DQ5 天空の花嫁と浪速の賢者   作:かいちゃんvb

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どうも、かいちゃんです。ヒアリが最近話題になっていますね。今回東京にも出たとか。どうせ駆除なんてできないんだから噛まれないように気をつけながら上手く付き合っていくしかないと思いますけどね。
では、本編スタートです!


第15話 フルート奪還隊西へ

「「あったけ〜〜」」

 

建物内に入るなり、2人と1匹はその暖かさを噛み締めた。慌ててベラが追いついてくる。

 

「はあはあ。あんたたち急に走り出さないでよ……。とにかくポワンさまに会って。三階にいらっしゃるから。」

 

一行はベラに促されるまま天井のない三階に出た。吹きさらしであるにも関わらず、屋内のように暖かいそのフロアの中央には、美しい女性が鎮座していた。その女性がリュカたちに声をかける。

 

「ようこそおいでくださいました、小さき勇者たちよ。私がこの妖精の村の主、ポワンです。それにしてもベラ、事情くらい説明してから寄越してはどうですか。ま、いいですけど。」

 

「………。」

 

「とにかくあなた方には説明が必要ですね。実は妖精は季節を司る役目を担っているのです。人間界にある妖精の城の女王が夏と冬の訪れを世界に告げ、私たちが春と秋の訪れを世界に告げる役割を背負っているのですが、春の到来を快く思わない雪の女王がザイルというドワーフを唆してここから春風のフルートを盗み去ってしまったのです。これでは世界に春を告げることができません。

そこで、あなた方には春風のフルートを取り返していただきたいのです。」

 

「えー、自分で行ったらええやん。めんどいしさぶいからはよ帰りたいねんけど。」

 

やはりカリンが雰囲気をぶち壊し始める。

 

「私たちもそれが出来ればいいのですが、もともと私たち妖精は戦う種族ではなく、ろくに魔物と戦うこともできないのです。そこで、ベラに人間の戦士を連れてくるように命じたのですが、すっかり忘れてましたわ。妖精は心が清らかな子供にしか見えないことを………。」

 

((はいはい、どーせウチらは心の汚れた大人だから見れなかったんですよ〜〜))

 

カリンとモモは心の中で同時に突っ込んだ。

 

「その代わり、ベラを連れてお行きなさい。この子の呪文は役に立つでしょうから。」

 

「はい!それでポワンさま、雪の女王は今どこにいるんですか?」

 

リュカが健気に受け答えしている。

 

「彼女はこの世界の北西にある氷の宮殿に住んでいます。しかし、その鍵は閉ざされており、中に進むことができません。ですから昔に"カギの技法"という、簡単なカギなら何でも開けてしまう技法を生み出したドワーフに会いに行くといいでしょう。この村を出てまっすぐ西に進んだところにある洞窟に住んでいるはずです。」

 

「分かりました!」

 

「ガッテン承知の助。」

 

「それからリュカにはこの鉄の杖を差し上げましょう。どうか気をつけて行ってきてください。」

 

「「はい!」」 「はーい」

 

リュカ、カリン、モモにベラを加えた4人での妖精界での冒険が始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

やはりというべきか、カリンが最初にやって来たのはよろず屋の前である。店頭に出ている品目と金額を見て素早く勘定する。

 

「リュカ、あんたにこの前のレヌール城の時の稼いだ金渡したやんな。いくら?」

 

「親分ゴーストからかなりせしめたけど所持金は全部で1300ゴールドくらいだね。」

 

「品目見たら2000は欲しいな。」

 

「洞窟を探検し終わったらまた来れば良いんじゃない?」

 

「せやな。」

 

「ブーメラン売ったらお金にならないかな?」

 

「ブーメランは何かと便利やから残しとく。あれ近接戦闘にも使えるし、とっさの防御にも使えるからな。」

 

「ま、カリンに任せとけば問題ないや。」

 

「任せとけ。とりあえずあんた木の帽子出し。」

 

「はいよ。」

 

「じゃ、行って来ます。」

 

やり取りを見ていたベラがリュカに声をかける。

 

「大丈夫なの?任せて。」

 

「大丈夫だよ。カリンならおまけつけて値引きしまくって買ってくるから。」

 

「本当に?」

 

「まあ見ときなって。」

 

5分もするとカリンは店の中から出て来た。手には毛皮のフード3つ、石の牙、皮の腰巻を持っている。それを見てベラが驚く。

 

「あなた、どう考えても手に持ってるもの1300ゴールド超えてるでしょ!」

 

「正確には1324ゴールド。ま、足りへんのには変わらんけど、そこをここまで持って行くのがウチやで。舐めんといてほしいわ〜。」

 

「………。」

 

"うわー、えげつなー。"

 

そして、毛皮のフードはリュカ、カリン、モモがそれぞれ装備し、さらにモモは石の牙と皮の腰巻を装備する。

「じゃ、みんな早く行こうよ!」

 

