帰ってきた幼馴染と女神たち【完結】   作:カット

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ファーストライブ回2話目です。

展開の繋ぎは少し雑かもしれませんがどうぞお楽しみください


9、ファーストライブ

 

 

「さて帰るか」

ファーストライブ前日の夜、俺たち4人は神田明神にいた。

用事が済んで帰るところだったのだが…

「達也?」

階段を降りると突然声をかけられた。声をかけてきた相手は…

 

「母さん!」

俺の母親だった。おそらく仕事帰りだろう。にしてもこのタイミングで会うことになるとは…

 

「お久しぶりです優子さん」

「たっくんのお母さん、お久しぶりです」

「私とは始業式の日以来ですね」

海未、ことり、穂乃果の3人は俺の母さんに挨拶をした。

 

「あらあら、みんな可愛くなっちゃって〜達也もそう思うわよね?」

「まぁな、それより母さん帰るついでに穂乃果のこと送ってもらえるか?反対方向の海未とことりは俺が送るからさ」

母さんに穂乃果を送るのを頼んでいると一緒にいた3人で何か話しているが…顔赤くなってないか?

 

「たっちゃんまたいきなり//」

「やっぱり恥ずかしいです//」

「嬉しいけどたっくんいきなり言い過ぎ//」

と話していた。

 

「ゆっくり話していたいところだけど今日は遅いし帰りましょうか、穂乃果ちゃんは私が送ってあげるわ」

「そんな、迷惑じゃ…」

穂乃果が迷惑になるとか考えた⁉︎となんとか声にせずにいられた。声に出してたらちょっと面倒なことになったな

 

「海未とことりは俺が送ってく」

「「えっ、迷惑じゃ…」」

「こんな遅い時間に女の子だけで帰すのは危ないだろ?心配すんなって!」

「そ、それじゃあお言葉に甘えて…」

「よろしくねたっくん」

「おう!」

 

「それじゃあまた明日ね〜!」

「ええ!」「うん!」「おう!」

穂乃果は俺の母さんが、海未とことりは俺が送ることになりその日は解散した。

 

 

ライブ当日

「16時から講堂でライブやりまーす!」

俺たちは昇降口前でチラシを配っている。けどやっぱり他の部活のところに行く1年が結構目に入る。

 

「他の部活に負けないように頑張ろう!」

「うん!」

そうだよな、そんなこと言ってられない。できる限りチラシ配って宣伝しないと…

 

「お願いしまーす」

ん?海未がチラシを積極的に配ってる。昨日とは比べ物にならないくらい堂々としてるな。そんじゃ…

「俺たちも配ろうぜ!」

「「うん!」」

チラシ配りを再開した。何人かは受け取ってくれているがライブに来てくれるかが不安になっている。顔に出ないように気を付けているが…

 

「穂乃果ー」

「なに?」

ライブ開始1時間くらい前になったから穂乃果に声かけた。1番近かっただけだがな

 

「リハーサルとかしたいだろ?ここは俺に任せて準備とかしといていいぞ」

「えっ⁉︎でもたっちゃん1人だと大変じゃ…」

「「「大丈夫!」」」

俺の後ろから声が聞こえたから振り向いてみた。そうしたら

 

「フミコ!ヒデコ!ミカ!」

ヒフミトリオが声をかけてきた。どうやら手伝ってくれるみたいだ。

穂乃果たちは俺たちに準備や宣伝を任せてライブの準備にいった

 

 

-----ライブ開始15分前-----

 

おっ、ちょうど着替え済ませたとこか

「穂乃果ー」

「あっ、たっちゃん!」

フミコたちに穂乃果たちのところに行ってあげてと言われたので向こうは任せてきた。

 

「みんな似合ってるじゃん!」

「えへへ、そう?でも海未ちゃん最初ね〜」

「穂乃果!」

恥ずかしがり屋の海未のことだし多分…

「スカートの下にジャージ履いたとかか?」

思ったことを言ってみた。

驚いてるし当たりか?

