帰ってきた幼馴染と女神たち【完結】   作:カット

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58、μ'sを一言で

「自由?選曲も?」

 

年が明けて1週間、学校はまだ冬休みだがラブライブに向けて練習を行っている。

 

と言ってもまだストレッチ中だが、その間にラブライブ本戦での曲について話している。

 

「そう、本戦では曲に限らず衣装や踊り、曲の長さとか基本的に自由だ。とにかく全出場グループが歌い切って会場とネット投票によって優勝を決めるシンプルな方法だ」

 

「いいんじゃないの?わかりやすくて」

 

そう、実に分かりやすい方法だ。だがネットで見る人は気になるグループだけ見る可能性もあるはずだ。

 

「出場グループの間では

 

いかに大会までに印象付けておけるか!

 

これが重要だと言われています」

 

「そうだな、全部で50近くのグループが1曲ずつ歌うんだ。全部を覚えていられる人なんてよっぽど記憶力がいい人くらいだ」

 

「それにネットで見る場合は自分が興味のあるグループだけ見るって人も多いわ」

 

「μ'sはあのA-RISEを破ったグループとして注目を浴びているので、現時点では他のグループより印象が強いと思われますが…」

 

「それも大会までにどうなるかわからないってことやね」

 

「まっ、そういうことだね」

 

さて、ここで重要なのはどうやって印象付けをするかだ。

 

「事前に印象付ける方法ってあるの?」

 

俺と組んでたため他の人より早くストレッチを終えた穂乃果が聞き出した。

 

「はい、それで重要だと言われているのがキャッチフレーズです」

 

『キャッチフレーズ?』

 

どういったキャッチフレーズがあるのか確かめるため、全員で部室に移動した。

 

………あれ?ストレッチした意味は?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ストレッチを終えた全員が部室に移動し花陽がパソコンを操作しているが…これ練習終わった後でもよかったんじゃね?

 

「ラブライブ本戦出場チームは、このチーム紹介のページにキャッチフレーズが付けられるんです」

 

そう言って花陽は他校のグループのキャッチフレーズを見せ出した。

見せられたものには【恋の小悪魔】【はんなりアイドル】【with 優】などがあり、みんな考えているのがわかった。

 

「当然ウチらもつけた方がいいってことやね」

 

「そういうことです。私たちμ'sを一言で表すやうな言葉」

 

意外と難しいぞこれ、俺たちはみんな個性バラバラだからな。これを一言で言い表すのは難しい。

 

「う〜ん…」

 

練習が終わり帰りながら穂乃果がキャッチフレーズを考えている。いるのだが……

 

「石鹸じゃない!」

「当たり前です」

 

「じゃあ…9人!」

「それも当たり前です…」

 

これじゃあすぐに思いつきそうもないな。そして海未、呆れるのはやめてやれ…

 

「海未ちゃんもちょっとは考えてよ〜」

 

「わかってますが…」

 

「難しいよな、俺も全然思い浮かばないし」

 

「私たち、全員一度に集まったわけじゃないし性格もバラバラだし」

 

「でも、優勝したいって気持ちはみんな一緒だよ!」

 

「たしかにそれは俺も含めて一緒だな」

 

「ならキャッチフレーズは…」

 

「ラブライブ優勝とか言うのやめろよ?」

 

「っ!?」

 

おいおい…本気で言おうとしてたのか?

 

「危うく喧嘩を売るところでした」

 

「そんな物騒な言い方すんな」

 

「あれ?こっちに来るのって」

 

ん?ってツバサさん?なんで?

 

「突然ごめんなさい。達也くん、穂乃果さん借りてもいいかしら?」

「私!?」

 

なんか真剣な表情だけどもしかして…予想通りなら拒否するわけにいかないな

 

「わかった、それじゃ穂乃果、悪いけど先に帰るぞ。美希に聞いておきたいこともあるからさ」

「止めてくれない!?うぅ…わかった」

 

あれ…なんかことりや海未からも冷たい視線が…ツバサさんは普通にしてるけど

 

「俺の予想通りの内容ならリーダー同士で話したいんだと思うからさ。俺がいても邪魔だろ」

 

「邪魔ってわけではないけど…達也くんの言う通りリーダー同士で話したいわね」

 

