いやぁ、今回はなるはやでと思って頑張りましたよ。感想もらえたって言うのが大きいですけどね‼
ささ、今回もまた楽しんで貰えたら幸いですね。ではさっそく参りますよ~。
暖かい布団でぐっすり寝る‼ こんな楽しい事が他にあるか‼ とか、誰かがそんな感じの事言ってたけど、本当にそれだけでもいいもんだよな。
質の良い睡眠は道具からって言われたらもう納得するね。
と、前置きしたところでやはり西洋の部屋は落ち行かない。って言うか俺からしたら豪奢過ぎる気がしないでもない。
昨日は風呂と軽く食事を頂いて夜ぐっすり寝た。メイドの人は常時俺を睨んでくるし、落ち着けるものではなかったけどな。
朝ですよ。新しい朝が来た。良くも悪くも嫌でもやってくる。
だからと言って何だと言う感じだろうが、今日は布団から出る気分じゃない。
即ち寝ると言う事だ。おやすみなさい。
********
「起きなさい」
「………」
「起きなさいもう昼ですよ」
「…………」
「なるほど。わかりましたそのような態度でしたらこっちもそれなりの対応を取らせて頂きます」
「……………」
「では。お覚悟を」
またか。あの世界が変わる感覚。
「はぁ、強引すぎるでしょ」
「お嬢様のご命令です」
「なんて言ってたんだ? 」
「今朝お休みになる前に、『放っておいたら布団から出ないつもりでしょうから、昼間は門番でもさせてなさい。昼までは部屋に居させても良いわ。但しそれ以降は無理矢理でも部屋から引き摺り出してでもやらせなさい』との事よ」
「さいですか。はぁ、面倒だ。まぁ、どうせ戻ろうとしてもやらせるんだろうから大人しくやってますよ」
「殊勝な心掛けね。あと『数日ここでの生活を提供するけどその代わりここの住人と言葉を交わしなさい』だそうよ」
「あのお嬢様とやらはホント良い性格してるよ。俺の気分とかわかってて言ってるんだろうからな」
「貴方の状況を鑑みての特別対応です。早く行きなさい」
「はいはい。すぐそこなんで睨まれなくても行きますよ」
なんであの人俺を睨むかねぇ。はー怖い怖い。
昨日は暗かったから見てなかったけど、ここほんと立派な屋敷だよなぁ。
こうやって門の一つみてもご立派だね、ほんと。
「ようこそ、今日半日よろしくお願いしますね」
「はい、何か出来る訳ではないけどよろしく」
「とりあえず門番はここに経って一日不審者が来ないか見張り、もし来た場合は撃退するって感じのお仕事です。と言っても基本的には侵入者なんて来ないんですけどね。なので、私はここで稽古していたりしています」
「そうですか。わかりました」
「地味で暇だと思いますが頑張りましょう‼ 」
「はい、よろしくお願いします」
********
~ 一時間後 ~
「門番が寝ていいのか…」
三十分も経たずに寝たぞ……。
この屋敷セキュリティ甘すぎるんじゃ?今の所なにも来てないし、来る気配もないし心配ないんだろうけどさ。
「いい訳ないでしょ。早く起こしなさい」
「またアンタか。いい加減そのなんだかよくわからん能力使って現れるのをやめろ。心臓に悪い。ってアンタが起こせばいいだろ。俺は女性に触るの苦手なんだよ」
「お嬢様は言葉交わせと言ったのよ。それは貴方にここの住人から何かを得なさいと言う事と同義だわ。貴方から動かなきゃ何も変わらないわよ。しっかりしなさいな。私は仕事に戻るけどサボらないように」
「またいなくなったよ。はぁ、気乗りしないなぁ」
「大丈夫ですよ。起きましたから」
「あぁ、そうですか」
「大変ですね。いきなり来てこんな事する事になって」
「まぁ、そうですね」
「………」
「…………」
あぁ、なんて気まずい空間だ。
いや、別に無言でいる事が気まずいって訳ではない。俺は空でも眺めてればいいんだ。それで時間が過ぎてくから。
隣の人が何とかしようとしてくる空気に充てられるのがまずいんだ。
気まずさを感じて何とかしようとしてる人と同じ空間に居る事が気まずい。
「あ、あの……失礼なんですけど何でこんな事してるんですか? 」
「あ~、聞いてないんですか?お嬢様とやらの命令だそうですよ」
「なるほど。お嬢様の命令であれば仕方ないですね」
「えぇ、まったく」
「…」
「……」
サクッ
「ナイフかぁ…」
「あれ?おかしいな。寝てないのに…」
「多分俺でしょうね。ま、命令の中にここの住人と話せってのがあったからそれをしろって事なんでしょうね」
「あぁ、そうだったんですか。それじゃあ何話しましょうか」
「いや、俺は人と話す気分じゃないんだよなぁ」
「じゃあ、私から聞いても良いですか! 」
「は、はいどうぞ」
何だこの人わんこ系か?
