ハリー・ポッターと悪魔の双子   作:ボルヴェ

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続きです。目線はハリーですが主人公が双子なので授業とかかなりぶっ飛ばしました。ご了承ください。やっとダンテ本人がちゃんと出てきますが後半の方ですし誰だこいつ状態です。


クィディッチしようぜ!

sideハリー

 

 

 

 

 「すごいやハリー! まさかクィディッチの選手に選ばれるなんて!」

 

 

 一年生でなんて快挙だよ!と興奮気味に叫ぶロンを見て笑顔を浮かべる。自分でも内心まだ現実なのか疑ってるくらい気分が高揚していた。

 

 何故こんな事になったかというと少し時間を遡るが、グリフィンドールとスリザリン合同の飛行訓練でそれは起きた。

 

 マダム・フーチ先生のカウントの合図で跨った箒共に飛び上がる……筈であったのだが何かの間違いかネビルがフライングを起こし、挙句コントロールを失ったままかなりの高所まで浮かび上がってしまい、なす術なく落ちた。怪我を負ってしまった彼を保健室まで運ぶから飛ぶなよ! 絶対飛ぶなよ! とフーチ先生は何処ぞのお約束のような念を入れた忠告をしてネビルを連れて校内に戻っていった。

 しかしマルフォイは黙っていなかった。馬鹿にしたような笑みを浮かべて、ネビルの落とした「思い出し玉」を奪い取っていたのだ。返せといえば、取りに来いよと箒に跨って飛んでいき、これまたいじめっ子全開の煽りをされ若干ダドリーの姿が思い浮かんで腹が立った。

 しかし売り言葉には買い言葉である。自分もすぐ様箒に跨ってその後を追って…その後なんやかんやで、何故かグリフィンドールのシーカーに抜擢されてしまった。

 

 どうやら人手が足りないやら何やらとマクゴナガル先生は興奮気味にオリバー・ウッドに話し込んでいた。肝心のハリーはというと自分の事なのに全く話についていけなくて訳が分からないよの状態だったが、父もグリフィンドールのクィディッチ選手だったと聞いて胸が熱くなったのは秘密。と言いたいけど全て顔に出ていたと思う。

 

 そんなこんなで今日はキャプテンのオリバー・ウッドからクィディッチについて教えてもらえるなんともありがたい約束をつけてもらっているのだ。

 

 

 

 

 「じゃあ説明していこうか」

 

 トランクの様な物を地面に置いたオリバーの爽やかな声が中庭に上がる。ハリーは若干緊張気味に頷いた。

 

 説明によれば、クィディッチには三種類のボールがあるらしい。

 

 一つは"クアッフル"。凹みが個性的な赤いボールだ。この玉を大きい輪っか、敵のゴールに入れる事で得点出来るらしい。一ゴールにつき10点。チェイサーと呼ばれる人が扱う、彼等はマグルスポーツのサッカーで言うとフォワードみたいな立場なんだろう。

 二つ目は"ブラッジャー"。これがまた恐ろしい。見た目はクアッフルより一回り小さいただのボールなのだが、トランクの中に鎖で厳重な固定をされている時点でお察しである。一度鎖から解かれれば、それきたとばかりに選手に突っ込み箒から叩き落とそうとする恐ろしいものだ。何でこんな危険なものを入れるんだ。しかも2つ。これらはビーターと呼ばれる人が棍棒を使って弾き飛ばして追い払う。

 そして最後に"スニッチ"。なんとこのボールを掴むだけで150という大量得点を得て試合終了となるのだ。圧倒的な差さえ付けられていなければ一瞬で大逆転を狙える『勝利の鍵』だ。ルール上、これはシーカーのみが触れていい事になっている。つまり、

 

 

 「僕、とんでもない役目になっちゃった……?」

 

 まずいかもしれない。先程まで特に深く考えずに喜んでいたのだが今更ながらとてつもないプレッシャーが昇ってきた。サッと顔が青くなるのが分かる。ああ、無様にブラッジャーに叩き落とされたらどうしよう。

 そんなハリーの姿を見てオリバーは「はっはっは!」と豪快に笑って背中を軽く叩いた。

 

 「心配するなハリー、大丈夫だ。うちの頼もしい仲間が支えてくれるさ。ブラッジャーならフレッドとジョージが追い払ってくれる。得点なら……俺らにはダンテがいるからなぁ。アイツは寧ろ頼もし過ぎて怖くなるくらいだし」

 

 

 そう言って苦笑を浮かべたオリバーの口から出た『ダンテ』という名前に、やはりというか入学式を思い出した。あのドアを吹き飛ばして入ってきた生徒───ダンテは軽く杖を振って壊した扉を一瞬で修復させて、怒声を上げている教師などお構い無しに、寮監でありロンの兄のパーシーの横に座ったのだ。なんという自由人だろうか。

 結局そのまま晩餐は再開され、ダンテが教師から呼び出しをくらったのを除けば至って平穏に終わった。

 

 「……嵐みたいな人だったね」

 「うん、間違ってない。いや嵐どころか竜巻だな」

 「失礼なヤツらだな、人の事を災害みたいに言いやがって」

 「でもしっくりくる、し」

 

 バッとオリバーとハリーは同時に振り向く。そこにはジト目を携えた銀髪が、不満そうな顔をして立っていた。

 

 

 

 

 

 「おう、お前がセンセーが言ってた新人? 俺はダンテ、宜しくな」

 「ぼ、僕はハリー。宜しく」

 「あのマクゴナガルが推薦したんだってな。期待してるぜ」

 「え! あ、う、うん」

 

 嵐だの竜巻だのの失言は直ぐに謝ってから軽い握手を交わす。やはり五年生は大きいなと思ったが、どうやらダンテはその中でも特に背の高い方みたいだ。

 思わず見上げた先にあった不敵な笑顔を浮かべる姿は、男の自分から見ても端正な顔立ちをしている。きっと多くの女性が虜になっているのだろうと勝手に判断しながら呆然と眺めていると、さらにプレッシャーの掛かる言葉をかけられて思わずたじろいてしまった。

 

 「こらダンテ、まだ一年生だぞ。あまりプレッシャーをかけないでやってくれ」

 「悪い悪い。まあそんな気負わなくていいぜ。勝ち負けとか考えなくていい。気楽にやれりゃそれが一番だ」

 

 オリバーがすかさず挟んだ注意に対して謝罪と一緒にポンとダンテの手が自分の頭に置かれ、乱暴に髪の毛をかき混ぜられた。

 気楽にやれ、そのたった一言だったが妙に安心する説得力だ。頼りがいのあるとかいうレベルじゃない。大船どころか戦艦に乗り込んだ気分になる。まるで魔法の一つのようだと、一つ頷いてこちらも笑顔を浮かべた。ダンテも「good」と頷き、顔を上げてオリバーの方へ顔を向けて、

 

 「んで、ハリーの初陣は誰が相手になる?」

 

 しかしその言葉でオリバーの顔色が少し怪しくなる。嫌な予感。そのまま返事を待つように彼の顔に視線を向け続けると、申し訳なさそうな目線が自分に向けられ、少し間が空いて口が開いた。

 

 

 

 「それが、スリザリン……バージルなんだ」

 

 

 




ハリーの初陣の相手となるスリザリンのシーカーは鬼いちゃん。どう考えてもHMDですありがとうございました。

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