その関係が終わるとき   作:峰白麻耶

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俺とクラスメートの関係

自転車を飛ばして、十五分。校舎に付いている時計は、八時半を指していた。危ない危ないと焦りながら、適当に空いているところに自転車を置いて鍵を取る。ショートホームルームが始まるのが三十五分だからまた小走りで走る。文化部一筋の俺には朝からきつい。俺と同じように急いで教室に向かう人を避け、二年の教室がある二階まで早歩きで行く。俺が教室に入るのと同時にチャイムが鳴った。俺は、何食わぬ顔で自分の席に座る。俺の席は窓際の後ろから一つ目。日当たり良好、昼寝し放題の席だ。

 

「重役出勤ご苦労様だな」

「時間的にはアウトだが、先生が来てないからセーフだ」

 

朝一番にいきなり毒を吐いてきたのは、寝ぐせで爆発した髪が毎回、奇跡的な確率で決まっている日向祐。俺の机の後ろに座っていて授業中だろうと自分が書いた落書きを見せてくる。漫画研究会に所属し、萌え絵を量産している。遅くまで絵を描いていたのか、うっすらと目に隈が出来ている。

 

「そういう問題じゃないとおもうけど・・・。でも休みじゃなく良かったよ」

 

そう言って、会話に加わったのは、鶴見蘭丸。どこぞの武士を思わせる名前だが、外見はとても中性的だ。髪はふわふわとしていて長さは、肩から五㎝上くらい。それだからこそ男だとわかるが髪が肩まであるショートヘアだと、何人かは女と間違えるだろう。制服はキッチリと着こなしている。たまにネジが外れるが俺がいつも話すメンバーのの中で一番の常識人だ。演劇部で衣装作りを主に小道具も作っている手先が器用な奴だ。俺の右に座っていて基本的には模範的な生徒だ。たまには良い衣装のデザインを思いついたのか、顔がにやけることを除けばだが。

 

「いつもどうり書いてるうちに寝落ちでもしたんだろ?」

 

と言って俺が寝落ちした原因を当てたのが大内幸。日向の従兄だ。こっちは寝ぐせが奇跡的なかくりつで決まらず思いっきり跳ねている。こっちも寝不足なのかさっきから欠伸を連発している。大方、こいつも徹夜でゲームをしていたんだろう。ついでにこいつはゲーム制作研究部だ。プログラムを担当しているらしい。ちなみにこいつは俺の前の席だ。

 

「まあな」

「んで何を書いていたんだ?オリジナルか?それ書くんなら、ゲー研のシナリオ書いてくれよ。何とか部員で四苦八苦して書いてるんだがお前が書いてくれると全体のゲームのクオリティが上がるんだけどな~」

 

前々から大内にはこんなことを言われる。ゲームシナリオもやってみたいとはおもうけど、優先順位は演劇部の方が上なのだ。一年の時はそんな暇は無かったが。

 

「残念ながら書いていたのは、演劇部の脚本だよ。オリジナルは、最近更新してないな。たしか最後は四週間ぐらい前か?」

「ちっ。やっぱそうか。あわよくば、夏コミのシナリオ作ってもらおうかと思ったのに」

 

夏コミは興味もあるし、軽くオタクに片足を突っ込んでいるから行ってみたいとは思うけど、大会に文化祭に忙しいんだよな。今年は、どうなるか分からないし、今からやれるか分からないし。まあでも。

 

「冬コミなら・・何とかできるかもな・・」

 

俺がそうつぶやくと大内は、顔をポカンとしつつ

 

「お、マジかよ・・」

「なんだよその反応」

 

せっかくできるかもって言ったのに。まあその時の後輩の成長度によるけど。

 

「いや、マジでOK取れるとは思わなくて」

 

まあ、前科というか今まで断ってたからな。

 

「なんじゃそりゃ。でも絶対に行けるとは限らからよろしくな」

 

俺が念押しにそう言うと、大内は、親指をグッと立てて

 

「ああ。できる前提で話を進めるぜ」

「人の話を聞け」

 

まったく困ったやつだ。俺がそう思って一つため息を付くと、隣の鶴見が

 

「それじゃあ、睦月くんのコスプレ衣装も作らないとね~。ふふふ、演劇部の衣装担当の僕が腕によりをかけて作るよ」

 

そう言いながら、今にも踊りだしそうな表情で執事服?軍服?かてそれともいっそのこと女装なんかもありかもという声は、聞かなかったことにする。現実逃避?悪いか?まあ、見てのとうらり、鶴見のネジが外れる原因は主にコスプレだ。俺は、詳しくは知らない。被害者?が語らないから知らないが、夏コミが終わった日の夜に鶴見から大量の写真が送られてきた。着ている衣装は作った作品に出るのかやたら派手だった。そのせいか写真に写っていた二人は始めは虚ろだった目が徐々に焼けくそになっていく過程は鶴見になにをされた、何が起こったのかいまだ闇の中だ。どうやら次は俺の番らしい。今更ながら、行けるなんてことを言ったのは間違いだったかもしれない。素直に言おう。嫌な予感しかしない。こうなったらわざと予定を入れてやろうか。

 

「おい、睦月。わざと予定をいれるのなしだからな」

 

大内の目は確実に俺を道ずれにしようとしていた。次に、日向がこちを向き

 

「俺らが前に味わった地獄をお前にプレゼントする時がやっときたな」

 

いい笑顔で俺の肩に手をおく日向。

 

 

 

 

拝啓、海外出張中の両親

 

俺の周りは今日も平常運行です。

 

 

 

 

 

 

 




誤字や脱字には気をつけていますがあった場合教えてくれるとありがたいです。感想やアドバイスなどあればお願いします。

8/22

海堂先輩の名前と大内の名前が被っていることに気づきました。満の名前は海堂先輩に寄贈し、大内の新しい名前は幸(こう)にします。よろしくお願いします

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