鎮守府のイージス   作:R提督(旧SYSTEM-R)

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どうも、SYSTEM-Rです。いよいよ第二章に突入、ここからは名実ともにみらいがヒロインとして活動をし始めます。艦娘となった彼女は、太平洋戦争期の艦娘たちとの邂逅で一体どのようにふるまうのでしょうか?


ここにいる理由
第二章:ここにいる理由(前篇)


 みらいはまだ、自分自身や身の回りで何が起きているのかへの理解が追い付いていなかった。無理もない。彼女の目から見て、あまりにこの展開は急すぎるのだから。

 目覚める前、艦艇だった時の彼女が最後に目にしたのは、海底へと沈んでいくさなかに水中から見た眩しく輝く水面だった。既に満身創痍だった自身の船体は、アメリカ軍艦隊から飛んできた僅か一発の弾丸、それもなんてことはない流れ弾のような一撃で真ん中から真っ二つになっている。激痛に呻きながら沈んでいく彼女の耳に、「あんなにあっさりと沈むなんて」というアメリカ軍兵士の呟きが聞こえる。

 (あぁ、これで全部終わりなんだ)

 結局、あれだけの多大な犠牲を払いながらも、自分は乗員たちとともに元の時代には戻れなかった。突然太平洋上で嵐に巻き込まれ、何の理由も告げられないまま無理やり連合艦隊の鼻先へと放り出されて。ガダルカナルでは日本軍とアメリカ海兵隊との戦闘に介入するも、当初の目的だった戦闘回避も達成できず。横須賀に向かう途中では空母ワスプに襲撃され返り討ちにしながらも、「戦場とは殺すか殺されるかの場所である」という当たり前の事実から目をそむけた結果、5名もの殉職者を出してしまった。そのうち、艦内では歴史をめぐる乗員同士の意見対立から、とうとうクーデターまで起きて…。

 これまで色々なことがあったが、どれも「元の世界に戻りたい」という思いを捨てられない者たちが理不尽な運命に抗い、あがきながらも必死に目の前にある「今」を生きた結果だった。それは彼らが物理的にも精神的にも拠り所とし、彼らにとって2つの時代をつなぐ唯一の存在であったみらい自身が、一番よく分かっている。だからこそ今、夢破れたことが彼女は本当に悔しかった。

 (結局、私たちは帰れないんだ。一緒に生きて、一緒に死ななきゃいけないのか。平成の平和の海じゃなく、戦火にまみれたこの昭和の海で…)

 みらいはいつしか、船である以上決して流せないはずの涙を、沈んでいく自分が流しているのに気付いた。それを自分が出来ているのが何故かは分からないが、彼女は自分の心の奥底から湧き出てくる感情を抑えることが出来ない。恐らく、夢破れたことへの悔しさだけではなかった。「人生」の最後の場面に襲う切なさや寂寥感。そしてともに戦い、生き抜いてくれた241名の乗員たちへの感謝…。

 (ごめんなさい。みんながずっと私に託してくれた思い、叶えてあげられなかった)

 薄れゆく意識の中で、みらいが最後に呟いたのは、戦友たちに対する惜別と心からの感謝の言葉だった。

 (でも、ありがとう。一緒に戦ってくれて。サヨナラ、みんな…)

 

 本当はそこで全部、美しく綺麗に儚く終わるはずだったのだ。ところが、これはみらい自身もまだ理解が出来ずにいるのだが、どういうわけかそうはならなかった。

 (…、それでいい、のか…?)

 暗闇の中から、彼女に問いかける声がした。その声は少しずつ大きく、そして問いかけの内容も具体的になっていく。

 (お前は、それでいいのか…?本当は、元の時代に帰りたい、のではないのか…?)

 「私は…」

 もはや何も目には見ることが出来ず、ただの意識の塊になってしまったみらいは呟く。不思議と、その声の主が誰であるのかは気にならなかった。

 「帰れるものなら…、帰りたかった。みんなと、また平成の風を感じながら平和な海で航海に出たかった…」

 なぜだ、なぜ自分はこうなってしまったんだ。声にならない声で、必死にその思いのたけを絞り出す。やがて、またどこからか声がした。

 (…ならば、もう一回本気で生きてみろ)

 「誰!?あなたは一体誰なの!?」

 ハッとして叫ぶみらい。その声は彼女の問いには答えず、今までよりも厳かで強い言葉を彼女に残した。

 (お前はここで終わるべき者ではない…。もう一度、お前にチャンスを与えてやる…。仲間の分まで、最後まで生き抜いて来い、全力で…!!)

