楽しんで頂ければ最高に嬉しいです。
初めての東方作品で不安いっぱいですがどうぞ。
恥の多い生涯を送って来ました。
今でも愛されている小説の言葉だ。
俺はまだ自分の人生を生涯と呼べるほど生きちゃいない。やっと20歳になってお酒が飲めるようになったのだ。そんな若造が生涯とか大げさだと思う。だけど、正直自分の人生を振り返れば恥の多い人生だったと思う。
まぁ、そんな事は置いておいてだな。俺こと鷹崎 仁はくそ眠い。
それも、目の前でヘラヘラしてるイケメン、大町亮のせいだ。
「仁~、そんな眠そうな目で俺の事睨まないでくれよー」
「うっせぇ。プレゼンの資料の作成から何まで俺が肩代わりしてやったんだ。睨まれるくらい我慢しろ」
「まぁまぁ、約束通り焼肉おごるって~。それで許してよー」
「よし、今日のプレゼンが終わり次第すぐ行くぞ」
「え?この後行くの?女の子呼べないじゃん」
「女を呼ぼうとするな。さっさと行くぞ、もう授業始まる」
「何が悲しくて男2人で焼き肉に・・・・・って睨むなよ、わかったからこの授業の後な」
こっちこそなんで仲良くもない人間と飯食いに行かにゃならんのだ。
急がないとな。スクリーンとかも用意しないといけないから早めに教室に行かないとマズいんだよなぁ。
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さて、少しだけ俺こと鷹崎仁について説明しておこうと思う。
といっても、年中学業と部活とバイトに勤しむ大学3年生。料理と裁縫が好きな眼鏡をかけた変な男だ。他にも好きなものはあるが割愛。
自分で自分の事を変とか言うのも変かもしれんが、実際変なものは変なのだから仕方がない。
ま、遠慮なく思った事とか言っちゃうから、敵視?されやすい。
身長が高くガタイもあり、「魚の死んだ目」と親から言われるような目をしているため結構怖がられる。
色々あったので人と話したりするのは得意ではない。色々の部分を話すと長くなるのでスキップ。
人と話したりするときは笑顔で話すようにしている。ただ無理してやっていたからか、後輩から顔が引きつってて怖いと言われた時はショックだった。
こんな事しか言えないような面白くない男だ。この世界に合ってないなんて思ってるくらいだ。
一応、大町亮とはそこそこの長い付き合いで俺なんかより人気者でモテる。あいつの性格というか人柄があっての事だとは思うが。大雑把に言えば本とかに出てくるスペックの高い男だと思えばいい。
そんなやつがなんで俺みたいのとつるんでんのかはわからん。
ま、たまにやらかした事を俺に持ってくるので迷惑な奴ではあるが、悪い奴ではない。
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さて、俺は無事終わったプレゼンからの解放感に拍車をかけるように大好きな焼き肉屋に来ている訳だから気分が高揚している。いったん家に帰って財布とケータイ、ヘッドホン、携帯充電器、そして何よりも大切にしている小さい綱を輪っかにしたようなお守りなどを出かける時の鞄にまとめて身軽になってから今現在に至る。
「ハラミとシロ2人前。あと、砂肝と冷麺1人前ずつ」
「まだ食うのかよ!?すでに2、3人分の分量食ってないか⁉・・・ってまぁいいや。お前のおかげで単位確定したようなもんだし好きなだけ食えよ。俺ももうやけだ。すいませーん、ハイボールとやみつきキャベツ1つずつ!」
「ここは安くて美味い学生に味方の店だから会計は安心しろ。しかし、プレゼン終わった目の前でそのチーム全員の成績が通達されるのは内心驚いた」
「あれなぁ、先輩たちから聞いたら3年前期の最大の試練だって言ってたよ。後輩にあえて言わずに笑いながら眺めるのが4年の楽しみだとも言ってた。あの厳しい先生の授業で秀判定が取れたのはまさしくお前のおかげだな。先輩たちが本気で驚いてた」
「ま、役に立ったんなら何より。おかげで俺もうまい飯が食ている訳だしな」
「ホントお前美味そうに食うよなぁ。普段からそんな表情してればモテるだろうに」
「恋愛事に興味がないわけではないが、モテたいと思ったことがないし、そんな事にうつつを抜かしている暇は俺にはない。それに俺のスペック的に彼女が出来るとは思えん」
「辛辣ぅ。でも俺たち大学生だぜ。彼女の1人や2人は欲しいだろ」
「2人いたら浮気だと思うけどな。あぁ、お前にそんな修羅場みたいな事があったらちゃんと言ってやる。いつかやるんじゃないかって思ってましたってな」