「あのですね。貴方の立ち振る舞いを見てて思ったんですけど、格闘技か何かやってましたか? 」
「一応…まぁ、優秀な弟がいたんで居づらくなったんで辞めましたけどね。……それ以降は戦い方は教わってましたけど…。よくわかりましたね」
「大体その人の体の使い方や歩き方などを見ればわかりますよ。伊達に武術を嗜んでいる訳じゃないですからね
「あぁ、なんとなくわかります。強いかどうかとか何となくでわかりますよね」
「ええ、手合わせを偶に申し込まれるんですけど、構えた段階でだいたい勝負の結果が分かると言うか」
「貴方に挑むとか命知らずな人間がいたもんですねぇ」
「もちろん試合形式ですから血生臭い事にはなりませんけどね。わざわざここに来ているので正面からお相手してますよ」
「はぁ、物好きですね」
「と、言う訳でお手合わせ願えませんか」
「嫌です」
「えぇ~、何でですかぁ」
「怪我しないように力を加減出来る自信がないからです。今の俺はこの世界に来てから人から離れた力を得たんですよ。それを乱雑に振るうだけでも大きな力を発揮した。それを俺が身に着けている戦い方を本気で使えば殺しかねない。かといって貴方に手加減できるほど俺は鍛えてたわけじゃない。ましてや手加減して勝てるほど貴女弱くない」
「だから嫌なんですね。わかりました。ではしましょうか」
「あの…話聞いてました? 」
「まぁ、聞いてはいましたけど…何か悩んでいるようですし、体を動かすついでに。貴方の事を知るのにも丁度いいですし……」
「でも嫌なんです。今人と基本的にかかわりたくないんです」
「いや、私妖怪ですから」
「いやそうなんですけど。何と言うか…」
「せっかく全力でお手合わせ出来そうだったんですけど……」
「いやっ、そこまで暗くならなくても。……まぁ、軽い手合わせくらいなら良いですけど…」
「本当ですか! では、いざ尋常に! 」
あぁ、いやだなぁ。口で語らず拳で語る事に…。
********
何だよ結構本気でやらせるんじゃねぇか。
今の俺じゃ俺の体に振り回されて加減が難しすぎる。
これだけの身体能力を持ったことに違和感は感じてないけど、自分の体を動かしているとは思えない程の感覚。
改めて意識するとこんなにも人間離れしたのかと嫌でも痛感する。
「はぁ、もういいでしょう。俺は疲れました」
「そうですね。この辺にしておきましょうか。お強いですね。誰から教えを受けていたのか聞きたいですね」
「はぁはぁ、ふぅ。闘い方は…まぁ、昔の恩人だった一人に仕込まれたんですよ。…それにしてもよくこれだけの打ち合いをして息が乱れませんね。」
「それは伊達に鍛えてないですから‼ 」
「はぁ偉大ですね。鍛錬って言うのは」
「そうですね。毎日鍛える時には自身と向き合い、そして周りの自然の流れも感じ取ることを意識してますから。貴方もそれだけの武道を嗜んでいるのならそうではないですか? 」
「どう……でしょうね。昔はそのつもりだったのかもしれないですけど、今は絶対にそんな事はないですね。向き合うべき自分も見るべき周りもわからなくなってますから」
「きっとここに来る前に何かあったのではないかと言う事は容易に想像出来ました。正直あまり察しが良い方ではないので何か上手い事は言えないですけど、少なくとも表情が少し明るくなって笑ってくれたのは安心しました」
「笑ってました? 」
「ええ、打ち合いをしている時はとても楽しそうでしたよ。拳の鋭さが増すほど、拳がぶつかるほど笑顔になっていましたよ」
「はぁ、あんまり覚えてないですね。加減するのに必死だったんで」
「じゃあ無意識に出た本当の笑顔って感じですかね」
「どうでしょう。自分ではわからないので何とも」
「まぁ、ここに来る前の貴方に何があったのかわからないですけど、辛かったりする時は辛いって声を上げてぶつかってみれば良いんじゃないですか? もし本当に相手も自分も大切に思っているなら、そうやってぶつかったりぶつける事もきっと大切な事だと思いますよ」
「ははっ、そんな綺麗なモンじゃないですよ。人間でのいい歳した大の大人が的外れな事を言いて駄々こねて酷い事言って当たり散らしただけですからね」