「そういうことでしたら…それじゃあまた明日ね!」

「おう!」

「はい!」

「うん!」

 

穂乃果とは校門で別れ、海未たちと3人で帰ることになった。帰り道で、海未とことりにツバサさんが来た理由について聞かれたが、予想した理由を説明したのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま〜」

「お兄ちゃんお帰り〜」

 

家に帰ったらこたつで勉強していた美希がいた。自分の部屋にいるかと思っていたが、寒いからということでこたつを使ったらしい。

 

「何時くらいまでやるつもりだ?」

 

「ちょうど今キリが良いところまでやったから休憩するところだけど…何かあったの?」

 

「今日さ、チーム紹介に載せるキャッチフレーズを考えてたんだけど思いつかなくてさ。それで美希から見てμ'sはどう見えるのかなって思って聞きたいと思ったんだ」

 

「どう見えるか…う〜ん、心配しちゃう…とかかな」

 

「心配?」

 

なんか心配させるようなことしてたっけか?

 

「うん、でも応援したくなっちゃうんだよね。お兄ちゃんがマネージャーやってるからとかそういうのは関係なしに」

 

応援したくなる…か。今のだと身内とか関係ないってことだよな。

 

どう思ってるか聞き終わるとちょうど勉強を再開するみたいだった。わからないところを少し教えた後部屋で考えることにした。

 

「心配…それに応援したくなる…か」

 

 

達也はさっき美希に言われたことを考えている。キャッチフレーズに繋がれば良いと思いながら

 

「たしかに心配かけることあったよな、μ'sが崩壊しかけたこともあったし最終予選じゃ危うく参加できなくなるとこだったし。

 

そういやファーストライブの時からヒデコたちに手伝ってもらってるよな。ファーストライブもPV撮影も…崩壊しないで済んだことにも関わってるしな〜予選じゃ他の音ノ木坂の生徒も手伝ってくれたし、最終予選もそのおかげで……あれ?」

 

達也は部屋で1人ぶつぶつ言っている。他に誰かいたら気味悪く思うだろう。

 

そして何かに気が付いたみたいだ。

 

「そっか、俺たちだけじゃないのか。みんなで…音ノ木坂の生徒みんなで前に進めてるのか。これは言うよりみんなに気が付いてもらった方がいいかもな」

 

達也はキャッチフレーズになり得ることを思いついたが、今回はみんなに言わないことにした。自分たちで気が付いてもらう方がより自覚できると思ったからであろう。

 

「ねぇお兄ちゃん、さっきから私がいるの気付いてる?」

 

「美希か………って美希!?」

 

驚いた〜いつから……ってあれからもう2時間も経ってたんかよ。色々考えすぎたな。

 

「悪い悪い、全然気付いてなかった。すぐ夕飯作るから待っててくれ」

 

「お兄ちゃん、キャッチフレーズ思いついたの?」

 

多分顔に出てるんだろうな。よく見てるな美希は。

 

「まぁな、でもみんなに気が付いて欲しいから俺からは言わないことにするよ。だから美希も他のみんなと会っても言わないでくれよ?」

 

「そっか、わかった。あとご飯はお母さんが作ってくれたから大丈夫だよ」

 

まじ?いつ帰ってきたんだ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お待たせ〜」

 

翌日、今穂乃果の家の前にいる。何故か餅つきをすることになった。

 

「なんで餅つきなんだ?」

「在庫処分?」

 

昨日の夜突然

 

【明日餅つきやるから来てね!】

 

というメールが来て驚いた。送る直前叫び声が聞こえたのは内緒だ。

 

理由としてはみんなへのお礼らしい。最終予選突破できたのはみんなが協力してくれたがそのまま冬休みになってしまったため今日となった。

ちなみに餅つきの理由は他に思いつかなかったみたいだ。

 

「それじゃあたっちゃんやろっ!」

 

「俺か、まぁいっか」

 

俺と穂乃果の掛け声で餅をついていっている。

 

「順調やね〜これが夫婦共同作業やね!」

 

「「まだ夫婦じゃない!!」」

 

「まだ?」

 

あっ、思わず「まだ」と言ってしまった。まぁいずれなりたいけどな。

 

「凛ちゃんやってみる?」

 

「やるにゃ!」

 