「それは、何かの事件の近隣住民インタビューの時とかでたまにある奴だよなぁ‼」
「大声あげるな血圧あがるぞ」
「誰のせいだよ。ったく、お前の美味そうな表情と喋ってたらまた少し腹減ったきたし俺なんか食お」
「あぁ、それならここの煮卵茶漬けは絶品だ。俺が保証する」
「お前の保証なら間違いはねぇな」
こうして、何気ない幸せな時間は終わっていった。
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焼肉屋で別れた後、亮とは別れた。あいつはこれから先輩たちと飲みに行くらしい。
俺も誘われたが全力で拒否した。めんどくさいから。
明日からは夏休みなので静かに過ごすために、部活に勤しみながらもバイトして1年間ためてきたお金を全部引き出してきた。80万くらいある。
「はぁ、食った食った。あ、洗剤買わないと洗濯できないな」
近くのコンビニで買えばいいだろう。だいたいコンビニに行けば何でもある。
と思った瞬間、景色が一変した。たくさんの目に囲まれてるとか気持ち悪い。
カイガン‼オレ⁉
なんだこれ?!と思ったのもつかの間、また景色が変わった。
―――――――――――――かなりというか、とんでもない高さの空に落ちてきた。
自分でも何を言っているのかわからないが、起こってしまった事を端的に言うとそんな感じなんだ。すまない。
おかしいなー、空って地上から上ったり下りるりたりするもので、いきなり空から落ちるってないんだけどなー。
なんて現実逃避をしてみたが限界だった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼死ぬ、これは死ぬ、マジで死ぬ、やばいやばいやばいやばい!」
俺は高いのも苦手だし、絶叫マシンみたいなものは怖くて苦手なんだ‼
夜だから月明かりしかない。下がはっきり見えないのは良いんだか悪いんだか。
やばいやばい、ほんとにやばい、このままじゃ本当に死んでしまう‼
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とんでもない高さから落ちているせいかえらく落ちるまで時間がかかる。高いのとか怖いのに変わりはないんだけどさ、落ちるまでの時間を持て余していると言っても良い。やっと地上が見えてきた位だからまだ相当時間があるなー。
父さん母さん、息子はよくわからないままつぶれて死ぬようです。今までありがとう。
弟よ、お前は俺とは真逆でスペックも高くて人気者でモテモテでしたね。嫌味ったらしくそのさまを見せつけてくる辺り兄はそんなお前が心底大嫌いです。
亮よ。ちゃんと課題はしろよ。お前には世話になった事もあったが俺も世話したし貸し借りなしだ。幸せになれよ。
はい、俺の人脈のなさから暇つぶしの遺言のようなものも終わった。
もうなんか、高いのとか怖いけど叫ぶほどじゃなくなった。あとは落ちるだけ、うんわかりやすい。
突然強風に襲われた!
風に吹かれて豆腐屋ジョニー。うん、通じる人少ないな。
通じる奴がいたら俺はそいつと仲良くなれるような気がする。気がするだけでなれるかは別だが。
そんな事は置いといて、かなりの強風に吹かれ続けたおかげで、落ちる地点が変わったような気がした。
ので、怖いが下を見るとこのままでは地上に空いている大きい穴のようなところに落ちるように見える‼
って、焦っても落ちるしかないんですけどねー、HAHAHAHA‼
~~9分後~~
はい、穴の中に入ってしまいました、ホールインワン。俺の命もホールインワン。ちょっと何言ってるかわかりませんね、はい。
少し蒸し暑いような気がするがそんな事はどうでもいい。
もう目を閉じよう。きっともう助からない。最初から分かっているけど。
はい、終了終了。俺は地獄行きだろうなー。そんな物があればだけどさ。
と、思ってたら、気が付いたら無風になっていた。
これは、おかしい。穴に落ちた後も少なからず風というか空気というかそんなものを感じた。
勇気をもって目を開けようとしたら、体ににかなりの衝撃がきた。
「かはっ」
いきなりの衝撃に変な声が出た。おまけにむせた。そして、格好は何とかマンにやられたヤム〇ャのような体勢だった。
「げほっげっほっ、ぃっう。なにごと?」
目を開け上を向くと地面で寝っ転がっていた。落ちて来たであろう大きな穴はかなり遠くにあるのでかなり落ちてきたことは確かだろう。
あの高さから落ちて俺生きてるのか?知らない間に人間やめてたか?
