魔法少女リリカルなのは~絆紡ぎし神王となりしもの~ 作:Aura
~Side ジャンヌ~
士郎さん(高町さんだと被るから高町家全員に名前で呼んで欲しいと言われました。)が目覚めてからもう、2週間が経過しました。
あの後看護師さんが高町家の皆を呼んだようで突然の回復で大騒ぎだった看護師さんも巻き込んでそれはもう.....何処からその元気が湧いてくるの?ってレベルの大騒ぎに発展してお医者さんに怒られたりと大変でした。(遠い目)
その後にお医者さんが一通り検査し、異常がない事を確認した後に看護師さん達が退出したと同時に
~回想~
一通り再会の喜びが終わった後に先程まで静かに泣いていた長身の良く鍛え上げられている男性がボクの方に向くと口を開いた。
恭「ところで今更な気がするのだけれどお前は誰だ?」
言葉と共に威圧感と僅かな殺気を放つ男性。
当然そんな初対面で文字通りの高町さんの命の恩人であるボクに対して無礼な態度をとる目の前の男性をパートナーが許すはずもなく...。
ラ『随分と無礼な態度ですね。これだから男性は野蛮なんですよ。』
と、突然ボクに掛かっていた認識阻害を解除と同時に目の前の男性をバインドで拘束する紅蓮の聖女。
ジャ「ちょ、ちょっと待って!? 突然殺気飛ばされたくらいでバインドしてくれちゃってるの、紅蓮の聖女さん!?」
思わず被っていた猫が剥がれるけれど余りにもびっくりし過ぎて気にしていられない!
美「きょ、恭ちゃんを離せぇ!」
士「待ちなさい! 真由美!」
高町さんの制止を無視し、突然殴りかかってくる女性の人に対して当然紅蓮の聖女は...。
ラ『Protection その様な軟弱な攻撃を
あっという間に恭也さんと同じようにボクの魔力光と同じ緑銀の鎖で縛られる真由美と呼ばれる女性。
立て続けに二人が訳が分からない間に縛られてる自体に茫然とする多分なのはさんのお母さん(若すぎてお姉さんにしか見えないけれど...)とさっきよりも物凄いキラキラした目でこっちを見ているなのはさん。そして頭を抱えている高町さん。
ジャ「ナニコノカオス....どうしてこうなったの?」
思わず片言になっちゃったけどボクは悪くないはず。
ラ『全てそこの無礼な馬鹿な方々が悪いのです」
恭・美「「んん~!?」」
ご丁寧に関節を極めるように重点的に縛り、喋れないように口まで塞ぐ紅蓮の聖女さんの手際に関心と共に呆れかえってしまってるのだけれど気がついてくれるかなぁ....気が付くはずないか。 物凄いドヤ顔してる雰囲気出してるもんね!
ジャ「コッホン...と、とりあえず話が進まないからせめて喋れるようにしてあげてくれませんか?」
ラ『.........仕方ありませんね。かしこまりました。』
物凄い嫌々ながら口元のバインドだけを解いてくれた。
(そんなに嫌だったの?と聞きたくなるほどの間を開けてたけど....今はそれより話を進めないと。)
恭「俺たちにこんな事してただで済むと思うなよ!!」
美「貴女なんて元気になったお父さんが...「いい加減にしなさい!」-え?」
士「この子は僕を助けてくれたくれただけじゃなく...なのはも助けてくれた恩人に対して殺気をぶつけ、冷静さを欠き、状況を見極められないように育てた覚えはないんだが...これは鍛え直さないとダメそうだね」
恭・美「「ひっ!? ご、ごめんなさいぃ!!」」
ボクが少し現実逃避していると青筋を立てた物凄いいい笑顔なのに目が全く笑っていない士郎さんの姿と真っ青を通り越して蒼白なでガタガタ震えている二人。
(は、背後に阿修羅が見える!?)
