IS世界のガイスター   作:赤バンブル

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なんだかんだ言って勇者シリーズが終わって早十年以上。

個人的にはガンダムよりも勇者シリーズを再開してほしいです。

ついでにエルドランシリーズも。


争奪!ライオンを追え!

サボンナ王国 ジャングル

 

鈴たち四人は洞窟からジャングルに出た後、街を目指して歩いていた。

 

「・・・・・ねえ、千秋。」

 

「なんだよ?まだ、あの二人のことが気になるのか?」

 

千秋は前を歩いている弾と虚を指を指しながら言う。ちなみに蘭は途中で「空気ぶち壊すの良くないから」と言って引き返してしまった。

 

「いや、なんて言うか・・・・・なんか誰かに見られているような気がしない?」

 

「まあ、ジャングルなんだし蛇とか虎でも見てんじゃないのか?」

 

「馬鹿、虎はこんなジャングルにはいないわよ!・・・・でも、蛇だったらありかも・・・・・・」

 

 

「「「待~~て~~!!!」」」

 

そのとき四人の目と鼻の先から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「誰かこっちに向かって来ているようですが?」

 

虚は不思議そうに言う。

 

「この声ってまさか・・・・・・・・」

 

弾は足を止めて前を見る。

 

少し経つとワルターがオウムを追ってこちらに向かって来ていた。

 

「ゲッ、悪太じゃない!」

 

鈴はワルターを見ながら言う。

 

何故悪太と呼ばれているのかというと本人が途中まで名乗っていた時、カーネルに止められて「ワルタ」で終わってしまったからだ。そのため、鈴たちは彼のことを「悪太」と呼んでいる。

 

「あれは小娘たち!!」

 

一方、目の前を飛んでいたオウムは何かを見て怯えたのかパワーストーンを落としてどことなく飛んで行ってしまった。

 

「あれはパワーストーン!?」

 

「くそ!またしても奪われてなるものか!!」

 

ワルターは足を速める。

 

「「うおぉぉぉぉぉ!!」」

 

鈴と千秋を取られまいと走って行く。

 

 

 

 

グオォォォォ!!

 

 

しかし、茂みから飛び出した物に一同は足を止める。

 

「ゲッ!?」

 

弾は思わず虚の手を掴んで茂みに隠れる。鈴と千秋も慌てて続く。ワルターも同様だった。

 

「グルウゥゥゥゥ・・・・・」

 

目の前に現れたのはライオンだった。

 

ライオンは自分の足元に落ちたパワーストーンを鼻でかぎ始める。

 

「こ、こら!返しなさい!?」

 

ワルターは怯えながらも木の陰からライオンに言う。せっかく交渉までして手に入れたパワーストーンを食べられてしまったのでは元も子もない。

 

「や、やっ、にゃメロン!?そんなもの食ったら腹壊すぞ!?」

 

弾はどこかの某ヘタレ王子みたいな言い方をする。しかし、ライオンはそんな一行を無視してパワーストーンを口に入れると茂みの中へと去って行ってしまった。

 

「「「「「あぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」

 

ライオンが去って行くと千秋たちは唖然としながら茂みから出てくる。

 

「わ、悪太!悪いけどパワーストーンは俺たちがいただくぜ!」

 

千秋たちは急いでライオンの後を追っていく。ワルターはそれを見届けるとやっとのことで追ってきたカーネルたちが来た。どうやら状況は把握しているようだ。

 

「はあ・・はあ・・・・・若君、いいのですか?」

 

「まあ、よい。どちらが先にライオンを捕まえるのか・・・・・小娘たちのお手並み拝見と・・・・・・・」

 

「そんなの生温い。」

 

「ん?」

 

ワルターはエムの意外な発言に思わず声が出た。

 

「お、おい、エム・・・・・」

 

「こんなジャングルの中じゃあのライオンに遭遇できる可能性は低い。ならもっと手っ取り早い方法でやった方が楽だ。」

 

「と言うと?」

 

「ジャングルごと燃やしてしまえばいい。邪魔者の織斑千秋も殺せるし、ライオンも焼け死んで、焼け跡にはパワーストーンだけが残る。一石二鳥、汚物は消毒。」

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

エムの発言に三人は何とも言えない状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サボンナ王国 ジャングル

 

