DQ5 天空の花嫁と浪速の賢者   作:かいちゃんvb

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どうも、かいちゃんです。
明日の大阪桐蔭対智弁和歌山を見たいのに用事で見れません。悲しいです。
では、本編スタートです!


第26話 魔物使いの覚醒

翌日、リュカとヘンリーは旅支度を整えて修道院の門の前ヨシュア、マリアに加えて、修道院長とここに流れ着いた時に身の回りの世話をしてくれたシスターたちの見送りを受けていた。

 

「何がともあれ達者でな。」

 

「ご無事を心からお祈りしています。」

 

ヨシュア、マリアが言葉をかけながら2人に握手をする。対して修道院長は実用的なアドバイスをくれる。

 

「ここを出たら真っ直ぐ北のオラクルベリーを目指しなさい。あなた達が子供の頃に着ていた防具を売り払って新しいものを買うといいでしょう。状態がいいものであればタダで大人のサイズのものと交換してくれるようですし。」

 

最後にヨシュアがずっしりと金貨の入った袋をリュカに渡した。

 

「あんたらがあそこに来る前に持ってた金に俺の蓄えの3000Gを上乗せしてある。さっき数えたら4251Gあったな。旅には先立つものが必要だ。俺の手元にも幾分か金は残してあるし、ここにいれば食うには困らない。遠慮せずに持って行きな。勿論返済は不要だ。」

 

「そんな!悪いよヨシュアさん!」

 

「何を言ってる?これは光の教団をぶっ潰すための先行投資だ。そう考えれば安すぎるぐらいだと思うが。」

 

尚も固辞しようとするリュカを制してヘンリーが袋を受け取る。

 

「有り難く頂戴したぜ。ヨシュアさんも元気でな。」

 

「ヘンリー………」

 

「人の好意を無碍にするのは良くないぜ。」

 

「………わかった。」

 

「では、2人の旅に神のご加護があらん事を!」

 

修道院長の号令とともに見送りに来た全員が胸の前で十字を切った。それを見届け、リュカとヘンリーは踵を返して修道院の門をくぐった。新たなる旅が始まったのである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

朝一番に修道院を出た2人は昼頃に最初の目的地オラクルベリーに到着した。

 

「………すごい人だな。」

 

「うん。もう人酔いしそうだよ。」

 

「とにかく飯にするか。ついでに人生初の酒も頂こうぜ。」

 

「それは夜でいいんじゃないかな?そう言えば大人って何歳からなのかな?」

 

「俺も分からん。なんせ10年も禁欲の奴隷生活してたんだからな。」

 

2人はとにかく定食屋で昼食を済ませ、まずは武器屋に向かってヘンリーのチェーンクロスを購入する。続いて防具屋に向かって2人ぶんの防具を買い揃えた。残金は500Gほどである。

 

「どうする?カジノで遊ぶか?」

 

「いや、やめとこう。多分ああ言うギャンブルは一回ハマったら抜けれなくなるよ。それに一回コインに変えたら2度と換金できないしね。それよりも僕はモンスター爺さんの方が気になるな。」

 

「ああ、確かこの町の人間が言ってたな。」

 

「あそこだよ。」

 

リュカの指差す方向にはスライムを象った看板があった。おそらく地下にあるのだろう。下り階段が看板の下に見えた。ヘンリーも好奇心に負け、リュカに続いてその下り階段を降りていった。そこには、案外広い空間が広がっていた。そしてフロア中央の椅子には1人の老人が座っており、その横には見事なプロポーションのバニーガールが立っていた。

 

「儂が有名なモンスター爺さんじゃ。どの様なご用件かな?」

 

「いえ、町の人に紹介されて興味を持って来ただけなんですけど…………。」

 

「あら、そういうことならこの私、助手のイナッツがご案内いたしま〜す!」

 

「いや、待つのじゃ。そこの紫頭、こっちへ来てみなさい。」

 

リュカは言われた通りにモンスター爺さんに近づく。

 

「うむ、そなた、モンスター使いの目をしておるな。」

 

「何?」「はい?」

 

リュカとヘンリーは同時に聞き返す。

 

「モンスター使いというのは天性じゃ。努力してなれるものではない。つまり奥の緑頭やイナッツには逆立ちしたってなれないのじゃ。じゃがそなたはその素質を持っておる。」

 

「僕はモンスター使いになれるんですか?」

 

「その目を持って生まれた時点で半分なっているようなものじゃがな。やり方は簡単じゃ。人に襲い来る魔物は皆邪気を纏っておる。 その邪気を払ってやればよい。基本的は魔物を切ったり潰したりせずに倒せば邪気は晴れる。その中でお主について行きたい魔物がおれば魔物の方から立ち上がってお主について行こうとするじゃろう。」

