サルベージ   作:かさつき

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グロテスクな表現があります。
人体模型とか苦手な方は注意。


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 刺すような冷気と雪のつぶてが吹き付ける中を、せめて顔だけでも庇いながら歩いた。陰気で飾り気のないこの格納庫は、例のごとく盛大に軋みながら大口を開けた。咀嚼などというお上品な行為が、この悪食な建造物の仕事でないことは知っている。ノコノコ足を踏み入れた獲物をまるごと呑み下して、消化するでもなく溜め込んでいるのだ。たとえ愚かな闖入者が、彼の腹から脱出したとしても、それを無事とは言えない。私は此処へ来るたびに――ほぼ自業自得なのだが――知ってはいけないことを知ってしまっていた。取り返しのつかぬほどの致命的な毒を、この身に蓄えて持ち帰っている。

 後戻りはもう出来ないのだと、暗がりへ歩を進める萩風さんの背中が、語っている気がした。

 

「しばらく…なにも言わずに、見ていてほしいんです」

 

 私の返事を待たず、萩風さんは格納庫の中程まで歩んで行く。暗がりに白い肌と髪、ぼんやりとした妖光が浮かぶ。傍らにあの腕型艤装が置かれているのがみえた。萩風さんは、そこにしゃがみこんでーーこれは、一体?

 

「……!」

 

 彼女の背中が歪に膨張した。突として、び、び、びぃ、と布を裂くような音がして、背中の皮膚と肉が〝裂けた〟。

 観音開きになった萩風さんの背中。血管か、或いは筋繊維らしき幾本かの曲線がみえる。肩甲骨のあたり、赤黒い何かが、ぬらぬらと、もぞもぞと、光って蠢く、これは、何だ、まさか。

 

 ――これは、腕か。

 

 細い骨に剥出しの肉がまとわりついた、歪な枯れ枝のような、腕。彼女の背中の内部に、本来あるべきものとは別の、もう1対の腕が無理矢理折り畳まれて押し込まれていた。人間的な丸みを凡そ排除した、見ていて寂しくすら思うほどに、細く惨い腕だった。

 その腕がゆるりと開かれた。力なく垂れ下がった、というのが適切かも知れない。粘液が糸を引いて床を濡らした。

 べきべき豪快に軋みながら、腕型艤装が動き始める。表面から未知の黒色流体がとろけ出し、粘性の高そうな水音をたてながら、黒い帯状に成型されていく。何本かの帯ができ、しばらくは行き先を探す蛇のようにうろうろしていた。ようやく宿主を見つけたのか、黒い帯が彼女の体を這い上がっていく。帯の先端が、鋭く尖ったように見えたーー。

 次の瞬間、すべての帯が一斉に、彼女の副腕に刺さり始めた。どす、どす、どす、と聞き覚えのある刺突音が鼓膜を舐めた。事務室の暗がりで、目隠しをしていたあのときの音だ。

 

「は、萩風さん…!」

「大丈っ、夫です。もう少しっ、だからっ」

 

 慌てて彼女の元へ駆け寄ったが、うめき混じりに制止された。その間もこの黒い帯は、まるでヤツメウナギが屍肉を貪るように、彼女の副腕に先端を捩じ込まんとしてよじれる、震える、乱れる。

 

「し、信じられっ、ますかっ?痛くないんです。これはっ。むしろっ、お、おぞましっ、のにっ…。あるべき、姿になるっ、ようなっ、心地よさがっ」

「……」

 

 戦慄的な光景をただ眺めていると、少しして、彼女の副腕が墨汁を吸う半紙然として、じわりじわりと黒く染まっていく。ものの数秒で黒いチューブのようになって、表面からは腕だと判らなくなった。萩風さんのうめきも止まり、腕型艤装に力が宿ったように見えた。

 

***

 

