オリ主「ダイゴさんまじ大誤算」
トウキ「地球投げだ!」
スバメ「かかったなアホが!」
ケーシィ「当てない打撃だったなんて……」
トウキ「サーフィンやろうぜ!」
そんな感じ。あ、オリキャラ出ます(唐突)
「じゃあ、そっちは頼むね」
「うん、届けるだけだし、大丈夫だよ」
「ではハギさん、よろしくお願いします」
「うむ、任せなさい。さて、ハルカちゃん、早速乗り込んでくれい」
相談の結果、俺がトウキさんとトレーニングしてる間にハルカちゃんがカイナシティに荷物を届けに行くことになった。
ハギさんの船から手を振るハルカちゃんが何となく安堵しているように見えるのは気のせいだろう。
あと、届けるだけだし大丈夫ってフラグだよなぁ……。
○月▲日 晴れ
絶好のサーフィン日和だった。
はじめは慣れなかったけどトウキさんの教え方が上手かったこともあって割と直ぐに上達できた。
直ぐ、と言ってもまだ常識的な範囲内だ。初心者だった癖に某ホモと連弾できるほどピアノが上達した彼程直ぐではなかった。
サーフィンいいね! ホウエンは海に面した町が多いからムロを出発した後もちょくちょくやっちゃおう。
……と思ったけどサーフボード買うところからか。金が惜しいから暫くお預けだな。
さて、サーフィンにトレーニング、技教えが一段落した辺りでハギさんが戻ってきた。サイコソーダを差し入れてくれた。美味いなこれ。カイナに行ったらダースで買おう。
……持ち歩くこと考えたらダースは無理だな。
新たな楽しみとそれが不可能という現実にちょっと残念な思いを抱きつつ、俺は115番道路へ向かう。
「115番道路……というと、どこだったかね?」
「カナズミの北側ですよ」
「おお、成る程。あの小島に行きたいんじゃな?」
「ええ、そうです」
流石ハギさん。年の功だね。
「115番道路か……ボクも前に行ったことあるけど……たぶん何も無いよ?」
「そうですね……何も無いかもしれません。でも、何かあるかもしれない」
トウキさんはピンと来ないだろう。
だが、元プレイヤーの俺はわかる。と言うか、気になる。
115番道路、にある小島。なみのり無しではいけない場所。プレイヤーだった頃はトウカシティジムまで行った後しか行けなかった。
何しろ主人公をカイナに送った後ハギさんは小屋に戻ってしまうので、以後主人公は進むしか無くなるからな。
だが、今の俺は主人公ではない。ストーリーに縛られることは無い。
115番道路の小島。それは、ゲームにおいてきあいパンチの技マシンがあった場所なのだ。
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レン君から預かった荷物を届けに造船所に来たんだけど、クスノキさんは不在だった。博物館に行っているらしい。
さて、それでクスノキさんに会うために博物館に行った。入場料とか聞いてない。そりゃあ、払えるけどさ。
中には海についての展示が沢山。あと見たことある格好の人達も沢山。
もしかしてこの人達も展示の一部なのかな? そんなわけないね。
嫌な予感がしたけど二階に上がった。意外なことに変な人達は二階には全然居なかった。そしておじさんが一人。あれがクスノキさんだろう。もしあれがクスノキさんじゃなかったら、あの変な集団の中にクスノキさんが居ることになる。笑えないね。
「あの、すみません。クスノキさんですか?」
「? ええ、私がクスノキです」
良かった。クスノキさんは変な集団の一員じゃなかった。
「デボンコーポレーションから、荷物です」
「ああ! 届けてくれたんですね! ありがとうございます!」
さ、私の仕事は終わった。キンセツシティに向かおう。一人だと一々困惑することがなくていい。
でも、そうは問屋が卸さなかった。
考えてみれば当然。あんなゾロゾロと変な人達がいるんだもの。何事も無い筈ないよね。
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「おぇぇぇぇぇ……」
「ハハハ、まだまだきあいが足らんのう」
ハギさんはそう言いつつ背中をさすってくれた。しかし、あれだな。きあいが足りないとか言われると、是が非でも耐えなくちゃいけない気がするな。次は酔わないように頑張ろう。
吐き気が治まったので、早速探索へ。
「じゃあ行ってきますね」
「おう、わしはその辺で釣りをしとるからな。帰る時によんどくれ」
「はい」
さて、木々の間を縫いつつ進んでいく。流石にこんなところでキガヨケテル(物理)は使えない。本気で何もない島になってしまう。何より自然は大切にしないと。
なんて、下らないことを考えつつ木をへし折っていると、きあいパンチの技マシンが置いてあった岩場が見えた。
見た感じ何も無い。
……いや、誰か居る。
近づいてみる。やっぱり誰か居る。
ゲームで言うところの空手王のグラフィックになりそうなおっさんだ。柔道着を着て目を瞑り胡座をかいて座っている。
ああ、あの姿を見ていると、真理に至ったあの日を思い出す。
まあそれはいいや。話し掛けてみよう。
「すみません」
「何用か?」
おお、テンプレのような武人感。
「ここで何をしていらっしゃるんですか?」
「修行だ」
ですよねぇ。
「修行、ですか。一体何の?」
「フ、気になるか。ならば教えてやろう」
おっさんは立ち上がって此方に向き直り、ドヤ顔でこう言った。
「私はきあいパンチ親父! 格闘タイプ最強の技、きあいパンチを伝承する者だ!」
……ほぉ。
いや、落ち着け。この人はきっといい人だ。きあいパンチ使いに悪い人は居ない、筈。
「して、少年、私に話し掛けたということは、君のポケモンにきあいパンチを覚えさせたいということだな?」
手持ちは皆きあいパンチ使えるんですがそれは……。
「……いえ、まずは俺とバトルして貰えませんか? 是非、あなたのきあいパンチを見せて頂きたいんです」
そう、是非とも見せて頂かなければ。
人に教えるってことは、それ相応のきあいパンチを使えるってことだもんね? そうだよね?
