俺以外の男性IS操縦者が軒並み強いんだが by一夏   作:suryu-

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今回は、私suryu-の蓮視点となります。よしなに頼みます!


三話 蓮視点

IS学園。女だらけの園で、日々少女達が夢を見るため切磋琢磨している場所。そしてその寮はやはり男子等は居るわけがない。

ただし、今年度は例外がある。IS適正のある男子が三人も発見されたのだ。それは日本という国に大層な利益を齎すというのはまた別な話だが、今その男子のうち一人は綺麗な土下座をしていた。

 

「う、ぅう……どうしようかな~。乙女の柔肌を見られちゃった~……」

 

「誠にすいませんでした」

 

どうしてこうなったのか。自分はただ部屋に入ったら、目の前に裸に近い美少女が居たという事態は今まで経験した覚えはないはずだった。多分。きっと恐らくMaybe。と当本人は考える。

ともあれ、こんな状況を打破すべく彼の親友である天色紅。もう一人の男性適正者にメールを送ることにする。早速送ってみた。すると、だ。

 

 

 

【件名なし】

 

[そっちどう?]

 

【Re:紅】

 

[土下座中]

 

【RE.Re】

 

[お前もか!]

 

 

 

助けを求めようとしたら、親友すらも同じ状況である事にどうしようかこれ。と頭を悩ませる。だがしかし具体的な解決方法が浮かびすらしない。遠くの部屋で扉が壊れる音がするが、そんな事を気にする余裕は無かった。

兎にも角にも現状打破を目論んでいると、いきなり部屋の扉が開かれる。何事かと蓮が振り向けば、そこには一夏が居た。

 

「蓮、助けてくれっ! 箒が!」

 

いきなり飛び込んできたかと思えばそんな事を言い放つ一夏に何事かと思えば、答えはすぐに分かった。

 

「そこになおれ、一夏!」

 

「うぉっ!?」

 

木刀を持った箒が入ってきたかと思えば木刀を振り下ろす。一夏はそれを避けるが、その先に居たのは蓮で……

 

「ゑ?」

 

「れんれん!?」

 

木刀が脳天にクリーンヒットするという事態になってしまうのは、仕方なかったのだろう。蓮は意識がゆっくりと途切れて……

 

 

 

 

「ダディャ-ナザン、ナズェミテルンディス! ……はっ!?」

 

「やった! れんれんが起きた!」

 

「蓮君大丈夫!? 心配してたんですからね!」

 

「大丈夫か、蓮! 箒のあれが当たったろ!」

 

蓮が目を覚ませばベッドの上で一体何があったんだろうかと考えると、そういえば一夏の後ろから現れた箒に木刀で殴られたのだ。と思い出す。

というか何があったら木刀で殴られるんだとか、思う事は色々あるが今気にしている場合ではないな。と理解した上で、取り敢えずは周りを安心させるためにも起き上がる。

 

「れんれん、大丈夫なの!? 気絶しちゃってたけど!」

 

「蓮君はいくら丈夫だからって心配なんですよ!」

 

「流石の俺でもあれはヤバイと思ったぞ……本当に大丈夫か?」

 

そこにいる三人は三者三様の心配を向けていて、当事者の篠ノ之箒は遠目から申し訳なさそうに蓮を見ていた。

 

「取り敢えず大丈夫。頭もへこんでないしこれ位の衝撃は慣れてるからさ」

 

「そういう問題じゃないですよ! 蓮君はすぐに無理するんですから!」

 

「れんれんが気絶したからすっごく心配したんだよ~!」

 

「そうだぜ。千冬姉が見てるのを許してくれた位だからな。何せ三時間は気絶してたぞ」

 

蓮は三人の言葉からそれなりに自分が気絶していたのかと理解すると、確かにそれは心配されるだろうな。と内心で苦笑いする。そして遠目から見ている箒を見るや彼は笑った。

 

「まああれだよ、一応大事はないからさ。安心してね」

 

「な、なっ!?」

 

「ほら、この通りだから部屋に戻っていいよ」

 

蓮は明るく箒に無事だと述べる、その意図は安堵して部屋に戻っても大丈夫。という事を優しく伝えるというものだった。

その姿を見た真耶は、切なさを覚えていた。どんな事があろうと、蓮は蓮なのだ。頭に浮かぶその言葉。『そう、あの時も……』

真耶が一瞬暗い顔をしているのを蓮は見逃さなかった。だが、ここで追求してこの状況を何時までも続けてはならない。箒がこのままでは罪悪感を覚えると蓮は考えれば、弁を使うのは当たり前だった。

 

「ほら、取り敢えず僕は怒ってないからさ。大丈夫」

 

「……わ、わかった。すまない」

 

「まあ、今度から気をつけてね? 僕じゃなければ死んじゃうかもしれないから」

 

「っ……あ、あぁ」

 

箒をとにかく納得させようと蓮がまくしたてる。それにより少なくともこの場を納得するしかなく、箒は目を伏せながら部屋を出る。

これは少しばかり失敗したかもしれないな。と蓮は内心で考えるが、その次に自分の周りにいる三人も安心させねばと三人に向き直る。

 

「蓮君、良いんですか? だって貴方は何もしてないのにいきなり殴られて……」

 

「れんれんも下手したら大怪我しちゃうかもしれなかったんだよ~……?」

 

「もし怪我してたらどうすんだよ!」

 

三人はやはりかなり心配がある為か、それはすごい剣幕で蓮に詰め寄る。どうやって皆を説得すべきかと思うと、その時救世主らしき人物が現れた。

 

「お前達、程々にしておけ。金澄も困るぞ。それに明日が有るだろう」

 