 私はただ、彼女の傍らにしゃがみこんで、呆然とする。深海棲艦の艤装に定まった装着様式がないことは、昨日の救出劇の最中、観察した通りである。しかし、萩風さんのこれは、なんと言うか、思ってもみないほど痛ましかった。装着したというより、むりやりさせられた、と表現すべきだろうか。

 

「萩風さん、貴女の、あの腕は、一体…」

「……多分、長く着け過ぎたせい…だと思うんですけど」

 

 彼女は薩南から逃げる際、ずっと艤装を背負ったままだった。そのせいで、本来外付けになるはずの腕型の内部構造が、背中の筋組織と馴染んでしまったのではないか、と彼女は推測した。

 

「また、言い訳になるんですが。私、どうしても昨日は、これを見られたくなくて…」

「ええ、いいんです。納得しました。とてもよくわかりました」

「ごめんなさい。気持ち悪い、ですよね…こんな、ば…」

 

 体を強張らせ、弱々しく笑う彼女は、何かの言葉を続けようとして止めた。私はそれに心当たりがある。違う。それだけは、強く、否定せねばならなかった。

 

「いいえ、大したことはありません。確かに驚きましたが、気持ち悪いなんてもってのほかです。この程度で化け物とは言わせませんよ」

「え…」

「私はね、萩風さん。昨日、それこそ化け物級に大きな口に含まれて、全身くまなくべとべとにされた男ですよ。ちょっとやそっとじゃ動じません」

 

 ごく数分とは言えど、情けなくも正気を失した阿呆が何かのたまっている。しかし、これだけは云わねばいけないと思ったのだ。

 

「腕が増えたくらい、なんです。背中が開くくらい、なんですか。他人と形が違うだけで、貴女の価値は、下がりません」

「…っ」

「大丈夫です。大丈夫ですよ。貴女は化け物じゃありません。誰にもそんなことは言わせません。大丈夫です、萩風さん」

「は、い…っ」

 

 またもや私は、彼女を泣かせた。しかしこれは、前向きな涙だと、信じられた。

 艤装の上にあの妖精さんがのっかっている。萩風さんに似た、白髪で赤目で露出が多めのあの子が、私に笑いかけた気がした。

 

***

 

 萩風さんが落ち着いて、少し経った頃。このままこたつを運んでしまおうか考えていると、彼女が尋ねた。

 

「あの、さっき、司令が考えていたこと、気になったんですけど…」

「はい、何です?」

「司令には心当たりがあるんですよね?あのおじさんの、名前」

「心当たり、というほどでは…。珍しくもない苗字ですし」

 

 あのときは偶然だと思ったし、それは今も変わらない。たまたま同じ苗字だった、とそれだけである。そんな都合の良いことが起り得るだろうか?

 

「萩風さんは気になりますか?あの男性のことが」

「そう、ですね…気になります。あの後、何があったのかな、って。恐い気持ちもあるんですけど」

「……私も、同じです」

 

 どこかの神様の悪戯で、この心当たりが現実のものだったとして、何が飛び出すか分からない。萩風さんをさらに深く傷つけるきっかけになる可能性すらある。

 しかし、萩風さんが抱えた心の重しを、本当の意味で軽くしてあげられるのは、あの事件当時、あの島にいた当事者たちだけなのではないか。

 自身の存在が揺らぐほどの強烈な災難に襲われた彼女が、それでも必死に助けようとした、あの老年男性。もしも彼に、ほんの少しでも温かい言葉を貰えれば。萩風さんはどれだけ救われるだろう。

 

「篠田か。まぁ、ダメもとです」

 

 所詮、苗字の一致。あの夢の中で、彼が着けていた社員証のネームタグには、私の後任者と同じ苗字が記されていた。心当たりと呼ぶには、あまりにも細い糸だ。しかし、待て。そういえば大淀さんは、言っていた。なにやら篠田新司令は、ある身体的特徴を有する艦娘に、興味がおありだとか。

 

「小柄で、細身で、薄着の艦娘……ねぇ」

 

