俺以外の男性IS操縦者が軒並み強いんだが by一夏 作:suryu-
さて。唐突ですがこの小説はコラボとなっております。また、各視点により作者が違うという、あまり無い試みからこの小説は、始まります。
正直な話、自分は知名度が低いためにしゅーがく氏に釣り合うかと言われるとそう思えません。今でも恐縮な部分があります。
それでも、ここまでくる事が出来たのはしゅーがく氏のお陰なので、私は本当に感謝をしております。
まずは私の蓮視点から始まります。それではご歓談下さい。
インフィニット・ストラトス。略称IS。それは女性の夢、象徴であり世間には女尊男卑という考えが広まっていた。
それは醜くも愚かな女性を多く生み出した考えであり、兵器であるISはスポーツと名称を変えて代理戦争の様なものをされている。という事を有識者は考えている。
「女子高って辛いんだなぁ……」
見渡す限り女子女子女子。一人だけ同い歳の織斑一夏という男子が居る辺り、せめてもの救いなのだろうと少年は結論付けた。が、だ。流石に動物園のパンダの様な気分は彼は味わいたくなかった。
そんな馬鹿な思考をしていると、教室に先生が入る。緑の髪だなぁと彼は思ったもののツッコまない……と思った矢先、凄くツッコミしたいという思いに駆られた。
「だって、たゆんとゆれる大きな果実がそこにあるんだ。肉まんなんて比じゃない。あれはメロンだ。大きいしメガネ美人だし凄く柔らかいんだろう」
等と、先程より馬鹿な思考を回し続ける。現実逃避ともいうのだが。
「み、皆さん。自己紹介をしましょう! 出席番号順で! あ、から初めて下さいね!」
「はーい、相川清香。ハンドボール部希望でーす!」
さて、こんな感じで挨拶が始まる。自己紹介の途中にあっても見られている彼はやはり希少価値なのだ。
そう、彼は男ながらにインフィニット・ストラトス。通称ISを起動させた。それは彼だけじゃない。幼馴染みである天色紅という少年もなのだ。全くもってこんな所まで、奇妙な縁だと彼は思っている。
それにしても、自己紹介は長く続く物なのだが彼は退屈はしない。
『その人それぞれの特徴を最初に知る事が他人と仲良くする方法だって、おばあちゃんが言ってた』
とは彼の談。おばあちゃんの知恵とやらは大事だと彼がよく口にするのはこの為なのだろう。
さて、そんなこんなを考えている内に件の織斑一夏になったのだろう。よく見ると教師は涙目だった。可愛い。彼は確信した。先生と言えども可愛いは可愛い物なのだ。
「あ、あのー……あ、で始まって今お、だから織斑君なんだけど……そ、その……自己紹介してもらっていいかな?」
「えっ……あっ、す、すいません!」
一夏は立ち上がると、周りを見る。さあ、彼は一体どんな自己紹介を……
「織斑一夏です! ……以上です!」
ーズルッ、ステン、どんがらがっしゃーん!ー
等と、少年が思考したが答えはこれ。クラスの全員が転けたのだ。まるでドリフだと彼は考える。そりゃあそうだ。教室全体の皆が転けるなんて、ドリフのコントしか誰だって思いつかない。綺麗すぎるくらいな総崩れに一夏はあ、あれ? といった顔をしているのだが、君のせいなのは確実なんだよね。と内心少年は呟く。
すると、教室にもう一人教師が入ってきた。
「全く、何をしている」
「げえっ、ミッ○ーマ○ス!?」
ースパァン!ー
一夏がボケかと思うような発言をした途端出席簿が火を吹いた。
『……本当に火を吹いたように見えたんだけど気の所為だよね?』
そんな威力を目の当たりにした彼は驚くが、ともあれ、叩かれてうずくまる……いや、それはそうなるだろうが。そんな一夏を見ていると、その叩いた張本人は呆れた顔をしている。
「誰がハハッと鳴く下手すると黒服を追わせてくる色々な意味で黒い鼠だ」
