その日、彼は守ることを思い出した 『ブラックトリガーと紅茶と共に』 作:mimin
始まり
守谷攻兵(もりやこうへい)17歳
この名前を聞いたことがあるだろうか?
ある組織では、とても有名な名だ。
好きなものをよく勧め、よく飲んでいる。
そう、
『紅茶』を
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「今日の予定は…防衛任務か…」
そうつぶやくと、守谷は二種類のトリガーと魔法瓶を手に警戒区域へと向かう。
~警戒区域~
サイレンが鳴り響いている。
『ゲート発生、ゲート発生。ボーダー基地より全市民に通達します。警戒区域内にゲートが発生します。近隣の皆様はご注意ください。』
バムスターと一人のボーダーが戦っている。
しかし、まったく歯が立っていない。
「あちゃー、弱いな…ってかあれC級だよな?規定違反だぞ…」
守谷は、ため息をつきながらも白いトリガーを手にする。
「トリガー起動!」
次の瞬間、黒を基調とした服に身を包む。
「アステロイド!」
守谷はキューブ上のものを、バムスターへと打つ。
うまく目に当たり一発で倒した。
「ふぅ。大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます!」
「あ、俺はたまたま一般人を助けただけだから。C級隊員とか見てないから。」
そういうと守谷は、後ろにいる身長の小さい子供に目を向ける。
「お前は…その隊服見たことないな。何者だ?お前?」
「俺は、空閑悠真。ゲートの向こうから、おやじの知り合いに会いに来た。お前らが言うところの近界民だ。」
「いやいやいや、待て待て待て。冗談だよな…?」
「冗談じゃないよ。本当だ。」
「…俺は何も聞いていない。わかったら早く行け!」
空閑とC級隊員は、足早にその場から立ち去る。
「あーあ、なんかめんどくさいことになったなぁ。」
そこへ、二人の男が現れた。
「やっぱり、守谷か。」
「よう、槍バカと三輪。一足遅かったな。」
「誰が、槍バカだ。紅茶バカ。」
「紅茶、飲むかー?今日はレモンティーだぞ。」
「守谷、米屋。それくらいにしておけ。このトリオン兵は、おまえが倒したことで間違いはないな。」
「おう、正真正銘俺が倒しましたよー。」
「わかった。米屋、仕事に戻るぞ。」
「了解。じゃあな、紅茶バカ。」
「うっせー、槍バカ。」
そういうと、三輪と米屋は去っていった。
「あぶねー。見つかったら衝突は避けられなかったな。特に三輪なんてな。」
守谷は、さっきの空閑の雰囲気が気になっている。
「近界民か…ちょっとだけ気になるな…」
守谷は、家へ帰らず本部へと向かう。
三輪と米屋は、不良と思われるヤツらを保護していた。
「お、俺ら、友達に連れられて、あ、遊んでたらいきなりゲートが開いて、近界民に襲われた被害者なんっすよ!」
「そ、そーなんです。む、無理やりです!無理やり!」
「…それは、お前らと同い年か?」
「そ、そうですけど?」
三輪は、睨むように空を見上げている。
「…守谷め。何を隠している」
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~数日後~
警戒区域外に、近界民が出たとの情報が、入ってきた。
「そこは、あのC級の通う中学じゃねーか…」
守谷はあのC級と、近界民について少し調べていた。
三雲修。15歳。メガネをかけていて、学校にはボーダーだと言うことを隠している。
「あの近界民とも繋がりがありそうだし、見に行ってみるか。」
~学校~
「あれは、嵐山隊!」
嵐山隊。テレビでも、引っ張りだこの広報担当だ。
「嵐山隊、カッコイイー!」
「さすが、嵐山隊だー!」
四方八方から声援が飛び交う。
「木虎さんって美人ー!」
即座に木虎は、反応した。
「ありがとうござ…って、守谷先輩じゃないですか…」
「よー、木虎。バリバリの営業スマイルだなー。」
「ほっといて下さい…」
そういう木虎の近くには、倒されたトリオン兵の姿。