 彼は〝あの姿〟の萩風さんに会ったのだ。まさかと思い、同時に、もしやと思った。

 

 

======================

 

 

「どうしたものか。普通、今日は休養日ですよね…」

「大淀さんでしたか?取り敢えず、彼女に連絡をとってみては如何でしょうか。言伝をお願いするとか」

 

 炬燵を回収した後、萩風さんと共に庁舎を訪れたところ、事務室には津田さんがいた。仕事をするでもなく、電気さえつけず読書を嗜んでいる。丹前を羽織った彼に、暖房くらいつけてはどうかと提案したが、電気代も灯油代も勿体ないといって頑なだ。木造のオンボロ官舎よりは、此処にいたほうがまだ暖かいとのこと。

 文庫本片手に、ブランデー入りのチョコレートをお供にして、紅茶を時折啜る。シニカルでニヒルないつもの津田さんは鳴りを潜め、なかなかどうして、今日はナイスミドルに見えた。怜悧な印象の銀縁眼鏡も高得点である。

 

「では、電話を借りますので…」

「どうぞ。0発信です」

 

 萩風さんが固唾を飲んで見守る中、いつもの携帯電話番号を押し、コール音が4回と半分。向こうからはなんとなく聞き覚えのある――しかし大淀さんのものではない女声が聴こえてきた。

 

「はい、もしもし」

「む……大淀さんの携帯電話でよろしいでしょうか?」

「そうですが、現在席を外しております。私が代わりに出ました。って、あら?その声……ひーさん?」

「はい?」

 

 暫し沈黙があって、ほんのり刺のある声でその女性は話した。

 

「……行き先も教えずに出ていくなんて、随分と薄情じゃありませんか」

「ええと、そちら……」

「ご無沙汰してます。……そうでもないかしら?足柄ですよ」

 

 妙高型重巡洋艦3番艦、足柄。さっぱりと上品な立ち振舞いの裏にひそむ熱い性格が、他者に好印象を与えるおかげで、色々なところに顔が利く。大淀さんとも仲が良く、休みを一緒に過ごすことも多かったようだ。

 ところで、ひーさん、とはまた懐かしいあだ名である。最初に呼びはじめたのが誰だったかは忘れたが、一部の艦娘の間で妙な具合に定着してしまった。

 

「ああ!お元気ですか」

「勿論よ。無道の輩が電話をかけてくるまで、大淀たちと女子会を楽しんでいました」

「それは……すみません。かけなおします」

「いや、冗談ですけど。どうせ、仕事の話なんでしょ?……え、何?うん、そうよ樋口二佐、あ、今は違うのか。代わる?そうねぇ……」

「もしもし?どうしました?」

「霞が、言いたいことあるんですって」

 

 苦手な駆逐艦娘の名が出て、知らず、背筋がのびた。

 

「ま、待って下さい、足柄さ――」

「もう遅いわよ。このクズ」

 

 足柄さんの3倍は刺のある声が聴こえ、私の背筋が更にのびた。

 朝潮型駆逐艦の9番艦、霞。誰にでも真っ直ぐものを言う。強烈な言葉遣いで、多くの場合正論しか言わない。彼女は強く、それゆえ眩しく、敵も味方もたくさんいた。少なくとも当時の私は、面と向かってぶつかれなかった。

 

「あ、お……久し――」

「いい度胸してるじゃないの。休みの日に大淀さんに電話してきて、あまつさえ仕事の話?大淀さんは普段とんでもなく忙しいこと、他ならぬアンタが知らない訳ないわよね。たまには、休ませてあげなさいよ。いつまで頼りっぱなしなのよ。ちっとも変わってないじゃない」

「……すこし、込み入った事情があるんだ」

「分かるわよそれくらい。どうせそっちの基地の誰かのためなんでしょうが」

 

 機関銃のように、言いたいことを言うだけ言って、それらすべてが真実なものだから、私は閉口するしかない。

 

