その日、彼は守ることを思い出した 『ブラックトリガーと紅茶と共に』   作:mimin

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那須隊と守谷

~ボーダー本部~

 

「あれ、那須じゃん。ちょうど今、向かおうと思ってたとこ。」

「そうなんだ。今日はわざわざ付き合ってくれてありがとう。」

「いやいや、俺なんかでよければいつでもいいんだけどさ。」

 

そんな話をしながら、作戦室へと向かう。

そこへ、木虎が現れる。

 

「お、木虎じゃん。今日は非番?」

「違いますけど。お二人は暇そうですね。」

「なんだその言い方?」

「忙しいので失礼します。」

 

木虎は確実に怒っていた。

 

「なんで、あんな怒ってるんだよ…。」

「もりもり、木虎ちゃんに何かした?」

「いや、何もしてないと思うけど…?」

 

那須は横で滅多に見せないような顔で笑っていた。

 

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~那須隊作戦室~

 

「おいっす。守谷です。」

「あれ、玲と一緒だったんだ。」

「そこであってな。」

「じゃあ、全員そろったし始めようか。」

「ちょいまち。志岐どこ行った?」

「あれ?さっきまでいたんだけど…」

「まさか…」

 

デスクの下をのぞき込む。

 

「ここで何してんだよ…。」

「…」

 

那須隊のオペレーター、志岐はそこにいた。

 

「小夜ちゃん?何してるの…?」

「やっぱ、こうなるっつったろ?熊谷?」

「はぁ、佐代子。もりもりと会うの初めてじゃないんだから…」

「…年上の男性は、無理です。無理無理無理。」

 

志岐の顔は、疲れ切ったようになっていた。

 

「…しょうがない。とりあえず、始めるぞー。」

 

仮想訓練室に入る。

 

「ってか、これ誰が操作するんだよ…」

「私行ってきます!もりもり先輩!」

「そうか、日浦頼んだ。」

 

日浦が訓練室を出ていく。

 

「…なんで俺の呼び名もりもりで、安定してんだよ。」

「私は、守谷って呼んでるよ。」

「…那須は?」

「だって、呼びやすいし小夜ちゃんがそうじゃないとオペレーターできないって言うじゃない?」

「…。しょうがないか。」

「あたしも、もりもりって呼ぼうか?」

「完全に、遊んでんだろ…」

 

日浦が帰ってきた。

 

「もりもり先輩!志岐先輩、何とか、やってくれるそうです!」

「そうか、よかった。志岐ー、市街地Aで頼む。あと、緊急脱出ありで。」

「…はい。」

 

マップが、普通の市街地へと変わる。

 

「よし、とりあえずトリオン体になるか。って那須隊はもうトリオン体か。」

 

『トリガー起動!』

 

黒い服に身を包む。

 

「あれ、もりもり先輩、ブラックトリガーじゃなくていいんですか?」

「まあ、最初はな。じゃあ、全員でかかってきて。一分後に開始な。」

「え、先輩一人対!?」

「茜ちゃん。もりもりをなめないほうがいいわよ。」

「おしゃべりはそこまでだ。始めるぞ。」

 

『戦闘開始』

 

日浦が、場所につく。

那須隊は、スナイパー、シューター、弧月という組み合わせ。

なので、目の前には弧月を持つ熊谷とその後ろにシューターの那須が続く。

 

「さて、どうするか…」

「さすがに、3対1だと厳しいでしょ。」

「まあな…。日浦は、バッグワームを使ってるのか。」

「(玲、援護をお願い。)」

「(わかった。熊ちゃんに任せる。)」

 

トリオン体の内部通話で、話す。

そして、熊谷が弧月で守谷に襲い掛かる。

 

「よっと、やっぱりそう来るよね。上空から攻めるか。」

『茜!狙撃準備!』

 

志岐が、日浦に指示を出す。

 

『グラスホッパー』

 

アステロイドの準備をしながら、上空へジャンプする。

 

「了解です!」

 

イーグレットを構える。

 

守谷が攻撃しようとした瞬間、イーグレットで打つ。

 

『防御形態(ガードモード)』

 

守谷は、即座に攻撃を取り消し、一点に絞ってシールドを展開した。

それを弾が届く前までに。

 

「日浦。みーっけ。」

「なんで…。イ-グレットが防がれた…?」

 

『グラスホッパー』

 

緑色に光る板を発生させ、上空に上がる。

 

ビルの上に、日浦を確認すると、『グラスホッパー』を使い追い詰める。

 

「追いついた。」

 

笑みを浮かべ近寄る。

 

「(熊ちゃん!カバーに入って!)」

「(了解!)」

 

『炸裂弾(メテオラ)』

 

ビルを、破壊しにかかる。

 

『通常弾(アステロイド)』

 

弾は、日浦の心臓部分に当たる。

 

『緊急脱出(ベイルアウト)』

 

