機動戦士ガンダム 「堕落の反逆者達へ~」   作:ヅダ神様

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南米での戦い

「宇宙世紀0079 9月24日 中米 パナマ基地格納庫内」

 

 

「これがドム・ジュンゲル…」

深緑に深い青色のまだら模様の塗装に頭部にはサメのペイントが施されたこの機体、ドム・ジュンゲルは南米や東南アジアなどでの使用を前提にした、ドムのバリエーション機の一つ…と言うよりドムの特定局地特化機みたいなものだ。主な改修点としては関節や熱核ホバーエンジンに泥土や水の浸入を防ぐフィルターを装備。熱核ホバーエンジンの改良により加速性と機動性が向上した…後は追加で装甲が増設されたぐらいだな。武装は近距離での使用を想定し、発射直後に弾頭から散弾を発射するショットバズを使用可能な新型のテクニカル・バズⅡ、腰の後ろのマウントに装備された新型のMMP-80マシンガン、そして腰のマウントに装備されたグレネードランチャー(パンツァーファウスト30みたいな外観)を装備している。そして背中のランドセルと一体化した大型の…バックパックか?、から両肩のキャノン砲に給弾用のベルトが伸びている。どうやらあれが弾薬庫のようだ。スペックは…

 

「155mm!?、嘘だろ!?」

こんなもん両肩に載せたっていうのか!?、あったまおかしいんじゃねェのか!?

 

「ったく…まぁ俺の要望にはしっかり答えてるんだよなぁ……」

片手で後ろ頭を搔きつつ上を見上げると、機体の両腕と同じところに俺が乗っていたドムが装備していたものと同様のデュエリングシールドが両腕に装備されている。これが無いと咄嗟に襲われた時に対応できねぇからな…やっぱり盾は偉大だな

 

「しゃーない、新型送って貰ったんだ、それに見合うデータで返してやるとしよう」

そう言って、俺はパイロットの着替えと控え室を兼ねた待機室に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代わり映えしない南米のジャングルを映し出すスクリーンとMAPを交互に見ながら、慎重に川を遡る。既にパナマ基地を出発してから1時間半が経過していた。ここは連邦軍とパナマに司令部を置く南米方面軍の支配地域の境目、要は最前線だ。俺達第2小隊は前線の警戒部隊として、毎日午後3時から午後6時までの3時間の警戒任務に就いていた。

 

「…暑い」

コクピット内は空調設備を最大にしているにもかかわらずどこか蒸し暑く、既に持ち込んだボトルは残り半分を切っていた。さっさと終わらせて風呂に入ろう。そう思った俺が

 

「敵が来てくれればなぁ…」

と、ぼやこうとした直後。MAP上に複数の機影を確認、すぐさまMAPが画面上で立体的な形に代わり、気鋭の大半が航空機である事とその高度、そして3…いや5隻の敵艦と戦車などの車両と平行して移動するMSらしき機影が表示された

 

「…まずいな……ラーク!、すぐに司令部に連絡を!。我大規模な敵部隊を発見セリ、航空機の存在も確認したため、敵部隊はパナマ空襲を視野に入れた可能性有り、至急応援願う、だ」

 

「了解しました」

すぐさまラークが俺との回線を切り、司令部へ連絡を入れる。俺はそれに頷き

 

「よし!、各機後退しつつ敵部隊に可能な限りの損害を与えるぞ!!」

コンソールを操作し、かたの155mmを起動する。今まで動力の通っていなかった155mmとベルト式給弾システムに動力が入り、左右のベルトが玉一発分前に進み、スクリーン上に装填した事を告げる表示が出るので、安全装置を解除、最後に射撃姿勢に期待を動かし、引き金を引く。凄まじい発射音と共に放たれた2発の155mm対艦用徹甲弾は真っ直ぐに先頭を走っていた敵艦に着弾、着弾からワンテンポ置いて船体に開いた二つの穴が膨張したかのように爆発し、そのまま先頭を走っていた敵艦はその場に停止する、そこに間髪入れずに2撃目を加え。先頭の敵艦…ビックトレーは爆散し、紅蓮の炎と共に黒煙を天へと吹き上げる巨大なスクラップに早変わりした。強いなこれ。流石は155mmだ

 

「各機散開!、ポイントαにて合流だ!」

 

