好きで小説は書いてるんで楽しいんですけどね。
あ、あと閑話の扱いについてちょっとまとめたのでこのお噺の注意点の所を確認してみてください。
はい、という訳でとうとう本編10話です。
今回で1話から1ヶ月半くらいですかね。
当初はこんなにハイペースで書きつづてけてる事になるなんて思ってませんでした。
総文字数やら平均文字数を見て気がついたらこんなに書いてたの⁉︎って思いました。
こんなネット小説にしちゃ文量が多いお噺を読んで下さり、またお気に入り等などもしてくださった方など本当にありがとうございます。特にお気に入りは当初目標にしてた10人に手の届きそうになっていて驚いています。これからもゆるゆる面白いお噺を書いていけるよう精一杯やっていきますので応援よろしくお願いします。
今回のお話は閑話の前のお噺と合わせて2つで1つの物となっています。読んでない方はそちらも・・・いえ、ぜひ最初から読んでみてください。(笑)
という訳で記念すべき(本編)10話目をどうぞお楽しみください。(いつも通りのお噺です。特に何かした訳ではない)
さて。作ると言っても、もうほとんどの下ごしらえは出来ている。でも一応確認。
「2人とも苦手な物とかってありますか?」
「特にないわよ。好き嫌いはしないもの」
「私も特にありません」
う~ん、紫さんはともかく藍さんは警戒心むき出しだなぁ。
敬語でそっけなく言うなんてある意味わかり易くて正直な性格だと思うけど。
さって、苦手な食べ物もないようなので、ちゃっちゃと作っちゃいますか。
俺が今回作るのはおいなりさんこといなり寿司だ。
俺の作った試作の中に偶然いなり寿司があったのだ。これは女の人・・・と言うかさとりさんやこいしちゃんみたいな口の小さい人でも一口で行けるサイズにしている。
醤油、酒、みりん、出汁に漬けた油揚げに酢飯を詰めるのが基本的なおいなりさん。
わざわざ来てくれた紫さんと、俺が仲良くなりたい藍さんにせっかくならと言う訳で特別バージョンにす。
熱々のごはんにアサリを混ぜた物を油揚げに詰めた後に少しの塩とお酒をかけた物、鶏胸肉を塩麴に1日漬けて蒸した特性の鶏ハムと青ネギとゴマをを細かく刻んでごはんに混ぜ合わせ、それを油揚げに詰めた後に鶏ガラスープと酒を混ぜそれを注いだ物を用意する。
で、アサリと鶏ハムのおいなりさんは油揚げの口を下に向けるのではなく上に向けたまま両サイドから3分の1ほどの所に切り込みを入れ、その切込みにかんぴょうを通し結んで、3分ほど蒸す。
それぞれ一口サイズなのでで2個ずつ。計12個のおいなりさんを6個ずつ2つのお皿に盛って、しっかり出汁を取った油揚げとほうれん草のお味噌汁を一緒に出せば完成‼
「お待たせしました‼スペシャルいなり寿司セットです。わざわざ来てくださったお礼にご馳走しますのでどうぞ遠慮なく」
「あら・・・・、思っていたよりかなり良い物が出て来たわね、藍」
「おぉ・・・・・」
藍さんが目を輝かせている‼やっぱり狐の妖怪だけあって油揚げ好きなんだな。
これは偏見なのか?いやそんな事ないだろ。
「ちなみに、左からアサリ入り、鶏ハム入り、普通の出汁に漬けた揚げで包んだいなり寿司になってます。左から順番に熱いかもしれませんけど小さいので一口で食べるのをお勧めします」
「なぜ?」
「食べてみたらわかります。って言っても左から温かい内に食べて貰いたい物だからってだけなんですけどね」
「そう、それじゃあ、いただきましょうか。ほら、藍、いつまでも眺めてないで食べるわよ」
「はっ、すいません。まりにもおいしそうだったのでつい・・」
「良いから食べるわよ。冷めちゃったらもったいないわ。はい、両手を合わせて」
「「いただきます」」
うーん
美女2人が並んでいただきますをすると、とても美しいものだ。
やっぱ所作の美しさはこういうのから滲み出てくると思う。
「あらこのアサリのはなかなか大人の味ね。味はシンプルだけど、アサリの出汁とお酒が良い感じに合わさってとてもおいしいわ」
「ありがとうございます。アサリの酒蒸しからヒントを得て作ったんですけど上手く出来たみたいで良かったです」
「それに一口サイズって言うのもポイントね」
「そうですね。そっちの方がアサリの風味とお酒の香りが同時に美味しく感じられると思ったので」
