深海の魔法使いはIS世界を駆け回る   作:オキシゲドン

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再転生

「行くぜウィザード!」

「あぁ、俺達が最後の希望だ!」

 

頭上で、鎧武のスイカアームズをウィザードがドラゴンとの連携キックストライクで蹴り飛ばす。

炎を纏いながら凄まじい勢いで蹴りだされたスイカは武神鎧武の本体である巨木を真正面から貫く。

 

周りの雑魚を掃討し終わり、やる事が無かった他のライダー達も援護に駆けつけようとするが、戦闘の余波で巨木から半径1mはありそうな枝や幹が落下してきている為、迂闊に近づけない。

だが、そんな周りの状況とは裏腹に、真の力を出した武神鎧武を相手にウィザードと鎧武は一方的に戦っていた。

 

「さぁ、フィナーレだ!」

「よっしゃ!」

 

キックストライク!サイコォォォォォォ!

オレンジ・スカッシュ!

 

二人が同時に、自信の必殺であるキックストライクと無頼キックを発動させる。

ウィザードは足の裏の魔法陣から炎を、鎧武はオレンジをかたどったエネルギーを纏って武神鎧武を貫く。

 

大爆発と共に、武神鎧武と巨木をなぎ倒した二人は俺達の方へと着地し走り寄ってくる。

 

「やったな」

「あぁ、仁藤も取り返せたし上々だろ」

「おいおい、俺だってキマイラと再契約して戦っただろ?」

「あぁ、キマイラといえば大丈夫なのか?」

 

ここ、武神ライダーの世界とでも言おうか、この世界に来る前に仁藤は一度は契約を解除したキマイラと再契約してウィザードこと操真晴人を助ける為に戦った。

契約を行うのが普通のファントムならば問題はもっと軽いのだが、キマイラというファントムとの契約には一つのデメリットが付きまとう。

それは食事の代わりとしてファントム、もっというなら魔力を食べなければいけないというデメリットだ。

 

「皆まで言うな。これを見てくれ」

 

そういっていつの間にやら背負いこんでいた籠を地面に置く。

その籠の中には、奇妙な実がギッシリと詰め込まれていた。

 

「これはあいつらの世界に生えてる実だってんだけどな?この実、魔力を持ってるんだよ」

「何?じゃあこれがあればファントムがいなくてもどうにかなるって事か?」

「まぁ非常用の食料位にはなるな」

 

そう言って再び籠を背負いなおす仁藤。

そのタイミングで、俺たちの背後にこの世界に来るときに現れたものと同じような裂け目が出現した。

 

「お、じゃあ帰りますか」

「そうだな……ってインフィニティリングどうしよ」

「貰っていいんじゃないか?武神ライダーはもう全滅したんだろ?」

「んー……それもそっか」

 

そう言って俺たちは鎧武達に手を振りながらこの武神ライダーの世界を去っていった。

 

 

 

 

……はずなのだが

 

「おいこれはどういうことだ」

「は、一言目がそれとは生意気だな坊主」

 

目の前には、背中に光を発する羽を生やした偉そうな男が一人。

 

あ、自己紹介が遅れたが、俺の名前は深海 誠。

転生者である。

 

「いや生意気も何も俺って転生先はISが良いですって言ったよね!?何を間違ったらウィザードの世界になるのさ!?」

「ん?特典何が良いって聞いた時、魔法が使いたいって言ってたよね?」

「あぁ」

「君の中で魔法使いって言うと、ハリーポッターかウィザードだよね?」

「あぁ?」

「じゃあウィザードの世界に行って実際に力を付けて貰おうかなって」

「え?じゃあ何?特典の内容を自分で作るのメンドクサイから俺を実際にウィザードの世界に送ったって事?」

「あぁ!」

「ふざけるなよクソ神が!」

 

エクスプロージョン・ナウ!

 

右手の指輪をベルトに翳すと、甲高い女性の声が響き渡るのと同時に男が立っていた場所が爆発を起こす。

 

「はっはっは、こやつめ」

「やっぱ効かないか……」

 

瞬きする一瞬で、何事も無かったかのように地形ごと復活する男を見て思わず舌打ちをしてしまう。

やはり、この光溢れる辺り一面真っ白な世界では彼は死なないらしい。

一度目の転生で「間違えて殺しちゃった☆」と言われ殴り掛かった時に聞いた話では、であるが。

 

「さて、じゃあウィザードの世界は劇場版含めてほぼ終わったしIS世界に飛ばすよ?」

「急だな……っていうか俺割とあの世界気に入り始めてたんだけど」

「悪いね、もう決まってることだから戻るとかは出来ないよ」

「じゃあいいや、早くやってくれ」

「了解、じゃ良い旅を~」

 

最初の転生の時と同じく、足元に穴が開いて落とされる。

本当にテンプレを外して来ない奴だな、と逆に関心しながらウィザードの世界に思いを馳せる。

ワイズマン、いや笛木奏に拾われて、人口ファントムと契約して、遺品として輪島のおっちゃんが修復したベルトを貰った。

笛木さん……コヨミちゃんは守れなかったけど、代わりに彼女の希望は守りました。

どうかこれで許して下さい。

 

なんて思いながら意識が霞んでいくのを見送る。

次に目覚めた時、それが俺の、俺の為の本当の戦いの始まりだ。




ファントム:仮面ライダーウィザードに登場する敵キャラの総称。仮面ライダーウィザードの主人公達、魔法使いも特別な儀式によって自身の中に宿したファントムの力を使って戦っている。

笛木奏:仮面ライダーウィザードにおけるボス的な存在。
本作においては、海岸に打ちあがっていた誠を(洗脳して予備の魔法使いとして確保する為に)保護し、人口ファントムを与えた人物でもある。

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