その関係が終わるとき   作:峰白麻耶

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遅くなり申し訳ございません。休みが…無いです。
今回は中編です。キリが悪いと思い更に分割しました。


球技祭は晴天模様 中編

ここは、とある空き教室。昼休みが終わり、腹ごしらえが済んだ時刻。満腹感が微睡を呼び身体を巡るなか、球技祭も後半戦に入った。それは誰にも知られることなく密かに行われようしていた。

 

「第2回!!」

 

第1声は日向であった。この時間を楽しみにしていた奴がノリノリで音頭を取っていた。右の拳を勢いよく上げ張り上げた声は教室によく響いた。先生にばれたらこいつをしばいてやる。

 

「「ふうーー」」

 

ノリノリで合の手を入れるのは大内と鶴見である。2人は、さすがにわかっているのか声が若干控えめだ。しかし、テンションは、阿波踊りの最終日並みにはじけていた。

 

「超☆リアルライフゲームー!」

「地獄に落ちる落ちるのはお前だ」

 

ボソッと大内が物騒な副題を言っていた。ゲームくらい幸せに過ごさせろ。

 

「開催だーー!!」

 

日向の開催宣言で始まった超☆リアルライフゲーム。顔面レシーブの痛みは無くなり、午後は当初の予定道理に闇のゲームが始まった。参加者はいつもの4人。俺たちは机の上に置いてあるタブレットを中心に囲むように座っていた。雰囲気づくりと先生ばれを防止のため部屋は暗くなっている。今、俺たちを照らしているのはタブレットの灯りと文芸部の部室に置いてあったランプのみである。良い子のみんなはこんなことをしてはいけないよ。

 

「じゃ、久しぶりだから念のためのルール確認だ。勝者の条件は幸福度により決定する」

「金で幸福度は測れない。現代おけるアンチテーゼだ」

「そんなご大層なこと考えてないでしょ」

 

 

そう。このゲームは、どうやって算出しているのかわからないが資産ではなく幸福度により順位が決定する。ゲームのタイトル道理の始まりで幼少期からスタートになる。フェイズとしては幼少→学生→大人と移行する。それぞれにルートとして金、青、黒と分かれておる。それにより選択できる道やマス、限定のイベントがある。しかし、順位は幸福度で決まるので順位は最後まで分からないのである。金で人生の勝ち負けは決まらない。大内が言うとうりである。本人としてはその方が面白いからこうしたのだろうが。

 

大内が机の上のタブレットを操作すると超☆リアルライフゲームと書いてあるアプリを起動した。起動画面は誰がデザインしたのか知らないが名前とゲーム内容の割にはかなりポップである。ポップなフォントとファンシーな絵、完全な見た目の詐欺だ、訴えられろ。

 

「じゃ、ルーレットで初期ルートを決めよう!」

 

日向の合図で、各自がルーレットを回して下級、中級、上級を決める。因みにこれは、ゲームの流れ次第ではフェイズ中に下がったり上がったりする。

 

「よっしゃ!上級!」

「あ!僕も上級」

「俺は中級か」

 

大内、鶴見は金ルート。人生イージーモードが基本だが落とし穴が深い。1度落ちたら悲惨な目に合うルートである。日向は青ルート。可もなく不可もないルートで安定感がある。今までプレイの経験から一番勝ち安い。

 

さあ俺はどうかなとルーレットを回すと黒ルート。ご想像のとうり人生ハードモードだが一攫千金の可能性ありなギャンブル性の高いルートである。

 

これで全員が出そろった。いくら順位には影響しにくく作られているとはいえ、下級ルートが1人というのは残念だ。正直この時点でかなり敗色濃厚だったためかなり吹っ切れていた。しかし、そんな俺の心情を知って日向は突然こう言いだした。

 

「飯は、睦月のおごりだな」

「おい、そんなこと聞いてないぞ」

「今言ったからな。安心しろ。常識の範囲ないだ」

「こまけーことはいいんだよ!勝てばな!最下位はアイス1個おごりな!!」

「え!何でもいいの!?」

「当たり前だ!1個なんだからケチケチしないだろ!」

 

奢りのレベルが飯からアイス1個になった。驚きのメタモルフォーゼだ。さり気なく保険をかけやがった。ノリノリの癖にせこいやつだ。鶴見はかなりやる気になっている。甘いもの好きだもんな。

 

「よし!んじゃアイスを賭けて、リアル人生ゲームスタートだ!」

 