うん、でもやばいな。勢いを殺しきれんかったせいか、なんか左の脇腹が痛い。尋常じゃないくらい痛い。痛みが増してる気がする。骨でも折ったか。
そういえば何で、バトル物の人物って脇腹あたりの骨2,3本もってかれるんだろうね。
「あなたは何をしているのかしら?」
「ん?」
誰だと思って見てみれば、何と言う事だろう。
この世の物とは思えないほどの美女が俺の事を覗き込んでいた。
見た目は本に出てくるエルフっぽい感じ。
なるほどなるほど。俺は死んだんだな。じゃなきゃこんな光景拝めないだろう。
だって、こんなの現実じゃあり得ないし。
「あぁ、何だこんな可愛い娘が見えるとは、俺は死んだんですね。最終的な行先はきっと地獄だろうし、地獄にはきっとゴツイ鬼しかいないんだろうし今のうちに見納めておこう、眼福がんぷぶっ‼」
信じられない事に顔面殴ってきたよ、この美女。
「あなたが馬鹿な事と言うからよ。少しは落ち着いたかしら」
「えぇ、はい、そうですね。めちゃくちゃ痛いです。あと心を読まないでください」
「そう。あと心を読むのは他の奴の特権よ。じゃ、地霊殿はあっちよ」
「地霊殿?なんだそれ?」
「はぁ・・・・、あなたそんな事も知らずにここまで来たの?その能天気さが妬ましい」
「いきなり落っことされて知らない場所に落ちたんだから能天気さは関係ないと思う」
「って事はあなた外の世界の人?何でこんなとこに落ちてるのよ⁉」
「それは俺が聞きたい。ってか外の世界ってなんだよ?」
彼女かなり丁寧に説明してくれた。いきなり殴ってきたり、妬んできたりして怖い人かなと思ったが面倒見のいい人なのかもしれない。寝っ転がったまま話すのも気にしてくれてないようだし。
「ここは幻想郷っていう忘れられたもの達が来る世界で、俺の元居た世界は外の世界と呼ばれていて、たまに隙間から俺みたいな奴が来てしまうって感じでいいのか?」
「そんな感じで来た人は地上の神社に行けば帰れるわ。例外は除いて基本は帰ってるそうよ。今、そこに行けるよう手配してあげるからから安心しなさい」
「いや、その必要はない」
「何言ってるの?帰りなさいよ。妬ましい」
「なんで妬んでるのかはわからんが、帰る気はないって事だ」
「ここは危ない妖怪とかもいるのよ。大人しく帰りなさい」
「うん、なるほどな。楽しそうでいいね。どっちにしろ旅行に行くつもりだったし大丈夫大丈夫」
「うなずいておいて何で帰らないのよ‼ほんとに能天気ね、妬ましい‼」
「まぁ、そんなにカリカリすんなよ。可愛い顔が台無しだぜ。あ、飴食べるか?」
「あ、うん、い、いただくわ・・・。か、かわいいいいいいいいいいい」
そういった所がかわいいと感じさせる面である。とりあえず飴はあげた。
ショートしている彼女は置いておくとして、脇腹の痛みがそろそろ限界だ。気を抜いたら耐えられなさそうな痛みになってきた。
「ところで、そこの女・・・じゃないな。お嬢さん、ここらで腕の良い医者は知らないか?」
「はっ、可愛いなんて言って浮かれさせるなんて妬ましい」
「君は妬まないと死んでしまうのか?それは今はどうでもいいんだ。いい医者知らないかお嬢さん?」
「私は水橋パルスィよ。お嬢さんなんてそんな気持ち悪い呼び方しないで頂戴」
妬ましいと連呼する彼女との出会いが、幻想郷での最初の出会いだった。
・・・・悪いけどそんな事はいいからとりあえずいい医者紹介してくれないかなぁ‼めっちゃ痛いんだよ‼
あ、だめだ、限界。
水橋パルスィと名乗った彼女が驚きながらも抱えてくれるのを最後に、あまりの痛みに俺は意識を手放した。
はい、最後まで読んで頂きありがとうございます。
ちょと幻想郷に入るまで長いかなと思いましたが、そこはご容赦を。
ゆっくりかもしれんませんが更新していきますので、楽しんでもらえるともう最高でございます。
コメント等で何かあればよろしくお願いします。それでは次回にてお会いしましょう。さようなら。