「「「了解」」」

直後、上空から無数の爆弾と共に砲弾が降り注いで来る。俺は機体を敵へと向けたまま機体を後方に走らせ、走行中のために激しく標準がずれるなか、とにかく敵のビックトレーのみを狙って155mmをぶっ放し続ける。無論足止めの意味もあるが、何よりこんなモン景気よくポンポン撃ちまくってりゃそら‥

 

「ッぐぅ…!」

砲弾の一発が右足のすぐ近くに着弾し、機体のバランスが一瞬崩れる、それを左手を地面につけ左足の熱核ホバーエンジンを一気に吹かして回転蹴りをするように機体を一回転させ、着地。そのまま155mmを撃ちつつ後退する

 

「俺ばっかり狙うわなァ!」

空から降り注ぐ死の雨を必死に回避しつつ敵艦へ攻撃を続ける。すると爆弾が落ちて来なくなる。不思議に思っていると。突如コクピット内にアラームが鳴り響き、スクリーンの左側に左方向を指す矢印と、コンピュータからMSらしきものが接近中であることを告げてきた

 

「ッ!?、この距離までッ…!?」

反射的にその場を飛び退くのと、ミサイルが俺が立っていた地面に命中したのはほとんど同タイミングだった。恐らくだが、後2~3秒遅ければ俺の機体は爆散していただろう

 

「何ガッ!?」

間髪入れずにジャングルの中から現れた蒼色のMSが、手に持つサーベルで俺の155mmを切り裂こうとして来るのを拡散ビーム砲を使って動きを止め、そのまま両足を蒼い機体に押し当て、熱核ホバーエンジンで相手を吹き飛ばしつつ距離を取り、そのまま飛んだ際の反動を利用して宙返りの要領で機体の姿勢を変え、そのまま着地と同時に機体をターンさせる事で着地時に蒼い機体を吹き飛ばした時の反動を流しつつ更にあの機体との距離を稼ぎ、肩後ろのマウントに装備されたMMPを取り出し、バズをマウントに装備させる

 

「…しまった。この機体、近接の装備がシールドしかねぇ……」

どうしようと悩みつつ、とりあえずマウントに装備したバズを取り外し、両手にバズとMMPと言う状態で待ち構える。するとロックオンされたことを告げる警告音と共に2つの飛翔体がこちらに急接近してくる様子がMAP上に表示される

 

「来たか…!」

待ってましたとばかりに2つの飛翔体をMMPで撃ち落とす、そして。それによって生じた爆炎の真ん中からあの蒼い機体が現れる

 

「バカ正直に…!」

両肩の155mmを青い機体へと向け、引き金を引く。が

 

「エラー!?」

見れば両方の155mmに砲弾を給弾するベルトが破壊されていた。これでは155mmを撃つ事は出来ないだろう。その事実に俺は思わず盛大に舌打ちをかましつつ、肩の155mmと弾薬庫をパージする(前述の機体解説の際には一体化したと説明したが。完全に一体化していたと言うわけではなく、このように155mmが使用不能になった場合、ウェイトを減らす為にパージする事が可能なのだ)、そのままボクシングのファイティングポーズに似たポーズを取る、開いてもこちらの意図を察したのか、マシンガンをしまい、抜いたサーベルを両手でしっかりと構え、一気に突っ込んでくる。俺はそれを迎え撃つ形となった

 

「(…チャンスは一瞬……)」

まずワザとシールドを払うように大振りに横に振るう、蒼い機体はそれを伏せる程に低く屈むことで躱し、シールドによってできた死角を突いて、鋭い刺突を放つ

 

「ここだァ!!」

熱核ホバーエンジンを起動した状態で機体の足を蹴りあげる。エンジンによって爆発的に加速した足はコクピットへとサーベルを突き刺そうと延ばしきっていた両腕の関節部分に直撃する。そのまま蒼い機体の両腕は空高く吹き飛ばされる。そこに間髪入れずにシールドを叩き付けようとするも頭部のバルカンに牽制され、防ぐためにシールドを使ってしまう。その隙を逃さず、蒼い機体は一目散に逃げ出す。直後、敵からの爆撃が再開したため、俺は追撃はせず、α4へと向かう

 

 

 

 

この後パナマより出発した南米方面軍主力が連邦軍と交戦。連邦が撤退したことにより、トゥンハの攻防と呼ばれることになるこの戦いに、ジオンは勝利した

 

 

 

 

 

 

 


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