ラ『.....(ブルブル)
紅蓮の聖女まで震えている様な気がするけど.....まさかねぇ(目を逸らし)
士「全く...うちの恭也と美由希が失礼な事して悪かったね、ダルキアンさん」
ジャ「い、いえ! こちらこそ紅蓮の聖女がボクを守る為とは言えお二人を今だに拘束してしまっていますから....すいません」
士「いやいや、気にしなくて良いんだよ。どう考えてもこちらが悪いからね。それとその固い喋り方だと疲れるだろう? 無理しているのならさっきみたいな砕けた喋り方で構わないよ。」
ジャ「そういう事ならそうするね。それとボクの事はジャンヌと呼んでくれると嬉しいです!」
士「それじゃあ僕の事も士郎と呼んでくれて構わないよ」
ジャ「了解です♪」
恭・美((俺(私)達の事忘れられてない(か)?))
その後ようやく再起動した桃子さんに自己紹介をし、二人のバインドを解いた後に一通り事情説明をしていたはずなんだけれど...
ジャ「あ、あの~...なのはさん? どうしてボクの腕に腕を絡めているのでしょうか?」
そう、先ほど無言でキラキラした目でボクを見ていたはずのなのはさんが頬を赤く染めながら何故かボクの右腕にしがみついているのです。
な「なのはさんじゃなくてなのはって呼んで欲しいの!」
ジャ「え、えっと...なのは?」
な「うん!」
何この子可愛い! 呼び捨てにしただけなのに物凄い嬉しそうな表情で腕に頭を擦りつけてくる姿がなんだか猫っぽくて癒されるんだけど....
ジャ<なのはってこんなキャラだったっけ?>
ラ<『いえ、恐らくマスターが否定せずに慰めたこと、あっという間に問題の解決、そして恐らく尊敬する兄と姉を一瞬で無力化したことに加えて病室への入室前にマスターが言った殺し文句。以上の事から同性とか関係なくマスターに依存&堕ちましたね(ゲス顔)』>
ジャ<...ふぇぇぇぇ!? た、確かに慰めたりとか士郎さんを助けたけれど殺し文句や無力化したのは紅蓮の聖女だよね!? ボクは関係ないよね!?>
ラ<『....マスター、何時か後ろから刺されないようにしてくださいね?』>
ジャ<刺されるって何さぁぁぁ!?>
思わず頭を抱えそうになるけれど今はそれより...。
ジャ「あの~...恭也さん、殺気の籠った目そんなに睨まないでくれないかな? 話が進みませんし...」
恭「....チッ..まあ、確かにその通りだな」
(この人舌打ちしたよ!?)
桃「まあまあ、落ち着いて。それで話がそれて反れてしまったけれど士郎さんを魔法って力を使って助けてくれたって事でいいのよね?」
ジャ「はい、その通りです。それとは別になのはからも別の話があると思うんだけれど....ちゃんと話せる? なのは?」
な「大丈夫なの!」
そう言うと絡めている腕に少しだけ力が入りぽつりぽつりと泣いていた訳、今までいい子で居ようとした理由などを離し始める。
その途中で桃子さんたちだけでなく一度聞いたはずの士郎さんまで涙を流していたのがボクの心に深く印象が残る。
ジャ<この世界にはちゃんと家族の事を考え、思い、大切にする気持ちがあるんだね>
ラ<『......マスター』>
ジャ<...ごめんね。少しだけ思い出しちゃっただけだから>
ラ<『......』>
紅蓮の聖女は何も言わない。だけれど変に励まされるよりボクの事をボクの家族と同じくらい理解してくれているからあえて何も言わない優しさが心地いい。
(何時か....ボクも本当に笑える日が来ると良いなぁ)
思わずそう思ってしまう程にいつの間にかボクの腕から離れたなのはが桃子さん美由希さん、恭也さんに泣きながら抱き締められ、それを士郎さんが優しく見守る光景を前にそう思わずにはいられなかった。
それから一通りデバイスや使った魔法の事を説明した後にボクは家族水入らずの団欒に水を差すのも悪いので連絡先を交換し、御暇させて貰いました。
~回想終了~
現在ボクは翠屋へと向かっています。
