DQ5 天空の花嫁と浪速の賢者   作:かいちゃんvb

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どーも、かいちゃんです。最近GTOを見ました。反町版もAKIRA版もアニメ版もみんな違ってみんないいと金子みすゞチックな事を言って見ました。(それがどうした)
では、本編スタートです!


第11話 ティーセット探索要請

カリンは無事に動く石像を討伐し、扉から外に出た。どうやら屋上庭園になっているようで、東西に池があり、その間に墓石が二つ並んでいる。カリンは池を通り過ぎ、墓の前に来ると、ある違和感に気づいた。墓石周辺の草に、何か平らで重いものを置いたような形跡があるのだ。もしやと思って墓石を開けてみると、そこには恐怖で縮こまっているビアンカがいた。

 

「おーい、助けに来たぞ〜。」

 

「ふぇ?カリン?」

 

「ほら、出ておいで。」

 

するとビアンカはものすごい勢いで飛び出して来てカリンに抱きついた。

 

「うぅ………、怖かったよ…………。」

 

「もう大丈夫。ほら、ちょちょぎれかけてる涙拭き。リュカに合わせる顔ないで。」

 

「うん。リュカは?」

 

「多分、この中。」

 

カリンは開けてない方の墓石を指差す。

 

「それにしても棺桶がないのは不思議やな。」

 

「きっとこの城を襲った魔物がとって行っちゃったのよ。魔物は人の死体を薬に使うって聞くし。」

 

「そんなもんかなぁ、ま、とりあえずリュカも助けたろか。」

 

「うん。」

 

2人が墓石を動かすと、案の定リュカがいた。小指で鼻をほじりながら。

 

「リュカ?元気してたか?」

 

「うん、遅かったね。」

 

「よーし、とりあえず上がっといで。」

 

「うん。」

 

するとカリンはリュカを引き上げるなり拳をにぎってこめかみに人差し指の第一関節を押し付け左右にひねった。所謂グリグリである。

 

「いたたたたたたた!」

 

「あん?それが助けてもらった立場で言う言葉か?」

 

「ごめん!冗談だから!ギブギブ!」

 

「しゃーない。こんなもんで勘弁したろ。」

 

「とりあえず3人揃ったわね。ところでさ、さっき気づいたんだけど、この墓碑銘………」

 

「ん?どれや?」

 

よく墓碑銘を見てみると、しっかり彫られた墓碑銘の上から筆で"リュカの墓" "ビアンカの墓"と書かれていた。

 

「ったく、ひっどいことしやがって。」

 

そう言うと、カリンはカバンから大きめの布を出して池で濡らして絞ると、その絵の具を拭きはじめた。リュカもビアンカもそれを手伝う。あらかた綺麗に拭き取ると、正しい墓碑銘は"エリック王" "ソフィア王妃"と読めた。

カリンはしゃがんで胸の前で手を合わせた。

 

「リュカ?カリンってああやってお祈りするの?」

 

「そうだよ。カリンは"クヨウ"って言ってたね。」

 

"随分敬虔な子なのですね"

 

「ちょっとリュカ!変な声出さないでよ!」

 

「僕じゃないよ。ビアンカじゃないの?」

 

「違うわよ!」

 

「おーい、こんなところでケンカすんなよ。」

 

「「「で、誰?」」」

 

カリンは視線をリュカたちの後ろにやり、リュカとビアンカはゆっくり後ろを振り向いた。そこには、体が透けた30代後半と思しき豪華なドレスに身を包んだ美女が佇んでいた。

 

"こんばんは、小さき勇者たち。"

 

「きゃああああ!!」

 

「うわああああああ!!」

 

リュカとビアンカはものすごい勢いでカリンの影に隠れる。当のカリンも悲鳴こそは上げないが、膝はガクガクと震えていた。

 

"こ、怖がらないで?別にあなたたちのに危害を加えようと思っている訳ではないから。"

 

「あー、ひょっとしてアレですか?私の供養のやり方がまずかったですか。そうですよねごめんなさい謝りますから呪ったりせんといて〜〜!」

 

"落ち着いてください!とにかく話をしましょう。実はあなたたちに頼みたいことがあるのです。"

 

「あ、今すぐ出ていけですよね。はい、今すぐこいつらまとめて出て行くんでではお邪魔しました〜!」

 

"お願いだから私の話を聞きなさ〜〜い!!"

 

「カリン……悪い人じゃなさそうだよ。一回話を聞いてみてもいいんじゃないかな?」

 

「そうよ。何か困ってるみたいだしね。」

 

「大丈夫やって、2回目の台詞は揶揄っただけやから。」

 

「「 "……………。" 」」

 

「で、頼みって言うのは?」

 

"とにかくついてきて頂けますか?"

