魔法少女リリカルなのは~絆紡ぎし神王となりしもの~   作:Aura

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プロローグは1と2に分けて投稿させて頂きますと言ったな、あれは嘘だ!

はい、思ったよりも長くなってしまったので分けさせていただきましたm(_ _)mスマン

それでは続きをどうぞ!


プロローグ3

~Side ジャンヌ~

 

ト「ロキのやつカッコつけやがって! くそぅ...次の俺は滅茶苦茶やりずれぇじゃねぇかよぉぉぉ!!」

 

折角のロキさんとの感動の別れをぶち壊すトールさん。

 

ジャ・オ「「....空気読め筋肉だるま!!」」

 

あんまりにあんまりなトールさんのせいで思わず頭を抱える私とオーディンさん。

 

(流石北欧一のシリアスブレイカーの名は健在なのね)

 

ジャ「と、とりあえず次はトールさんなんですね?」

 

痛む頭を抑え、何とか取り繕う。

 

(幼女と言っても良い年齢の私に気を使わせてるいい歳した大人に私はならないように気をつけないと!!)

 

色んな意味で空気がぶち壊れたおかげで気持ちを切り替えることが出来たけれど正直私の涙を返せ!と言いたい。

 

ト「そうだったそうだった! とりあえず俺からはこれな!」

 

そう言って手渡されたのは私の手で丁度いいサイズの白く、金の装飾が施された槌。

 

ト「俺はロキみたいに特殊な眼なんてねぇし、あるのはこいつと筋肉だけだからな!! そんな訳で知ってると思うがこいつは雷槌ニョルニル大きさは自分で決められておまけに雷まで操れる優れもんぜ? ただ、振るにはかなり力量と覚悟の力が必要だからお前の覚悟が出来る時まで封印してあるが...まぁ、お前の事だから案外早く扱えるようになるかもな」

 

いつもの様にニッカと暑苦しい笑みを浮かべながら楽しそうに話しているけれどロキさんと同じように色は違うけれど黄色い光の粒子となって消えていく。

 

(でも、なんだかさっきのせいで涙が止まってしまったのは良かったかもしれない。だってきちんと行ってらっしゃいと笑顔で言えるから...)

 

ジャ「きっとこの槌に見合うだけの覚悟を決めてトール兄さんがいつも言っていたように「悲しみにくれる人を助けるためなら己をもかける。そして理不尽な悪には鉄槌を与え、笑顔を取り戻す!」の意志は私がしっかりと受け継ぎます!! だから安心して行ってらっしゃい♪」

 

しっかりと私にできる最大の笑顔と意志を込めた眼でトールさんの眼を見る。

 

ト「そうか...嬢ちゃんになら任せられるな! そんじゃあ俺もそろそろ行くわ。元気でな嬢ちゃん。俺が言えた義理じゃねぇが人助けも程々にしておけよ!」

 

ジャ「わかってますよ! そっちこそ向こうでドジらないでくださいね♪」

 

トールさんは背負向け、手を振りながら粒子となって消えて行った。

 

最後の最後まで暑苦しかったけれど自然と胸のうちから温かな力が沸き上がる。

 

(私はもう、きっとどんな事があっても大丈夫だから。だから安心してください。)

 

こうしてトールさんとのお別れは終わり、等々最後はオーディンさん。

 

オ「全く二人とも揃って最後まで馬鹿ばっかりやりおってからに....」

 

ジャ「でも、そんな二人だからこそ私たちは家族であり無二の友なんだと思えます。」

 

口では馬鹿とか言ってるけど涙を流すオーディンさんにハンカチを渡す。

 

オ「すまぬのぉ...どうも歳を取ると涙脆くなってしまっていかんわい。」

 

ハンカチで涙を吹きとり、私に真剣だけれど何処か温かい眼が向けられる。

 

オ「まずは其方に謝罪する。其方の両親が行方知れずになってしまったのはわしらのと其方も良く知っているノルンの3柱の力が世界樹爆破の影響で思ってたよりも早く弱まってしまったことで其方の運命は何とか無事に済んだのだが....両親の方の運命は先が消えてしまった影響で行方知れず...事実上の消滅してしもうたわぃ」

 

ジャ「.....え?」

 

あんまりにもあんまりな事実に血の気が引いて行く。

 

どうしていつも悪意は私の幸せを奪うのか? どうしていつも私ばかりに矛先を向けるのか? 考え始めたらぐるぐると負の思考が回り始める。

 