理由はようやく士郎さんの念の為の検査入院からの退院許可が下りた為にお祝いをするらしく、招待されたので向かっているのだけれど.....。
ジャ「ねぇ、紅蓮の聖女。なんだか物凄く嫌な予感がするのだけれど気のせいかな? アハハ...気のせいだよねぇ。」
ラ『残念ながらその予感は恐らく魔力の制御力が上がったことによって少しだけ目覚めた神眼のパッシブ効果的な物の虫の知らせだと思われますので気を引き締め、現実を現実を見た方がよろしいかと...」
ジャ「これが俗に言う転生者、巻き込まれの法則ってやつだね!?」
思わずやけになって叫んでしまうほどに結構な距離があるけれど曲がり角に止まる
ラ『やはり魔眼はかなり不安定なようですね。今も感情が色で見えてしまっているんですよね?』
ジャ「....うん、制御力が上がる度にどんどん酷くなってる気がするよ」
最近、何故か神眼とは違い魔眼は制御力が上がる度にどんどん不安定になり、等々感情が色として捉えられてしまうほどにまで不安定になってきている。
かろうじて目の色は変わらないけれど、それでもギリギリ抑えているのでこのままだと制御できずに常時感情を捉え続けることになるから最悪、脳の処理限界を超えるか良くて廃人になってしまうから気をつけないといけないんだよね。
ジャ「とりあえず―――「きゃぁぁ!」――遅かったみたい!?」
ラ『追跡用のサーチャーを既に取り付けましたので追いましょう!』
ジャ「うん!」
嫌な予感程良く当たるとは言うけれど...流石に丁度曲がり角を曲がってきた紫髪の少女が突然黒いバンから出てきた黒服の男たちに捕まり、車の中へと連れ去られると同時に車は猛スピードで走り出した。
(それにさっきの子のあの色は....何時壊れても可笑しくない。)
そう、一瞬だけ見えた少女の感情の色は真夜中の様な青色を意味するミッドナイトブルー。
感情を示す色は淡くなるほどプラスの感情になり逆に濃くなるほどにマイナスの感情になる。
その中でも白と黒は例外で白に関しては神様のような善意の塊でもなければ存在しないが、黒に関しては魔物でも滅多にいないが人間には割と多い....。
何故なら黒が意味するのは―――欲望に身を堕とした悪意の色だから。
そしてさっきの黒服の人達は例外なく恐らく黒。
そしてミッドナイトブルーの彼女は下手したら壊れてしまう危い綱渡りの状態を意味する。
だからボクは認識阻害を解き、セットアップを済ませると上空から車を追跡しつつどうすればあの子を助けることが出来るのかを考え続けた。
~Side Out~
~Side すずか~
私、月村すずかは習い事に向かう途中の曲がり角で突然黒服の人達に薬で眠らされて気が付くと何処かの古い建物の中で縄に縛られ、椅子に座らされていた。
?「ようやくお目覚めかね?」
す「ッ!? あ、貴方の目的は何ですか!?」
薬の影響で少し意識がに霞がかかってぼんやりとしていたけれど目の前に現れた男性のただならぬ雰囲気に思わず大きな声を出してしまう。
ボス「それは君が一番分かっていることだろう? 化物め!」
す「....ッッ!?」
突然投げかけられた言葉に私は言葉を失い、血の気が引いて行く。
手下A「へへへ...こいつ化物くせにいっちょ前に涙なんて流してやがるぜ!」
手下B「なぁ、ボス。どうせ売り払うのなら少し味見させてくれやしませんかい?」
ボス「全く...お前の趣味は相変わらずだな。まあ、折角の商品なんだからやりすぎるなよ?」
何を言っているのか意識が遠ざかり、どんどん音が聞こえなくなる。
そんな私に一人の男性が下卑た笑みを浮かべながらこちらに濁った目で近寄ってくる。
す「い、嫌ぁぁぁ!? こ、こっちに来ないで!?」
何をされるのか分からない。
けれど物凄い寒気と猛烈な嫌悪感が沸き上がり、必死に逃げようともがくも...
手下B「げへへ、流石の化物でも子供なら逃げられないようだな!」
私の心を抉るような言葉を吐きながら口元を更に醜く歪めながら一歩、また一歩と近づいてくる。
(誰か....誰でもいいから―――助けて!!)
