昨日は天神祭でしたが、あんなに人が多いところへは行きたくないので行ってません。地元の祭りで十分です。一回行ってえらい目に遭いました……。
では、本編スタートです!
「ふっ、そんな貧弱な装備でこのゲマに立ち向かおうと言うのですか。これは愉快ですね〜。」
「仕方ないじゃないか。これしか持ってないしお金も無いんだから。」
「ほう、言い返して来るとはなかなか度胸のある子ですね。」
「褒めてくれてありがとう。」
「そろそろお喋りをやめましょうか。」
「僕はやだなあ。父さん来るの待ちたいし。もっとお話ししようよ。」
「まあ、あなたの都合など関係ないんですけどね。メラミ!」
今まで見たこともないような、ハンドボール大の火の玉(メラはソフトボールサイズ)が三つもリュカに襲いかかる。リュカは何とかかわしてゲマをチェーンクロスで攻撃する。しかし、あまりダメージは与えられていないようだ。
「少しはやるようですね。」
「ほんの少しだけね。避けるのが精一杯だ。」
「そこで大言壮語を吐かないあたりは好感が持てますが………」
そこへモモが死角から飛び出し、頸動脈を爪で引き裂きにかかる。しかし、ゲマの持っている鎌の柄で叩き伏せられて気を失ってしまう。
「モモ!」
「いやはや、危ないところでした。狙いもタイミングも気配の消し方も最高だったんですけれどもねえ。」
リュカはとりあえずモモにベホイミをかける。後ろではヘンリーがガタガタと震えていた。
「心配ないよ。こいつには勝てっこないから、とにかく逃げることを考えよう。」
「いやはや、正しい認識ですね。しかし、それをさせないのがこのゲマです!」
ゲマはリュカに向かって飛びかかり、持っている鎌を振り抜いた。何とか盾で受けるが、衝撃で左手が痺れてしまう。しかしその時、ゲマとヘンリーの間に障害物が無くなってしまっていた。
「しまった!」
「ほほほ、メラミ!」
リュカはチェーンクロスを手加減して投げ、ヘンリーを弾き飛ばした。何とかメラミの直撃は避けられたがヘンリーも気を失ってしまう。
「咄嗟にしてはいい判断でしたよ。さあ、決着をつけましょう!」
ゲマの鎌が何度もリュカを襲うが、リュカは何とかかわしていく。その時、一瞬ゲマに隙が出来た。
「喰らえっ!」
リュカはチェーンクロスを全力で投げる。その分銅はゲマのクビに見事直撃した。
「しまった!まさか!」
「そう、そのまさかですよ。」
ゲマは燃え盛る火炎を至近距離でリュカに吐き出した。
「わああぁぁっ!!」
火だるまになることはなかったものの、そのあまりの高熱にリュカは気を失い、地面に倒れ伏した。
「危なかったですよ、もうそこまであなたのお父様が来ていましたからね。」
そこへちょうどパパスが駆け込んで来た。
「リュカ!王子!モモ!くそ、なんて事だ!貴様!!」
「いやあ、あなたのご子息、なかなか手強かったですよ。もう少しで2人同時に相手しなくてはなりませんでした。しかし、あなたは少し遅かったようです。私に部下を呼ぶ余裕を与えてしまったのですから。出でよ!ジャミ!ゴンズ!」
黒い雷光と共に白い馬面の魔物と、剣と盾を持った豚面の魔物が現れた。パパスと2匹の魔物は交戦するが、パパスの実力の方が上回っていた。数分の激闘の後、馬面=ジャミは胴体を、豚面=ゴンズは首をそれぞれ跳ね飛ばされた。
「ほっほっほっ。見事な戦いぶりですね。しかしこれならどうでしょう?」
ゲマはリュカを持ち上げてそのまま首筋に鎌を当てがった。
「この子供の命が惜しくなければ存分に戦いなさい。その代わり、子供の魂は永遠に救われる事なく地獄を彷徨うでしょう。」
「リュカ!くそ!卑劣な!」
「ジャミ、ゴンズ、立ちなさい。」
どこからともなく現れた黒い光が二頭を包む。しばらくすると、完全復活を果たしたジャミとゴンズが余裕の笑みを湛えていた。ジャミが慇懃にゲマに謝辞を述べる。
「ゲマさま、ご慈悲を頂き、ありがとうございます。」
「良いのですよ。この男は並の人間ではない。遅れをとるのも当然と言えば当然です。但し、2度目はありませんよ。」
「「ははっ」」
そして2匹はパパスに襲いかかった。パパスは唇を噛み締め、その猛攻を暫く耐えていた。しかし、何事にも限界はある。ついにパパスはズタボロにされてゲマの前に引き出された。この時奇しくもリュカ、モモ、ヘンリーの全員が意識を取り戻していた。自分の死期を悟ったパパスは意外にも落ち着いた様子でリュカに語りかける。
「リュカ………、聞こえているか………?お前の母さんは………今まで死んだと教えていたが………、実はまだ生きている………。私に代わって、必ず………、母さんを探し出してくれ!」
パパスは思う。これから息子が歩む道は険しく辛いものなのかもしれない。それにも関わらず、生きる使命を無理矢理与えることがリュカの幸せになるのか?だが、生きてさえくれれば………
「ほっほっほっ、遺言は終わりですか?」
「ああ、終わった………。その子たちを殺さないと誓うなら………遠慮なくやってくれ。」
「わかりました。命だけは保障しましょう。但し、光の教団の奴隷として、ですが。」
「生きていてくれるなら構わん………。」
「わかりました。それなら約束しましょう。メラゾーマ!」
リュカたちは見た。そして脳裏に焼き付けた。直径3メートルを超える火の玉が、愛する父を、親友のの父親がわりとなってくれた男を、人生の指南役を、その圧倒的な熱量で消しとばす瞬間を。
「ぬわーーーーっっ!!
