俺以外の男性IS操縦者が軒並み強いんだが by一夏   作:suryu-

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今回は私suryu-の蓮視点にございます。今回もお楽しみくださいませ。


二話 蓮視点

セシリア・オルコットの決闘宣言により教室が一時騒乱となったその少し後。放課後にて蓮は机にぐったりと倒れ伏していた。

 

「さ、流石に女子高恐るべし……」

 

「俺もそう思ったぞ……」

 

隣には織斑一夏。こちらもやはりぐでっとしている。やはりというべきか、二人は貴重な男子な為に質問攻めという事象。仕方ないよね。と蓮は割り切ることにして、取り敢えずは。といった形で机から起き上がる。

すると、そのタイミングで教室の扉から山田真耶というあの巨乳で童顔な翡翠色の髪をした女性の先生が現れた。

はっきりいって蓮の好みにぴったりなこの女性だが、今はその事を頭の片隅に追いやりつつ、蓮は彼女に問いかけをしようと思った時に、真耶はにこやかに笑った。

 

「金澄君。織斑君。お二人の部屋が決まりました!」

 

「……えっ?」

 

「あ、漸くですか。荷物をフロントに預けたままなんですよね」

 

一夏。彼は何事かと分かっていない様子で驚きを見せているのだが、蓮は対照的に落ち着き払っている。どうやら、事前に情報があるかないかがここではっきりしたのかもしれない。と、いうのも。

 

「先生、俺は一週間自宅からって聞いたんですけど!?」

 

「あれ、一夏は何も聞いてなかったの? ほら、政府のお偉いさんが僕達を守る為に早めたってこと」

 

「なにそれ初耳なんだが。というか蓮は知ってたのかよ!」

 

この様に会話から察する事が出来るのだが、一夏はまだブリュンヒルデという後ろ盾があるからなのか一週間は自宅通学と聞かされていた。のだが、そんなものなどありはしない。という一般人の蓮は前もって通告されていた為に、寮で暮らすための用意をしている。

この事から一夏は盛大に混乱するハメになるのだがそんなことはお構い無しなのか天然で気づいてないのか。真耶は鍵を二人の前に出す。

 

「はい、織斑君はこっちの1025室ですよ。金澄君は1016室です。二人共、女の子と同じ部屋ですから気をつけて下さいね。出来るだけ早く部屋割りを考えますから」

 

「……マジで?」

 

真耶が申し訳無さそうにしながらする説明に、一夏は驚きの一言をこぼす。そんな彼に本当に気付いていないのかは分からないが真耶は説明を続ける。

 

「あと、大浴場があるんですが、今はお二人は使えないので自室のシャワーで済ませてくださいね」

 

「え、なんでだ?」

 

だが、その説明の意図すら分からない鈍感が居るためか蓮は苦笑いを隠すことは出来なくなった。正直言ってこれは酷いと感じ始めた一歩だったりする。

 

「阿呆かな一夏。女の子と入るの?」

 

「れ、蓮!? ち、ちが……」

 

「そ、そんな!? 一夏君は女の子と……」

 

蓮がツッコミをすると上手い具合に一夏は否定しようとする。だがそれを遮り真耶が顔を赤くしてあたふたとする。蓮は少しながらこの弄りを楽しく思ってしまった。

 

「今女の子と入るのを否定しようとしたけどまさかホモだったりするの?」

 

「おい、蓮。楽しんでないか!?」

 

「そ、そんな!? で、でも先生はそうであろうと生徒ですから……」

 

「……お前達、何をやっている」

 

そんな漫才をしていると、どこからか現れたブリュンヒルデこと織斑千冬が現れる。無論、呆れた顔で。というか、この状況を呆れずに見るのは今ここに居ない他の高校生くらいでなかろうか。いや、実際この学校の生徒である彼彼女等は高校生なのだが。

ただ、一夏にとってはこの事態から抜け出す好機である事から思った事を千冬に問いかける事にした。

 

「千冬姉! 俺の荷物とかは何処に!?」

 

「学校では、織斑先生だ。衣服と携帯だけ……と言いたい所だったがな、五反田と出くわしてゲーム等も持ってきた。有難く思え」

 

「ありがとう! ……弾、ナイス」

 

どうやら荷物等は千冬が持ってきたようで、一夏の安堵する姿に少しばかり弄りが足りないな。と感じてしまった蓮は内心で苦笑いしてしまう。ただ、そんな暇もないので提案をする事にした。

 

「取り敢えず、寮に行こうか」

 

「あ、そうだな。蓮」

 

「あ……そ、そうでしたね。長く引き留めてごめんなさい……あっ、でも金澄君。……いえ、蓮君は残って下さい」

 

一夏は快く乗ってこれで漸く寮に入れると思った矢先、真耶は思いがけない言葉を蓮にかける。どうしたものだろうかと考える隙に「蓮は話があるみたいだから俺は行くぜ!」と一夏はこの場から去ってしまう。そして先程場を収めた千冬も頷いた。

 

「これは私が関わるべき話ではないからな。取り敢えず、山田君。今はゆっくり話すと良い。今思い出せなかろうとな」

 

「……え?」

 

千冬の言葉には流石の蓮でも驚きを覚えた。真耶は自分に何か関わっているのかという事で狼狽えるのを隠すことは不可能だった。だが、そんな事はお構い無しに千冬は去っていく。結果、二人きりの空間が出来上がってしまった。

 

「……やっぱり髪が半分白くなってるけど……優しげな目や、かっこいい所。それに少しばかり達観した雰囲気を纏っているところは変わってませんね。蓮君」

 