そしてアサリとお酒のうまみが塩でいい感じになっている出汁を吸った揚げも美味しくなっているはずだ。
「考えられてるわねぇ」
「即興で貴様がこれを作ったのか?」
「美味くなる組み合わせかどうか、大体どれだけの割合で作ればいいかは今までの料理経験で大体わかるからね。即興って言っても、それら経験をかけ合わせて作っただけだよ」
「ふん、そうか」
「ふぅん。あら藍、自分より美味しい油揚げ料理を作られて悔しいのから」
「そんな事はありません!それにまだ2種類残っています1つ食べただけで判断は・・・」
「ん、2つ目の鶏ハムもいい味してるわね」
「紫様!?」
「せっかく作ってくれたんだから美味しくいただきなさいな。あ、いらないのなら私が貰うわ」
「いえ、、そう言う訳では・・・」
「それなら、変に意識せずに純粋に楽しんで食べなさいな」
「はい・・・」
「あ、一応冷たい緑茶です」
「ありがとう。ちょうど喉乾いてきたのよね。お味はどうかしら、藍?」
「美味しいです。ハムに塩気があるのでネギと鶏ガラスープにしっかりと合って美味しいです」
「お口に合ったようで良かったよ。ちなみにそれはどちらかと言えば一口て食べられる鶏飯って感じのイメージだからおいなりさんっぽくはないかもね」
「そんな事気にしないで良いのよ。美味しければ」
「そう言って貰えると助かります」
「さて最後のだけど、普通のみたいねぇ。前2つが工夫を凝らしてあっただけにちょっと地味ねぇ」
「紫様、これが基本的な物なのでそんな事言っては・・・」
「まぁ、食べてみてくださいよ」
普通と思って侮っちゃいけませんぜ、紫さん。
「そうね。いただきましょうか。あ~ん」
「そうですよ。普通のだって美味しいですから・・・」
「「!?」」
それに普通の見た目ってだけで、誰も普通のやつだなんて言ってないぜ。
って言ってもそんな大したことはしていない。
梅干を漬ける時に一緒に漬けた赤シソを俺なりの方法でふりかけにした、自家製のふりかけをご飯に混ぜただけ。
夜だからあっさりしてるとはいえ割と味のしっかりした物だったからね。最後はさっぱりしてもらおうかと思ったんだけど
「いなり寿司が狐の要素がある藍さんにぴったりの料理だったんですけどね。それだけじゃあちょっと面白くないので美味しく紫さん要素を足してみました。俺なりの遊び心ですよ」
ホント俺ってやれるときはやれるいい男だな‼
・・・・世の中が俺に厳しいからね。俺だけは俺を褒めるようにしてるんだよ。
「あら、嬉しい心遣いね。即興で作ったとは思えない位の工夫ね。ぜひ藍にも見習わせたいわ」
「藍さんはアドリブが苦手なんですか?」
「そうね。頭話良いんだけど創造性に欠けるというか自主性が欠けているって言うか・・・。まぁ、とにかくそういった類が苦手なのよね」
「ゆ、紫様‼そのような事は・・・」
「あら?それなら貴女も同じ状況になったらこれくらいの事はやって貰えるのかしら?」
「うっ。それは・・・その・・・」
「今回はたまたま出来たからやれたってだけで、俺もいつもこんなにやれるとは限りませんよ」
「まぁ、そうね。でもやれるからやったって言うのもすごい事よ。・・・あらあら藍は今日はよく膨れるわねぇ」
「紫さんのせいでしょ」
「あら貴方の方にも原因はあるわよ?」
笑顔で何言ってるんですかねこの人は。それならこっちも笑顔で返してやりますよ。
ア ン タ が 原 因 だ よ ‼
「まぁ、いいわ。この味噌汁も出汁がしっかりして美味しいわ。いい旦那さんになるわよ」
「俺、嫁さんにはご飯作って貰いたいタイプなんですけどね」
「あら、相手はいるのかしら?」
「いる訳ないでしょ。こんな俺にいたらびっくりですよ」
「そんなに謙遜しなくてもいいじゃない」
「謙遜も何も。元々モテるタイプじゃありませんから」
「またまた~」
「反応が親戚のおばさんと一緒だなぁ」
本当にそっくりだよ。会う度にやるから3回目くらいから苦笑いしかできなかった記憶がある。
そして多分今苦笑いだろう。
「おばさん・・・。おばさんねぇ・・・。そんなに老けて見えるかしら」
「いや紫さん見た目は相当お若いですよ。まぁ、感性が古めの人間だっていますし気にしなくても良いんじゃないですか?」
休日の楽しみが笑〇見ながら、お題に対して1人で飲みながら答えを考える事って思ってるような人間もいるんだし。
え?誰かって?誰だろうね?え、俺だよ?