 その声が頭の中に響き渡ると同時に、みらいの眼前が突然真っ白な眩しい光に包まれる。その光が消えうせたのと同じタイミングで、彼女は目を覚ましたのだった。今度は船ではなく、人間の肉体とともに。その目が覚めるまでの間に、実際には70年もの月日が過ぎていたことを彼女はまだ知らない。

 

 ドックの中に座り込んだままのみらいは、不思議そうな顔をしながら辺りを見回した。ヒンヤリとした空気の感触が、彼女の身体を包み込む。どうやら、ここは何かの工場らしい。いや、この目の前にいる男性の服装から判断すれば、正確には工廠と呼ばれる場所なのだと思う。だが、何故私はこんなところで、しかもこんな姿で目覚めたのだろう。そして、自分を取り囲んだままじっと見つめているこの人たちは、一体誰なんだ。しかも、なんで私の名前を聞いて怪訝そうな顔をしているんだろうか。

 「みらい…。そうか、あんたの名前はみらいと言うんだな」

 正面に立っている、司令官だと名乗った白い軍服姿の男がそう噛み締めるように呟いた。岩城勝啓という彼の耳慣れない名を、彼女ははっきりと耳にしている。だが、問題はここからだ。

 「ゆきなみ型、イージス護衛艦…?初めて聞く艦種ですね。イージス駆逐艦なら私にも分かりますが…」

 司令官の左後方に立っている、オレンジ色のセーラー服姿の女性が怪訝そうな顔をする。どうやら、自分のことを一応船だとは認識してくれているらしい。だが、それなら何故自分は艦艇ではなく人間の姿なんだろうか。まぁ、その姿で海自護衛艦だなどと名乗った自分も、よくよく考えれば大概なのだが…。

 それ以上にみらいが気になってしょうがない人物がいる。反対に右後方に陣取っている、どことなく巫女のような恰好をした長身でスタイル抜群の綺麗なお姉さん。

 「カイジョウ…、ジエイタイ…?うーん、聞いたことないですネー。Hey, 提督ゥー、夕張、明石。Youたちは何か知ってるデース?」

 いやいやいや。みらいは心の中で盛大にツッコんでみせた。あなたのその顔立ち、どこからどう見ても日本人ですよね。なのに茶髪はともかくとして、なんでそんな片言っぽい喋り方なんでしょうか。しかも何その恰好…、もしかしてそういうコスプレ?

 もちろんみらいの疑問はそれだけではない。このお姉さん、まさか海自のなんたるかを知らないのか?まぁ、顔立ちはそのまんま日本人だという日系人もこの世の中にはたくさんいるから、そのパターンであるならやむ無しかもしれないが。というか、岩城と名乗ったこの無骨な感じのひげ面のおじさん(そういえばどことなく、ルパン三世に出てくる次元大介とかいうキャラクターにも似ている)はともかく、一緒に呼ばれたと思しき女の子たちはなんで妙な表情してるんだろう。あなた方の司令官ないしは提督だというこの人、今まさに幹部自衛官用の制服を着てらっしゃるではないですか。

 白い軍服姿の壮年男性に、濃紺の作業服に身を包んだ男性たちの集団は、みらいの目には彼女の「故郷」である海上自衛隊の隊員たちであるように映る。状況から察するに、おそらくここは海自横須賀基地内にある工廠なのだろう。少なくとも、みらいの頭の中にある知識を総動員すればその結論に達する。そういえばこの司令官もさっき、ここは横須賀だと言っていた。…、何やらその後に続いた言葉が引っ掛かるが。