跡には骨も残らなかった。そこには、パパス愛用の剣だけが残っていた。
「ほっほっほっほっ、子を想う親の気持ちというのはいつ見てもいいものですね。安心してください。あなたの要望通り、この子たちは一生光の教団の奴隷として幸せに暮らすでしょう。ジャミ、ゴンズ!この子供達を運び出しなさい!」
「「はっ!」」
モモに歩み寄ったジャミがゲマに問う。
「ゲマさま、このベビーパンサーはいかがいたしましょうか?」
「放っておきなさい。自然と魔性を取り戻すでしょう。」
「はっ」
「おや?」
「どうかなさいましたか?ゲマさま。」
「この子供、不思議な宝玉を持っていますね。これはもしや?いや、そんな大したものでもないですかね?ま、どちらにしろこうしておくに限りますが。」
ゲマは両手に魔力を込め、リュカがレヌール城でエリックに渡された宝玉を握りしめた。宝玉は跡形もなく粉々に砕け散った。
「さて、長居は無用です。早急にここを立ち去るとしましょう。ぬんっ!」
次の瞬間、ゲマの両腕から発せられた黒い光はリュカを抱いたジャミとヘンリーを抱いたゴンズを包み込む。その光が消えた時には、包み込まれた魔物たちの姿はなく、黒く焦げた地面とパパスの剣、そしてモモだけが残された。
ようやく体が動くようになったモモは、パパスの剣を咥え、既に真っ暗になった洞窟の外に出た。何とかモモはサンタローズへ帰ろうとする。しかし、そこへ毛皮ハンターが現れた。モモは体力を大幅に消耗している今、逃げ出せるとは考えられず、無理に抵抗しようとはしなかった。
「こいつはなかなかな上玉だぜ!」
「へへへ、おとなしい奴め。しかしその剣だけは離さねえんだな。」
「ほっとけよ。どうせ死ぬ時には離さなくちゃならねえんだ。とにかく早くしないとビスタの港が閉まっちまう。何でも政変が起きたらしいぜ。このままだと戒厳令が敷かれて港が封鎖されちまう。」
「送り先は?」
「西の大陸だ。」
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その頃、サンタローズにもラインハットで政変が起こったという知らせが飛び込んできた。カリンも情報を受け取ったマルティンから詳細を聞く。
「どうも第一王子のヘンリー殿下が行方不明になったらしい。パパスさんとリュカとモモちゃんも行方不明だそうだ。国王エドワードもショックで寝込んでしまったと言うし、不安だなあ。」
(リュカ、モモ、パパスさん…………。)
しかし、この時点で既にラインハットで巻き起こった嵐がサンタローズに矛先を向けているとは、誰も知る由がなかった。
現在池袋で行われているウルトラマンフェスティバルのイメージガールに土屋太鳳さんが就任していることをご存知でしたか?彼女は2010年にウルトラマンの作品に出演されているんですよね。ファンからするとこういうカムバックはありがたいです!
<次回予告>ヘンリー行方不明の報を受けたラインハット国王が失意のあまりに崩御してしまう。その後任として幼少ながら国王の座に着いたヘンリーの弟デール。その背後ではデールの母で摂政皇太后のカタリナが暗躍を始めた。
次回 第21話「蠢動」
賢者の歴史が、また1ページ。