その関係が終わるとき   作:峰白麻耶

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久しぶりにオリジナルを書きました。忙しいので更新が続くかは謎ですが、二時創作同様よろしくお願いします


文芸部と演劇部の関係

篠宮香乃

 

夕ヶ丘高校の普通科、商業科、国際科総勢二千人弱いるなかで知らない人は恐らく居ないと言われる有名人の内の一人。内気気味だった性格は見る影もなく、昔は肩までしかなかったふわっとした黒髪は今は腰まであるし、下世話だけど少し見ない間に胸も膨らんで、スタイルもいい。身内贔屓みたいになるかもしれないけど、校内で十本指の美少女だと思う。

 

こんな感じで、幼なじみは俺が両親の都合で中一の冬から中三の春まで海外に居る内に、メタモルフォーゼとも言うべきものを遂げていた。

 

逆に俺はどうだ?………変わったと言えば、背が伸びたのと英語が話せるようになったくらいだ。

 

変わらないものもある、変わるものもある。

 

消えてしまう物もある、消えない物もある。

 

それじゃあ、幼なじみと言う関係は結局どうなるんだろう?

 

 

 

 

 

四月中旬

 

桜が少しずつ散り、緑が徐々に出始める頃。

 

夕ヶ丘高校では新年度初めの一代イベント入学式が終わり、新入生も高校生活に慣れた頃だろう。

 

四年前に新しくなった校舎は、教室練、実習練、職員練、とあり体育館は二つ、吹奏楽部や演劇部、軽音楽部のための小ホール、広大な人工芝のグラウンド、野球場、テニスコートなどの豊富な施設は、この学校が部活に力を入れているのがよくわかるだろう。

 

言うまでもないが勿論脳筋ばかりではない。

 

この学校の方針は文武両道。部活をやっているものでもなかろうと試験で赤点を取れば、補講を受け、再試験を合格しなければいけない。勿論、部活をいるものは合格するまで、部活は禁止である。反対に成績優秀者の特別補講もある。

 

そんな学校の実習練四階文部部室。時刻は放課後。

 

部屋の真ん中には茶舞台があり、その前にドア後ろは窓。右手の棚には歴代文芸部員全ての作品があり、その棚の横には小型の冷蔵庫やその他部員の私物。左は本棚で埋め尽くされている。

 

そこには二人の男が居た。部活の練習着なのかTシャツに七分のズボンを着ている。目つきが若干鋭いにもかかわらず、人の目を惹きつける色気を若干醸し出すイケメン男と制服を着て、もうやだこの人と疲れたような雰囲気を出しながら、パソコンの前で腕組みをし、右手の人差し指をポンポンしている男が居た。

 

 

 

「あのー。海堂先輩?何時まで文芸部に居座っているんですか?ぶっちゃけ鬱陶しいんですけど」

 

めんどくさいからさっきまで無視をしていたが埒が明かない。俺は、ついにさっきから俺の執筆を妨害する犯人に声を掛けた。さっきから俺に熱烈な視線を送る犯人・・海堂満先輩。演劇部所属の三年で部長。若干鋭い目つきで細長い眉毛、身長は目測でだいたい百八十の細マッチョ。クールな容姿で人を引きつけないように見えるが実際は面倒見がよく後輩の指導に熱心で人望がある。そんな彼は勿論校内でも有名であり、彼が主役の時の定期公演は満員御礼になる。

 

そんな彼だが

 

「睦月。脚本はできたのか?」

「まだ締め切りまで大分あります」

 

楽しみなことがあると待ちきれず、落ち着かないと言う欠点がある。よくいる運動会の前日は寝れないタイプだ。ちなみに睦月こと睦月鳴海はグッスリ寝れる。

 

「早く読みたいんだ。先週Bチームの脚本仕上げただろ?だからAの方も出来上がってると思ってきたんだが……」

 

そわそわと体を左右に揺すり、待っていますと言うのを全身で表す海堂先輩。しかし

 

「一週間で脚本作れって無茶ありません?」

 

楽しみにしてくれるのは、書き手冥利に尽きるんだけど、変な脚本を作ると俺が批判を受ける。なんと演劇部は全国大会にも何度も出ている。そんなレベルの人たちに一週間で作った脚本をやらせるのは恐れ多い。

 

「そうか……そうだよな。無茶を言ってすまない」

 

そう言って頭を下げられるとこっちもあまり文句を言えん。

 

「まあ、締め切りまでには終わりますから楽しみにしていてください。良いもの作りますから。というより部長なのにこんな場所に居ていいんですか?」

 

俺がそう言うと、ああそうだとポンと手を叩く。何故か動作が芝居ぽい。

 

「ああ、そうだ。本来の目的を忘れていた」

「いや、それを忘れていたらだめでしょう」

 

天然か?しっかりとするんだ。みんなが抱いている幻想が壊れるぞ。本人にとってはどうでもいいんたろうけど

 

「演劇部には新部員がざっと八十人ぐらい入ってな」

「この部に対する嫌みですか?」

 

文芸部は、昨年新入生は俺だけ。三年生二人と俺だけで活動していたが今は俺一人だ。

 

「違う違う。というか部員少ないのを気にしてるなら勧誘しろよ」

「そーなんですけど……一応新入生歓迎会で文芸部があるのは言ってるんですよ?でも、結局他の部にインパクトで負けるんですよね……」

「演劇部の脚本やっているて言えば良いじゃないか」

「それが目的なら演劇部行けって話なんですよ」

 

そうすれば俺が複数脚本を書かなくて済むから。

 

「まあ、確かに。でだ。本題なんだが、一年の脚本担当の指導を頼みたいんだよ。やる気はあるんだが知識がな」

 

やっぱりその話がきたか。一世代前の演劇部には二年生と一年つまり今の三年、二年に脚本担当は居ない。それは前の三年と文芸部の先輩二人に俺と居たからだ。そのせいで、その三年が引退してから俺にしわ寄せがきている。取りあえず、脚本担当が増えて俺は助かったけど

 

「指導と言っても、脚本の書き方的なものを渡して、過去の脚本を渡すくらいですけど……」 

「ああ。だいたいそんな感じでいいから頼む」

「分かりました」

 

そう言って海堂先輩は立ち上がり、手を振って演劇部に戻った。

 

 

さて、俺も脚本を書きますか。俺は腕を伸ばしてからキーボードに手を伸ばした


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