ペルソナ4 有里湊のif世界での物語 番外編   作:雨扇

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コミュ3

 シャドウ千枝戦後の夜。

 

「ねぇ」

 

『ん? なにかな?』

 

 横にはファルロスがいる。時間は11時30分。クタクタだしもう眠いし。

 

「もっと普通の日に来てほしいんだけど」

 

『いやいや、こういう時に来るのが僕の習慣になっちゃったからね。それとも、僕と話すのは嫌かい?』

 

「別に嫌ではないけど」

 

『じゃあいいじゃない』

 

 ファルロスはまた僕のベッドに座る。そこがいつもの位置になったらしい。

 

『里中千枝、だっけ? 彼女、元気な所が似てるよね』

 

「ゆかりに……似てる。ファルロス。もしかして、これからもシャドウ戦後にこういう話をしに来るつもり?」

 

 ファルロスは少し不気味な笑みを浮かべた。肯定のようだ。

 

『僕はいつも君といる。君が体験したことは僕も体験したと同じさ』

 

「それで、里中とゆかりが似てるって話だよね」

 

 ファルロスは今度は普通に無邪気に笑った。

 

『うん。元気過ぎるところとか』

 

「ゆかりはまだ落ち着いている方だと思うけど」

 

 ゆかりと花村のペルソナの属性が同じ話とか、戦闘スタイルの話とかをたくさんした。

 

「花村はスピードタイプだけどゆかりはガッツリの回復タイプだよね。武器も弓矢だし」

 

『そうだね。里中さんはどんな武器かな』

 

「足で蹴るとか? 大体花村を攻撃するときも蹴ってたし」

 

『確かに、ありえるね』

 

 意外と話しは盛り上がった。

 

『ねぇ湊』

 

 急にファルロスが真剣な表情になった。

 

『この世界の人たちを名前で呼ばないのは……何で?』

 

「別にそこまで仲よくないし」

 

『順平はすぐに呼んでたじゃないか』

 

「それは順平がとても馴れ馴れしいから」

 

 僕は話を変えたかったけどファルロスはそれを許さなかった。まるで、「まだ君は彼らと仲間でいられていないと思っているのでは?」と遠回しに訊いているかのよう。

 

『……僕の言いたいことがわかったみたいだね』

 

 僕の視線に気付いたファルロスはそう言った。僕が思っていたことは当たっていたらしい。

 

『それで、どうなの? 鳴上悠、花村陽介、里中千枝。後はクマか。彼らのこと、仲間だとちゃんと思っているの? まだ、特別課外活動部の居心地が忘れられない? “鳴上悠が自分と同じ運命を辿るのではないか”……みたいな』

 

 ……ファルロスが言ってることは、たぶん大方合ってると思う。もちろん、鳴上たちといるのは“楽しい”。順平たちとは違った“楽しい”が味わえる。

 それでも家に帰るとふと思う。「早く元の世界に戻りたい」と。それで焦ってしまう。どうしようもなく感じてしまう。

 

『だったらこの世界の彼らとも仲よくなればいい』

 

 僕の考えが読めるのかとつっこんでしまいそうだけど、僕は別のことを訊いた。

 

「順平みたいに他の人もここに来てるの?」

 

『詳しくは教えられない。て言うか誰なのか詳しく知らないけど、何人かは来てる。でもすぐ出ていく人もいるみたいだ。運よく会えたらいいね』

 

「……会ってもペルソナの話とかは無理そうだけどね」

 

 ファルロスは笑った。

 

『今日はここまでだ。次は……』

 

「天城救出の夜。とか?」

 

『そう。じゃあ、またね。おやすみ、湊』

 

 彼は消えていった。

 

「おやすみ。ファルロス」

 

 今は焦っても仕方ない。楽しもう。そうとりあえず思いつつ今日はここで寝ることにした。

 

ーーランクアップ。「死神:ファルロスコミュ3」


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