「「行ってききまーす」」
とある休みの日、俺と美希はそれぞれの学校の制服で外に出る。今日は音ノ木坂の合格発表だからだ。
「雪穂おはよ〜」
「おはよう美希、達兄も」
雪穂と合流したけど……合格発表は穂乃果も行くって言ってた気が…
「なぁ雪穂、穂乃果は?」
「お姉ちゃんはまだ寝てる」
「そ、そうか……」
じゃあ一緒に行けないな。ってことで3人で音ノ木坂まで行くことにした。
「いたいた、絵里〜」
「達也、おはよう」
「おはようございます達也さん、雪穂と美希もおはよう」
学校に着いたら絵里と合流した。絵里も亜里沙ちゃんの付き添いで来ているみたいだ。穂乃果はどうしたか聞かれたが寝てるらしいと言ったら苦笑いしていた。まぁするか……
「あった!」
「私も!」
「私もあった!」
おっ、3人とも合格したみたいだな。正直廃校免れたばかりだし、学校側もよほど点数悪い人以外不合格にしないと思ってたけどな。
「3人とも合格できたっぽいな」
「えぇ、よかったわ」
「お姉ちゃんやったよ〜μ'sだー!私μ'sに入る〜!」
「「μ's…」」
亜里沙ちゃんが嬉しそうに走ってくるのに対して美希と雪穂はゆっくり歩いて来ていた。合格して嬉しそうではあったが……
「ただいま〜」
「「お邪魔しま〜す」」
あの後絵里と学校で別れ穂むらにやって来た。家帰っても誰もいないから直接でいっかってことでな。
「どうだった!?」
「もう〜一緒に行くって言ったじゃん!」
あれ?穂乃果って寝てたんだよな?
「合格したよ」
「もう〜なんでそんな冷静なの!?バンザイだよバンザイ!」
両手を前に出してるけどそれハイタッチじゃないのか?
「ねぇお姉ちゃん、達兄、3年生が卒業した後ってμ'sはどうなるの?」
「「っ」」
俺と穂乃果は雪穂の質問に対し、今は話さないことにしてるとしか答えることはできなかった………
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「ラブライブ本戦まであと1ヶ月、ここからは負荷が大きい練習を避けて、体調を維持することに努めてもらう」
日が変わり部室にて、メンバーがラブライブ本戦までの練習メニューを確認している。
「結構少ないにゃ」
「完全に休みの日もあるよ」
「A-RISEの方とも相談をして、達也と話しながら決めました」
練習メニューを説明しているが穂乃果が上の空の状態だ
「穂乃果聞いてるか?」
「えっ、あっ…うん、ごめんごめん」
俺は何を考えてるかなんとなく予想できてる。昨日雪穂に言われたことを考えてるんだろう。
「そういえば雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんと美希ちゃん、合格したんでしょ?」
「うん!3人とも春から音ノ木坂の生徒だよ」
「じゃあもしかして新メンバー!?」
「μ'sのメンバーが増えるの!?」
「ちょっと!?そういう話は…」
「「あっ……」」
「卒業…しちゃうんだよね」
途端に雰囲気が暗くなった。やっぱりこれ、ちゃんと話した方がいいんじゃないか?
「どうやろ、にこっちは卒業できるかどうか」
「なるほど」
「するわよ!というか達也もなるほどじゃないわよ!」
「冗談冗談」
すると手を叩く音が聞こえた。それをやったのは絵里だった。
「ラブライブが終わるまでその話はしない約束よ?練習しましょう!」
絵里の声でみんなはグラウンドに練習に行くことになった。
「どうかしましたか?」
「えっ?」
「顔見ればわかるよ」
ストレッチ中、穂乃果の様子が気になったのか、海未とことりがどうしたのか聞いてきた。
「雪穂に言われたこと気にしてるんだろ?」
「うん、実はね、3年生が続けたらどうするんだって言われたの。私もたっちゃんもちゃんと答えられなくて…」
「そうだったんだね」
ストレッチをしながら話してランニングに移ってもその話は続いていた。
すると
「続けなさいよ?」
「にこ?」
にこが前を向いて走りながら声をかけてきた。
「メンバーの卒業や脱退があっても名前は変えずに続けていく。それがアイドルよ」
わかってる。それはわかってるけど…
「それにそうやって名前を残してもらった方が私たちも嬉しいの。だから、わぶっ!?」
「にこ大丈夫か?」
ちゃんと前を見ていなかったのか、希の胸に顔が埋まりそのまま転んでしまった。
「いたたたた…」
「その話はラブライブが終わるまでしない約束やろ?」
言うならここかな
「ほんとにそれでいいのか?」
「達也くん?」
「ずっと迷ってた。このまま話さないままでいいのかって、でもやっぱり話し合った方がいいと思うんだよ。それで美希や雪穂、亜里沙ちゃんにちゃんと答えてあげた方がいいと俺は思うぞ」
「私も達也くんと同じ。もし私が亜里沙ちゃんたちと同じ立場だったら、やっぱりちゃんと知りたい」
どうやら花陽も俺と同じ気持ちだったみたいだ。
「かよちんはどう思うの?」
「私は…」
遠慮してる感じだな
「なに遠慮してんのよ!続けなさいよ。メンバー全員が入れ替わるならともかく、あなたたち7人は残るんだから」
「にこの言う通りだ。思ってることはっきり言った方がいい」
「遠慮してるわけじゃないよ。ただ私にとってのμ'sってこの10人だから…1人かけても違うって思うの…」
「「花陽…」」