ツッコミ完璧過ぎるだろ!? と誰もが思ったのは悪くない。
『あれかな、世界最強って何でもできるのかな。まあ、多分きっとそうなんだろう。恐らく、めいびー』
一同はそんな意識を共有せざるをえなかった。
「ち、千冬ね……あいだっ!?」
「学校では織斑先生と呼べ。それとついでだ、金澄。お前も自己紹介しろ。どうせ『か』行だからこいつの次だがな」
すると、こんな状況の中で彼にお鉢が回ってくる。なぜ今呼んだんだ。と彼は考えるも逆らえる気はなく、自己紹介する事を決めた。
「金澄蓮です。僭越ながら男子で入学という普通なら考えられない状態ですが、仲良くして頂けると嬉しいです。趣味はピアノで細々とやっています。宜しくお願いしますね」
そんな自己紹介をしたかと思えば、クラスが静まる。そして、失敗したかと焦りが出そうな時に……
「イィィイイイヤッホゥ!」
「貴重な男子キター!」
「黒髪に白髪の半分半分。これはテライケメン! これで勝つる!」
「織×金!?」
「いや、金×織よ!」
自己紹介をした彼改めて蓮は、声の大きさに戦慄を覚える。まるで某CMのように発狂してるのではないかという懸念もあれば、最後のふたりは若干腐ってるのではないか。等と身の危険すら感じた。だが、それでも縁は大事にしなければと考え直す。
何故か? ……それは生き残る為だ。蓮はバックヤードが無いに等しいからこそ縁を作らねばならなかった。正直 特記事項 もあるのだが、それをアテにすることは出来ないだろうと考える。
……だが、もしかしたら。ここなら、自分は守る力を手に入れる事が出来るかもしれない。それならば。と、蓮はこの修羅場を生き抜くことを決める。きっとそれが彼の信じる道に繋がる筈だからと思い。
「中々良い挨拶だった。もういいぞ……私が、この一年間担任を務める織斑千冬だ。諸君等をこの一年で、叩き直すのが、私の役目だ。逆らっても良いが反抗はさせん。いいな?」
……ただ、この場所で生きていけるかは、激しく不安であるのは間違いなかった。
「キャァアアアア!」
「ブリュンヒルデの織斑千冬様!」
「罵って! もっと、蔑んで!」
「踏んでくださいお姉様!」
……精神的な意味でも。本当に此処は蓮にとっての魔境だった。
そんなこんなで、蓮はこの中で生きて行くことに盛大な不安を感じたからか、幼馴染みでありながら親友の天色紅に助けを求めようかと思ったものの、自分と同じ事になっているだろうからと考え、メールも送れず質問攻めをされていた。
「……なぁ、同じ男が居て助かったぜ。俺は織斑一夏……一夏って呼んでくれ」
「……僕は金澄蓮。蓮でいいよ」
取り敢えず男同志の友情が生まれた所で、蓮はこの状況に溜息を吐く。本当に疲れるのだ。パンダは辛いのかもな。と今更ながらに彼は感じた。
「大丈夫~? れんれん~」
「……確か、布仏さん?」
そんな彼にいきなり声を掛けてきた少女は、布仏さんという名前だったかと彼は思い出す。自己紹介をしていたから当然なのだと彼は思うのだが。
それにしてもだ。初対面の人にも仇名を付けるあたり、ほんわか。ぽわぽしていると感じるものがあった。等と彼が考えていると一夏がお嬢様に絡まれていた。それを、今現在は放置を決め込む蓮。理由は代表候補生でもあればどう考えても女尊男卑に染まりきってるというものだった。
「ふふ、私の名前を覚えててくれたんだ~」
「うん。なんだかのほほんとしてるしね」
「えへへ、ありがと~」
彼女はどこからとも無く現れたかと思えば蓮に最高の癒しを与える。それは今まで視線やら何やらにより摩耗していた精神を少しずつ回復させるのだ。これは重畳だった。
この状況での癒しは大切だなぁと蓮は思っていると。「逃げないで下さいまし!」と言いながらお嬢様は自分の席に戻る。チャイム鳴ったんだと、蓮の理解は早かった。