 だが、問題は彼らと一緒にいる女性たちだ。自衛隊でも時折、在日米軍と共同で一般向けのイベントを開いたりはするが、いくらなんでも兵装に関する機密情報が満載の工廠なんかに、メーカーの関係者でもない民間人をホイホイ入れたりはしないだろう。しかも、明らかに現役自衛官らしき人間たちを前に、自衛隊を知らないなどと言い出すとは何たる酷いボケだ。それにツッコミを入れない周りも周りだが。あれっ、でもこの子たちもさっき号令がかかった時、明らかに素人っぽくない所作で一緒に敬礼していたような…。

 なんにせよ、目の前の状況を何とか自分なりに消化し理解しなければならない。みらいは遠慮がちながらも口を開いた。

 「あ、あの…。私、どうもまだこの状況がうまいこと呑み込めてないんですが…」

 彼女の言葉に、周りの視線が一斉にこちらを向く。それに妙な緊張感を覚えながらも、みらいはその巫女服姿の女性、後に良き友人となる金剛に向かって話しかける。

 「あなたは、この方々とどういうご関係で?海上自衛隊をご存じないんですか…?」

 「No, 全く知らないデース。それって、私たち日本国防海軍とは違うのデスカ?」

 「日本国防海軍…?えっ、ちょっと待って何それ。ここにいる男性の皆さんは、現役の海上自衛官ではないんですか?」

 「海上自衛官?一体何のことでしょう。ここにおられる皆さんは、国防海軍に所属する軍人の方々ですよ?」

 「頼むぜ、さっき名乗ったばかりだろ?俺はここ横須賀鎮守府の司令官を務める、日本国防海軍少将の岩城だと」

 横から口を挟む神通に岩城が同調する。その声のトーンから判断する限り、明らかにジョークなどではなく真面目にものを言ってくれているのだということは分かる。だが、やはり彼らの発言はまだみらいの理解の範疇を超えたままだ。

 「いやいやいや、ちょっと待って。大日本帝国海軍と海上自衛隊ならともかく、日本国防海軍って何?そんな名前、初めて聞いたんだけど?とりあえず、海軍が日本に存在するということは、今はまだ元号は昭和なの?それともまさかまだ太平洋戦争中?」

 「まさか、とんでもない。太平洋戦争は70年も前にとっくに終わってます。平成に改元してもうかれこれ20年以上になりますよ?」

 「っていうか、『海軍が日本にあるからまだ昭和』ってどういうことだろ」

 夕張が答えるその横で、明石がしきりに首をひねっている。だが、何が何だか分かっていないのはみらいも同じだ。既に敬語なんてとっくに飛んでいるが、半ばパニック状態の彼女はそんなことは今更気にしていられない。

 「ちょっとどういうことよ。そうだとしたらこの説明はおかしいわよ。平成の日本を防衛しているのは、海軍じゃなくて海自のはずでしょう。正式な軍隊が持てないから、代わりに仕方なく自衛隊を持つことにしたのに。それとも一体いつ日本は憲法9条を改正したの?」

 みらいは素っ頓狂な声で叫ぶと、今度は岩城の方に向き直る。

 「岩城司令官、でしたっけ。あなたの自己紹介も正直私にはよく分かりません。その制服、幹部常装第一種夏服でしょう?なんで今この場で着ておられるかは知りませんけど」

 「お、おう。確かにその通りだ」

 実にスラスラと自身が着用している制服の名を言い当てるみらいの勢いに、岩城が気圧されたように答える。だったら、とみらいはなおも迫る。

 「あなたは一種、どうやら私が着てるのは三種だけど、お互いに着ているのは海自の幹部制服ですよね?なのに、その恰好で海軍少将なんて名乗るのはおかしいでしょう。実質的には確かに同じ階級かもしれないけど、そこは海上自衛隊海将補って言わなきゃ。大体、あなたの階級章だってどう見ても海将補のそれじゃないですか」

 「う、うーん…?海将補?すまん、言ってることがどうもよく分からん」

 悩ましげに考え込んでしまう岩城。みらいは落胆して肩を落とした。突然こんな部屋に連れてこられて、その上訳の分からない説明をされて困っているのはこっちの方なのだ。一体私はこの状況でどう振る舞えばいいというのか。少なくとも平成の日本に自分がいるということは、元に戻ってこれたのだから喜ぶべきことのはずなのだが、今の彼女にはまるでそんな余裕はない。まさか、今の自分はこの場において異邦人なのだろうか。