「フム、良いだろう。格闘タイプの技の真髄、教えてやろうではないか」
真髄……。
「行け! エビワラー!」
「……キノガッサ」
……キノガッサ出してしまった。う~ん……う~ん、一回我慢しよう。
「きあいパンチだ!」
「……キノガッサ、一旦待っててくれ」
頷くキノガッサ。直ぐに向き直り身構える。
一方エビワラーは拳を引いて集中している。やがてキノガッサに向かって飛び出した。何の変哲もないきあいパンチを見るのは久し振りな気がする。
「かわせ」
スッと、わざわざ紙一重でかわすキノガッサ。心なしかドヤ顔に見える。
「今のをかわすとはなかなか……だが、エビワラー、もう一度だ!」
溜めはそんなに長くない。だから念のため、出が早い技を使う。
「マッハパンチ」
パンッ!! という破裂音と共にエビワラーが後ろに飛ばされる。
きあいパンチ発動阻止成功……阻止、できてしまうのか……。
「ほう、きあいパンチの発動を阻止できると知っていたのか……きあいパンチは格闘タイプ最強の技、しかし、撃つためにはリスクが伴うのだ」
そう、でしょうねぇ……。まあ、俺も、そうでしたしねぇ……。
「だが!」
「キノガッサ、キノコの胞子」
キノガッサの頭のかさから大量の胞子が噴出する。それを吸い込んだエビワラーは意識を失い、崩れ落ちた。
「ぬぅ……起きろエビワラー!」
「きあいパンチ」
そう言うのであれば、こう使えば良いんだよ。
いつもとは違う、ただの平凡なきあいパンチ。だがそれはエビワラーを戦闘不能にするには十分だった。
「良いきあいパンチだ! 先程からの攻防といい、君もなかなかの使い手と見た!」
「どうも」
「だが私もきあいパンチ親父を名乗る者として、負けるわけにはいかん! 行け! サワムラー!」
……ほぉ、サワムラーか。これは、期待できるかな?
「飛び膝蹴り!」
ダニィ!?
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あの変な集団、アクア団というそうだ。したっぱの人達を倒した後出てきた、リーダーを名乗るちょいワル親父風のおじさんがそう言っていた。
海を増やすんだって。ちょっと何言ってるかわからなかったなぁ。
今私は博物館を出て、更にカイナシティも出て北に進んでいる。
サイクリングロードは自転車無いから今回はスルー。もし自転車が手に入ったら行ってみよう。
サイクリングロードの下を通るキンセツまで繋がった道があるらしい。110番道路だったかな? さっきオダマキ博士が教えてくれた所によると、分布してるポケモンも違うらしいから可愛いポケモンがいたら捕まえようかな。
さて、その110番道路の中頃へ差し掛かった。
道の真ん中でキョロキョロしてる人が居る。軽く不審者だけど、知り合いだね。
あ、こっち見た。
「あ! ハルカ! こんなところにいたんだな。調子はどう? ポケモン捕まえてる?」
「さっきプラスルを捕まえたよ」
「そっか! じゃあ、バトルしようぜ!」
うん、何でそうなるのかな?
「いいけど……」
「よし、じゃあ早速! 行け! ヌマクロー!」
最初はヌマクロー……プラスルじゃ不利だよね。だったら。
「キノココ、頑張って!」
「キノココか……相性はこっちが不利だな。でも、こっちには新技があるんだ!」
新技……気になるけど、こっちはいつも通りやろう。
「やどりぎの種!」
「かわせ!」
……うーん、中々当たらない。普通に頭突きするべきだったかな?
「よし! ヌマクロー! 新技を見せてやろうぜ!」
早速使ってくるのね……どんな技なの……?
少しでも早く備えられるように、ユウキ君の口の動きに注目する。
……見たことのある口の動きだ。そう、つい最近まで何度も見たような……。
「きあいパンチ!」
何てことなの……。
━━━━━
「きあいパンチは、使わないんですか……?」
「何を言っている。サワムラーは蹴りに特化したポケモンだ。故に、きあいパンチには向いていない。向いていないことをさせるのは無駄であろう!」
……何となく、そんな気はしていた。
それもそうだ。攻撃を受けて中断してしまうきあいパンチを使ってくるんだもの。
そして、技自体も、かわせ、なんて指示だけで簡単に避けることができてしまうんだもの。
そりゃあ、サワムラーみたいな、如何にもパンチ<キックみたいなポケモンにきあいパンチを覚えさせようとは思わないよな。
「戻れ、キノガッサ」
……だが、それでいいのか?
きあいパンチ親父なんて名乗ってるのに、きあいパンチの可能性を信じないなんて、そんなことがあっていいのか?
良い筈がない。
だからこそ、俺はこの人を倒さなきゃいけない。
この人に教えなきゃいけない。きあいパンチは、そんな技じゃないってことを。その程度の技じゃないってことを。
「ローブシン、頼む」
「見たことのないポケモンだな。だが」
「……一つだけ、言わせて頂きます」
「何だ?」
「あなたはまだきあいパンチを知らない」
読んで頂きありがとうございました。
次回予告は信じないでくださいね。
次回 お前だパンチ 第6話
きあいパンチ親父との戦いを経て決意を新たにするレン。一方ハルカはキンセツシティで思いがけない人物と再会する。その人物の正体とは?(ヒント:ミツル)
明日の自分に、きあいパンチ!
この作品書いてると、頭のネジが外れていく気がします。