 

「わかりました。その際に何か注意することはあるでしょうか?」

 

「この街の北東の端にオラクル屋という店がある。そこで馬車を買って行くのじゃ。なんせ魔物をぞろぞろと連れて町や村には入れんからの。確か今セールで1000Gで買えたはずじゃ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「うむ、精進せいよ!」

 

「はい!」

 

2人はモンスター爺さんの洞窟から出た。

 

「しかしお前すげーな。モンスター使いだったなんてな。」

 

「僕が一番驚いてるよ。とにかくお金足りないし、夜まで外でお金貯めよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベビーニュート、灰色の首長いたち・ガスミンク、笑いぶくろ、頭巾が茶色になり、強さの増したおおきづち・ブラウニー、プリズニャン、スライムが出現するオラクルベリー周辺で資金集めに精を出す。そしてそれは、日が落ちかけて来た午後4時ごろ、スライム2匹とガスミンク2匹を倒した時のことだった。

戦闘が終結し、魔物の死骸が風解した後からゴールドを回収する。しかし、倒したスライムの一匹が時間を経ても全く風解しなかった。

 

「おい、これってもしかして………」

 

「かもね………」

 

すると、スライムはプルプルと震えて起き上がると、リュカに熱い視線を送り始めた。

 

「これってどうすればいいんだろ?」

 

「俺に聞くなよ!とりあえず来いって言ってみたらどうだ?」

 

「おいで!」

 

すると、スライムはとても嬉しそうに近づいて来た。

 

「名前どうしよう?」

 

「変につけても分かりにくいし、スラリンでいいんじゃね?スライムってこともわかるし。」

 

「あ〜、こういう時にカリンがいてくれたらな〜。モモの名前つけたのもカリンなんだよな〜。一発でモモも気に入ったんだよ。」

 

「カリンに欠点ってないのかよ。頭良くて強くて優しくて料理できて可愛くてネーミングセンスもあるだと?」

 

「本当に欠点なんて口調が独特で毒舌で何かにつけて笑いを求めて来るってとこくらいしかないかな。」

 

「………もしいたらの話だけどカリンの彼氏って相当苦労しそうだな。」

 

「そうだね。じゃ、続けようか。」

 

「また歌うのか?」

 

「でもこれが一番手っ取り早いでしょ。動かなくていいし。」

 

「…………。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日が暮れて夜になった。2人はさらにブラウニーのブラウンを仲間に加えて、所持金を1413Gに増やしてオラクルベリーへ帰還した。そのまま夜にしか営業していないオラクル屋に直行し、モンスター爺さんの話どおり1000Gで馬車を手に入れた。早速その中にスラリンとブラウンを残して宿屋へ向かう。その時、不意に占いを行う老婆に呼び止められた。

 

「おー、そこのお兄さん。占いには興味ないかね?顔がいいからタダで見てやるよ。」

 

「あ、本当ですか?じゃあお願いしちゃおうかな?」

 

「おいおい、本当にこの婆さん信用出来んのか?」

 

「ふーん、そこの緑頭のお兄さんは本当は高貴な家の生まれだね。だが幼い頃に不幸を経験したんだね。」

 

「げ、なんでわかったんだ?当てずっぽうで当たる話じゃねーぞ!」

 

「当然じゃ。私はその辺の確率にモノを言わせる占い師じゃないからね。どうだい紫ターバンの兄さんよ、占われる気はないかい?」

 

「是非お願いします。」

 

そう言うと老婆はリュカの目を覗き込み、その後水晶を覗き込む。

 

「あんたの探し人、あんたの想像してるところにいるよ。そして時が来れば西へ渡るべしと出ているね。」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃ、緑頭の分50を置いてってくれ!」

 

「もちろん!」

 

「おい!俺は金取んのかよ!」

 

 

その後2人は宿屋に入って人生初の酒を楽しんだ。安いワインであったが、自由への喜びを噛みしめるには十分だった。

 

「リュカはそんなに強くないな………」

 

グラス1杯で赤くなり始め、3杯で机に突っ伏して寝てしまったリュカを見てヘンリーはそう呟く。リュカをベッドに運び、瓶に入っていた残りを飲み干して眠りに就いた。

 

 

翌日早朝、ついにリュカはヘンリーとパトリシアと言う名の美しい馬に引かれた馬車に乗ったスラリンとブラウンと共にサンタローズへ向けて北進を開始した。精神年齢41歳の友と再会を果たすために………。




<次回予告>一路サンタローズを目指すリュカとヘンリー。しかし訪れたサンタローズは変わり果てていた。過去の回想に耽るリュカに忍び寄る人影が。
次回 第27話「魔物使いの凱旋」
賢者の歴史が、また1ページ。

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