『やれやれ、どうやらパワーストーンは一筋縄じゃ見つかりそうもねえな・・・・・・』

 

ダイノガイストの命令でサボンナ王国に到着していたプテラガイストだったが束の開発したパワーストーン探知機を確認してみるとどうやらパワーストーンは何やらの生物の体内にあるようで移動している。

 

『おい、サンダー。てめえは地上を血眼になって探せ。反応が近ければ近くにいるはずだ。』

 

「・・・・・・・・」

 

『おい!俺の声が聞こえてんのか!』

 

「・・・・・・」

 

『あの野郎・・・・・プ〇キュア見せなかったことを根に持って連絡しやがらねえ・・・・しょうがねえ、俺だけで探すか・・・・・』

 

プテラガイストは上空を反転しながら捜索を続行する。

 

その頃、鈴たち四人はライオンを捕獲するためのわなを仕掛けていた。

 

鈴と千秋は地面にライオンが落ちて中々態勢が整え直せないぐらいの深さに穴を掘り、それに現地で調達した木の枝や蔓を弾が固定させてそこへ草を被せてカモフラージュさせる。

 

「落とし穴はこれで良しと。」

 

「思い出すわね・・・・そう言えば小学生の時、千秋を落とそうとして一夏と弾の三人で落とし穴を設置したら落ちたのが千秋じゃなくて千冬さんだったって言う・・・・・」

 

「う、うん・・・・・・いま思い出しただけでもゾッとするぜ・・・・。その後、落ちた千冬さんが自分の血を見て殺人マシーンと化したスキンヘッドのハート様みたいに俺たちを追いかけて来たことを・・・・・・」

 

「・・・・・・なんかまた落ちるのが千冬さんに感じちゃって怖くなるわ・・・・・って言うかハート様というよりも高速で移動して来る女性型フワッティーよ。」

 

「こっちの罠の設置も終わりましたよ。」

 

三人が会話をしている中、虚は第二の罠を仕掛け終えていた。気をうまく利用した投石の仕掛けである。

 

「うわあ・・・・・・・初めてにしては随分上手にできましたね・・・・」

 

弾は感心しながら言う。

 

「・・・・暗部でサバイバルとかに関することも少しはやっていたものですから。」

 

「いやいや、それでも十分ですよ!」

 

恥ずかしそうに言う虚に弾はかなり褒めていた。

 

「・・・・・・・・ちっ、リア充め。そのままうっかりキスでもしちゃえばいいのに・・・・・・」

 

鈴は少し面白くなさそうに言った。

 

「そんなことを言うなよ鈴。」

 

「フ~ンだ!わかってるわよ!まったく弾ったら、布仏先輩にあんなにデレデレしちゃってさ!大体弾にはきっと合わないわよ!だって弾ってああ見えて女ならだれにでも弱そうだし!!」

 

鈴は弾の文句を言い始める。しばらく愚痴は続いていたが鈴が気がついたとき他の三人は何を恐れているのか一目散に逃げ始めていた。

 

「あら?私の声そんなに怖かったかし・・・・・・ら?」

 

後ろを振り向く鈴。そこにはダイノモードのサンダーガイストが。何やら彼女を見ていたらしい。

 

「あ、ああ・・・・・・・」

 

『・・・・・・・お前、お〇ャ魔女とプ〇キュア、セー〇ームーン、どっち派?俺、プ〇キュア。』

 

「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

鈴は高速で逃げていく。

 

『あっ、待て!質問答えろ!ついでにカレーはソースとマヨネーズどっち?』

 

サンダーガイストはノソノソと追いかけて行く。

 

「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!どうして後ろにいるってわかっているならさっさと教えなかったのよ~!!」

 

鈴は驚くべき速さで千秋たちに追いつく。

 

「俺が言っても話をやめなかったお前が悪いだろ!」

 

「何言ってんのよ!アンタみたいな奴のところに来る嫁なんて私ぐらいしかいないんだから未来の嫁を助けると思ってお姫様抱っこして運びなさいよ!」

 

「やめろ!こんなところで恥ずかしいことを言うな!」

 

四人は急いで偶然見つけた洞窟へと逃げ込む。

 

『どこだ、どこだ?どこ行った?』

 

サンダーガイストは洞窟には目もくれず何処かへと去って行った。

 