「そういう事出来る関係って素敵だと思いますけどね」
「そんな訳ないでしょう。ただお互い傷ついて苦しいだけじゃないですか」
「お互い傷ついて苦しいって言うのはそうかもしれないですけど、その辺の駆け引きなしで話せるって事でしょう? そこまで心を許せる関係はなかなか無いと思いますよ」
「そうですかね? 」
「じゃあ、その出来事の時に気を遣って話してましたか?それとも考える間もなく言葉が出てましたか? 」
「……どちらかと言えば後者かな」
「だとしたら、大丈夫ですよ。そこまでの信頼があったと思ってるんでしょう」
「俺がですか」
「ええ、もしくはよほど嫌いで縁を切りたいかのどちらかでしょう。聞いてる限りではそうとは思えませんでしたけどね」
「どうでしょうね? 」
「そうやって本音も見ないようにするから苦しむことになっているような気がしますけど……。まぁ、それは私じゃどうにも」
「ははっ、そうですね。まぁ、でももう無理ですよ」
「何でですか? 」
「散々酷い事言ったんですよ。あれも俺の本心なんで言ってしまった事は仕方のないことですけど。どうしてまた顔を合わせに行けますか」
「行けないですか? 」
「出来ないですよ」
「私は出来ると思いますけどね」
「なんでですか」
「だって今も話したくないって言ってたのに話してくれてるじゃないですか」
「いや、それとこれとは違うような…」
「私からしたら貴方は変に迷い過ぎるんですよね。なのに変な所で躊躇いが無さ過ぎる。手合わせしてみたらわかります。探り探りとかではなく無理やり押し込めるかのような形で自身の力を押さえて。そのくせして意外な所でまっすぐな一撃が出てくる」
「どうでしょう?拳が物語るモノが正確とは限りませんよ。貴方の杓子定規で判断されると…困りますから」
「でしょうね。でもみんな自分自身が積み上げてきた経験や見分で物事を判断するしかないじゃないですか。だからだから私は私の積み上げてきた杓子定規であなたを測りますよ。まぁ、それが拳を交わし合うって言うのは女の子らしくはないのかもしれないですけどね。あははは…」
「………。そうですね。貴方の価値観まで否定するようなことは言うべきではなかったかもしれませんね。すいません」
「あぁ、そんな謝らないでください。私だって私の価値観の押し付けみたいなものですから一個人の意見って事で何かの参考になればいいなって…余計なお世話でしたか? 」
「いや、少なくとも話せただけ楽になったような気がします」
「それなら良かった。いやぁ、偉そうな事言っても私はそんな出来てる訳じゃないんですけどね」
「いや、あんたは良く出来てる妖怪だと思いますよ。俺みたいなどっちつかずの半端モンよりは十分しっかり軸がある」
「そう言って貰えると嬉しいです。まぁ、でも私なんか」
「そこは素直に受け取るとこだと思いますよ」
「あ、笑った」
「え? 」
「また笑ってくれましたね。うんやっぱり気難しい顔してるよりも笑ってるほうが良いですよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「さ、拳を交わして仲良くなったところでもっといろいろをしましょう! …実はあまり男性とちゃんとお話する機会ってないんで色々聞いてみたいんです! 」
「一般的な男性像に当てはめると当てにならない気はしますけど…答えられる事なら」
些細な会話は陽が消えるまで続いた。途中侵入者が来たから、少し間が空く事はあったが。
*********
「さ、何か弁明はあるかしら」
「いや、事故で会って悪気はないし何よりも俺が先に居たしむしろこっちが被害者だ」
「そう。最後の言葉はそれでいいのね」
「こいつは人の話聞く気がないな」
「騒がしいわねぇ。良いのよ咲夜、私が先に入るように言ったのだから」
「しかしお嬢様!」
「良いと言っているでしょう。下がりなさい。二人にして頂戴」
「……………わかりました」
「ごめんなさいね。私のメイドが迷惑かけたみたいで」
「だと思うなら予め説得しておいてください」
「そうね。ごめんなさい」
くすくす笑ってるなよ。