「ただでさえ人付き合い下手なアンタが、わざわざ電話かけてくるのなんてそういう時くらいでしょ。でもそれなら、何で大淀さんにだけは、気を遣ってあげられないのよ。一体いつまで、もたれかかってるつもりなの」

 

 電話口から、沸き上がる怒気が感じられた。前任基地で霞には散々怒鳴られたが、本気で怒っている時は寧ろ口調が静かになることを覚えている。激しく噴き出す火炎ではなく、煮え立つ溶岩だ。現況、怒りの度合は、上の下くらいか。

 

「だいいち、行き先も告げずにいなくなったのはどういうこと?色んな子に心配かけるのが分かんなかったの?」

「済まなかった。それにも少し、事情があったんだ」

「さっきから、事情、事情って五月蠅いったら。アンタの事情が何だっていうの。響なんて、泣いてたのよ?あの響がよ。なんとか思わないわけ」

「あ、ああ。そう……だったか」

「そうだったか、って……。なによ、それだけ?本当にこっちのみんなには、1つの未練もないのね。そんな薄情者とは思わなかった」

「お、おい!待ってくれ、そういう訳じゃない。しかし――」

「もういい。代わる。大淀さん、帰ってきたから」

 

 再三、話者がかわり、耳慣れた大淀さんの声が聴こえた。

 

「申し申し。お電話代わりました」

「……大淀さん、お休み中、本当にすみません。配慮が足りませんでした」

「ハイ、リョ?なんですか、それ。貴女の口から出ると気味が悪いです。私も昨日、電話かけましたけど」

「とにかく、日を改めます」

「はぁ、なんでもいいのですが。霞が怒ってるのと何か関係が?」

「……そうです」

「ふぅん。では、また後日。……体には気をつけて下さい」

 

 受話器を置くと、思わずため息が出る。津田さんが文庫本に栞を挟みながら尋ねた。

 

「何か……もめていたような?」

「残してきたわだかまりを、一切合切、指摘されていただけですよ」

 

 あまり話したくない内容であったが、津田さんの追及はなかなか激しいもので、濁すつもりが、洗いざらい打ち明けさせられた。この電話をかけることになった経緯から、全てである。実は彼、警察官に向いているのかも知れない。

 

「ははあ。すべてが、自分でまいた種な訳だ」

「ご、ごめんなさい。私のせいで…」

 

 津田さんはキツイまとめ方をする。萩風さんは恐縮している。だが、実際に彼の云った通りで、ぐうの音もでなかった。ただ、例の篠田姓の人探しには、協力的だった。

 

「さすがに、貴方の後任者がその男性の親族だって線は、かなり薄いと思います。しかし、萩風さんがその男性と話したいなら、調べてあげたい気持ちは解りますよ。ただ私だったら、いきなり直接訊こうとはしませんね。まずは外堀からですよ。今時、司令官級の人物の出身地なんて、防衛省のホームページに、下手したらウィキペディアにだって載せられちまう時代ですよ。貴方のように、後ろめたいところがある人はともかくね。そのあたりを足掛けに、裏取りから連絡というのが自然な流れでしょう。身内根性、アナログ根性も大概にしてくださいね」

 

 彼女らのことを考えるのは良いけれども視野が狭すぎる、と、気持ちいいくらいにストレートな苦言を呈された。確かに、例の男性は萩風さんの出撃した島を故郷だと言っていた。篠田新司令の出身地は根拠の1つになりうる。

 おもむろにスマートフォンを取り出し、しばらく弄り回した津田さんはニヤつきながら目配せをした。

 

「おやおや、載ってませんねぇ」

「若い人らしいですからね。辞退したのでは」

 

 異様に若い人事が目立つ昨今の情勢を、良く思わぬ者が一定数いる。篠田新司令がいくら優秀な人物と云えど、ホームページ上に情報を掲載されるのを忌避したと思われる。

 

「まぁ、仕方ない。別の手を使いましょうか」

「はい……?」

 

 津田さんは背後の金庫の鍵を開け、ごつんとした存在感のあるファイルを取り出した。

 