「・・・まぁ、いいわ。ごちそうさまでした。とても美味しかったわ。来て正解だったわね」
「ごちそうさまでした。そうですね紫様。とても美味しかったです」
「お粗末さまでした。はい、温かいお茶です。皿お下げしますね」
「あら良く出来た店員さんね」
「どっちかって言ったら店長ですけどねぇ。申し訳ないんですけど皿先に洗ってきていいですか?」
「いいわよ。ゆっくりお茶でも飲んでるから。ね、藍」
「はい、紫様」
「それじゃ、ごゆっくり」
さてさっと洗っちゃおう。
皿洗いをしている時って水流すと結構会話とか聞えなくなるよな。
後ろで何やら2人で話しているけど何話しているんだろう。
とりあえずこの後はちょっと紫さんに個人的にお話がある。
「お待たせしました。何話してたんですか?」
「ん~、何でもないわよ~。で、何か話したい事があるんじゃないの?」
「さすが紫さん察しがいい。じゃあ、さっそく」
「なんでいいわよ~。美味しいご飯もご馳走になったし」
随分気分がよさそうだ。そんなに気に言って貰えたのかな?それなら良かった。
まぁ、そんなところに水を差すような真似をしてしまう訳だけども。
「紫さん俺の何を警戒しているんですか?」
「あら?私が貴方を警戒?なんで?」
さっきの決闘で、藍さんを無理やり黙らせた時のような緊張感が部屋に広がった。
まぁ、だからと言って怯む訳でもないんだけどね。うん本性って感じがしていいじゃん。
「何でって言われてもな・・・・。話している時の挙動1つ1つに違和感が混ざってたからって所ですかね。初めて話した時はいろいろ俺が聞いたから疲れたのかな?って思ってたんですけど、今回も同じような反応が混ざっていたからこれはやっぱ何か警戒しているなと。例を挙げると、俺と話すときたまに口元ちょっとだけですけど強く締める事があるんですよ。気がついてました?」
「・・・・。そんなつもりはないのだけど?ほら今日も一日外に出歩いてたからこの時間になると・・・・ね。少し眠くなるじゃない?あくびだって噛み殺すわよ」
うわぁ、緊張感は緩んだけど正直胡散臭い。隠す気満々だな。
藍さんと違って隠したりするのは上手いんだろうなぁ。
「それはあるのかもしれないですけど、今の俺はその可能性は低いと思ってます」
「なぜ?」
「紫さんが俺の店に来た時に言葉を選んで誤解されるような言い方したじゃないですか。藍さんが監視してるのを把握していて、突撃して戦う流れを作りたくてワザとああ言ったんじゃないですか?目的は幻想郷から外の世界に帰らず暮らし始めた俺の力の把握をするためにって所ですかね?」
「実に面白い読みだ事。でもそれは貴方の妄想でしょ?」
「うーん、これまた手厳しい。じゃ、それに関連しているであろう証拠でも見せたら話してもらえますか?」
「あらそんなものあるのかしら?あるんだったら見せて欲しい物ね」
「じゃ、藍さん少しいいですか?」
「・・・・なんだ?」
多分この人は紫さんの式と言う事で、主がが現在隠している事は同じく隠すしボロを出すまいとするだろう。
「俺が幻想郷に来てから・・・、約2週間ぐらいですかね?ずっと俺の事見てたって言うか監視してたでしょ?」
「いや、そんな事はしていない」
だよな。やっぱりそう来るよな。俺が同じ立場だったら動揺もせずにしらを切るだろうね。
でも俺は見られ続けてたら感覚的に視線を感じとってしまうからわかる。だから、見られ続けるのは嫌いなんだ。
「あら?それだけ?何もないのかしら?」
「紫さん、ちょっと面白い物が見れますから待っててくださいね。さて藍さん、では少し頭をこっちに出してもらえますか?そう・・・もちょっと前に・・・。はいそこで良いです」
「⁇何をするんだ、貴様⁇」
「藍さんあらかじめ言っておきますね。ごめんなさい。そして失礼します‼」
「貴様は何を・・・‼‼!?‼!?」
俺は藍さんの頭の匂いを嗅いだ。風呂上りで来たんだろうか?