次は凛みたいだな。凛が振りかぶった時、1人の女子が「危な〜い!」と走ってきた。走ってきたのは亜里沙ちゃんだったが、勢いよく飛びつかれたため地面に押し倒された。

 

「マネージャーとはいえ怪我したら大変!」

 

みんなクスクス笑い始めた。日本に来てから見たことないからだろう。というか1人頬膨らませてる人が…

 

「大丈夫だよ亜里沙ちゃん。凛ちゃんは叩こうとしたわけじゃないからね。それとそろそろたっちゃんからどいてあげてね」

 

「あっ、ごめんなさい」

「平気平気」

 

穂乃果が言うと亜里沙ちゃんはどいてくれたが穂乃果…そんな睨まなくても。ついでに怪我で済めばいいって思うのは俺だけ?

 

「おっ、本格的だね!」

 

「へいらっしゃい!」

 

誤解が解け亜里沙ちゃんが餅を食べていると音ノ木坂の生徒がやってきた。

一気に人数が増えたな。

 

 

生徒が集まってくるとμ'sでお餅を配り出した。海未やにこがみんなと写真を撮っていたり、花陽がお餅を食べようとしたのを凛に止められたりと、楽しい時間を過ごせた。

 

 

「急だったのによく集まってくれたよな」

 

「みんなそんなにお餅好きなのかな?」

 

「好きだよ、美味しいし」

 

いや、さすがにそれが理由ってわけじゃない気がするが…

 

「きっとみんな一緒だからだよ」

 

「えっ?」

 

「みんながいて、私たちがいて、だからだと思う」

 

おっ、キャッチフレーズ思いついたか?

 

「それがキャッチフレーズ?」

 

「う〜ん…ここまで出てる…」

 

穂乃果は自分の喉あたりを指差している。そしてみんなは冷たい視線……やめてやれ

 

「ほんとだよ!もうちょっとなの!もうちょっとでそうだ!ってなりそうなのんだけど…たっちゃんは信じてくれるよね?」

 

「もちろん!」

 

即答したからまた希に揶揄われた。揶揄うの好きだな〜

 

「みんな練習行くんだろ?こっちの片付けはやっとくからみんな先に行っててくれ」

 

 

達也が穂乃果の両親と一緒に片付けている間に神田明神へと練習しに行った。階段の往復だけでもやろうと思っていたらしい。

 

 

「もう終わっちゃったか?」

 

「たっちゃん!片付けてお疲れ様!こっちも今終わってキャッチフレーズも決まったよ」

 

まじか、片付け手伝ったって言っても数分だぞ?そこからここまで来るのにそんな時間かかってない。だからキャッチフレーズまで決まるとは思わなかった。

 

ちょうど練習終わる頃だと思っていたがいつもよりタイムが早かった人が多かったらしい。

 

キャッチフレーズが決まったきっかけは神社にあった絵馬を見て思いついたらしい。

 

「絵馬に雪穂と亜里沙ちゃんと美希ちゃんがμ'sを心配する内容を書いてたり、他の人も応援するようなことが多くて、それでみんなと一緒にここまで来れたって気が付いたんだよ」

 

「なるほどな、みんなに……音ノ木坂のみんなに助けられてるもんな」

 

「うん!」

 

とりあえず昨日家でこのことに気が付いたことは言わないでおいた。何か言われそうだし……

 

 

次の日UTXのスクリーンの前にμ's全員が集まっている。

 

ラブライブ本戦出場グループがキャッチフレーズとともに、エントリーナンバー順にスクリーンに映し出されている。

 

そしてμ'sの名前が映し出されるとグループ名の下にキャッチフレーズが映し出される。

 

【みんなで叶える物語】

 

それがμ'sのキャッチフレーズだ!

 

 

そして、これを近くで見ていたA-RISEの綺羅ツバサは、納得したように微笑んでいたことを達也以外は気が付いていなかった。

 




いつも大体3500文字なのが今回は約4500になってました。

次回から1〜3話(まだ何話になるかわからない)はμ'sのこれからを決める回になります。

少し宣伝?

アニメ13話分までと劇場版の分を書いたら、Aqoursの話に行くつもりです。

そしてAqoursの話でも達也は登場しますが、μ's編とは違って登場しない回も出てくるかもしれません。そこは未定です


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