「ハア!ハア!・・・・・し、死ぬかと思った・・・・・」

 

「アイツら・・・・・テレビ見てるんだな・・・・」

 

「布仏さん、怪我はないですか!?」

 

「あ・・・・はい、大丈夫です。」

 

四人が互いの無事を確認した直後、洞窟の奥から何やらの唸り声が聞こえる。

 

「ラ、ライオンかしら・・・?」

 

「いや、ライオンは普通洞窟に住むとは思えない・・・・」

 

「どこかで聞き覚えのあるような・・・・」

 

「少なくとも犬や猫ではありませんね。」

 

四人は後ろを振り向く。そこには無数の光る眼、さらにそこから出てくると体表がまだら模様の獣が・・・・・

 

「豹だ~!!」

 

四人は一斉に洞窟の外へと逃げ出す。豹たちはその後を追いかける。

 

「ダメだ!流石にこのままだと追いつかれる!」

 

「見て!丁度いいところに隠れられるようなものがあるわ!」

 

四人は丁度ポットのような植物に飛び込み、豹たちは最初は吠えたものの諦めて引き返して行った。

 

「助かった・・・・・・」

 

「あの・・・・みなさん・・・・」

 

「はい?どうしました布仏先輩?」

 

「何と言えばいいのか・・・・・これ、ウツボカズラではないんですか?」

 

「「「えっ!?」」」

 

三人は下を見下ろす。下から何やら液体のようなものが出始め、液に触れた三人足の先端はシュウゥと音が出る。足を上げると三人の靴は見事に溶けていた。

 

「やばっ!このままだと俺たち三人・・・・・・」

 

千秋たちの脳裏に四人揃って遺影を飾られて葬式が行われている光景が映る。

 

「ヤダヤダ~!まだ私は死にたくないわよ~!」

 

「俺だってまだ死にたくねえ~!」

 

「二人とも落ち着け!こういう時は四人で一斉に揺らして茎を切っちまえばいいんだ!」

 

千秋が混乱する鈴と弾に言う。

 

「確かに・・・・ISも持たない私たちではそれが唯一助かる方法ですね。」

 

「布仏先輩、一人だけ冷静に何言ってんですか!」

 

四人は一斉にウツボカズラを揺らす。

 

「「「「一、二!一、二!一、二!!」」」」

 

しかし、ウツボカズラは中々切れず、反転したりと逆に四人を酔わせる。

 

「うぅ・・・・気持ち悪くなってきた・・・・」

 

「がんばれ!ここで死んだら元も子もねえぞ!」

 

「もう少しで切れます、皆さん踏ん張って!」

 

四人がさらに激しく揺らすと茎はようやく切断され、ウツボカズラは勢いよく飛んで行った。ウツボカズラが着地すると四人は一斉に外に放り出される。

 

「た、助かった・・・・・・」

 

鈴は自分の体が無事かどうか確認しながら言う。

 

「あっ。」

 

「どうしたんだよ弾?」

 

「今頃気づいたんだけど、ヒョウ、ウツボカズラってなんかしりとりになってね?」

 

「まあ・・・・言われてみれば。」

 

「じゃあ、何よ!今度はライオンでも出るって言うの!」

 

鈴が言った直後近くの茂みからライオンが出て来た。

 

「あっ・・・・・・・」

 

鈴は思わず倒れる。

 

「何やってんだよ!」

 

「何って・・・・・死んだふりよ。」

 

「凰さん、それはクマでやることですよ(最もクマでやっても死ぬと思いますが・・・・)。」

 

四人は再び走って逃げる。しかし、ライオンが早いことと連続で走り続けていたこともあり、どんどん距離が追い詰められていく。

 

「・・・・・こうなったら。」

 

虚は足を止めてライオンの方に向き直る。

 

「布仏先輩!」

 

「逃げてください!死にますよ!?」

 

千秋たちも足を止めて言うが虚は逃げる様子はなくライオンと対峙する。

 

「大丈夫・・・・・・実家の犬とかでも訓練でやっているし・・・・・きっとうまく行くはず・・・・」

 

そんな虚に対してライオンは吠える。よく見ると口の中にはパワーストーンが入っていた。

 

「うわあぁ・・・・・・よりによってさっきのライオンかよ。」

 

虚は口笛を吹きながら人差し指を指し、ライオンに近づいていく。

 

「あれは確か野生動物とかを落ち着かせて、手懐けるためのやつだ。」

 

「どんな奴よ。」

 

「口笛を吹きながら指を相手の前に出して相手の鼻にゆっくりと置くと安心して敵意を感じなくなるというが・・・・」

 

「千秋、アンタ何石なんて集めているのよ。」

 

鈴は、千秋が説明しながら石をかき集めているのを呆れながら言う。説明が終わる頃に虚の指は、ライオンの鼻の上にあった。

 

「マジで!本当に襲われて・・・・・」

 

 

グオォォォォォォォォォォオン!!