・・・うん、文章にすると俺相当ヤバイ事してるなって言うのが分かるね。
「え?貴方ちょっと何してるの!?」
「なんあんあななんあなななな‼‼」
藍さんの驚き方は面白いなー。バグってるみたいだ。
紫さんも驚きを隠せないようだ。何をしているんだと言わんばかりの目で俺を見ている。
ホントに何やってんだろうね、俺。でも今回はこれが一番紫さんの目的を暴くには最適解だと思った。
「うん、この匂い・・・。やっぱりここ2週間の間に視線を感じた所で何度も匂った獣臭い感じの匂いと同じだ。やっぱり藍さんがずっと俺の監視してたんですね?」
「な、いきなり何をするんだ貴様は‼しかも挙句に獣臭いだと‼私はちゃんとこの2週間の監視中もちゃんと身だしなみに気を遣ってたし、今日も風呂に入って身は清めて来た‼だからそんな臭いがする訳ないだろ‼」
ビンゴ‼藍さんは真面目でちょっと潔癖気味な感じがしたから引っかかると思った‼
なんだけど・・・・
「うううん、そそうだねそんな臭いはしないよ。石鹸のいい香りだったから獣臭くなななんて全くないよ。お願いだから肩をつかんで揺らすのは・・・いったんやめてもらえないかな!?」
喋りにくくて、話が進められない。
「はい、藍。一端ストップよ。ほら1回座ってお茶でも飲んで落ち着きなさいな。・・・・貴方なかなか酷い事するのね」
「ふぅ、ありがとうございます紫さん。って酷いと言いつつも紫さんの顔がとても緩んでいるように見えるのは気のせいですかね?」
「あら?そんな事ないわよぉ。あぁ、藍がかわいそうだわぁ」
「ううう・・・・・・」
紫さん・・・・。多分アンタが1番ひどいと思うよ。いや俺も人の事言えないか?
藍さんには後で改めてお詫びしますがそれよりも先にケリをつけたい。
「で、たった今、藍さんが自白したようなもんなんですけど、まだ話してもらえませんか?」
「あら?なんで私に聞くのかしら?今の流れだと藍に聞いた方が適切じゃないかしら?」
「いや、藍さんの性格的に自分から俺の事を監視って考えにくいんですよね。さっき紫さんが言った通りなら自主性に欠けるんでしょ?それに事実確認を行わず俺を処理しようとしてくる辺り自立して行動できるとは言えまだ思考的に浅い部分があるみたいですし・・・。それだったら誰かに指示されてってなりますよ。そうなったら紫さんを思って突撃してくる式で尚且つ主が紫さんだったら命令主は紫さんだなって思うのは普通じゃないですか?」
これで違ったらもうわからん。まぁ今回に限ってそれはないとは思うけど。
「・・・・・」
「沈黙は肯定って採りますけど良いですか?」
「ふっ、あははははは、ほんと面白いわね貴方。概ね正解よ」
「紫様!?」
「貴方はいったい何なのかしら?ここまで私の事を見透かすような真似をする面白い人間は多分初めてよ‼」
「それ褒められてます?」
「えぇ、とっても。なんだか変に警戒していたのが無駄に思えて来たわ。あ~あ、こんなに面白いんだったらもっと早く来ておけばよかったわ」
「で、なんで藍さんを使って俺なんかの監視を?」
「単純に違和感のような物を感じたからよ。幻想郷に害を成すなら早く処理してしまうに越したことはないから。何かを起こされてからじゃ面倒なのよ。ただ今話したりしてわかったけど、貴方に警戒する要素はなかったわね。取り越し苦労だったってとこよ」
「知らぬ間に死んでもおかしくない状況だったのか・・・・。誤解がとけて良かった。って今の俺にどうこう出来るような事もないですし、幻想郷に仇をなそうなんて思ってないですから安心してください」
と言うか俺ここに来てから知らぬ間にピンチが多くないか?