ルーレットを回して順番を決める。順番は大内→鶴見→日向→俺である。

 

1巡目(幼少期)

「私立幼稚園受験のため勉強の日々」

「親子で公園で遊んでいるうちに女の子と仲良くなる」

「共働きの両親のため若干放任気味」

「母親が家を出て行く」

 

もはや一巡目で差が顕著になっている。日向はエリート街道を進み(幼少期からこれが幸せかは横において)鶴見は幸せに過ごしつつフラグを立てる。大内は社会の闇がにじみ出ている。俺は1巡目から母親が家を出ていった始末だ。正に黒。なんだこのゲーム、開発者を呼んで来い。・・・目の前にいたな。

 

「いつも思うけどけこれテストプレイした?」

「いましているだろ」

 

おかしいことを言ってるかとでも言いたげに大内は返す。ぶっとばすぞ。

 

「ぶっとばすぞ」

「声。心の声が漏れてるよ」

 

いきなりのハードさに心の声が漏れていたのを鶴見に指摘される

 

「んじゃ続るぜ」

 

2巡目(幼少期)

「幼稚園合格、順調に子分を増やしてきガキ大将として小学校へ進む」

「両親の都合で海外へお引越し。仲のいい女の子と涙の別れ」

「両親はそのままだが変な干渉がなくのびのび育つ」

「父親が働きすぎで体調を崩す」

 

2巡目にしてクライマックスである。もはや辞めたい。順調とはいいがたいが巡目は進みフェイズが次に移る。

 

1巡目(学生)

「精神的に少し大人になる。品行方正、成績優秀、運動神経もいいということでモテ始める」

「海外で体で言葉を覚える。ともに切磋琢磨した少女と仲良くなる」

「いろいろと手を出し先生に目を付けられる。が男女限らず仲が良い」

「父親、入院。借金お背負う」

 

学生の身で借金。笑えないだろ?ほかのやつらは、もて始める、フラグを更に立てる、問題児に成長しつつも憎めないキャラを構築と順風満帆だ。この差は誰のせいだ。悲しいかな目の前の友人のせいである。何でゲームでこんな目に合わないといけないのか。

 

「よし次だな」

 

順風満帆な2人は後でどんなとばっちりが飛んでくるかと無口になっている。反対に何もないせいか暇そうにしているのもいる。何て贅沢な奴らだ。こっちの身にもなってくれ。

 

2巡目(学生)

「会社の手伝いを始め、小金持ちになっていく」

「進学先で仲の良かった少女2人と再開。修羅場に」

「無自覚に恋のキューピットを務める。ついでに無自覚にフラグを立てる」

「父親の治療のためバイト三昧。勉強とも両立。学校生活?何それ(無慈悲)」

 

俺だけが悲しい学園生活を送っている。灰色の生活・・三人はエリート、修羅場、無自覚の三拍子。これが格差社会。

 

 

「よし。それじゃ最後フェイズだな」

 

俺らは、最後のルーレットを回す。これで最終的なエンドが決まる。

 

ラスト(大人)

「父親の不正が発覚。会社は倒産、一文無し」

「二股をかけたのがばれてナイフで刺される」

「無自覚のフラグに気が付かず社会人に、彼女なしの社畜ライフが始まった」

「看病むなしく父親がなくなる。燃え尽き症候群になり、日々を漠然として生きていく」

 

場が沈黙に包まれる。順風満帆だった2人が転げ落ち、1人は社畜エンド。俺は一切救われない。下級ルートの大逆転はどこに行った。初めのルートの意味は?ゲームシステムに疑問を持つ俺を裏腹に落ち込んでいるのが2人いた。

 

「僕が二股でナイフ…」

「社畜か…」

 

二股で刺されるという散々な結果になった鶴見と社畜ライフを送ることになった日向はゲームのことなのにかなり落ち込んでいた。そんな中でエリート街道体転落した大内は、使っていたタブレットを見て顔を上げるとこういった。

 

「バランス調整、間違ってたな」

 

珍しくツボに入ったのかクックっくと悪役のような笑い声を上げる。日向のなにやってだいというグーパンと鶴見の無言の無言の圧力が彼にかかる。大内はそれをもろともせずにタブレットをしまうと

 

「再調整するからまた頼む」

 

部内でストプレイしてから出直して来い。

 

 

最下位はぶっちぎりの俺だったがアイスのおごりは大内に決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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