「何です、それ」

「色んな場所の、基地事情ですね。どこの誰それがどの基地に、とか」

「そ、そんなのがあるなら、最初から……!」

「いやぁ、ははは。なかなか頼られないものですから、つい出し惜しみを。ま、司令官級の人物が、幾ら他基地のこととはいえ、何も知らんなんて不自然でしょうよ。ウチみたいな仲間はずれの基地でもない限り、連携し辛くってしょうがないじゃありませんか。下っ端の生き方が染みついてますねぇ。さては、基地運営の大枠だとかに、あまり関わらせてもらえなかったクチですね?最近の若い司令官に多いんです。ベテランたちから上手く利用されて、扱いの難しい艦娘の相手だけはボチボチさせられてしまう、と」

 

 心当たりが大いにある。愉快そうに笑う彼を見ると、流石にムッとした。

 

「嫌々やってた訳じゃありませんから」

「ええ、ええ。貴方はそうでしょう」

 

 せめて意地を見せたつもりが、ヘラヘラしながらかわされる。チョコレートの最後の1個をかっさらってやろうかと思った。さっきも妙に言葉が尖っていたし、津田さんはどうやら、大したことのないアルコール分で酔っぱらっているようだ。また同時に、私いじりを楽しんでいる節がある。今までのやりとりはきっと、このファイルを取り出すお膳立てだったのだ。やはりナイスミドルにはなり得ない。

 

「それで、どうなんですか。中身は……?」

「ご自身の目でどうぞ。これからは〝本当の意味〟で司令官になるんでしょう?」

「……む」

 

 釈然としない気持ちを飲み込み、ファイルを受け取った。

 

***

 

 萩風さんと2人並んで、庁舎を後にした。

 

「……思い過ごし、だったみたいですね」

 

 どうも、篠田新司令は白のようだ。あのファイルには愛知県出身、とあった。細すぎた糸は、そもそも繋がっていなかったのだ。隣を歩く萩風さんは、さっきからずっと黙っているが、しかし案外、落ち込んだ様子ではなかった。むしろその瞳には、今までなかった力が宿っている。

 

「でも、司令、出身地が全てじゃないですよね?ほら、あのことがあって、転居したかも知れないし、必ずしも薩南に住んでいるとも限らないし」

「それもそうでしょうね。……少し、元気になりましたか?」

「私……なんだか。これは何て云うべきなのかな……」

 

 萩風さんは、言葉を探す。そして、小さく頷いて、私を見た。

 

「目標、というか。私、今なんだか凄く、前向きなんです。現金なんですけど……」

「ほう。良いじゃありませんか、それは。現金でもなんでも、前向きなら」

「私、あの人のこと、見つけたいです。色々なことが片付いたら、いつか」

「助力しますよ。いつか、見つけましょう」

 

 しかし、待て。基地司令官がプライベートに肩入れするのは、公私混同であるか?いや、前の基地でも休日には散々つれ回されたのだ。何をか言わんや。然るにこれは、あくまで隊員との親睦を深め、ひいては、健康な心身を醸成するための活動と位置づけることとする。私の中で、だ。

 自分の吐く白い息を眺めながら、屁理屈を捏ねていると、萩風さんが吹き出した。

 

「人のこと言えませんけど、司令はいっつもそんな面倒くさいこと考えてるんですか?」

「決断し、責任をとるのが、私の仕事だと心得てはいるんですがね?言い訳も必要なんですよ、色々なものを守るには」

「その中に、私たちも入れて貰えますか」

「もちろんです」

 

 彼女は別れ際、私を振り返って、少し笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

夜。

服を少し、汚してしまう。ごめんなさい。

彼の意識は殆どない筈だけど。うわごとのような。

のどが渇いているみたい。

少しの間、我慢して、ごめんなさい。

 

ごめんなさい。ごめんなさい。

 




ようやく、萩風さんと仲良くなれました。

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