知らぬ間に食い逃げされそうになったり、命狙われたり。
おい、大丈夫なのか?俺。そのうち本当に死んじゃいそうだな。
「そうみたいね。あ~あ、人間に見透かされる日が来ちゃうなんて・・・。貴方はいったい何者なのかしら?」
「頑張って集まってる手元の情報を無理矢理繋げたらたまたま今回はつながっただけですよ。それに俺はノリで始めた食事処の店主ですよ。ちょっと変わってるだけのね」
「それをちょっとで済ませていいのかわからないけど、まぁいいわ。いつまで居るか分からないけど、楽しんでいきなさいね」
「そうさせてもらいます。いやー、監視され続けてた問題と俺の疑問が一気に解決して、よかったよかった」
「あら、まだ解決していない問題もあるわよ?」
「え?何ですか?」
「忘れちゃってるの?目の前にあるのに?」
「目の前?ふむ・・・・皿も片づけましたし、お茶も出した・・・」
「いやねぇ、藍を辱めておいて何もないの?」
「あ゛っ」
「・・・・・・・」
ああ、藍さんが凄い目と言うか顔で俺の事を見ていらっしゃる‼まさしく鬼のよう‼
まぁ、いきなり頭を嗅がれた上で、嗅がれた理由が主の化けの皮を剥がすために利用しましたじゃそりゃ怒りますよね‼ましてやその事忘れてたとなればねぇ・・・。
そりゃ、そうなりますよね~。はい、さっき言ったそのうちがすぐそこにあったわ。
こんな時にまで、化けの皮をはがすのに化かす側の狐を使ったと思うと面白いなと思った俺は大物になるんじゃなかろうか。は~い自重します。
こうなったらやる事なんて1つだ。男なら潔く速やかに。
調理場から出て、カウンターの藍さんの後ろに正座する。
ちゃんと藍さんが上座、俺が下座の位置に来るように正座する。
え?何やるかって?
決まってるだろ?土下座だよ。
「あの~、藍さん。突然頭の匂いを嗅いだりして本当にすいませんでしたぁぁぁぁぁぁ‼今あるいなり寿司全部差し上げますので許してもらえませんか‼」
「ですって藍。どうする?」
「・・・・、まぁ良いでしょう。とりあえず今すぐ包んでください」
「はい!喜んで‼」
さぁ、詰めに詰めるぞ!急げ‼じゃないと俺の命が危ない‼出来てる物を詰めるだけだからすぐ出来るけどね‼
原因は自分ですけどね‼だって意地でも紫さんの化けの皮を剥がしたくなったんだもの。
それでもやらなかったほうが良い話ですねごめんなさい。
「はい、藍様包み終わりました。どうぞお納めください」
さっきと同じ位置に正座して渡す。
30個ほどあるけどこれで足りるか?足りないって事ないよね?
「これはありがたく頂きます。これでいきなり人の頭を嗅いできたことは許してあげます」
マジで?じゃあ、これで
「ただし、忘れていた事とは話が別です」
ですよねー。
「俺もう渡すようなものはないんですけど・・・」
「別に物でなければいけないという訳ではないです。ので貴方にお任せします」
貴女にお任せしますパターンかぁ~~~~~。
難しいよ。俺のそういうのを求めるのは。
かつて可愛い人形を作って欲しいと言われた時に作って持っていったら微妙な顔をされたことのある俺だ。
多分センスがないんだろう。もちろんその時は俺が最もかわいいと思った人形を作っていったよ?