 「うーむ、でもまぁ、その、なんだ」

 岩城がそこで何か話の結論を出そうとするかのように、一度軽く手を叩く。その乾いた音に、その場にいた一同全員の視線が彼の方を向いた。

 「とりあえず、今この場で一通りやり取りをしていたことで、どうやら分かってきたことがあるな。俺たちは今この瞬間、お互いに全く同じ光景を見ている。だが、自分たちの目に映るものに対するそれぞれの認識は、どうやらかなり食い違ってるらしい」

 みらいは不承不承ながらも頷く。その点は、他の女性たちも同意しているようだ。それを確認すると、岩城は言葉を続けた。

 「この場でいつまでも結論の見えない言い合いをしていたところで、はっきり言って埒が明かねぇし時間の無駄だ。何か突破口を作らなきゃならん」

 そう言うと、岩城はみらいの方に向き直った。2人の視線が交錯する。

 「みらい。ちょっとばかり場所を変えねぇか。見ての通りここは工廠だ、いつまでも騒いでたら他の工員の邪魔になる。ここを預かる者として、あんたとサシで話がしたい」

 「えっ!?」

 みらいは突然の申し出に驚いた。いきなりこの司令官と1対1で話し合いだと。まだ目の前の状況がさっぱり呑み込めないが、何か打開策が必要なのはみらいも完全に同感だ。とりあえず、相手の出方には気を付けつつもここは素直に乗っかっておくべきか。

 「はっ、はぁ…。分かりました」

 「提督、秘書艦として私もお供いたします」

 すかさず神通が申し出るが、岩城はそれを手で制する。

 「いや、大丈夫だ。神通、お前はこの後駆逐艦どもの教練が後に控えてるだろ。今はそっちの準備を優先しろ。俺の方は構わん」

 「よっ、よろしいのですか?」

 「大丈夫だ。急がねぇと、教官のお前が演習に間に合わなくなるぞ。それと米倉」

 「ハッ!!」

 先ほどからずっと後ろの方で話の行方を見守っていた米倉が、岩城の方に向き直る。

 「いつも通り、ここの担当作業員に指示してドック周辺を整頓しとけ。合わせて、ドック内の電力系統も正常に動いているかどうか確認しろ。万が一異常があった場合、その場で処置が可能であればお前の判断で適宜対処してよし。無理なら施設課に連絡、俺にも一報入れろ。全て終わったら、改めて内線で執務室まで結果を報告するように」

 「Aye, sir!(了解!)」

 米倉がそう答えると、岩城はもう一度手を大きく叩いた。

 「さぁお前ら、いつまでも油売ってる暇はねぇぞ。総員、別れ!!各個配置に戻れ」

 先ほどよりもさらに音量の大きな「Aye, sir!」が工廠内に響き渡ったかと思うと、その場にいたみらい以外の面々は名残惜しそうにしつつも、それぞれ散っていった。みらいは米倉、と呼ばれた軍人の方をちらりと見る。何やら聞き慣れた苗字だとは思っていたが、ここからは角度的によく見えないものの、どうも顔立ちや雰囲気も誰かに似ているようだ。単なる他人の空似、だろうか。

 「どうした。行くぞ、みらい。今のあんたは人間の姿なんだ、いつまでも水の中にいたら風邪ひいちまうぞ」

 見ると、岩城が目の前に立って立ち上がるように促している。ふと自分の背後に目をやると、みらいはずっと水の湛えられた中に座ったままだった。慌てて立ち上がった拍子に、水滴が彼女のスカートやソックスから滴り落ちる。そのうち、どういうわけか自分の制服があっという間に乾いてしまったのにもみらいは目を丸くした。

 

 「あんた、もしかしてあの米倉って軍人が気になるのか?しきりと目をやってたようだが」

 ともに工廠を後にしてしばらく歩いたところで、岩城がふとみらいに尋ねた。

 「へっ!?あぁ、いや、その…。たぶん気のせいだと思いますけど、自分の知り合いになんだか似ていた気がしたので…」

 みらいの答えに岩城は「ほう」と呟くと、誰に言うでもなく言葉を続けた。

 「あいつは、補給課のトップを任せている大尉の米倉薫って奴だ。主にあそこのドックで、兵装の新規開発や製造の進捗管理を担当してる。雰囲気は若干ナヨッとしてるが、あぁ見えて仕事は結構できるんだぜ」

