理想の出会い~THE IDOLM@STER~ 作:まちゅもと
とても短いです。
お目汚し失礼致します。
階段を駆け上がる音、あっ、と言う声、毎朝の事だが騒がしく起こしてくれるものだ。
「今日もかぁ...」
俺と春香はいわゆる幼なじみで、家も近所で小中高と同じ学校に通っている。
毎朝起こしに来るのは小学生からの習慣というものだが、春香がきちんと部屋の中で起こしてくれることは月に一度あるかないかくらいだ。
「今起きるよー、大丈夫??」
「えへへ、大丈夫大丈夫。またやっちゃった」
相変わらず怪我なく転ぶその芸当に感心させられる。
「気をつけろよー。なんてったってお前はもうアイドルなんだからな」
「そうだよね...しっかりしなきゃだね...
よし、明日からはもう転ばないもん!」
「はいはい明日はね。じゃあ行こうか。放課後今日事務所顔出すんだっけ?」
春香は765プロという芸能事務所でアイドルをやっている。
まだあまり仕事はないらしいがレッスンが入ることもあり、よく放課後に顔を出している。
「そうそう!あー早くデビューしたいなぁ、ライブとかCDとか!やりたいこといっぱいあるもんね」
「そうだな、応援してる。
そろそろ準備できたから行こうか」
アイドルになっても昔からの関係は変わらず、一緒にいる時間も変わらない。
もうちょっと売れてくれてもいいんだけどなあとは本人には言えないが。
「そういえばプロデューサーさんが初仕事取ってきてくれてね!放課後打ち合わせなんだ!なんの仕事なんだろう?たのしみだね!」
「おお、やっと初仕事なんだな!!
絶対見に行くよ」
「ありがとう!」
====放課後事務所にて====
「なんで俺も連れてくるんだよ...」
すこし苛立ちながら耳打ちをした。
春香に強引に事務所まで引きずりこまれたのだ。
「だって、プロデューサーさんが是非って...」
普通はアイドルのスキャンダルを気にするものじゃないんだろうか。
「ああ、お待たせしてすまないね。
君が○○くんだね、春香から話は聞いてるよ」
眼鏡の優しそうな男性に声をかけられた、おそらく彼がプロデューサーだろう。
「あの、話って何でしょうか??」
「しまった。まだ何も説明してなかったね。もし君がよければなんだが、うちでバイトしてみないかい?」
バイト...?芸能事務所で...?
「もう、ダメじゃないですかプロデューサーさん。ごめんね、混乱しちゃうわよね。
春香ちゃんと高校も一緒って聞いてマネージャーのサブ、みたいな仕事をお願いできないかなって話になってたのよ。」
緑色の服を着た事務員さんがお茶を出しながら説明してくれた。
「やります。やらせて下さい」
もちろん断るなんてしない。春香のためだから。
「そう言ってくれると思ってたよ。よろしくな、マネージャーくん」
====帰りの電車にて====
「なんで引き受けたの?」
不思議そうに春香が聞いてくる。
「そりゃもちろん。待遇も良さそうだし、なによりお前がアイドルとして成功するためならな」
「へへへ、そっか。ありがとね」
春香は一瞬驚いたあと、またいつもの笑顔に戻った。
俺は本当の理由をまだ言わないでおこうと思った。
「まあ、お前には俺がいないとだからな」
俺にはお前がいないとなんだけどな。
未来のマネージャーくんEND
ありがとうございました。
お目汚し失礼致しました。