「ちょっと仁君いいかしら?」
「はい?お悩み中の俺に助けの手でも差し伸べてくれるんですか?」
「正直、藍の匂いってどんな感じだった?」
「こんな時に何言ってんだ!?」
「紫様!?」
「いやー、単純に気になったのよねぇ。もしちゃんと答えてくれたら助け舟を出すこともやぶさかではないわ」
「別に俺は良いですけど・・・。言おうとしたら藍さんに先に殺されません?」
「大丈夫よ。ね、藍?」
「・・・・。はい、紫様」
あぁ、顔俯いて恥ずかしがりながらも、主が言うからって感じでいいって返事しちゃったよ。
紫さんが主人だといろいろ苦労しそうだなぁ。藍さんお疲れ様です。ていうか正座のまま言うの?
「じゃ、本人の許可も出た事だしどうぞ~」
この人自分の式イジって楽しんでるよ。
「う~ん、って言ってもさっき言った通り石鹸の匂いが一番強かったし・・・。女特有の匂いはそりゃしたしなぁ。藍さん特有の感じって・・・」
「ちょ、ちょっと今すごい事言わなかった?女特有の匂い?」
「えぇ、なんか甘いというかなんというかそんな感じの匂いですけど。何か?」
強い弱いがあるけど女だったら、道ですれ違った時に香水とかとは違った甘い匂いがするときがある。
皆にも経験あると思うからわかって貰えると思うけど。俺だけって事はないはずだ。
女の部屋に行くと匂いが濃すぎて俺は吐きそうになった事もある。もちろん吐いてはないよ。
っても数人くらいしか女の部屋になんて行った事はないけどな。
「・・・どうぞ続けて」
「はぁ。ん~~、まぁ、強いて言うなら」
「強いて言うなら何なのかしらねぇ、藍」
「・・・・・・・」
藍さんが何かを堪えようとして黙っている。まぁ、だからと言って俺に助けの手が差し伸べられるため、止まる気はないけどな。
「例えるならですけど・・・、なんだか陽の光みたいな温かくて癒されるような匂いがした。濃過ぎずふわっと香る感じ。尻尾とかもそんな感じならぜひ抱き枕代わりにモフりたいと思った。きっととても癒されると思うから一家に一尾欲しい感じだな」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼」
「ちょっと!?藍!?」
恥ずかしさが限界だったのか藍さんが勢いよく立って左回し蹴りをしてきた。
正座だったし、何より眠かったので反応が遅れた。おかげで避けることは無理そうだ。
あー、うん、こういう時は・・・・・。
グッドナイト!明日の朝日が眺められますように・・・・いや、ほんとに・・・・・。
顔面右側に強い衝撃を受けつつ、そこでその日の俺の意識は途切れた。
いつもながら最後までお読み頂きありがとうございます。
いやー、鈴奈庵6巻を読んだんですけど紫さん、可愛かったですね。
さて、以前アンケートの中に藍さんのリクエストがあったのですが、紫さんが興味本位で送ってそうとありました。のでだったらいっそ本人も巻き込んでしまおうと言う訳でこのようは形のお噺になりました。いかがだったでしょうか?主人公は監視されてる事に気がついていたんだぜ。わからない人は本編の前回を見てみよう‼︎
さて久々?に宣伝。
活動報告にアンケートのフォーム?を作ってありますのでもしこの人物出してくれー‼︎この作者はこの人を出したら噺をどんなお噺に仕上げるんだ‼︎気になる‼︎等リクエストがあればよろしくお願いします。
またTwitterもやってますのでプロフィール?のような所にID?もありますのでよろしければフォローよろしくお願いします。進捗とか日常の何でもない事を呟いてるだけですけど、気になったら是非‼︎たまにちょっとしたアンケートとかやる予定でもあるのでよろしくお願いしま〜す。
という訳で今回はここまでです。次話でお会いしましょう。さようなら〜。