オ「...正直わしもあんまりにあんまりな結末に年甲斐もなくぶち切れてしもうたわぃ。思わずかっとなって虚無の空間に世界を放り投げてしもうた!」

 

ジャ「....へっ?」

 

いやいやいや! 突然の爆弾発言に思考のループから抜け出る。

 

オ「まあ、正直やりすぎたとは思うがあの世界には神はいない! とかのたうち回る狂人が溢れる世界となって科学と魔法を合わせて世界を発展させて他の世界にも迷惑をかけそうだったから魔法が一切使えない空間に落としたってのが事の真相という事になっておる。」

 

ジャ「な、なんて言うか...どうしようもないですね。これだから悪意に染まった人間はどうしようもないんですよ。」

 

思わず頭を抱えてしまうほどどうしようもない屑ばかりで怒りすら通り越して呆れさえ覚えてくる。

 

オ「まあ、話がそれたがとりあえず馬鹿どもは今頃既に同族で争い合って滅びているころじゃな。そんな訳だから其方は負の感情には染まるでないぞ?」

 

ジャ「はい。正直両親を奪われた事は憎いし、腹が立ちます。けれど流石に主神と言う立場でそこまでやってくれたのなら私からは何も言うことはありません。」

 

きっと馬鹿な人達は最後の最後まで自分が生き残る事ばかりに固執したのだろう。

 

でなければ主神であるオーディンさんがそのまま滅びるまで放置するわけがないから。

 

オ「それじゃあそろそろ本題に入るかのぉ。まずはノルンの3柱は其方に会う前に消えてしまったがそれぞれの力と爆破されて消える前の世界樹から託された種を合わせて、其方の世界で魔法と魔力や我らからの贈り物の制御をするしてくれるデバイスと言う物へと作り変えておいた。」

 

エメラルドのような透明で世界樹の葉のような綺麗な宝石が中心にはめられ、葉っぱの形に細工された白銀のブレスレットが手渡されると先ほど渡されたレーヴァテインとニョルニルが収納され、私の左目にロキさんの魔眼と力の結晶が同化する。

 

オ「無事に収納と同化が出来たようじゃな。わしのグングニルは既にその中に入れてあるが其方が魔法に目覚めるまでは扱えぬが...まあ、代わりとなるものを渡しておく」

 

ジャ「代わりになるもの...ですか?」

 

オ「そうじゃ。別世界のジャンヌ・ダルクが使っていた宝具と呼ばれるものを参考にしたもう一つのデバイスで名を紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)。言い忘れておったがもう一つのデバイスの方は運命の3柱の女神の遺言でノルンの名を与えられた。本来は道具にこのような名を与えることはありえないがあの女神たちは其方の傍にずっと居られるようにとの願いがこもっておる。」

 

ジャ「そう...ですか。一目だけでも会って謝りたかった。そしてお礼を言いたかったけれどそれは叶わないのですね」

 

特に優しく時には母の様に、時には姉の様に接してくれて私を導き、支えてくれた3柱の女神たちは最後の最後まで私の事を想ってくれていた。

 

その事が凄く嬉しいけれど同時にお別れが言えなかったことで胸が張り裂けそうになり、涙が自然と溢れる。

 

オ「まあ、あの者たちに特に其方は懐いておったから色々と思うところはあると思うが泣いてはあの者たちを心配させるだけじゃよ」

 

そう言いながら私をそっと優しく抱き締めてくれるけれど額にあたたかな雫が何度も落ちてくることからオーディンさんも凄く寂しいくて辛いはず。

 

オ「そろそろわしも時間じゃな。最後に紅蓮の聖女じゃが形式上はアームドデバイスと呼ばれるものじゃが魔法に目覚めてなくとも其方の力にこたえてくれるように調整しておいた。術式は古代ベルかと呼ばれるものだがそのままだと扱えるか不安だったことから無理矢理カートリッジシステムと呼ばれるモノを搭載したせいで本来の宝具とは別物になってしもうたが...まあ、大丈夫じゃろ。」

 

ジャ「ひっく...本当に...大丈夫なんですか?」

 

オ「まあ、正直不安な所はある。だからわしの叡智と全てを見通す神瞳を其方に授けよう。そして其方を我らが神々の友として、家族として主神であるわしが其方を今までの功績を称え、神々に認められし王、神王を名乗る事を許す。」

 

ジャ「そ、それって...ぐす...そんな大層なモノを私なんかが名乗っても良いんですか?」

 

