今回はエクスカイザーからあの宇宙商人が登場。
無人島
『・・・・・・・・・』
「・・・・・なあ、一夏。いつもこの時間になって思うんだけど・・・・・これ、どうにかならないのか?」
ジェットガイストから人間の姿に戻っている箒は、ダイノガイストの隣で言う。ダイノガイストの隣にはどういう訳か船やら戦闘機やらいろいろ置いてあった。そして、目の前にはどこから奪って来たのか待機状態のISが山積みになっている。
そんな二人の目の前に赤い球体が飛んできた。
『やーやーお久しぶりでんなぁ、ダイノガイストはん!』
『・・・・・・・時間通りだな、宇宙商人トレイダー。』
『ホーキはんもお久しぶりでんな!ただでさえデカい乳と尻がさらにデカくなってもうて。発育良すぎまへんか?』
トレイダーに言われた箒は思わず顔を赤くする。
「そ、そんなことは・・・・・」
気にしていることを言われて何も言えない箒を見てダイノガイストは助け船なのか話を切り替えさせる。
『トレイダー、これが今回の宝だ。』
『ほほ~これはまた珍しいもんばかりで。ほな、ちょっと見せてもらいますか。』
赤い球体は、手前に置いてある少し旧型のカメラに乗り移る。
『チェーンジッ!トレイダーでおます!』
カメラはロボットへと変形した。トレイダーは、早速物を調べ始める。
宇宙商人トレイダーは、かつてガイスターから盗品を買い取る宇宙商人であった。非合法の品を主とする商人で、かつては宇宙規模で見てもかなりのネットワークを持つ大商人だったが取引先であった宇宙海賊ガイスターがエクスカイザー率いる宇宙警察最精鋭チーム『カイザーズ』に敗れ、死亡したダイノガイストを除いたメンバーがすべて逮捕され、ついでに自分も逮捕されてしまった。運よく逃げられた彼は、ガイスターのメンバーと別れこれまで扱ってきた品を全て持って別宇宙へ逃亡することにした。旅の途中、他の宇宙商人にまで狙われ、宇宙中を逃亡しているうちに誤って宇宙船ごとブラックホールに呑まれる始末。そして、流れ着いたのがこの地球だった。
しかし、この地球の人間の多くは「女尊男卑」の社会によって取引がは難しいかと頭を悩ませていた。そこへ白羽の矢が立ったのが彷徨っているときに偶然見かけたダイノガイストたちだった。ダイノガイストの死亡は既に耳にしていたため流石のトレイダーも目の前で見たときかなり驚いていた。
それはダイノガイストにとっても好都合だった。
正直言ってダイノガイストはこの地球からさっさと去りたいと考えていた。
女尊男卑に染まった世界に嫌気が差していることとかつて戦ったことがあるドライアスがいたという事もあるがそれよりも気にしているのがかつての自分の肉親だった。この星にいつまでもいればいずれは自分と接触することになる。そうなれば実力の差が分かっていながらも戦わなくてはいけなくなる。それは避けたいと思っていた。
だが、それには厳しい条件があった。
その一つは自分自身がかつてのエネルギー生命体ではないため地球から出た後の移動に制限が出てしまうことだった。今のダイノガイストは人間でもあるのだ。それに箒もいる。地球を去るにはそれなりの光速以上に移動できる宇宙船が必要になる。
幸いトレイダーの扱う商品の中には手頃な宇宙船があった。しかし、トレイダーは、過去にダイノガイストに見捨てられたことを根に持っているのか、中々売ろうとはしない。かつてなら脅しをかけて強引に売らせるのだが箒がそのたび泣き顔になってしまうため、地道にこの地球の宝を売っているのだ。最も変なノルマを決めるようになったが。
『へー・・・・ふむふむ・・・・・・ホー・・・・』
トレイダーは並べられた品々を見ながら電卓のような機器を取り出し、計算を始める。
『なるほど・・・・・これは掘り出しもんの山かもしれへんな・・・・』
トレイダーは頭からプロペラを出し飛びながらさらに調べる。その光景はどこかの漫画の猫型ロボットの秘密道具を使っているようにも見えなくない。
『ダイノガイストはん、この品々いただきまひょ。10億でどないでっか?』