「これは、嵐山隊がやったのか…?」
「いえ、私達じゃありません。まだ分からないんです。誰がやったか。」
「…あなたは!」
そう言って近づいてきたのは、三雲だった。
「おー、三雲くん。元気だったか?」
「はい、一応。」
「これは、まさか君が…?」
「…」
「守谷!この子と知り合いか?」
「嵐山さん!い、いやたまたまこの前基地で知り合ってなあ…ね?三雲くん?」
「は、はい。そうです…。」
ぎこちないやり取りをしながらも、なんとか切り抜けた。
「君が、これをやったのか…?」
「はい…。」
「…ありがとう。君がいなかったら犠牲者が出ていたかもしれない。うちの妹とと弟もこの学校なんだ。」
嵐山は、弟と妹を見つけると飛びついて行った。
「いや、三雲くん。凄いね、C級のトリガーでトリオン兵を一撃。」
「守谷さん、実は…」
「ここでは、言わない方がいい。人目が多すぎる。」
「…ってことは、分かってるんですね。」
「あぁ、大体予想はつく。君の戦いを一回見たからね。」
「…」
「ってか、あっち見てみろよ、三雲くん。木虎の目を。」
三雲は、木虎へと目を向ける。
木虎は、今にも噛みつきそうな目をしていた。
「あれは、軽くキレてるな。C級が、カッコつけたことを気に食わないんだろう。」
「カッコつけたって…そんな…。」
「あ、いいこと思いついた!」
守谷は、目を光らせる。
「おい、木虎。流石のお前でも、ここまで損傷させることは出来るか?しかもC級トリガーで。」
「スコーピオン」
木虎は、手から剣のようなものを出し、トリオン兵へと近づく。
そしてそのまま、切りつけトリオン兵を余計損傷させた。
「…出来ますけど。まぁ、私は訓練用トリガーで戦うような、馬鹿なマネはしませんけど。」
高圧的な、態度で三雲に話す。
「そもそも訓練生は、訓練以外でのトリガーの使用は禁止されています。規則に従って罰せられるべきです。」
「人を助けた人にそこまで言うか?普通…」
木虎が、守谷を睨む。
「おぉ、怖っ。」
三雲は、何かを考えている。
「今更、悔いても遅いわよ。これだから訓練生は。」
木虎が、勝ち誇ったような顔をしている。
守谷が、何かを言おうとした瞬間。
「何で、お前遅れてきたのに、偉そうなんだ。」
「言うね。」
「日本では、誰かを助けるのに許可がいるのか?」
「それは、要らないわ。だけどトリガーを使う時は別よ。だって、トリガーは、ボーダーのものだもの。」
「それは、違うだろ。トリガーは、近界民のものだ。」
現場が凍りつく。
「お前らは、近界民に許可取って使ってんのか?ってかお前、修が褒められるのが気に食わないだけだろ。」
「はいはい、そこまでにしとけ、木虎、空閑。みんなの前で、みっともないぞ?」
「守谷先輩、でもこいつが!」
「お前が処罰決めるんじゃないんだから、ここでとやかく言っても始まんねーぞ。」
「守谷の言う通りだ。三雲くん、今日中に本部に出頭すること。俺からも処罰が重くならないように、力を尽くすよ。」
「よし、終わり。じゃあ、後は嵐山隊に任せた。俺は、家に帰ってミルクティーでも飲むよ。」
「ははっ、相変わらずの紅茶好きだな。守谷も。」
「まぁねー。」
そう言い残して、守谷は家に帰った。
『あれは、明らかに三雲ではない、空閑か…。訓練用トリガーであそこまで出来るとは…少しだけ面白くなってきたな…』
そんなことを考えながら、ミルクティーを飲んでいた。
~数時間後~
電話がなっている。
「せっかくの学校休みに誰だ?」
そこには、忍田本部長という文字。
「忍田本部長?こんな時に何の用だ?」
「こちら、守谷。忍田さんどうしました?」
「市街地にイレギュラーゲートが発生した!今からでも迎えるか?お前の家から近い!」
「イレギュラーゲート…。了解。すぐに向かいます!」
「頼んだぞ。」
電話を切る。
「おいおい、イレギュラーゲート多すぎだろ…。」
守谷は、特製ミルクティーと、トリガーを手に現場へと向かう。
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