DQ5 天空の花嫁と浪速の賢者   作:かいちゃんvb

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どうも、かいちゃんです。バレー男子日本代表とオリックスの勝利に沸いていたら前書きと後書き書くの忘れてました。しかしオリックス、強い!吉田正と伊藤(今日のヒーロー)に乾杯!
では、本編スタートです!


第16話 スケートはお好き?

カリンがカギの技法(ピッキング)を習得して(リュカとベラに穢れて欲しくなかったカリンの思いやりから2人は技法を習得していない。)再び洞窟から出てきたのはそれから6時間後のことであった。全員身体中傷跡だらけである。

 

「あー、死ぬかと思った!」

 

「ベラがいなかったら三回は死んでたよね。」

 

「ほんまそれ、ホイミバリ助かった。」

 

「いや、私なんて大したことしてないよ。それより……」

 

「せやな。今日のMVPはモモやな。」

 

長い時間の洞窟での戦いは体力を大きく消耗する。その中で皆が疲れている時に真っ先に敵に攻撃し、他の3人の負担を大きく減らしたのである。そのモモは身体中を他の誰よりも傷跡だらけにし、よほど疲れたのか、この洞窟の入り口での休憩の際に爆睡してしまい、今はリュカの胸に抱かれている。

 

「さ、帰ろか。一旦宿屋で休みたい。」

 

「そうだね。お金も随分貯まったし。」

 

「私も魔力がスッカラカンだわ。身動きが取れなくなる前に帰るのが正解ね。」

 

3人は東へ向かって歩き出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

村に着くとカリンはリュカから財布と皮の鎧と鱗の盾を強奪してよろず屋に駆け込んだ。そして鱗の鎧と青銅の盾を持って戻ってくる。

 

「ちっ、なんやあの店主。ウチが入った瞬間やな顔しやがって。そんなにこの前の値切りが不満やったんか?」

 

「不満だったから嫌な顔したんでしょ………。」

 

「前回どんな値切り方したのよ…………。」

 

「…………」

 

「思い当たる節はあるのね。」

 

「ま、取り敢えずポワンに現状報告でもしとく?ザイルの動機も分かったことやし。」

 

「そうだね。ポワン様のいるところの二階の教会で魔力も見てもらっておきたいしね。」

 

一行は教会で魔力を見てもらう。カリンは回復の上級魔法であるベホイミとマヒを治すキアリク、リュカは味方1人の守備力を大きく上げるスカラとカリンと同じくベホイミを習得した。そして最上階でポワンにこれまでの経緯をざっと説明する。

 

「ご苦労でした。これで解決へ向けて一歩前進しましたね。今日はゆっくり休むと良いでしょう。あなた方が宿屋で休んで目覚めたらあなたの現実世界のベッドで目を覚ますはずです。そうしたら、また地下の光の階段からおいでなさい。」

 

「はい!」「はーい」「ふにゃあ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ポワンの言う通り、宿屋のベッドに入って目を覚ますと自分のベッドにいた。荷物もベッドの下に置かれている。時間も地下の階段から妖精の世界に行った時から1時間と経っていない。

 

「妖精の世界って時間の経過が遅いん?」

 

カリンの目からは見えないベラに向かって問いかける。

 

「いいえ。今回が特別なのよ。本当はどちらの世界も同じように時が流れてるんだけど、あなた達を無理に招いているからね。ポワン様が魔力を使って時間の経過を調整しているのよ。」

 

「へ〜。ポワン何気に凄いやん。」

 

「何気にとは何よ!あんなにおっとりした方でも一応は妖精の世界を統べてるのよ!」

 

「………何気にめっちゃ失礼やな、あんた。」

 

「…………。」

 

すると、2人の会話の声で目覚めたリュカが話に入ってくる。

 

「それにしても驚いたよね。モモが魔物だったなんて。」

 

「ま、私もひょっとしてとは思ってたんだけどね。」

 

宿屋に入ると宿屋の主人がモモを見て目を丸くしてモモがキラーパンサーの子供であるベビーパンサーであると教えてくれたのである。子供とはいえ魔物と仲良くするなんて不思議な子供だなあと宿屋の主人は言っていた。

 

(ま、それはモモが桃華の生まれ変わりやからやけど、そういえばリュカの母親も魔物と友達になれるとか言うてたな。)

 

2年前のパパスとの会話を思い出してそんなことを考えていると、リュカが再び旅支度を始めた。

 

「カリン、早く行こうよ。」

 

「ん、分かった。」

 

カリンもモモも旅支度を整えて家の地下室に向かい、再び光の階段から妖精の世界へ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

妖精の世界に到着するや否や村を飛び出して一路北西に向かう。カッコよく戦おうとして自滅する水色の子供の妖精のコロヒーロー、コロファイター、コロプリースト、コロマージの4匹組のダサさにカリンとモモが(○本新喜劇か!)と心の中でツッコミながら爆笑するなどの小話を挟みながら進むこと2時間、一行は大きな岩山をくり抜いた洞穴の中に鎮座している氷の館の前に立った。