 

 

 

「きゃあ!?」

 

落ち着いたかと思ったライオンは吠えて虚は思わず逃げる。

 

「布仏先輩!危ないから気をつけて!」

 

千秋たちは石を投げてライオンに攻撃する。幸い虚には当たってはいないがライオンは物ともせず迫ってくる。

 

「さあ、急いで!」

 

疲れている虚の手を弾が引っ張りながら四人はまたもや逃げていく。

 

「犬ではうまく行ったんですけどね・・・・・・」

 

「それって、飼い犬だからじゃないんですか?」

 

「まあ、練習だったので。」

 

「ダメじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「衛星が例のライオンをキャッチしました。」

 

一方、ワルターたちはエムの過激すぎる意見を跳ね除け、ライオンを捕獲するという案で事を進めていた。

 

「よし!追いかけるぞ!」

 

ワルターたちは猟銃を持ってジープを進める。

 

「こんなのよりも焼いた方が早いのに・・・・・・」

 

「お前な、流石にそれはやり過ぎだってんの。それだとスコールに怒られるのは俺なんだぞ。」

 

「今頃、織斑千秋たちもライオンの腹の中、できるならこの手で仕留めたかった。」

 

エムはそう言いながらもジープは目的地に向けて進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア!ハア!」

 

千秋たちは必死にライオンから逃げていた。

 

「しめた!さっき罠を設置した場所だ!あそこでうまく嵌めよう!」

 

千秋たちは落とし穴にはまらないように通り抜けるとライオンを待ち構える。

 

「はあぁ~い!捕まえたければこっちまでおいで~!」

 

鈴は挑発するように尻をペンペンする。しかし、野生の感というものなのかライオンは落とし穴を飛び越えてしまった。

 

「う、嘘・・・・・」

 

四人は思わず震える。ライオンは余程空腹になったのか今にも千秋たちに襲う気満々のようだ。

 

ところがライオンが襲おうとしたした直後、背後から銃声が鳴った。

 

「あっ!悪太!」

 

よく見るとワルターたちがジープに乗りながら現れた。

 

「・・・・・ちっ。織斑千秋、まだ生きていたのか。」

 

「死にたくなければそのライオンを渡すのだ。」

 

ワルターは銃をライオンに向ける。

 

「ライオンの密猟はいけません!」

 

そこへライオンを庇うように虚は立ちはだかる。

 

「ん?」

 

「そ、そうだ!い、いくらライオンがパワーストーン食ったからって殺すことはないだろ!なっ、千秋も鈴も同じ・・・・・・・・」

 

「あっ、よかったらどうぞ。」

 

「わ、私たちの手には負えないんで・・・・・お好きにどうぞ。悪太様様。」

 

「てめえら!!」

 

お手上げと判断して諦めている二人に対して弾は呆れる。

 

「ゲーム終了だ。今回は私の勝ちのようだな。二人のように利口になった方が良いぞ?」

 

ワルターはそう言いながら落とし穴がある方へと歩いて行く。

 

「ハッハハハハハ・・・・・・・あぁ~!!」

 

ワルターは落とし穴に落ちる。

 

「若君!」

 

心配してジープから降りようとしたカーネルたちに向かって岩が飛んでくる。虚が仕掛けた罠だ。

 

「あいた!?」

 

「痛てぇ!」

 

「弾、布仏先輩、一旦逃げるぞ!」

 

千秋に言われて弾は虚の手を引っ張ってその場から逃げる。それを追うようにライオンも逃げて行った。

 

「若君、大丈夫で・・・・あら~~~!?」

 

カーネルが落とし穴の中を除こうとしたら何やら巨大なものが落とし穴から出て来た。

 

