・・・・と言うわけでこちらで働かせていただけないでしょうか?」
千冬は目の前に座っている厳と蓮を見ながら言う。営業時間まで時間があるという事もあって店の中にいるのは三人だけだ。弾と蘭は「友達と約束があるから」という理由で出かけている。店の中は緊張感あふれる空気に包まれていた。
「・・・・・・・」
厳は黙ったまま腕を組む。
「やはり駄目でしょうか?」
千冬は何とも言えない顔で聞く。すると厳に変わって蓮が答える。
「いえ、別に千冬さんを雇わないとは言ってはいないわ。でも、千冬さん、今まで千秋君や一夏君のことで一生懸命でこういう関係の仕事はやったことがないでしょ?最近は料理のできない人ってそんなに珍しくはないけどいざやろうとすると大変な物なのよ。力任せにやってもダメ、かと言ってお客の機嫌を悪くするようなことをやってはいけない。それができる?」
「・・・・・・た、確かに私はこういう仕事に関しては全くやったことがありません。ですが、今の世の中です。私もいろいろ他に職に就こうとしていたのですが・・・・・・」
千冬はそこから先何も言えなくなる。
「確かに今の社会が貴方を拒絶しているのはわからないわけでもないわよ?でも、お客に対しての態度とかそういう心がけもなくちゃこういう仕事はやっていけないのよ?」
「は、はい。」
そこへようやく厳が口を開いた。
「千冬嬢ちゃんよぉ。今、蓮が言ったようにこの仕事は客への気遣いが大事なんだぁ。お前さんは今まで上の立場でやってきたようだがこっちでは同じようにはいかねえぇ。不味いと言われれば頭を下げて客に謝る、文句言われても言い返さずにひたすら謝る、お前さんにそういう事が出来るかい?」
「それは・・・・・・」
「一夏君がいなくなったり、なんかは知らねえが教え子が国に捕まったりと何とも言えねえぇ気持ちなのはわかる。だが、今までの自分をすぐに変えようって思ったって簡単に変えられるもんじゃねぇ。それでも、やるって言い張れるかい?」
「・・・・・・・出来ます!」
千冬は決心した目つきで言い張る。厳はその様子を見ると納得したようだった。
「そんじゃあぁ、今日から見習いとして入ってもらう。やり方は蓮に聞きなぁ。何度も失敗するかもしれねえが覚悟を決めたからには意地って奴を見せて見ろ。」
「はい!よろしくお願いします!」
千冬は椅子から立ち上がって厳に頭を下げる。
「蓮、まずは基本的な所から教えてやってくれ。それと弾と蘭がいるときはあの二人からも見本を見せてやるように言ってくれ。」
「はい、わかりました。」
蓮は、そう言うと千冬を厨房の奥へと連れて行った。
サムチャック島 ワルツハイマーのブリッジ
外でゴルドランたちがカスタムギア隊と激闘を繰り広げている中、ワルターはシャランラによって身動きが取れない事態に陥っていた。
「う、うわ、あ・・・・・・・・・・」
「思い出しますわ。ワルター様が私に愛の告白したあの日のことを・・・・・」
過去 ワルザック共和帝国舞踏会
『そう、アレは夜の舞踏会の時でしたわね・・・・・・・』
「シャラ?」
この日、舞踏会に参加していたシャランラは一人柱に寄りかかっているところを偶然シャランラにみられていた。
「まあ!なんて素敵なお方・・・・」
『そのとき、私は知りました。』
偶然、シャランラを見たワルターは彼女に蔓延の笑みを浮かべる。それを見たシャランラは思わず胸をときめかせた。
『あなたも私を愛してくれているって♡!だって、あなたは私に最高の笑顔を私に見せてくれたんですもの♡!』
「ハッハハハハハ!ハッハハハハハハハハハ!!ブッハハハハハ!」
しかし、実際はシャランラの後ろにいた老紳士のズボンが何度もずり下がるところを大爆笑していたに過ぎなかった。
現在
「シャランラ、超・は・つ・こ・い♡」
シャランラは一旦ワルターから手を離して思い出話を語る。その隙を見てワルターは少し少しと離れていく。
「それからでしたわね♡私とあなたの愛の日々が始まったのは・・・・」
(そ、そう・・・・・あの日から私の地獄は始まったのだ・・・・・)
『ワルター様~♡私の愛の料理ですわ~♡』
『どっ、しぇえぇぇぇぇぇぇぇ!?』
訳の分からない料理を出されて困惑するワルター。
『お誕生日のプレゼントに私を差し上げますわ~♡!』
『どっしぇえぇぇぇぇぇぇぇ!?』
プレゼントの箱から出てきたシャランラから逃げるワルター。
そして、とある記者会見で
『ワルター王子、ご結婚なさるとは本当ですか?』
『嘘だぁ!私は・・・・』
『このシャランラ・シースルーと結婚するのでぇ~す♡!』
『『『『『おぉぉ~!!(取材陣一同)』』』』』
勝手に結婚記者会見まで行われてしまう始末。
(こ、このままでは私は・・・・・・この娘から逃げられない・・・・・・!?)