オーディンさんの叡智や眼に関してはロキさんの流れで何となく分かったけれど余りにも私には大きすぎる肩書を与えられてしまった事に思わず目を見開き、唖然としてしまう。

 

オ「大層なモノでも大きすぎる肩書でもないぞ? なんせ其方が紡いだ絆が今も我らを繋ぎ留め、あの世界樹すらも其方を認めたのじゃ。それに其方の身体やリンカーコアと呼ばれる其方の世界の魔法を扱う器官など我ら神々+世界樹の加護のせいで成長限界が事実上なく、しかも魔力は無尽蔵なせいでリミッターをかけておかねば測定不能。その気になれば世界を納めることだってできる程までになっておるのだが....正直やりすぎたと思うわい」

 

唖然としている私に更に追い打ちを遠い目でかけるオーディンさん。

 

(平穏な日々は確実に私には訪れない&絶対厄介ごとが降りかかる予感しかしない)

 

オーディンさんと同じようにこれから先に訪れるであろう厄介ごとを想像してしまい同じような遠い目になってしまったのは仕方がないと思う。

 

オ「と、とりあえずまずは紅蓮の聖女を渡しておくかのぉ」

 

誤魔化すように私の首に剣十字の真ん中に赤いガーネットのような宝石のついたロザリオをかける。

 

ジャ「はぁ...私の今までの涙を返してくれませんかねぇ?」

 

オ「すまんかった。周りの者達や世界樹までもがノリノリでわしには止められなかったのじゃよ」

 

ジャ「確か主神ですよね?」

 

オ「うむ、わしは主神なはずじゃ」

 

ジャ・オ「「主神って一体.....」」

 

思わず私と呟きが被る程にきっと物凄く苦労してたんだと思わざる負えない程に哀愁が漂っている。

 

オ「な、なんとも締まらない別れじゃがそろそろわしも行かなければならぬから最後にわしの叡智と眼を渡しておくかのぉ」

 

オーディンさん右手から琥珀色の宝石が現れ、私の右目に同化する。

 

オ「これで渡す物も渡したことじゃし行くかのぉ」

 

ジャ「最後の最後まで色々とお疲れ様でした。これからは苦労せずに今までの長い間の疲労をゆっくりと休んで癒してください。行ってらっしゃい、オーディンお父さん。」

 

涙が再び溢れ出るけれどそんな事気にしてられないくらいに精一杯の今日一番の笑顔で赤い粒子となって消えていくオーディンさんに別れを告げる。

 

きっとこれが最後だから悔いが残らないように、悲しみが残らないように、涙は流れるけれど最後の別れくらいは笑顔で見送りたいから...。

 

オ「うむうむ。相変わらずジャンヌは可愛げがあって大変よろしい。最後になるが其方の名をジャンヌ・D(ダルク)・ダルキアンと懐けられたのはその2つの名に誇りを持ち、再び正しく人を導き、そして今度こそ幸せになって欲しいからという願いを込めてわしら一同が懐けたのじゃよ。じゃからその名に恥じることのない人生を歩み何時かはその名と神王の名が人々の記憶に残る程の事を成しえるじゃろう。だからジャンヌよ...無理せずに時には立ち止まり、泣き、悩み、休むことを忘れずに歩み続けよ」

 

ジャ「っい...っく....はい!」

 

泣きながらで涙声だけれど精一杯の返事で私はオーディンさんから言われた事を胸に刻み付ける。

 

消して道を踏み外さないように、1度目と2度目の時の様に無茶をしないようにする為に態々忠告してくれたのだから今度こそはしっかりと守らないといけないから。

 

オ「大変良い返事じゃ...それでは行ってくるわい!」

 

最後に見たオーディンさんは涙を流しながらも温かい陽だまりのような優しい笑顔を浮かべ、小さいながらも手を振り、赤い粒子となって消えて行った。

 

そして夢が覚めるかの様に再び目の前が真っ白になると自室のベッドの上で横になった体勢で戻って来ていた。

 

ジャ「皆...()()..は...皆が託してくれたものを胸に抱いて頑張るから。だから...見守っていてください」

 

こうしてつかの間の再開と最高の誕生日プレゼントと言う名の奇跡の時間は終わりを告げる。

 

その日少女は新たなる決意を胸に一晩中泣き続けるのであった。

 

~Side Out~

 




無理矢理詰め込んだせいでかなり長くなってしまいましたが如何だったでしょうか?

感想、意見などよろしければお願い致します。

次は主人公の設定を投稿しますので本編の続きはしばらくお待ちください。

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