「一歩、遅かったな。熊谷。」

 

熊谷は、弧月を構える。

 

「あたしは、一筋縄ではいかないよ。」

「それは、どうかな…?」

 

『通常弾(アステロイド)』

 

熊谷に向けて、放つ。

余裕でかわす、熊谷。

 

「それだけ?」

 

『炸裂弾(メテオラ)』

 

地面に向けて放つ。砂埃が舞う。

 

「くっ、どこに行った?」

「後ろだよ。」

「っ…!」

 

『通常弾(アステロイド)』

 

(この距離なら…)

 

『シールド』

 

熊谷をシールドが守る。

 

「玲、ありがと!」

「ここから、たたみかけるよ!」

「揃っちゃったか。仕方ない…。」

 

片手に『通常弾(アステロイド)』、もう片方の手に

 

「スコーピオン?」

「ご名答。」

 

アステロイドを放つ。

 

「(熊ちゃん!どんどん攻めるよ!)」

「(了解!)」

 

熊谷が、弧月で攻撃する。

 

「スコーピオンで、受けるのは無理よ!」

『グラスホッパー』

「え?」

 

緑色の板を踏み、熊谷の後ろに回り込む。

 

「これで、終わりだ。」

 

スコーピオンで、心臓部分を突き刺す。

 

『緊急脱出(ベイルアウト)』

 

「さ、あとは那須だけだな。」

「もう勝負は、決まっているわ。」

 

守谷の、後ろから『変化弾(バイパー)』が飛んでくる。

 

「なっ…」

 

命中する。

 

「よし!」

「まあ、考えはよかったけど、俺のサイドエフェクトの前では効かないね。」

「そんな…」

 

『徹甲弾(ギムレット)』

 

那須の体を貫通する。

 

『緊急脱出(ベイルアウト)』

 

 

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~作戦室~

 

「あれ、なんなんですかー…」

「まあ、そう落ち込むな。日浦。」

「落ち込みますよぉ…。すぐにやられちゃったんですよ?」

「まあまあ、茜。今日は、特訓のために呼んだんだから。」

「あの、仕組みが気になりますー!」

「俺のサイドエフェクトは…」

 

『完全防御能力』

 

「って言うんだけど…。あんまりしっくりこないよね。」

「はい…。」

「この能力は、2つのモードがある。一つ目は、防御形態。さっきみたいなやつで8割防御にトリオンを使うやつ。二つ目は、完全防御形態。」

「何が違うんですか?」

「何が違うかと聞かれれば、色々あるな。シールドの強度だったり防御に対する。反応の差だったりね。例えば、アイビスとかイーグレットとかだったら防御形態で充分対処出来るけど、ライトニングになると防御形態じゃ対処出来ないかな。」

「すごいですね…。完全にチーム向けって感じですね。」

「まぁ、そうだな。細かく説明するとまだあるけど大まかにはこんな感じだ。」

「そんなの、スナイパーでどーやって対処すればいいんですか…。」

 

日浦が、諦め半分で質問する。

 

「だから、そういうのを考えるために今日、俺が来たんだろ?」

「あ、そうだった。今日、特訓するために読んだんだった。」

「…呼んだ張本人が何忘れてんだよ…。」

「ごめんごめん。」

「じゃあ、まずは日浦から始めるか。」

「はい!お願いします!」

 

 

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~訓練室~

 

「よし、始めるか。」

「お願いします!」

 

やる気満々の日浦。

 

「日浦は、狙撃能力がそこそこ高い。」

「そりゃあ、奈良坂先輩に教えてもらってますから!」

「へぇ、奈良坂にねぇ。」

「はい!」

「狙撃能力が高いのは、いいんだがさっきみたいに近づかれたり機動力が高かったりすると対処するのが難しいだろ?」

「…はい。」

「そこで、日浦にある提案がある。」

「なんでしょう?」

「『グラスホッパー』を使わないか?」

「えぇー!私がですか!?」

「そうだ、『グラスホッパー』で相手の裏をかいてイーグレットやアイビスで撃つ。恐らく、初めてで対処出来る奴はいないだろう。」

「おぉ、かっこいいですね!」

「ただし、使い方がかなり難しいのでちゃんと自分で練習出来るのならな。」

「が、頑張ります…。」

「よし、なら教えよう。」

 

そこから、数十分程度日浦に『グラスホッパー』の使い方を教えた。

 

「…疲れたぁ。」

「まぁ、初めてにしては上出来だな。銃を持っている分バランスは取りにくいかもしれないが、決まれば1点取れるだろう。」

「はい!」

「じゃ、頑張って練習して実戦で使って下さいな。」

 

訓練室を出る守谷。

 

「さて、次は熊谷だな。」




今回で、守谷のサイドエフェクトが判明しました!

『完全防御能力』です!

あと、タイトルを少し変えました。(間違えてたとか言えない)

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