「や、山田先生……?」

 

いつの間にか近づかれまじまじと見られているために、蓮は顔を少しばかり朱に染めると真耶が「すいません」と苦笑いすれば漸く顔を離した。

 

「覚えていませんか? 私、近所に住んでいたんですよ。真耶さんって呼んでくれていたのを私は覚えてますから」

 

「……ゑ!?」

 

「あ、あれ。覚えてませんか?」

 

蓮は記憶を辿るもそれらしき人物を、思い出せずにいた。というよりかは、欠損部分があってそれにより思い出せずにいるのではないかと思考する。

ともあれ。やはり彼女の事を思い出せない事から少し悩んだ後で、正直に話す事にした。

 

「……すいません。山田先生。実は色々あって昔の記憶に欠損が有るんです。親友の紅位しか昔の記憶は……」

 

「……そう、でしたか。やっぱりまだ引き摺っているんですね、色々と」

 

その事を受け入れた真耶は少しばかり遠い目をした後に、優しく蓮を撫でる。急な事で蓮は「うわっ!?」と素っ頓狂な声を出すと真耶は優しげな笑顔を見せていた。

 

「懐かしいですね……こうしていると昔を思い出します」

 

「あ、あの……先生?」

 

「ダメです。真耶さんって呼んで下さい。思い出せるかもしれませんから」

 

撫で続けられる蓮は少しばかり恥ずかしそうにするも、真耶は撫でることを止めはしない。むしろ、これは満足するまで止めないのではなかろうかということを蓮は悟った。故に決意する。

 

「……や、さん。」

 

「い、今なんて?」

 

「真耶……さん」

 

「……蓮君!」

 

だが、現実は無常である。優しく抱きしめられて結局は抜け出せなくなってしまう。真耶のその大きな大きなたわわに実った果実は蓮に押し付けられ、柔らかさを否が応でも堪能してしまう。心地よいと思ったのは悪くない。と、現実逃避をする事にした。

 

 

 

程なくして。

 

 

 

「ふふ、久々の蓮君でした」

 

「……頑張った。僕は耐えた」

 

たわわな果実の精神的攻撃から耐え抜いたかと思えば、ゆっくりと息を整える。以前もしかしたらこんな事がらあったのかもしれないなぁ。と、記憶の欠損が少しばかり埋まった気がした。

ともあれ、次は自分は寮に行かなければならないと思考を回した。というか、そのように考えれば今は忘れられるのだろうと信じて。

 

「そ、それじゃあ真耶さん。寮に僕は行くので」

 

「はい。分かりました……あっ、何かあったら私の部屋に来ていいですよ! 一緒にお風呂に入った仲でもありますから!」

 

「今必要でしたかねその情報!?」

 

過去の自分は何をやっていたんだ。と小一時間程問い詰めたかったが、こればかりはどうにもならないという結論に無理矢理至らせて、その事を考えるのはやめる。寮に向かおうそうしよう。とする。

そんな時、真耶は蓮の事を優しく撫でる。突然の事にどうしたのだろうかと思いつつ振り向けば、彼女は暖かい笑みを浮かべていた。

 

「蓮君。これから辛い事も有るかもしれないけれど、頑張ろうね」

 

「あ……うん」

 

「ふふ、それじゃあ寮の人と仲良くね」

 

久しぶりに感じたこの暖かな感情に、蓮は有り難みを感じつつも今度から少しばかり甘えてしまいそうだな。と暖かさに身を寄せる事を今の時点で悟る。だが、悪い気分では無かった。「ありがとう」と一言告げれば、照れくささを隠す為に寮へと走る。

 

「……久々の会話はどうだったか?」

 

「あ、先輩……ええ、やっぱり蓮君は蓮君でした」

 

ゆっくりと影から現れたのは、千冬だった。真耶に簡単な問いかけをすると、真耶も懐かしそうな顔で返す。少しだけ昔を考えてしまった千冬は、遠い目をした後に現状を話す事にした。

 

「そうか。……既に企業は目をつけた。不知火鳳社という会社が蓮の能力を買ったようだ」

 

「最近第四世代を開発したあの……大丈夫なんですか? 蓮君は高い空間把握能力とマルチタスク。イメージの強さがありますし、男性です。被検体なんて考えていたら……」

 

美味しい話には裏がある。だからこそ真耶は心配を隠せない。だが、千冬はそんな真耶を安心させるためにも彼女らしく笑った。

 

「なに、私が居るから悪いようにはさせん。彼は私の生徒である。無論彼の親友にも手は出させんさ」

 

「……わかりました」

 

そんな言葉を受けたからか多少安堵した真耶は、蓮が走り去った方向をじっと見つめていた。

 

 

 

「えっと、ここが寮か……流石にこの学園。なんでも規格外だな」

 

寮に着いたはいいものの、流石の大きさには蓮も驚いた。これ程の大きさがあるなんて普通では考える事は出来ない。だが、何時までも黙って見つめているわけにはいかないからには、自分の部屋へと進むため、中へと入る。

 

「えっと、1016だよね……」

 

内装はホテルのように豪華なものであるが程よい感じにシックなもので居心地がいい。これなら部屋には期待出来ると少しばかり楽しみながら、自分の部屋の前へと着いた。そして、そのドキドキを胸に、彼は部屋の鍵を開けて戸を開く。

 

「あ、ルームメイトだね~。私は布仏ほん…ね……」

 

「……うぇい?」

 

そこにバスタオルを巻いたほぼ裸の美少女が居るということは思いもよらなかった。


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