『・・・・・・・安い。』
『ん~~~ほんなら、20億でどないでひょ?』
『・・・・・まだだ。』
『ウ~~~ン・・・・なら出血大サービスで35億でもらいまひょ。』
『50億だぁ!!』
『ほわあっ!?』
ダイノガイストの怒鳴り声にトレイダーはビビる。
『全く、ダイノガイストはんには敵わんな・・・・・。、しゃーない、新婚サービスも兼ねて奮発で50億出しまひょ!その代わり品は先にもらってよろしいでっか?』
『好きにしろ。』
『ほなほな・・・・・ほんじゃ、中の荷物ももらっていきまっせ。』
『いらないなら宇宙に捨てても構わん。』
中の荷物とは、彼の最も嫌うものである。
トレイダーは品の上の飛んでいくと重力光線のようなものを出し、船などを浮かせる。船の中では何やら無数の人影があったがトレイダーはお構いなし。
『ほな、末永くお幸せに。』
『おい、さっきから気になっていたが新婚とはどういうことだ?』
『え?違うんでっか?ホーキはん、ダイノガイストはんの嫁はんなんでっしゃろ?』
トレイダーは不思議そうに聞く。二人は思わず顔を見合わせた。箒の顔は既に真っ赤になっていた。
『こんなべっぴんな嫁はんもろおて・・・・・・・・ほんじゃ、わてはこのくらいで失礼させてもらいます!今後もよろしゅうお願いしますわ!さいなら。』
トレイダーはそう言うと品をもって飛んで行ってしまった。ダイノガイストは無言であったが箒は顔を両手で隠している。
『・・・・・・・・・今後の計画でも練るか。』
ダイノガイストは全高を2メートルぐらいに縮め、洞窟の奥へと戻っていく。箒は彼の手を握る。
「・・・・・・一夏。」
『なんだ?』
「・・・・・・む、胸の大きい女は嫌いか?」
『・・・・・そんなことはない。お前は、俺の「宝」だからな。』
「ほっ。」
箒は何気に安堵の一息をした。するとダイノガイストの腕に胸を強く押し付けた。
「今夜も一緒に寝ていい?」
『・・・・・勝手にしろ。』
ダイノガイストは少し呆れた態度で箒に返事をした。
翌日 ???
「・・・・・・・」
束は無言でパソコンを操作していた。
「束様、お食事です。」
銀髪の少女が何やら黒いゲル状の物体をのせた盆を束の前に置く。束はそれを何も言うことなく啜る。
「・・・・・・・妹様の行方はわかりましたか?」
「・・・・・・全然ダメだね。束さんが総力を結集して調べても何一つわからない。こんなこと初めてだよ。」
束は頭を抱えながら天井を見上げる。
今まで自分の思い通りにならなかったことはこれまで一度もなかった。どれも自分の計算の内に入っていたからだ。
しかし、今回に限ってはどうにもならなかった。
一夏と箒が行方不明になってから既に一年以上、ここまで探して見つからないのは明らかに謎だった。特に箒に関しては体が不自由なのだからわずかな情報が入ってもおかしくないというのに。
「はあ・・・・・・完全に束さんの一生に失態だよ。いっくんどころか箒ちゃんまで行方不明にさせてしまうなんて・・・・・・」
束はそう言うと食事を再開する。
「それよりも束様、そろそろ例の宇宙商人が来訪して来る時間帯です。」
「えっ?もうそんな時間?それじゃあ急いで準備をしないとね。クーちゃん、悪いけど彼の体用意してあげて。」
「かしこまりました。」
30分後
「う~~~ん~~~~遅いな~~~。」
「すでに予定時間を十分オーバーしています。」
束たち二人は場所をかけ、とある倉庫に来ていた。
「クーちゃん、本当にこの場所であってるの?」
「束様が指定した場所ですよ。」
「それもそうだね・・・・・・」
そう会話していると二人の前に赤い球体が飛んできて手前に置いたテレビに憑依した。
『どうも~!おばんです~!遅れてすんませんな!宇宙商人トレイダーでおます。』
「予定時間を過ぎるというのは商売をするものとして問題があると思いますが。」
『クロエはんは厳しいな~。実はこっちに来る前に前の仕事の品を運んでいたもんでさかい、堪忍してや。』
トレイダーは申し訳なさそうに頭を下げる。
『そん代わり、できる限りのサービスはしまっせ。』