『ペッ、まずい!』

 

落とし穴から首を出してきたサンダーガイストは口にはさんでいたワルターを吐き捨てる。ワルターは、一旦ジープの方へと駆けると一目散に逃げて行った。

 

「くそ~!ガイスターまで来ていたとは!こうなったら森ごと焼き払ってライオンも小娘共ごと焼き殺してくれる!!」

 

「初めからそうした方が早かったのに・・・・・」

 

「エム、お前いい加減にその過激な作戦言うのやめろ。」

 

「分かりました。ソニックルの準備をさせます。」

 

カーネルは懐にしまっていたリモコンのスイッチを押す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴たちはライオンに追われる中考える。

 

「どうする?」

 

「とりあえずドランたちに相談した方がいいかも。簪にもプロテクト解除しているだろうし・・・・」

 

鈴はそう言うとゴルドシーバーを使おうとする。

 

「ちょっと待ってください。」

 

虚が止める。よく見るとジャングルの様子が何か少し変だった。

 

鳥の群れが突然飛び立ち始め、ライオンも突然自分たちのことを忘れたのか辺りを見回しながら吠え始める。更に爆発音まで聞こえ始めた。

 

「これってもしかして!」

 

「悪太の奴、この森ごと焼き払うつもりだ!」

 

「早くしないと森が!」

 

「ドラン、急いで来て!アドベンジャーも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイスター基地 

 

手足を失った楯無は、ガイスター基地の一部屋に寝かされていた。

 

元々てのあったところには点滴が刺されていて、起き上がることもできず楯無は呆然と天井を眺めていた。そこへ両足で盆を持ったコウモリが飛んできた。

 

『キキ―――!』

 

コウモリは、盆を置くとレバーを引いて楯無を起こす。

 

「・・・・・・」

 

『小娘!ダイノガイスト様からの命令だ!今日も食事をちゃんと食べるように!吐き出んじゃねえぞ!』

 

コウモリはそう言うと足でスプーンを使って食事を楯無の口へと運ぶ。楯無は別の拒否することなく口を開けて食事をする。

 

今日の献立はシーフードシチューとコッペパン、フルーツヨーグルト、豚肉のソテー、おまけにバナナだった。

 

「・・・・・・・どうして。」

 

『ああ!?』

 

「どうして私なんか助けたのよ?」

 

楯無は食事を自分の口に運ぶコウモリに向かって言う。

 

『そんなこと俺が知るわけねえだろ!俺は素直にダイノガイスト様の命令を聞いているだけだ!お前を「生かしておけ」とな!ジェットガイスト様が自分の手で作った食事だ!ありがたく食べろ!』

 

「・・・・・・こんな私に何の価値があるって言うのよ?」

 

楯無が言うのも最もだった。

 

今の自分は何者でもない。

 

ロシア代表としての肩書もIS学園生徒会長、更識家当主として権利もすべて失い、さらに脱走した代償として両手足までも失った。

 

こんな自分に勝ちなどある筈もない。

 

精々、売春婦として売り飛ばされるぐらいだろう。そんな楯無のところへある人物が来る。

 

『調子はどうだ?』

 

「あ、あなたは?」

 

『キキーッ!!ジェットガイスト様!!』

 

コウモリはお辞儀するように挨拶する。ジェットガイストは何かしら言うとコウモリはどことなく飛び去って行った。

 

『・・・・・・私の作った食事の味はどうだ?』

 

「・・・・・・・・・」

 

『そう警戒しなくてもいい。』

 

「・・・・・・あまり言いたくはないけど・・・・・美味しかったわ。」

 

『そうか。』

 

そう言うとジェットガイストは楯無のベッドのすぐ脇の椅子に腰を掛ける。

 

『あれは一夏のお気に入りの味でな、一口食べればすぐに私が作ったことが分かるんだ♡』

 

「一夏?もしかして織斑一夏のこと!?」

 

『あっ、いかん。これは言ってはいけないことだった・・・・』

 

ジェットガイストは少し「しまった!」という感じに言った。

 

「あのダイノガイストに抱き付いていた篠ノ之箒や篠ノ之束も気になっていたけどどういう事!?」

 

『あっ、あれは私と一夏の求愛活動で、あれ以外にも「セ(規制)ス」やら「ろうそく(規制)」とかもやって・・・・・』

 