 「米倉、薫…?不思議ですね。まさか、雰囲気どころか名前まで一緒だなんて」

 「同姓同名の奴がいたんだろ?()()()()()()()()()()()()()()()

 「…、えっ!?」

 みらいは驚いて、思わず岩城の顔を見上げた。米倉薫一等海尉は、確かに彼女もよく覚えている隊員の一人だ。砲雷長こと菊池雅行三等海佐に続き、彼はCICで水雷長を務めていた。そのNo.2ともあろうお方が、1942年にタイムスリップして間もなく、ガードフィッシュに魚雷を発射された際に勝手に自己判断で応戦し、アスロックを無許可でぶっ放した時はどうなることかと思ったものだった。………元々は、射撃管制装置の鍵を誤って解除していた菊池三佐のせいでもあるが。そうでなければ、本来アスロックは発射できなかった。

 だがそれよりも、どうして眼前のこの男が自分の乗員のことを知っているのだろう。そもそも、自分が護衛艦だった時の話は乗員たちのことも含め、まだ一度も口にしていないというのに。不思議がるみらいを見つめながら、岩城は苦笑しつつ語った。

 「さっきは悪いことしたな。うちの連中があんたを変人みたいに扱ったりして。あんたにああやって孤独な思いをさせるのは、俺としても正直本位じゃなかったんだがな」

 「いっ、いえ…」

 まだ驚きの冷めやらぬみらい。岩城が次に口にしたセリフは、そんな彼女にさらなる驚きを与えるものだった。

 「ただ、安心してくれ。あいつらは恐らくあんたのことを、意味不明な妄言をまき散らす変人か何かみたいに思ったかもしれないが、じゃあ俺はどうかというと実はそうじゃねぇんだ」

 「っ…!」

 「さっきはちょっとばかり理由があってわざとすっとぼけてたが、あんたの言ってた話の半分くらいは俺自身理解してるつもりだ。実は、あんたが何者であるかも俺はある程度気づいてたんだ。あんたが目覚めて自分の名を名乗る前からな」

 「あなたが、私のことを知ってる…?…、って、それならなんでさっきはあんな勿体ぶった聞き方なんてしたんですか!?」

 みらいが岩城に食って掛かる。

 「悪い悪い、うちの内規でそういう風に聞けと決まってんだ。『新規に建造された艦名未確認の艦娘が目覚めた際には、将官たる者は礼装にてこれを出迎え、艦種と艦名を本人に確認せねばならない』とな」

 「かん…むす…?何ですそれは」

 怪訝そうな表情でみらいが問いただすと、岩城はニヤリと笑った。

 「その辺の詳しい説明も含めて、あんたとサシで話したいとさっき言ったんだ。…、安心してくれ。あんたは大事なお客様だ。悪いようにはしねぇよ。ほれ、到着だぜ」

 岩城の指示したその先では、「執務室」と書かれた表札の突き出た部屋のドアが、閉まった状態で待ち構えていた。




「国防海軍を知らない護衛艦娘」と「海上自衛隊を知らない戦艦娘」が出会ったら…。そりゃまぁこうなりますよね。金剛の性格のよさのお陰で救われた感じになってますが。みらいと金剛はこの先よき友人となる予定なので、早いとこ仲直りさせてやりたいとは思ってます。

そして、岩城のビジュアルについての情報もここで断片的ながら明らかになりました。少なくとも彼の口調に関しては、割りと次元の話し方をイメージしてます。うまく伝わってくれていたら嬉しいですね。まぁ、そんな彼もそのうちアメリカに行っちゃうんですけど…。

次回はいよいよ、ジパングサイドからメインキャラのあの二人を出そうと思います。また、原作ではちょこっとしか触れられていないあの船たちも、そろそろ顔を出しますので、どうぞお楽しみに。それではまたお会いしましょう。

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