「あのさ・・・・・トーくんに前から聞こうと思ったんだけど、束さんたちの前に取引している人ってどんな人なの?」
束は元気がない声で聞く。
『ああ、わての昔からの取引相手ですわ。昔わてのこと見捨てようとしはったから取引に応じんと決めとったんやけどべっぴんな嫁はんおったから勘弁してはったんです。』
「その人ってどんな人?」
『あきまへんな束はんは。これ以上先のことは情報料取りまっせ。』
「いいよ・・・・私は僅かでも新しい情報が欲しいから。」
束は、クロエに持っていたスーツケースの中身を見せる。
「現段階で世界のどこにもない第四世代型IS『白椿』。本当は箒ちゃん専用に開発を進めていたんだけど箒ちゃんがいなくなったから束さんの情熱が冷めて色も見事に白・・・・・・」
『箒?奇遇でんな。実はさっきの取引の嫁はんも同じ名前の人でっせ。』
「そう・・・・・・・・・・・・・・へっ?トーくん、今なんて言った?」
束は顔色を変えトレイダーを見る。
『せやから束はんたちの前の取引相手の嫁はんの名前がホーキはんって名前でんねん。』
トレイダーの一言に二人は目を丸くした。
「トーくん、お願い!すぐにその人の所に案内して!」
『へっ?いきなり何言ってますん?』
「その人が私の妹かもしれないんだよ!?その人の特徴は!?」
『えっと・・・・・・・バカデカい乳と尻、黒髪のポニーテール娘さんさかい。』
「特徴は全く妹様と一致します。」
「お願い!代金は弾ませるよ!!」
束の必死の頼みにトレイダーはビビるがすぐに首を横に振る。
『あかんあかん!そんなことできまへん!そんなことしはったらわて、ほんまに殺されてしまんねん。』
「お願いだよ!取引相手には私から話すから!それと男の子はいなかった?」
『男の子?はて、そんな人はいまへんでしたな?』
「取引相手はどんな方なのですか?」
クロエの質問にトレイダーは慎重に答える。
『取引相手は「ダイノガイストはん」って言うわての馴染みの客人や。言っときまっけど、怒らせたら危ないで。』
「かわいそうな箒ちゃん・・・・・・そんな恐ろしい相手に捕まっているなんて・・・・・」
『いや、ダイノガイストはんとめちゃラブラブやったで。』
「何~~~~~!?」
『確か愛称は「イチカ」って言って・・・・・』
無人島
「・・・・・・・・・・・・」
ダイノガイストは、一夏の姿に戻って簡素なベッドで眠っていた。すぐ傍に箒が眠っている。
「・・・・・・一夏・・・・」
「・・・・・なんだ?」
「・・・・・・その・・・・・・」
「やらんぞ。」
「体が熱くて仕方ないんだ・・・・・・」
「・・・・・朝、風呂に入りなおすのが面倒だ。」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・どうなっても知らんぞ。」
箒は思い切ってキス・・・・・接吻をした。
二人は既に離れられない関係になっていた。
翌朝 無人と近くの近海
『ほんまに行くんでっか?わいが何を言うてもダイノガイストはん、キレたら止められまへんで。』
トレイダーは怯えながら束に言う。
「いっくん、箒ちゃん!今束さんが行くよ~~~~!!」
束は移動式のラボでダイノガイストのアジトに乗り込もうとしていた。
『わてどうなっても知らんで。』
トレイダーは震えながら言った。
ここでのキャラ
宇宙商人トレイダー
「勇者エクスカイザー」でガイスターの盗品を買い取っていた宇宙商人。最終回で逮捕されてしまったがその後逃亡。別宇宙で商売をやり直そうと逃亡していたところで本作の地球にたどり着く。ダイノガイストと取引をしているが実は束とも接触していたのか彼女とも取引していた。
篠ノ之束
ISを開発した箒の姉。一夏と箒の行方を追っており、トレイダーの一言からダイノガイストのアジトへと向かっている。
クロエ・クロニクル
束の助手。料理はこの世の物とは思えない物を作る。
設定
白椿
原作で言う紅椿。束の情熱が冷めてしまったためカラーが白くなってしまった。
次回は荒れる?
あればの話だけど。