「あ、織斑先生……ですが!」

 

「そうだよ、織斑先生!」

 

「千冬姉、怪我は不味いだろ!」

 

三人は何処からか現れた千冬に抗議をしようとするも、千冬は手で制す。何故かと真耶が問いかけようとした時に、千冬は溜息を吐いた。

 

「……金澄は彼奴の為も思ったからこそ彼処で留めたんだ。お前達も少しは考えろ。金澄の意思を無視することになるぞ」

 

「……分かりました」

 

「あっ……」

 

「れんれんはしののんを助ける為に~……」

 

千冬の言葉を受けると真耶は渋々と。一夏は気づいたように。そして本音は納得した様子で頷く。それらを見届けた千冬は「よし」と一泊をおく。

 

「さて、今晩は部屋に戻れ。明日の授業があるだろう」

 

「分かりました。織斑先生」

 

「そうだな……じゃあな、蓮!」

 

千冬の鶴の一声により、真耶と一夏は自室に戻ることになる。そして本音と共に部屋に残り蓮は再び寝ようと考えた時に、千冬は少しばかりの諦めか溜息を隠さない。

 

「とんだお人好しだな、お前は」

 

「……別に、手に届く範囲の物は守りたいだけです」

 

「……そうか、明日もきっちり起きろよ」

 

交わした言葉は少ないが、千冬はそれにより蓮がどういう人物かという事を把握する。彼女が感じた達観しているという印象は此処から来ているのだと理解した。

理解したからこそ、今後も自分の生徒として守らなければ。それは千冬の決意であった。

 

 

 

 

翌日。蓮はきっちり目も覚めて朝食をとり、遅刻などもせずにHRに余裕のある時間で参加する。やはりというか昨日の今日だからか、箒は話しかける事がなく気まずそうにしているために、蓮はケアをどうするか考えていた。その最中に、一夏がISを渡されるという事を聞くが、自分には縁遠いと聞き流す。そんな時だった。

 

「金澄、お前も織斑同様専用機を渡されるぞ」

 

「ゑっ?」

 

いきなりの爆弾発言に間の抜けた声を出しては千冬に向き直る。蓮のその様子に、少しは少年らしい所もあるのだな。と親のような表情になったが、すぐにきりっとした真面目な顔にするとディスプレイを表示させた。

 

「専用機の会社説明のついでに授業をするとしよう。不知火鳳社。最近第四世代を作ったという噂をお前達は知っているか?」

 

「はい、知ってます! 三世代の開発を主流にする中で誰もが驚く四世代が出来たって噂に……」

 

「よし、及第点だ。ISの情報自体は秘匿されている為詳しくは話せないが、ビーム兵装という話だ」

 

生徒と千冬の問答には、蓮は違和感を覚える。なんとなく想像はつくのだが、それでも問わずには居られなかった。故に問いかける。

 

「あの、その不知火鳳社と僕の関係って?」

 

すると、千冬はきっちりと蓮を見据えた。

 

「決まっている。お前にその不知火鳳社の第四世代が渡されるからだ」

 

「……ぇぇええええ!?」

 

「凄い。凄いよ! 」

 

「れんれんすごーい!」

 

「……な、なんですって……!?」

 

この事実には蓮どころかクラスの皆が驚く。あのセシリアは憎々しげに蓮を見ているが、蓮はその視線を意識から追い出し気にしないことにした。

そして真耶は蓮の手をとるとにこやかに笑った。

 

「という訳ですから、蓮君は放課後残って下さいね。少し教える事があります」

 

蓮はその魅力的な表情を断る事はなく、蓮は真耶の言葉に頷くと放課後どうなるだろうかと少しばかり胸を踊らせる。後ろから本音が見つめている事には気付かずに。

 

 

そして放課後。

 

 

教室にて、真耶に呼び出された蓮は講義を受けるかのように机に座っていた。そしてその当の真耶は何故か白衣を着ている。何故かとは思ったが、蓮は似合っている事からツッコミをするのはやめた。

 

「それでは蓮君には今から今回送られる専用機の説明をしましょう。アリーナは使えないと思うのでセシリアさん曰く決闘の日までフィッティング出来ないでしょうから、今公開されている情報を教えますね!」

 

「分かりました。先生」

 

蓮の言葉に満足したのか、うんうんと頷く真耶は、ディスプレイに素早く公開されている情報を映し出す。それは黄色や金にも見える機体だった。

 

「近年第三世代へと各社が以降する中、第四世代という異質を作り上げた不知火鳳社のこの機体は、ビームを撃ち出すライフルやビームのサーベルなどを使う事が出来ます。後々届いた時に詳しい説明がありますが……」

 

「な、なんというか綺麗な機体ですね」

 

蓮の感想に、真耶はくすりと笑うと「そうですね」と頷く。そしてディスプレイの表示を閉じると真剣な顔付きになった。蓮も釣られて引き締まる。

 

「蓮君。これから大変な事になるかもしれません。何せ男性操縦者です。けれど、私達が守るので安心して下さいね。先生としても、近所のお姉さんとしていた私でも」

 

「……分かったよ、真耶さん」

 

「……よし。それではこれから一週間後まで、沢山勉強しましょうね!」

 

真耶は蓮の返答に納得すると、一週間後の決闘に向けて意気込む。蓮もサポートは欲しかったために、「勿論です」と強く意志を持って答える。

 

かくしてその一週間で、蓮は様々な訓練をする事になる。その練習や勉強が代表候補性の物とは、蓮はまだ知らなかった。

 

「ふふっ、沢山練習しますよ、蓮君」

 

「まぁ、頑張ってみようかな」


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