「どちらへ?ワルター様♡」
「どっしぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
既に逃げる方向にいたシャランラを見てワルターはム〇クの叫びのような顔になる。
「私と♡あなたの♡シャララララ~♡」
「どっしぇえぇぇぇぇぇ~!!!・・・・ぬぬぬぅう!!えい!」
「あぁうん♡」
ワルターは、何とか我に返り、シャランラを突き飛ばす。
「さらば!」
すぐさま彼女の前から逃げていく。
「ワルター様~!待って~♡!」
「ひえ~!!」
ザゾリガン
「むっほっほっほっ・・・・・・若いお二人は愛を語るのに忙しいようじゃ。」
カーネルはモニターで二人を様子を見ている。
「いや、どう見ても逃げているようにしか見えねえけど・・・・・」
「オータム、もうこれ以上ツッコんでも無理。」
「若、そこでぎゅ~っと・・・・」
「申し上げます!カスタムギア軍団が・・・・」
「何?」
サムチャック島 地上
カーネルたちがワルターの行動を見ているのに夢中になっている間、地上ではゴルドランたちがカスタムギアの軍団を殲滅し終えていた。
「よし、早くあの要塞を破壊するのよ!」
『心得た!!』
『はあぁぁぁ!!』
『『『うおぉぉぉぉ!!!』』』
五人の勇者はワルツハイマーに向かって勢いよく向かって行く。
ところがすぐ目の前にして何故かワルツハイマーの砲撃は再開し、五人は吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたゴルドランたちを追撃するべくワルツハイマーはキャタピラを動かして向かって行く。
『しまった!奴が再び動き出した!』
「えっと、こうで、こうと・・・・・・こんなこともあろうかとリモートコントロールをできるようにしておいてよかった・・・。」
カーネルは古臭いゲームコントローラーを動かしながら言う。
「おいおい、最初っからあるならなんでそうしなかったんだよ・・・・(-_-;)」
「グレートビッグキャノン!」
カーネルはコマンド入力をするとワルツハイマーの中央部分の装甲が開き、巨大な砲台が出現、ゴルドランたちに向けられ、磁気を帯び始める。それは艦内にいるワルターも感じた。
「!?グレートビッグキャノンの準備か?」
「私も。」
「いぃ!?」
ワルターが後ろを振り向くと既にシャランラがすぐ後ろに迫っていた。
「私も♡心の準備は♡出来てましてよ~♡!!」
「しつこ過ぎる!!!」
ワルターは急いで逃げる。
「愛しすぎる~♡!!!」
「エネルギー充電120%!!」
部下は出力を言う。
「グレートビッグキャノン、発射!!」
カーネルの言うのと同時にフルチャージされたグレートビッグキャノンはゴルドランたちに向かって放たれる。
『『『『『「「「「「「「あぁ!?」」」」」」」』』』』』
ゴルドランたちは避ける間もなく周囲は大爆発を起こした。
次回、やっと白銀合体!!