食事がすんだ後先に風呂に入っていいて言われたから入ったんだかさっくりやられるところだった。
サラッと俺の隣につかりに来る辺り余裕を感じるな。全くもってこいつの意図が分からない。
「今日一日…いや半日門番をしてみてどうだったかしら? 」
「めちゃくちゃ嫌だった。人と話すのも、誰かと同じ空間に居ると言うのも嫌だった」
「そう」
「でも、やらなきゃならんからやった。それだけだ。思ったより悪くなかったとは思うぞ。門番としての仕事はしたしな」
「そうじゃないのよねぇ。……美鈴と話して得た物はあったかしら? 」
「さぁね。まぁ、ただあんだけ自分の芯のある人は羨ましいと思うよ。自分にはない物だからね。羨ましいと言うよりは憧れる一つの形だと思う…かな」
「あら?それだけ? 」
「そうだよ。それだけだ」
「そう…。まぁ、それならそれで構わないわ」
「何を企んでいる? そもそもお前は何をしたいんだ? 何が目的で俺をここに連れてきた? 」
「あまり乙女に質問攻めは優雅じゃないわね。でも、そうね……強いて言うならバットエンドを回避する為かしらね? 」
「何を言っているんだ? 」
「貴方はいろんな妖怪たちを巻き込み、流れを変え、そしてその流れから去ろうとした。でもね。流れの大本がその場から去ったところで何も変わらないわよ? それにもともとあなたが抱えてる運命にもそろそろ向き合う時が来ているようね」
「まだ何があるってんだよ。ここまで色々あってまだあんのかよ」
「貴方の運命は人間が抱えるには複雑すぎるの。まぁ、たとえ妖怪でも……。ま、多く語り過ぎてもいけないわね。でも少なくとも私達としてもその運命には無関係ではいられないからね。仕方がなくこうやって慈善事業みたいな事してるのよ」
「頼んでねぇんだが? 」
「頼まれてやるのは慈善事業ではないわよ」
「違いない」
「さ、慈善事業の対価としては何だけど私の酒盛りに付き合いなさい。丁度いいワインを用意したのよ」
「対価を要求するのは慈善事業ではないと思うぞ? 」
「それもそうね。でも、利害は一致してるんだし良いじゃないの? いちいち聞くのは無粋よ」
「そうか。じゃ、図々しく頂くとするかね」
「ま、貴方のような人からワインを勧められるのも面白いかしらね」
「なんだそりゃ? まぁいいや。じゃ、着替えて飲むか? 」
「いいわね。じゃあ素敵な肴を用意してもらえるのよね」
「………わかったよ。アンタこのまま出さないって言ったらあのメイド嗾けるだろ」
「どうかしらね」
「簡単な物しか作らねぇからな」
「美味しいなら良いわよ」
「飯屋元店主なめんなよ」
「期待してるわ」
~ 鷹崎仁 幻想郷滞在期間 残り3日 ~
**********
「おいおい。誰の差し金だ?僕は地底から出るように画策はしたがあんなとこに行かせるつもりはなかったんだけどなぁ」
地底で起こった事の顛末はしている。もちろん当事者だからだ。
しかし今の所望ましい本筋からはズレてしまっている。
「まさかあの紅魔の吸血鬼が手を貸してたとは思えないし、当初の予定では怒りに任せて馬鹿な鬼達を殺していたはずなんだけどなぁ」
「ましてや、吸血鬼が関わりに行くなんて思ってなかったし…あそこ侵入すると面倒だろうしなぁ」
ちょっとちょっかい出しに言ったけど面倒だったしね。
「かといってなにもしないわけにもいかないんだよねぇ」
「しょうがない。今は少し待つべきか」
「仁。君には苦しんで苦しんで苦しんで苦しみ果ててもらった後に消えてくれないと困るんだよ」
……To Be Continued
毎度のことながら最後まで読んで頂きありがとうございます。
さぁさぁ、彼はいったい残りの期間でどうするのか?…どうするんでしょうね?
まぁ、皆様の前で考えてみてくださいな。暇ならですよ?暇じゃない時に考えても意味ないですからねぇ。
ささ、なんて事言ってるようなものですがこのお話を投稿した日は私にとって特別な日なんですよね。と言う訳で今日中にもう一回何か起こるかも!……っても書いて出すくらいしかできないんですけどね!(笑)
と言う訳で、また次のお噺でお会いしましょう。さようならさようなら。