「・・・・・・えっ?もしかして、ダイノガイストの正体って・・・・・・・・三年ぐらい前に行方不明にあった織斑一夏!?」

 

『あっ・・・・・・しまった・・・』

 

つい口が滑ったとジェットガイストは顔を隠す。

 

「も、もしかして・・・・あの時見た篠ノ之箒って・・・・・あなた?」

 

『・・・・・・・』

 

ジェットガイストは顔を見せず頷く。楯無には訳わからなかった。

 

『何を話している?』

 

「あっ。」

 

そこへダイノガイストが現れる。ジェットガイストは彼を見るなり、いろんな意味で怯えていた。

 

『箒、余計なことまで何を話している?』

 

『ち、違うんだ!?これにはうっかり・・・・』

 

『問答無用。』

 

ダイノガイストはどこからか鞭を取り出すとジェットガイストを叩こうとする。

 

『ま、待ってくれ!』

 

『なんだ?まだ何か言い訳でも・・・・・』

 

『その・・・・・・やるなら寝室のベッドで♡』

 

『・・・・・・・・・・』

 

ダイノガイストは呆れたのか鞭をしまう。

 

『えっ!?やらないのか!?』

 

『お前はいつもやっても喜ぶだけだからな。だからやろうがやめようが同じだ。』

 

『そ、そんな~!!そんなこと言わずに私にやってくれ~!!』

 

『断る。』

 

『やだやだやだ~!!構ってもらえないと死んじゃう~!!(泣き)』

 

ジェットガイストはそう言いながらダイノガイストと共に部屋から出て行く。

 

「・・・・・・・・意味が分からない。」

 

これが楯無の結論だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サボンナ王国 ジャングル上空

 

その頃、サボンナ王国ではソニックルに搭乗したワルターがジャングルに向かって爆雷を落としていた。

 

「あっ、吐かぬなら 殺してしまえ ライオンちゃん。」

 

「字余り・・・・・・んん?」

 

後部座席でカーネルはレーダーで二つの反応を捕らえる。

 

ドランとアドベンジャーだ。

 

『チェーンジッ!鋼鉄武装、アドベンジャー!!』

 

『チェーンジッ!!』

 

ドランとアドベンジャーは姿を変え、燃えるジャングルを見る。

 

『アドベンジャーは火事の拡大を防げ!私と簪は主たちを!!』

 

『了解!』

 

「ねえ、私は?私にできることはないの!?」

 

蘭だけ一人何かできることはないかと尋ねる。簪と本音はプロテクトの解除に成功したのかISを纏っている。

 

『では、主は私と一緒に消火活動を手伝ってください。私が火を消すので主はポイントを定めてください。』

 

「分かったわ!」

 

蘭はアドベンジャーの肩に乗ると的確に指示を出して消火活動を始める。ドランと簪、本音も急ぐがそこへワルターたちが迫る。

 

「そう簡単に小娘たちのところへ行かせるか!!」

 

ソニックルの左右には、ISアラクネを纏ったオータム、サイレント・ゼフィルスを装着したエムがいた。

 

「ISを使っている奴らは、俺たちに任せな!」

 

オータムは高速で簪へと迫って行き、装甲脚には砲門から攻撃を開始する。

 

「くっ!」

 

簪は、背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲「春雷」で応戦する。

 

「ちっ!」

 

オータムは簪の攻撃に掠った。

 

「シールドエネルギーの減りが早い・・・・・・やっぱ、本調子じゃないからまずいか・・・・」

 

「なら、私がやる。」

 

エムは、サイレント・ゼフィルスの六基のビットを展開して、攻撃する。

 

「本音は急いで千秋たちのところに行って!」

 

「え~!でも、かんちゃんまずいよ~!あの機体セッシーのよりも攻撃が早いよ~!!」

 

「いいから!私たちがこうしている間にも四人が・・・・・・」

 

「うぅ・・・・・わかった。急ぐから待っててね~!!」

 

本音は、簪から離れて千秋たちの元へと急ぐ。

 

「あのガキ・・・・・逃がしておけるかよ!!」

 

オータムも後を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回でようやく三人目の勇者登場!

超合金魂ってガオガイガーぐらいしか勇者シリーズ出してないように見える。


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