魔法少女リリカルなのは~絆紡ぎし神王となりしもの~ 作:Aura
気が付くと私はどこまでも続く黄昏色の空とどこまで持つ続くかのような黄昏色の空に染まった水面。そして目の前には大きな青々とした葉を茂らせた大樹。
それから夢の中で出てきた懐かしの
オ「ようやく其方も5歳の誕生日を迎えたようじゃな。おめでとう。」
ト「随分と見ない間に女みてぇになっちまってぇ。それどころか縮んでねえか?」
ロ「いやいやいや!! 転生して元の性別に戻ってるんだから女みたいじゃなくて女の子だからね!」
ト「あっ...そういえばそうだったな。わはは、悪い悪い俺としたことがすっかり忘れてたぜ!」
ロ「相変わらず筋肉の事しか考えない脳筋が!全く...コッホン...改めて誕生日おめでとう我らが友にして家族よ」
ト「おめでとう、嬢ちゃん。ここから見ていたが随分と幸せそうだったじゃねぇか。それでこそ俺たちが無理した甲斐があるってもんよ」
トールさんもロキさんも相変わらずな凸凹コンビだしオーディンさんも変わりがないみたいで凄く安心する。
けれどきっと私が転生してしまったって事はあの世界は手遅れだったんだと思うとダルキアンの努力と死は無駄だったことになる。
そう思うとどんどんやるせない想いや悲しみが溢れだしてきて折角の再開を素直に喜べなくて私は俯いてしまった。
~Side Out~
~Side オーディン~
オ<やはり全てを思い出してしまったようじゃな>
ト<あぁ、嬢ちゃんは昔から鋭かったからな>
ロ<やっぱり誤魔化せないし、真実を伝えてあげた方が良さそうだね>
オ<そうじゃな。しかし人間の悪意と言うモノを甘く見過ぎたわい。まさか勝ち目がない事が分かったとたん和平を申し込むふりして
ト・ロ<......>
オ<わしが言うのもなんだがとりあえず暗い話はあとじゃ。まずはジャンヌを慰めた後に真実を伝えねばなるまい。それにわしらにも時間がないしのぉ>
ト・ロ<...そうだな(ね)>
俯き、涙が水面を揺らすジャンヌをわしはそっと抱きしめ頭を撫でる。
オ「ジャンヌもダルキアンも何も悪くないのじゃ。全てはわしらの油断と悪意を他の者たちに押し付ける性根が腐った者たちが悪い。其方は褒められこそすれ、責められる謂れなど全く持ってのだから泣くでない。」
ト「そうだぜ、嬢ちゃん。嬢ちゃんのおかげで俺たちは巨人族は戦わずに済んだんだ。だから折角の可愛い顔を悲しみで染めるんじゃなくて折角の再開なんだから最高の笑顔で飾ってくれや!」
(トールのやつめ普段は能天気な筋肉馬鹿の癖にこういう時ばかりは相変わらず恥ずかしいセリフをポンポンと出しよるわい。)
ロ「そうそう! お気楽脳筋と意見が被るのは嫌だけれど君には涙よりも笑顔が似合うんだから笑って笑って♪」
(そんな事言うと
ト「あん? 誰がお気楽脳筋筋肉だるまだぁ!」
ロ「お前だよお前! てか、筋肉だるまなんて言ってねぇですよ!」
ト・ロ「「むむむ!」」
(ほーれ、始まってしもうたわい。)
わしは時間がないのにいつもの調子で喧嘩を始めた
ジャ「ふふ...あはははは!相変わらず二人は馬鹿なんだから」
~Side Out~
~Side ジャンヌ~
ジャ「ふふ...あはははは!相変わらず二人は馬鹿なんだから」
こんなに笑ったのはきっと両親が居た頃以来初めてかもしれない。
(トールもロキも変なところで不器用だからきっと私が俯いて泣いてしまったからどうやって慰めようかと考えてくれたんだよね。本当に馬鹿なんだから。)
でも、不思議と心の底からあたたかくて、安心出来た私は涙を吹いて顔をあげる。
(折角の再会を涙で終わらすのは勿体ない。それに何となくだけれど
オ「やっと笑ってくれたのぉ」
ト「おっ..やっぱり嬢ちゃんには笑顔だな!」
ロ「そうだねぇ。とりあえずまずはもっと色々と話したい事や再会を喜び合いたいけどボクは二人よりも時間がないから手短にさせて貰うね?」
やっぱり時間がないんだと確信に変わり、普段ニコニコしていて顔には出さないロキさんが唇を噛みしめて悔しそうにしている姿を見て、涙が再び溢れそうになるけれど
これが最後なんだと自分に言い聞かせながら精一杯の笑顔でお別れを告げようと決意する。
ロ「それじゃあまずは誕生日プレゼントだよ♪」
そう言ってロキさんがいつも太腿に着けていたホルスターとそこからはみ出る剣の柄、そしてアメジストのような丸い宝石が一つ。
ロ「この剣は知っていると思うけれど普段は刀身がなく、魔力を込めることで刃が現れ、魔力を込めれば込める程どこまでも伸びる魔剣レーヴァテイン。それとこの宝石みたいなのはボクの力であるトリックスターとボクの嘘を見抜く魔眼を合わせた物だから少し目の色が変わってしまうけれどきっと役に立つはずさ♪」
ジャ「そ、そんな大切なモノを受け取ってしまって良いの!? それに眼がなくなるんじゃ....」
ロ「いいんだよ。もう、ボクには必要がないし、君の役に立つのとボクが消えても君の目となれば共に新しい世界を見られるからね♪」
ジャ「ッ!?やっぱり消えてしまうの?」
ロキさんが消えてしまうと分かったとたんに決意したのに涙が頬を伝う。
ロ「ほらほら♪また、涙が出ているよ? 確かに消えてしまうけれど君とボクとは家族なんだからこの絆は永遠だ。それにその魔剣は今の君にはまだまだ使いこなせないから一時的に封印はするけれど君の瞳にはボクの想いが残るのだから全てがなくなるわけじゃないんだよ?」
そう言って私の目尻に溜まった涙を指で拭い、優しい笑みを見せながら頭を撫でてくれる。
(とても温かいけれどこのぬくもりももうすぐ....)
そう、ロキさんは段々と足の方から綺麗なアメジスト色の光の粒子となって消えて行っている。
(いつまでも泣いてないでこれだけは伝えないといけないよね)
ジャ「ロキさん...今までそしてこれからも家族で居てくれてありがとうございます。ロキさんに貰った物に負けないように人を笑わせられるそうに、前を向いて生きていけるように頑張ります。だから...安心して行ってらっしゃい。私の大好きなロキ兄さん。」
涙ながらに精一杯の笑顔で見送る。
ロ「ッ!? 全く...君は何時だってここぞって時に狙ったように不意打ちするんだから...ずるいよねぇ。でも、ありがとう。それじゃあ先に逝ったあいつらを「ボクの弟で妹は最高の家族」だって自慢しに行ってくるよ♪」
最後に見せたロキさんの顔は満面の笑みで一滴の涙が頬を伝って地面に落ちると同時にロキさんは紫色の粒子となって消えて行った。
~Side Out~