俺以外の男性IS操縦者が軒並み強いんだが by一夏   作:suryu-

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今回はしゅーがく氏の紅視点です。中々見て頂けていない中、まだ頑張ります。

それではお楽しみください!


3話 紅視点

 可愛らしい下着姿で立っている少女と、俺との間に変な空気が流れる。

何なんだ、この空気は。今しがた首からタオルが落ちたからそれを拾うべきじゃないですかね、この少女は。

そんなことを考えつつ、俺は目線を反らしていく。

 

「あ、あのさ」

 

「は、はい」

 

「服、着ような」

 

 そう言うと、少女はババッと動き始める。俺は顔を俯かせていたので、状況は全く見えてないが音でなんとなく分かる。

鞄から服を引っ張り出して、洗面所に戻っていったのだ。

 洗面所に入っていったのが音で分かったので、俺は顔を上げる。

 一体どうしたものか。これは不味いことになったようだ。

2人1部屋というのは分かっていた。が、1人部屋だと山吹先生は言っていた。だが、もしミスで2人で1つの部屋だったならば、そこは蓮か織斑 一夏となるのが普通だろうが。どうしてクラスメイトの女子生徒になるんだ。

しかも、相部屋の相手はアレだ。代表候補生。アンネリーセ・デ・フェルメール。

 程なくして、フェルメールは戻ってきた。顔を真赤にしながら。

荷物を持ちながら、俺の前で立ち止まったのを見て俺はベッドから降りる。そして床に正座をした。

 

「え?」

 

そしてそのまま俺は手を添えて、腰から折れるように頭を下げる。

土下座だ。まぁ、不可抗力ではあるが、ここは謝るのが普通だろうからな。

 

「と、取り敢えず謝っておく。ごめんなさい」

 

そんな俺を見て慌てているのは、床しか見てない俺からしても分かることだ。

頭を上げて欲しいというまで、俺は上げるつもりはない。なんだろう。皇帝か何かと謁見でもしているのだろうか。

 

「顔を上げて下さい!」

 

皇帝陛下から顔を上げてもいいとのお言葉を頂いたので、俺は顔を上げた。

フェルメールは少し頬を赤くはしているものの、怒っているようには見えない。どちらかと言うと、恥ずかしがっているように見える。

 

「その、事故だというのは分かっていますので、気にしないで下さいっ」

 

「仰せのままに」

 

「えっ?!」

 

あ。頭の中で考えていた言葉が出てきてしまった。

俺はすぐ後に言葉を言い換える。

 

「なら良かった。本当にごめん」

 

「いいえっ」

 

俺は立ち上がり、自習用の椅子を引き出して腰掛けた。ベッドに腰を掛けても良かったが、そこで話す気にはなれそうになかったからだ。

 話を変える。

取り敢えず、色々と決めなければならないことがあるだろう。風呂の時間や着替えをどうするか。まぁその程度だが、もしフェルメールがそうことにこだわるようなら、俺が下手に出れば良い話だ。

 

「それでさ、どうするよ」

 

「ん? 何が?」

 

 俺は話を切り出した。

 

「残念ながら異性と同室なんだ。色々と決めておいた方が良いだろう?」

 

俺はそう言って、あれこれを決めることを言う。

 

「風呂の時間や着替えをどうするか、とかな。フェルメールが気にするようなら、なんなら俺は廊下に住む。そうなったら荷物だけは置かせてくれないか?」

 

「ろ、廊下ぁ?! そんなことしないですよ!」

 

「はははっ、なら良かった。入学1年目で同学年に凍死者が出たら嫌だもんな」

 

「凍死する前提っ?! そんな薄情な人に見えるのかなぁ?」

 

「見えない」

 

ふざけて言ったところもあるが、だいたいは本音。流石に真冬で暖房がない廊下に寝たら凍死はしなくても、風邪は引くだろうな。

 

「まぁ、そういう訳だ。着替える時は俺が出ていくとか、そういうのを決めよう。決めとかないと後々面倒事になりそうだ」

 

「そう……かな? う~ん。……そう言ってくれるのなら、決めようかな?」

 

「ありがとう」

 

この後、相談をして時間を決めていった。

着替えは俺がベッドのところで着替え、フェルメールは洗面所ですることに。風呂は自由。これを決めるにあたって、あるものを買う必要が出てきた。

洗面所の壁に掛ける『使用中』というような看板。使う時には『使用中』にして、使ってない時は『空き』にしておく。そうすれば、どちらかが入ってる時に入らないで済むだろうということだ。

 一通り決めるのには、そこまで時間は掛からなかった。精々5分が良いところだろう。

ここまで決めたら、あともう1つ決めることがある。ベッドだ。

どちらのベッドを誰が使うのか、それを決める必要がある。

 

「ベッドはどうする? って言っても、さっき洗面所側の方には飛び込んだけど」

 

ん? 何だかフェルメールがまた顔を赤くしてる。これはやらかしてしまったらしい。

俺はすぐにまた謝る。知らなかったとはいえ、気分を害したのなら謝るべきだからな。

 

「重ね重ねごめん!」

 

「い、いいえ……そこで少し寝ていたから……」

 

だからあんなに温かかったのかー!! と内心叫びつつ、俺は顔を上げる。

 

「じ、じゃあ、どうする?」

 

「……私がこっちで、天色くんは窓側に」

 

「そう? 分かった」

 

と言われて、俺は何だか申し訳ない気持ちになりながら、今までそっちに向けてなかった頭を向けた。そこには、ダンボールが3つ程積み上がっていた。

女の子なのに荷物は少ないのな。

 

「あ、まだ荷解きしてなかった……」

 

「え”? 俺、先にタンスに仕舞った。すまん。また」

 

「いいよ。うん」

 

そう言ってくれるのは有り難いのだが、内心でどう思っているかなんて分からない。もしかしたら『っち。男のくせに』とか思われているかもしれない。なにそれ怖い。

 それはともかくとして、フェルメールは立ち上がって、ダンボールを運び始めた。

どうやら荷解きをするみたいだ。本当なら手伝いたいところではあるが、ああいうものは男が触れてはいけないものが入っている気がする。否。絶対に入っている。

だから俺は触れないようにするし、手伝いも自ら言い出さない。頼まれたらやるけどな。

 俺はそのまま、言われた方のベッドに座る。

ベッドとベッドの間にある衝立の向こう側で、フェルメールは荷解きをしている。俺は何をしようかと考え、ポケットに手を入れた。

取り出したのは携帯電話。誰かに連絡でも取ろうかと思ったのだ。別に携帯電話で遊んでも良いだろうが、どうせ連絡の1つや2つ、入っているだろう。

 携帯電話の液晶に電源が入ると、通知がいくつか入っていた。メール受信が3件。SNSの通知が2件。多分SNSは別に何のこともないが、メールは違うだろう。

メールの本文を確認すると、2通はアプリからのメールだ。もう1つは蓮から。内容は『そっちはどう?』ということだけ。

そんなメールの返信に『土下座中』と返しておく。今はしてはいないが。

 俺はそのままフェルメールと話をした後、床に就いた。

真新しい部屋に今日会ったばかりの美少女外国人と同じ部屋に寝るのは、やはり誰でも緊張するものだ。少しドギマギしつつも、やっとのことで寝ることが出来たのは午前2時を過ぎた頃だった。

 


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