その時突然天井に穴が開き、私の目の前に白銀の鎧と白い修道服のような物を纏った白銀の髪の少女が降りたち....
ジャ「お節介かもしれないけれど、助けに来たよ」
私の方に振り向くと、優しい笑みを浮かべながら「助けに来たよ」と言ってくれました。
そのたった一言で私は不思議と安心感と先程までの寒気も嫌悪感もなく、涙が溢れた。
~Side Out~
~Side ジャンヌ~
ジャ「お節介かもしれないけれど、助けに来たよ」
連れ去ったアジトに着くと魔眼で見なくても分かるほどの悪意と先程よりも絶望感の漂う悲痛な叫びを聞いたボクは天井を破り少女の前に降り立ち一言だけ声をかけた。
ジャ<やっぱりさっきよりもより深い色に染まっているね>
ラ<『大方のそちらの方々がよっぽど傷つける一言を投げかけたのでしょう。それに目の前の男の目は欲情を浮かべていますしね。ゲス共が...。』>
普段丁寧な言葉遣いな紅蓮の聖女からは想像もつかない汚い言葉を苛立ちげに言ってしまうほどに目の前の男たちは酷い。
ジャ「ねぇ、いつまでも固まってないで君たちはこの子に何を言ったの?」
ボス「ひぃ! そ、そんなのそこの化物に化物と言って何が悪い!」
す「....あっ」
一番高そうな服と偉そうな男が呟いた言葉で私の後ろに庇っている少女から何か声が漏れていることからきっと今の言葉が関係があるのだろう。
ジャ「こんな可愛い子どこからどう見ても普通の女の子に化物は酷いんじゃないかな?」
今すぐにでも目の前の男たちを殺してやりたいけれど今はそんな事よりもどうして化物と言う言葉でここまで酷く心に傷が出来るのかが分からないと本当の意味で助けられるものも助けられないから強く手を握り締めてなるべく冷静になる事を心がける。
手下A「どこの誰だか何も知らねぇガキが! 粋がってんじゃねぇよ!」
ジャ「今更意識が戻ったお前には言われたくないかな?」
手下A「てめぇ! 調しn――「まあ、待て」――ボス?」
ボス「君はその子を普通の女の子だと言ったがそれは違うんだよ」
ジャ「どう違うのかな?」
ボス「いいか? 君の後ろに居るのは夜の一族と呼ばる...「や、やめてぇ!」――吸血鬼の一族なんだよ!」
す「.....あぁ」
ボスと呼ばれる先程質問に答えた男性が下卑た笑みを浮かべながら放った言葉を遮るように叫んだ少女の叫びもむなしく放たれた一言で振り返ったボクは少女の目から完全に光が消え、壊れた人形の様な姿へと変わり果てていた。
誘拐された少女救おうと少女を追いかけ、たどり着いたアジトで待ち受けていたのは欲望にその身を堕とした者たち。
そして放たれた吸血鬼と言う一言で絶望の淵に落とされ、その瞳から光を失った少女。
ジャンヌは男たちへの怒りと判断を誤ってしまった自分に対する怒りによって溢れる緑銀の魔力と新たなる力との出会い。
ジャンヌは果たして少女を絶望の淵から救い出すことが出来るのか?
次回、魔法少女リリカルなのは~絆紡ぎし神王となりしもの~
『吸血姫と聖女と白炎の剣なの!」
恭「じ、次回もリリカルマジカr...こんな恥ずかしい事言えるかぁぁぁ!!」
ラ『おやおや? これは私のマスターに無礼を働いた罰だと言いませんでしたか?」
恭「くっそ!」
な「...にゃはは、早速弄られてるの」
ジャ「......そっとしてしておいた方が懸命だね!」
ラ『(こんな恥ずかし事とか言ってますけどそれを言った士郎さんやまだまだ先ですけど言い続けることになるなのは様に言ったらどうなるのか楽しみです♪)』
ジャ(また、紅蓮の聖女がよからぬこと企んでる気がする!?)