帰ってきた幼馴染と女神たち【完結】   作:カット

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53、μ'sを作った女神様へ

前回

 

練習が休みの日曜日、穂乃果の家に集まりラブソングを作るアイディアを出し合うことに。

しかし、結局まとまらず今までの曲をやるとこになりその日は解散。

絵里と希の様子がおかしいと感じた真姫が跡をつけることに、そして穂乃果に言われ達也も追いかけ始めた。

 

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「見つけた!」

 

穂乃果の家から走ってきたら絵里と希が歩いているのを見つけ、真姫が木の陰に隠れているのを見つけた。まずは真姫と合流かな

 

「真姫」

「達也!?」

「穂乃果に言われてな、2人はどうだ?」

 

追いかけてきたわけは俺も真姫も同じみたいだから2人で尾行を続ける。

2人は今の所無言で歩いているだけらしい。ってなんか喋れよ……

 

「希…本当にいいの?」

 

「いいって言ったやろ?」

 

あっ、喋り出した。というかやっぱり何か訳ありみたいだな。

 

「ちゃんと言うべきよ。希が言えばみんな協力してくれるはずよ」

 

「ウチにはこれがあれば充分なんや」

 

「意地っ張り…」

 

「やっぱり何かあるよな」

「そうね、そろそろ出て行く?」

「いや、もう少しだけ待ってみよう」

「わかったわ」

 

もう少しだけ待ってみようと思ったが2人の帰り道が別の道の場所に来たらしい、そのため俺と真姫は飛び出して行った

 

「「ちょっと待(っ)て」」

 

「真姫…」

「達也くんも」

 

2人とも俺らが追いかけてきていたことに気が付いていなかったのか驚いていた。

 

「昨日跡をつけてたこと怒ってたのに今日は自分が同じことをしてるん?」

 

「あれ?そういう雰囲気だったか?」

 

「希、ふざけるのはやめなさい」

 

「そういうふざけたことはいいから!

それよりも…前に私に言ったわよね?面倒な人って。自分の方がよっぽど面倒じゃない!」

 

「俺もそう思うぞ」

 

「気が合うわね、私も同意見よ」

 

どうやら絵里も同じ意見みたいだな。

 

「理由はよくわからないが希自身に関係してることか?」

 

「ウチには関係ないって」

 

「今日の…いや、最近の様子見てればわかるって!」

 

「達也も落ち着いて、ここじゃなんだし希の家に行きましょ?希もいいわよね?」

 

「ええけど…」

 

たしかにここは人も通るしな。でもなんで希の家に?普通なら自分の家にって言わないか?

 

疑問に思いつつも希の家に移動した。

 

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「「お邪魔します」」

 

「遠慮せんと入って」

 

希の家初めてき……つーか穂乃果やことりやにこの家以外入ったことないか。

 

「お茶でええ?」

「うん」

「ああ」

 

そのままリビングに通されたけど親がいねぇな。家に上がらせてもらったんだし挨拶しておきたいんだが…もしかして

 

「1人暮らし……なのか?」

 

「……うん、子どもの頃から両親の仕事の都合で転校が多くてね…」

 

そうだったのか、絵里が遠慮なしに希の家でって言った理由がわかった気がする。

 

「だから音ノ木坂に来てやっと居場所ができたって」

 

「その話は今ええやろ。おっとっと…」

 

お湯が沸いたみたいで火を消していた。それを確認してから

 

「いや、ここまで来たんだし聞きたいかな」

 

と言ってみた。同じグループのメンバーでも知らないこともあるしな。

 

「そうよ、隠しておいても仕方ないでしょ?」

 

「別に隠してたわけやないんよ。エリチがおおごとにしただけや…」

 

「嘘っ…μ's結成してからずっと楽しみにしていたでしょ?」

 

「そんなことない」

 

「希!」

 

「ウチがちょっとした希望を持ってただけや」

 

話進まなすぎてイライラしてきたな。怒鳴っちまいそうになったその時

 

「いい加減にして!いつまでも話が見えない!どういうこと!?」

 

と真姫が声をあげた。ちなみに俺も同意見ということを伝えた。

 

少しの間、その場に沈黙がおとずれたがそれを破ったのは絵里だった

 

「簡単に言うとね、夢だったのよ。希の」

 

「エリチ」

 

「ここまで来たんだし何も教えないわけにいかないでしょ?」

 

「その夢って…」

「ラブソングを作ることが?」

 

「ラブソングかどうかじゃない、10人みんなで曲を作りたい…って」

 

「「10人みんなで」」

 

みんなで曲を作るってことはやったことないな。いつも歌詞は海未が作詞し俺が手伝う。曲は真姫、衣装はことり中心で花陽が手伝ったり。

 

だけど10人みんなで作ったことはなかった。

 

「1人1人言葉や想いを繋げて全員で作る曲、そんな曲を作ってみたい…そんな曲でラブライブに出たい。それが希の夢だったのよ」

 

「そんな夢なんて大それたものじゃないんよ」

 

「じゃあなんなの?」

 

「なんやろね。曲じゃなくても、10人みんなで集まって力を合わせて、何かを生み出すことができたらそれはそれでよかったんや。ウチに取ってμ'sは奇跡やったから」

 

奇跡?