「私も同じ。でもにこちゃんの言うこともわかる。μ'sという名前を消すのは辛い。だったら続けた方がいいんじゃないかって…」
「エリチは?」
花陽と真姫が自分の考えを言っていくと、希は次に絵里に聞いた。
絵里の答えは…
「私は…決められない。決めるのは穂乃果たちだと思ってる」
「私たちが?」
「私たちは必ず卒業する。スクールアイドルを続けることはできない。だから、決めるのは穂乃果たちであるべき。これが私の答えよ」
そうだよな、来年度からやってくのは俺たち1.2年生だ。3年に頼るわけにはいかない。
続けるにしろμ'sをお終いにするにしろ…
俺たちで決めないといけない
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「結局話すことになっちゃったね」
練習が終わり、1.2年の7人で帰っている。
「でもそれでよかったと思うぞ」
「そうですね、曖昧な気持ちでライブに臨むわけにはいきませんから」
「どうするつもり?」
さすがにすぐに答えを出せる簡単な問題じゃない。
「私たちで決めないといけないんだよね…」
「難しすぎるよ」
「たしかに難しいと思う」
「でも絵里ちゃんの言うことは正しいよ。来年学校にいるのは私たちなんだから自分たちで決めないと」
今日はそこで別れ、各自考えることになった。
「たっちゃん、少しだけでいいから家寄ってくれないかな?ちょっとでいいから一緒に考えたいの」
「そういうことなら、でも少しだけだぞ?今回は俺も自分で考えたいからさ」
「わかってる」
帰りに穂乃果の家に寄ったら雪穂たちがμ'sの動画を見ていた。美希がいることには驚いたけど…
亜里沙ちゃんがライブの開始前にやることを真似をして、その後μ'sに入っていいか聞かれた時は俺も穂乃果も対応に困った。雪穂と美希がなんとかしてくれたが…
その後穂乃果の部屋で少しの間話し合ったけど、結局どうするか答えは出なかった。
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自分の部屋にて
「やっぱりμ'sは今のメンバーだけにしたい気持ちの方が強いんだよな〜」
穂乃果とも話していたがやっぱり今のメンバーだけにしたいって気持ちの方が強かった。名前を残したいって気持ちもあるけど。
「だぁー!もうじっと考えるのは無理だ!」
ベッドに横になって考えてるけどやっぱり無理、少し外の空気吸うか。
母さんに出かけることを伝えて外に出たけど…美希はいつ出かけたんだ?
「最初は4人だったんだよな〜」
μ'sが練習に使っている神田明神にやってきた。学校以外ではここで過ごした時間が長い、そのためだ。
「最初は4人だったのが少しずつメンバーが増えて、今では10人だもんな。ここはいろんな思い出もあるな」
達也はこの時、色んなことを思い出していた。最初は4人だったこと、そこから少しずつメンバーが増えたこと、解散の危機になったことなど色々。
「そういやこの階段、穂乃果が1回落ちそうになったよな〜それに2回目の出場を決めたのもここだし、μ'sのキャッチフレーズを決めたのもここ。今年1年で色々あったな……
やっぱり……今いるメンバーだったからだよな。だからこんなにたくさんの思い出があるんだ。俺の考えはまとまった」
達也はここで決断をした。μ'sは今のメンバーにお終いにしようと。
「あとは話し合うだけだな」
自分の考えをまとめたらそのまま階段を降りて行った。近くに美希たちがいたことに気が付かずに……
翌日
「穂乃果おはよう」
「おはようたっちゃん……まとまったの?」
「まとまったぞ、穂乃果は?」
「私はまだ…」
やっぱり難しいよな、でも今回は助言したりすることはないから自分で考えてもらわないと
「お姉ちゃん」
「雪穂」
「美希に亜里沙ちゃんも、どうしたんだ?」
珍しく美希がいないと思ったら雪穂たちといたのか。家にいないわけだ
「穂乃果さん、達也さん、私…μ'sに入るのやめます!」
「止めるつもりはないけど…理由聞かせてもらってもいいか?」
「昨日雪穂と美希と話してる時気が付いたんです。私が好きになったμ'sは穂乃果さんたち9人とマネージャーで達也さんがやってる10人なんだって。そこに私はいない」
「亜里沙ちゃん…」
「だから私は雪穂や美希と一緒に、私は私のいるハラショーなスクールアイドルを目指します!」
「だから色々教えてね、先輩」
「お兄ちゃんもね!」
雪穂や美希が照れながら言うところは滅多にないしいいものが見れたな。
「ダメ…かな?」
黙っている穂乃果に対して、雪穂が少し不安げに聞いたが穂乃果は首を横に振った。
ダメなわけないよな。そのまま3人に抱きついた。
「そうだよね。当たり前なはずなのに、わかってたはずなのに」
そう言って3人と向き合って
「頑張ってね!」
と穂乃果は3人に言った。穂乃果も考えまとまったかな?
「穂乃果」
「決めたよ!」
みたいだな。
雪穂たちに激励し、自分たちの考えがまとまったところで登校し出した。
そしてその日の昼休み、3年生を除いたメンバーで話し合い、3年生が卒業した後どうするか決めた。みんな気持ちは同じだったため、話し合いには時間はかからなかった。
そして次の休みの日、μ's全員で遊びに行くことになったのだった。
次回書きながら泣きそうです。