「ほんまにウチ冬嫌いやからさっさと終わらそ〜。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一行は雪が降りしきる平原を、巨大青リンゴに一つ目と凶暴な口をつけたガップリン、青玉ねぎの下に黄色い触手が数本生え空中浮遊しているホイミスライム、やたら細い四肢とつり目と長く伸び、口から出ている舌を持つ猿・つちわらし、丸っこい黄緑いろのサボテンに紫の目と何故かピンクのリボンをつけているサボテンボール、緑色のローブを身に纏い、ギラとヒャドを得意とする怪人・まほうつかい、マッドプラント(表現出来ないので、画像検索してください。)などの魔物を蹴散らしながら西に進んで行く。初めは魔物との戦いに不慣れだったモモであったが、カリンの指示に従って行くうちに戦い方をだいぶ覚えたようで、洞窟に着く頃には文句なしの戦力になっていた。

 

 

土の地面の上に文字が形成されていく。

 

「モモ、だいぶ様になってきたな。」

 

"カリンのおかげやって。ありがとうな。それにしてもカリンの射撃凄いわ。さすが元弓道部インターハイ選手。"

 

リュカ一行は件の洞窟に入ったところで一休みしていた。リュカとベラは雑談をしており、その反対側で絵を描いているふりをしながらでのカリンとモモの筆談である。

 

「お世辞ありがとう。ま、あんたはセンスあるわ。短い時間で相手を見るのが上手いし、攻撃にしても何にしても相手の嫌がることするのは一級品やな。元バレー部っていうのもあるんかも知らんけど。」

 

"お世辞ありがとう。"

 

「カリン、モモ、そろそろ行こ!」

 

「うし。」 「ふにゃあ!」

 

洞窟の中はより強い魔物で溢れていた。メラを操る赤い子供のドラゴン・メラリザード、赤いグリーンワーム・ラーバキング、オレンジ色のとげぼうず・スピニー、ナイトスウィプスなどの魔物たちは洞窟の外と違って手強く、苦戦を強いられた。

それでも洞窟を奥へと進むと、明らかに生活感があるんかも空間に出た。中を覗いてみると、背丈の低いヒゲを生やした中年のドワーフが座って本を読んでいた。

 

「邪魔すんで〜」

 

「む、お客さんか。おや、どうしたんだい?子供ばかりのようだが……。」

 

「えっと、話が長くなるんですが………」

 

ベラが説明しようとすると、カリンが横槍を入れる。

 

「春風のフルートが雪の女王に唆されたザイルというドワーフに盗まれた。奴らは氷の館に立てこもっとる。で、そこの鍵を開けたいから開け方を知っとるっちゅうあんたに会いにきたんやけど、全然話長ならへんで、ベラ。」

 

「ちょっとカリン!年上の面目丸つぶれじゃないのよ!」

 

「何!?ザイルだと!?」

 

「どうしたんすか、ドワーフのおっちゃん?」

 

するとドワーフが急に土下座をして頭を地面に擦り付け始めた。

 

「非常に申し訳ない!!」

 

「ど、どったの?」

 

「………ザイルはワシの孫だ。」

 

「「ええっ!?」」

 

リュカとベラは驚いた表情をする。一方でカリンは膝をついて落ち着いて問いかける。

 

「どうやらもうちょい詳しい話を聞かなあかんな。どうやらこの爺さんもこの一件に噛んどるみたいやし。」

 

「全てはワシのせいなのだ。ワシがカギの技法などを生み出してしまうから、回り回って多くの人に迷惑をかけることになったのだ。」

 

「まず、カギの技法って何なんすか?」

 

「細い針金をうまく用いてカギを開ける技法だ。」

 

((ただのピッキングかい!))

 

カリンとモモの心のツッコミがシンクロする。

 

「若かりし頃のワシはこれを生み出したことが嬉しくてのう、つい自慢してしまったのだ。それを先代の女王に知られてしまってな。そんな技法はけしからん。この洞窟へ追放すると。」

 

「こんなん知れ渡ったら犯罪が横行するからな。厳しすぎるとはいえ、正しい判断であるのは間違いないですね。」

 

「しかしあの頃のワシは若かった。そんな考えには思いも至らず、ザイルがいる時にそのことをふと愚痴ってしまったのだ。奴はきっとそれを聞いて、ポワン様に一方的な怨みを抱いたのだろう。」

 

「ま、動機はわかった事やし、ささっとカギの技法教えてくれますか?ザイルはあんたのところに襟首引っ掴んで連れてきますから。」

 

「済まないな。世話をかける。あなた達ならこの技法を悪用することもないだろう。この洞窟の最深部の宝箱に入っている。取ってくるといい。」

 

「オッケー!」

 

「あんたらからしたらここの魔物は手強いだろう。十分気をつけてな。」

 

「「「はい!」」」

 

 

一行は、カギの技法を納めた宝箱を目指して洞窟を奥深くへ進んでいく。

 




女子バレー日本代表がワールドグランプリ初戦のタイ戦にフルセットで勝利しました!東京五輪に向けていいスタートが切れてよかったと思います。まだ見てないから詳しくは分からないんですが大差をつけられた第2セットに不安が残りますね。そこも含めて改善して秋のグラチャンでの活躍を期待しています!
<次回予告>カギの技法を手に入れた一行はついにザイルの待ち受ける氷の宮殿へ向かう。慣れない氷の床に苦戦する一行は、果たして無事にザイルとの決戦に臨めるのか?
次回 第16話「スケートはお好き?」
賢者の歴史が、また1ページ

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