 

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(希side)

 

「今日からこのクラスのお友達になります。みんな仲良くしてあげてね」

 

黒板にウチの名前が書かれていた。でも転校が多かくすぐ転校することになるんやと思い無表情だった。

 

いつも1人で本を読んで過ごしてそのまま高校生となり音ノ木坂の生徒に…

 

「みなさん初めまして!絢瀬絵里と申します。よろしく」

 

初めて会った。自分のことを大切にするあまり回りと上手く溶け込めない。自分と同じようなズルができない人に。

 

想いは人一倍強く、不器用な分人とぶつかることもあって…

 

「あのっ!」

 

「…あなたは?」

 

「私……ウチ、東條希!」

 

この階段での出来事がウチとエリチとの出会いやった。

 

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「その後はエリチといることが多くなったんやけど…同じような子が何人も見つけた。それがμ'sの1年生とにこっちなんや。

 

そんな時にそれを大きな力で繋いでくれる存在…穂乃果ちゃんたちが現れたんや。想いを同じくする人がいて、それを繋いでくれる存在がいる。

 

だから必ず形にしたかったんや。このメンバーで何か残したかった!」

 

希の気持ち…こんなに聞いたのは初めてだな。

 

「たしかに歌という形になったらよかったけど、でもμ'sはもう何か大きなものを生み出している。ウチはそれで充分なんや。夢はとっくに……」

 

ん?急に喋らなくなったぞ?お茶の入った湯のみを見つめた状態で。

 

この時希は過去の自分が見えていた。そしてμ'sで過ごした時間が脳裏に流れていた。そのため達也たちには急に黙ってしまったようにしか見えていなかった。

 

「1番の夢はとっくに……だからこの話はもうおしまい。それでええやろ?」

 

μ'sの名付け親はこんな想いでμ'sってつけたのか。聞けてよかったよ

 

「って希は言ってるけど…どうする?」

 

そんなもんもちろん終わりにはしないぜ。真姫も絵里も同じことを思ったのか携帯を取り出した。

 

「まさかみんなを呼ぶつもり!?」

 

「別に一度くらいいいだろ?」

 

「そうよ、友達…なんだから!」

 

真姫は1年に、俺は2年に、絵里は3年に…と言ってもにこだけだが、それぞれ連絡をして少ししたらμ's全員集まった

 

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「やっぱり作るの?」

 

「そう!みんなで作るのよ!」

 

みんなが集まり真姫からラブソングを作ると聞いて、穂乃果が聞いてきた。けど驚いた様子はなかった。

 

「何かあったの?」

 

花陽の質問は最もだ。あれだけ反対してた真姫がいきなり作ると言ってきたのだから。

 

「何もないわよ」

 

「あえて言うならちょっとしたクリスマスプレゼントか?」

 

「そうね、μ'sから…μ'sを作ってくれた女神様に」

 

「というわけで作ることになったから何か一言ずつでいいから何か考えてみてくれ」

 

何か一言ずつ…それだけでも言葉を繋げることができる。言葉だけでなく気持ちも繋がればより良いと思い…

 

「う〜ん…みんなで一言ずつか〜……ん?」

 

花陽が見つけたのはμ's復活ライブの時に撮った写真だった。

見られたくないのか希が取り上げた。なんつーか…仕草とか可愛いな

 

「そういうの飾ってるなんて意外ね〜」

 

「べ、別にええやろこれくらい。友達……なんやから」

 

照れながら言うと凛が抱きつこうと飛びついた。座布団でガードされたが…

 

何人かが微笑みながら希に近寄ると

 

「もう!笑わないでよ!」

 

「話し方変わってるにゃー!」

 

口調変わりながら少し暴れている。

すると希の後ろから絵里が優しく抱きしめていた。

 

「ふふ、暴れないの。たまにはこういうのもいいでしょ」

「もう…」

 

うん、やっぱりこういう希は初めて見るよな。

 

「あっ!見てー!」

 

穂乃果が雪が降っていることに気がつきみんな外に出た。

 

近くの公園にみんなが円になるように並ぶ。そこには達也も混ざっていた。

 

空から降ってきた雪が穂乃果の手に収まると

「想い…」

と呟き、それを見たみんなが同じようにしていた。

 

「特別」と達也が

 

「メロディー」と花陽が

 

「予感」と海未が

 

「不思議」と凛が

 

「未来」と真姫が

 

「ときめき」とことりが

 

「空」とにこが

 

「気持ち」と絵里が呟いていく。

 

そして最後に

 

「好き」

 

と希が呟いた。

 

雪の中、10人みんなが言葉を繋いで新たな曲が生まれた。

 

翌日から練習をしていきラブライブ最終予選に臨むこととなった。

 


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