 

「何故知っているんです⁉︎まさかカメラ仕掛けたとか⁉︎」

「しねぇよ!」

「冗談です」

割と冗談じゃすまないことのような気もするが…

「まぁそれは置いておいて、いよいよだな」

「うん」

ライブ開始10分前、今は舞台袖にいるが3人とも緊張してるな

 

「大丈夫だ!お前たちはスクールアイドルをやると決めてから精一杯練習してきた。今できることを精一杯やって自分たちも楽しめ!」

こんなことくらいしか言えないが言って正解だったかな。

 

「そうだよね、ありがとたっちゃん!」

「今更ジタバタしても仕方ありませんからね、やれることをやりましょう!」

「うん!最高のライブにしようね!」

 

3人はステージに上がる。今は幕が降りているためどれくらいの人がいるかわからない。

満員とはいかなくてもある程度の人数はいると信じている。願望かもしれないが…

 

そして開演のブザーが鳴り幕が上がる。しかしその光景はあまりにも非情なものだった…

 

「そんな……」

講堂には誰1人生徒はいなかった…

 

「穂乃果…」

「穂乃果ちゃん…」

 

3人はステージ上で突っ立ったままだ。こんな光景ではそうなっても仕方ないが……

 

「そりゃあそうだ!現実はそんなに甘くない!」

穂乃果は頑張って笑顔を作っているが涙を堪えることはできていない。こいつらのこんなとこなんか見たくないな

 

「ライブ見せてくれよ!」

「「「えっ⁉︎」

 

ステージから客席に移動してライブを見せてくれるように頼む。

こいつらのファーストライブをただステージ上で立ってるだけなんかにさせない!

 

「たしかにチラシをもらった生徒は誰もいない!けど客ならここにいる!」

自分のことを示しながら必死に叫ぶ。今できることはこれくらいしかないからだ

 

「お前たちが今日までどれくらい努力してきたか、どんな想いでやってきたか、俺は知ってる!客は俺しかいなくてもお前たちのライブ見せてくれよ!」

 

「誰が1人だって?」

「「「「フミコ!」」」」

 

「音響やってるヒデコや照明をやってるミカも、それに私もお客さんだよ!穂乃果たちのライブ見せて!」

フミコも一緒になって訴えかけてくれる。

 

そして……

 

バン!!と勢いよくドアが開けられ1人の女の子が息を切らして入ってきた

 

「あれ?ライブは?あれっ?」

入ってきた女の子は曲が流れていないことに戸惑う。

 

「やろう!今日まで頑張ってきたんだもん!こんなところで終わらせたくないよ!」

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

 

曲が流れライブが始まる。

 

曲はSTART:DASH

 

3人は練習の時以上のパフォーマンスができてる。今日は1人しか生徒は来なかった…それでも必死に、そして楽しく踊っている。

 

曲が終わり拍手が送られる。いつの間にか駆けつけてきた女の子以外の人もいるようだ。

 

そして生徒会長が階段をゆっくりと降りてきてステージ前に立つ

 

「どうするつもり?」

会長は冷静にどうするか聞いた。

 

「続けます!」

「何故?これ以上続けても意味があるとは思えないけど」

 

「やりたいからです!」

 

「今…もっともっと歌いたい、踊りたいって思っています。きっとそれは海未ちゃんもことりちゃんも思っています」

3人は顔を見合わせてる。ほんとみたいだな

 

「こんな気持ち初めてなんです!やってよかったって本気で思えたんです!このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない、応援してもらえないかもしれない。でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい!いま私たちがここにいる、この想いを!」

 

こいつのこんな気持ち初めてだ。それだけ本気なんだろうな。それは手伝いでも俺も同じだけど…

 

「いつか…いつか私たち、この講堂を満員にして見せます!」

 

喋っているのは穂乃果1人だが3人とも本気みたいだな。

 

今日はたしかに客は集まらなかった。でもこれは失敗じゃない!少なくても聞きにきてくれた人はいる。穂乃果たちも最後までライブをやりきった。

あえて言うなら失敗ではなく完敗だ。俺たちはここから始める。

 

そう……完敗からのスタートだ!

 





今日で3話までの話が終わりです。

次回はオリジナル回となり、オリジナル回が終わったら4話の話に入ります。

今は毎日投稿できていますがそのうち2日に1話になったりするかもしれません。

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