そんなこんなで蓮は座学をなんとかこなした。やはり入学前に勉強しておいて正解だと漸くなのだが感じてしまう。今までインフィニット・ストラトスという単元に触れる事のない一般人だったからこそ勉強しないとどうにもならなかったと納得するものだった。
因みに一夏はどうなったかというと、だ。電話帳と間違えて参考書を捨てるあたり、彼は相当な馬鹿でもあるんだな。と蓮は理解する。まぁ、必読とでかでか大きく書かれていたのだから当然なのだが。
で。
「お前達、クラス対抗代表戦があるのは知っているだろう。そこで代表を決めようと思う。自己他問わず推薦が有るなら提案しろ」
世界最強織斑千冬先生が唐突に生徒達にクラス代表を決めると宣言した訳だ。確かに決めないと後々面倒になる事は蓮は重々承知なのだが、そんな唐突でいいの? とは思っていた。だが、今は流す。
「それじゃあ織斑君を推薦します!」
「私も!」
「お、俺!?」
ただ。そこで違和感を感じる。気付けば、多数の視線が彼を見つめていたのだ。
「じゃあ私は金澄君!」
「私もれんれんにしようかな〜」
気付いた時には既に遅しというべきか、あっという間に蓮のクラス代表推薦は確定していた。
あの織斑千冬が担任だから拒否などは出来ないと認識して、蓮がどうしようかと呑気に考えていると、あの先程の代表候補が立ち上がり……
「納得いきませんわ!」
否定の第一声をあげる。蓮はやっぱりな。と内心呟いた。
「こんな後進的な極東の地まで遥々来て、それなのにこのイギリス代表候補生の私、セシリア・オルコットが名指しされず、何処ぞの馬の骨と知れない猿までもが推薦されるなど……!」
「イギリスだってそんな事を言ったら……」
そこで、蓮は一夏の言葉を手で遮って止める。というかそうするべきだった。一夏がどうしてだという顔をするが、蓮は彼にだけ一瞬笑みを見せた後で、少し鋭い目を意識した。
「……一応聞くけど、セシリアさん。君は日本と外交問題を起こしたいの?」
「……え?」
どうやら彼女は分かっていない。いや、厳密には今気付いたのかもしれないのかもという事を蓮は感じる。だからこそ、蓮は彼女に。そしてクラスにその事を教える。
「そもそもISを作ったのは日本の篠ノ之束博士だし、織斑千冬先生はブリュンヒルデ。そして一夏はその弟で……これは立派な侮辱をしてるよね?」
「あっ……!?」
「……!」
二人の顔がハッとした表情を見せたから、蓮はこれで畳み掛ける事にした。早い所この空気を終わらせたい一心で言葉を紡ぐ。
「まぁだからそんな日本相手にそんな言葉を言うなんて……Have a declaration of war on Japan(日本に宣戦布告している)……ok?」
「っ!?」
千冬や最初の緑髪の山田先生も驚いている辺り、蓮がこのような発言をすると思わなかったのかもしれない。代表候補生のセシリアは顔を蒼白にさせている。やはり英語で言い放った事はインパクトがあったようだだ。
だからこそ、蓮は反撃が無いとは思ったのだが……
「……っ、決闘ですわ!」
この通り彼女は諦めなかった。やるしかないと分かったからこそ、蓮はなるようにしようと決め込む。
「よし、貴様等は一週間後アリーナにて戦え。そこで決めろ」
全くもって、世は常々僕達に厳しいらしい。それでも戦う。そして抗うんだ。と彼は誰にも聞こえないように呟く。そして、内心で僕はまだ止まれない。彼女の為にも、絶対にと続ける。
「……分かりました。先生、少しでも僕は抗います。それが今僕に出来ることだと思ってますから」
「……分かった。相手が相手だが頑張るといい」
こうして、蓮の入学初日に大きな戦いが決まった。それが、今後の彼の運命を決めたのかもしれないという事はまだ誰もが分からなかった。