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カリンたちは女幽霊に連れられて西側の塔に入り、階段を降りて、どうやら王族の寝室だったらしい場所に案内された。そこには王様の格好をした壮年の幽霊が待っていた。

 

"よくぞ来た、小さき勇者たちよ。実はお主たちに頼みたいことがあるのだ。"

 

「その前に自己紹介プリーズ?」

 

"うむ、私はレヌール国最後の国王、エリックだ。そなたらを連れて来たのは我が妃、ソフィアだ。"

 

「ああ〜。あの墓の。」

 

"いかにも。小さき勇者たちよ、そなたらに頼みたいことは2つだ。1つ目は、そなたらがここへ来た目的でもあろう、この城に巣食う魔物たちを追い払って欲しいのだ。奴らは殺されたこの城の住人たちを使役して毎晩舞踏会を開いておるのだが、城の人間は誰もそのようなことは望んでおらぬ。我々はこの城で静かに眠りにつくことを望んでおるのだ。

そしてもう1つは、この城の宝であった銀のティーセットを揃えて欲しいのだ。城が襲われた際にカップ、トレイ、ポットがそれぞれバラバラになってしまってのう。1つ1つの場所はわかるのだが幽霊となってしまった以上、触れることができんのだ。だからもう一度完成されたものになるように集めて欲しいのだ。"

 

「うん、1つ目はわかったんやけど、銀のティーセットはなんで集めなあかんの?」

 

"そんなもの、天に召される前にもう一度見ておきたいからに決まっとるだろう。"

 

「「「…………。」」」

 

"どうだ、引き受けてはくれぬか?"

 

「「引き受けます!」」

 

リュカとビアンカが高々と宣言する。

 

「ま、2人がそこまでノリノリなんやったらウチも尻馬に乗っかりますか。」

 

"うむ。恩に着るぞ。"

 

「で、ティーセットの場所は?」

 

カリンはカバンから羽ペンと紙を取り出し、小さなツボに入ったインクをペン先につけてメモの用意をしながらエリックに問いかける。

 

"うむ、まずこの寝室のあそこの棚にトレイが入っておる。ちなみにここは五階なのだが、四階の東側の塔の、魔物がここを襲った際にできた床の穴を上手いこと落ちれば三階の宝箱にポットが入っておる。それからカップなのだが、これは城の中にはなかったから、おそらく地下の避難用の物資を置いた倉庫にあると思う。城の扉に来る前に窪地があっただろう。あそこにそこへ通じる扉があるはずだ。"

 

「でもエリック王、扉は錆びついてて開かないんじゃないかしら。」

 

"私が開けておこう。こう見えても少しは魔法の心得があるのでな。それと魔物の件に関してだが、奴らの首領は四階の玉座におる。だが奴は人を寄せ付けぬように四階を闇で閉ざしておる。視界が効くようにするには松明が必要だろう。西の塔の一階の下り階段を降りた地下の壺の中に入っているから取っていくがいい。"

 

「オッケ。なら行きますか。」

 

「「うん!」」

 

"3階より下はおばけキャンドルやゴースト、スカルサーペント、ナイトスウィプスといった魔物が出る。注意して行くのだぞ。万全の体制で魔物の首領と戦えるように、キズは銀のティーセットを持ってきた時に治そう。"

 

「「はい!」」

 

「ん、おけ。」

 

カリンたちはレヌール城大探索へ出発した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

早速棚からトレイを見つけ出した一行は真っ暗な四階を抜け、言われた通りに穴から三階に落ちてポットを回収。もう一度穴に落ちて二階に到達し、階段のある反対の塔へ向かうために吹き抜けを通ると、その下、つまり一階のホールでは魔物たちがエリックの話の通り、呪いによって幽霊の体を無理やり動かして踊らせ、それを見て楽しむという趣向の舞踏会が行われていた。

 

「可哀想ね。無理やり踊らされるなんて。」

 

「本当だね。ますます魔物が許せなくなってきたよ。」

 

「虫唾が走る。はよ行こ。」

 

一階に降りてみると確かに扉は開くようになっており、言われた通りにカップの回収に成功、これで銀のティーセットは揃った。

さらに地下で魔物たちのためのかなりエグい料理をヒイヒイ言いながら作るコックを申し訳ないと思いながら素通りし、松明も手に入れた。

そしてエリックの元へ戻り、できた銀のティーセットを見せる。

 

"おお、少し汚れてしまってはいるが、正にこの城に伝わる家宝だ。感謝するぞ。お、ケガはしておらぬようだな。それでは魔力の回復だけをすることとしよう。"

 

3人は魔力を回復してもらった。すると、3人をここに連れてきて以来言葉を交わしていなかったソフィアが前に出てきた。

 

"この城の皆のために、命をかけてくれたことは感謝に絶えません。ですが、くれぐれもお気をつけて。"

 

 

エリックの魔力で魔力(MP)を回復してもらい、ソフィアに激励の言葉をかけられた一行は、ついに魔物たちの首領=親分ゴーストと対決するため、勇ましい足取りでエリックとソフィアのいる寝室を出ていった。




タイトルの内容が後半2割に押し込まれる形になりました。最初は意気揚々と長く書くつもりだったんですけど、全然長くならなかった………。
<次回予告>ついに始まる親分ゴーストとの頂上決戦。しかし、3人は分断策を取られて窮地に陥る。果たして、勝負の行方は?
次回 第12話「レヌール城の決戦」
賢者の歴史が、また1ページ

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