一応ドアを開けようとしてみるが、ポワンの話どおり、鍵がかかっており開かなかった。そこでまずは建物をぐるっと回ってみる。

 

「何の変哲もなさそうな建物やな。でも魔物はうじゃうじゃおるで。声聞こえるし。」

 

「それでも行くしかないよ。ここに春風のフルートがあるんでしょ?」

 

「誰も行かんとは言うてへんから。みんな、心の準備はええか?」

 

カリンがドワーフの洞窟でカギの技法書と共に収められていたピッキング用の二本の針金を取り出してそう確認を取る。

 

「「うん!」」「ふにゃあ!」

 

「ええ返事や。じゃ、いきまーす。」

 

カリンは鍵穴に二本の針金を入れ、技法書の手順通りに鍵穴に型どおりの鍵が入っていると錯覚させる。そして、二本の針金を鍵穴から抜けないように回すとカチリという小気味の良い音が鳴った。それを聞きつけたリュカが取っ手を握って手前に引っ張ると、ドアが開いた。……カリンを巻き添えにして。

 

「あたっ!」

 

リュカが開いたドアがカリンの頭に激突する。

 

「あ、ゴメン!」

 

「ゴメンで済んだら警察いらんのじゃワレ!」

 

「けーさつって何?」

 

「…………何でもない。忘れて。」

 

「さ、早く進みましょ。」

 

「そうだね!ちょっと先を見てくる!」

 

リュカは建物内に駆け出していく。頭を打ったためしゃがみ込んでいたカリンがその視線の低さから床の異変に気付いた。

 

「リュカ!止まれ!床滑るぞ!」

 

「あ〜〜れ〜〜」ドシン!

 

「………言わんこっちゃない。」

 

「どこかから下に落ちたみたいね。」

 

「さてと……」

 

カリンはカバンの中からレヌール城で用い、その後サンチョに新しい樹脂を染み込ませた布を巻いてもらった松明を取り出し、カリンのメラで火をつける。そして滑らないように注意しながらカリンとベラはゆっくり氷の床の上を歩き始めるが、思うように行かず、何度も転びそうになる。それを見ていたモモが前世の知識を思い出し、カリンを呼び止める。

 

「ふにゃあ!ふにゃあ!」

 

「何?モモ。」

 

モモはベラに見えないように氷に爪を立てて文字を書く。

 

"ペンギン歩きをすると滑らんらしい"

 

「へー。試してみよ。」

 

体重を前にかけて歩幅を狭くしてチョコチョコ歩く。すると意外にも滑りにくかった。モモは爪を立てて普通そうに歩けており、心配はなさそうだ。

 

「ベラ!これでいけるで。」

 

しばらく進むと床に穴が空いている箇所を発見した。松明を穴に突っ込んで中を覗いてみると、尻を強打したのか、尻をさすりながらしゃがみ込んでいるリュカを発見した。辺りを見回して他に降りれそうなところがないか探してみると、かなり左奥に下り階段があった。右手前には登り階段がある。

 

「リュカを長いことほったらかすのも可哀想ね。」

 

「せやな。こっから落ちて奥の階段に登ってきて、また手前に進んでそこの階段から登ろか。」

 

「リュカ〜〜!飛び降りるから受け止めてね!」

 

まず妖精は寒さに強いため、軽武装なベラが飛び降り、その2人に抱きとめてもらう形でカリン、さらにモモが飛び降りる。そしてリュカにペンギン歩きをレクチャーし、フロアの隅の宝箱を回収する。

紫色の一角うさぎ・アルミラージ、紫色のスカルサーペント・カパーラナーガ、ホイミを放つ黄色いドラキー・ドラキーマなどの魔物を倒しながら側から見たらシュール極まりないペンギン歩きを続け、ついに屋上となっている二階にやって来た。見回してみると、フロアの中央に一段高くなっており、三方を氷の壁に囲まれた場所があり、その前にピンクのフードを被った小柄な人影が見える。

 

「なるほど、あれがザイルやな。」

 

「そうみたいね。」

 

回り込んでザイルの正面から見てみると、氷の壁の内側には宝箱が2つ置いてあった。当然、ザイルの正面に回り込んでいるので、ザイルはこちらの存在に気づいて声をかけてくる。

 

「誰だ!お前たちは!」

 

フルートを取り戻す氷の館での決戦が始まろうとしていた。




ついに今週末には女子代表の試合がテレビで見れます!楽しみです!オールスターもあるしね!
<次回予告>ついに始まったフルートを取り返すための最終決戦。しかし、ザイルの裏には黒幕が存在した。これまでの敵とは比べ物にならない強さを誇る敵に勝つことはできるのか?
次回 第17話「禁じられた挑発文句」
賢者の歴史が、また1ページ。

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