やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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「美醜逆転5」

俺達は結婚をしてから教室で結衣、優美子、姫菜で過ごすことが多くなっていた。休み時間中、俺達が話していると、相模が勉強している後ろから女子生徒にシャーペンで背中を突かれていて、勉強の邪魔をされているのが気に障ったので、思わず近寄っていき声を掛けていた。

 

「おい、勉強してる奴の邪魔するなよ」

「え!?何あんた。いいじゃん、ブスが勉強してもどうしようもないじゃん」

「はぁ!?お前たちは容姿が優れてるのに内面が醜いって思われたいのか?人の邪魔するなんて最低な行為だぞ」

 

いや、容姿も優れてるって思ってないよ。俺からしたら相模より数段劣っているからな。まじめに勉強している相模なんて超レアだろ。そんな奇行種いや希少種を無くそうとするなよ。...どちらの言い方も酷いな...

 

「...わ、分かったよ」

「スマン相模、勉強の邪魔して悪かったな」

「あ、ありがとう比企谷//」

 

相模が俺に素直にお礼を言うなんて...変な気分になりながら俺が相模の所から自分の席に戻っていく途中、離れた席から川崎が俺の方を呆然と見ていた。話しかけられることもなかったので、そのまま過ごしていたが。

相模はそれからちょっかいを出されることは無くなったようで休み時間も勉強を頑張っていた。

ただ相模は時折、俺と目が合っては顔を赤くしていたが熱でもあるんじゃないか。勉強し過ぎて知恵熱を出さなければいいが。

 

放課後、俺は嫁さん達と一緒に雪乃が淹れてくれた紅茶を飲みながら皆とキスしていた。

部室の扉をノックする音が聞こえてきて雪乃が返事をすると川崎と相模が入ってくる。

 

「あんた相模を助けてたけど、どういう事」

「その事か、俺はああいった行為が嫌いなんだ。抵抗しない相手になんでもして良いと思っている連中が嫌いなんだよ」

「比企谷、ありがとう//」

「俺は何もしてないからな」

「ううん、それでもうちは助かった。だからお礼を言わせて...ありがとう比企谷//」

「あのさ、この状況を教えて貰いたいんだけど」

 

川崎はそう言って俺達の方を見渡していた。川崎や相模には信じられないのだろう。ただ俺は好きな嫁さん達と一緒に居るだけなんだが。

 

「俺は皆と結婚したんだ。だから一緒に居るだけだ」

「え!?ひ、比企谷?それって」

「..みんな、俺達のことを二人に説明して良いか」

 

俺がそう言うと皆が頷いてくれたので、俺は川崎と相模に皆と結婚したこと、違う世界から来たことを説明していた。

 

「川崎はモデルって言っても良いぐらい身長もあるし綺麗だからな、そんなお前が俺が転んでいるとき気にせず短くしたスカートで通りすぎるからドキドキしたよ」

 

夜、お世話にもなったからな、こちらの川崎にこんなこと伝えるのもどうかと思うが。

 

「私なんかで興奮してくれるんだ//」

「だが、こっちではどういう繋がりなんだ?俺が知っているのは深夜アルバイトでバーテンをしていたんだが、言っちゃなんだが、こっちではバーテンとか難しいだろ」

「私が深夜、ビルの清掃員をしてたら、あんたが来てスカラシップを教えてくれたんだよ」

 

アルバイトの内容は異なっているがやったことは一緒なんだな、どういった経緯で依頼が来たかは不明だが。

 

「相模については俺の事嫌っていたからな、でも可愛いとは思っていた」

「可愛いって//..でも比企谷を嫌ってたなんて、そっちのうちをぶん殴りたい」

「それは俺にも非があるからな」

「うちは文化祭でクラス委員として比企谷と出席してたんだけど、皆が面白がって委員長にさせられたの。雪ノ下さんが副委員長してくれたんだけど、誰もうちらの言うことは聞いてくれなかったの。

比企谷も含めて10人ぐらいで頑張ってたんだけど、無理して雪ノ下さんが倒れてね。それで比企谷が自分に悪意が向くようにしてなんとか実行委員を立て直してくれたんだ」

 

俺の知っている文化祭とは異なるようだな、委員長を相模がしていたのは一緒だが、話を聞く限り一生懸命やっていたのだろう。

 

「じゃあさ、比企谷。私でもその..け、結婚して貰えるの//」

「う、うちも比企谷のお嫁さんになりたい//」

 

俺が周りを見渡すと皆、頷いてくれたので俺は結婚を申し込み、二人は受け入れてくれていた。ただその後、二人にキスをしたのだが、未だに誰かに見られると照れてしまうので俺は顔を真っ赤にしていた。

二人は俺以上にテンパっていて、頭から湯気が出るんじゃないかと思うほど顔を赤くしている。

 

沙希と南を椅子に座らせると、俺達を見ていた5人からもキスしてほしいとせがまれ、その日も部活はイチャイチャチュッチュしているだけだった。良いのだろうか、今は本当に俺に対するご奉仕部になってきてる気がする。

 

 

「八幡おはよう、あの...話を聞いてほしい人がいるんだけど」

 

俺が教室に入ると南がなんだか申し訳なさそうに俺に話しかけて来ていた。なんだ、話を聞いてほしい人って。

 

「おはよう南。昼休み皆が居ていいなら部室とかでも良いか」

「うん、ありがとう。じゃあお昼休みに部室に連れて行くね」

 

その後、沙希、優美子、結衣、姫菜が来て挨拶し話していると、コソコソ話しているのが聞こえてきた。どうも俺のことをブス専とか言っているようだが、そんなのは放っておけばいい。俺は気にせず皆と話していた。

 

俺が皆を誘って部室に行くと、雪乃は既にいて紅茶を用意してくれていた。今日は沙希が弁当を用意してくれていたので、俺は沙希の弁当を頂いていると、ノックする音が聞こえ、南を先頭に城廻先輩が入ってきた。その後、一色も続いて入ってきた。

 

「遅れました!!」

「いろはさん、こんにちは」

「ずるいですよ、雪乃先輩、沙希先輩。私も先輩の隣に座りたかったのに」

 

いろはは元々明るかったのだろう、段々俺の知っている元の世界のいろはに行動が近づいて行っている気がする。

 

「それで南、城廻先輩を連れてきてどうしたんだ」

「まず話す前にさ、自己紹介していいかな。初めましての人もいるから。私は三年の城廻めぐり、比企谷君と一緒に文化祭の実行委員してたんだ」

 

城廻先輩は生徒会長ではないのか。あまり考えたくないが容姿だけで生徒会長が選ばれるなら城廻先輩には難しいのかもしれない。

 

「そのまずは謝らせてほしいな、比企谷君が文化祭を立て直してくれたのに気づかずに最低って言っちゃってごめんなさい!!」

「気にしてませんよ」

「ありがとう、それでさ比企谷君、皆とのこと聞いて良いかな」

「..南、俺の事、言ったのか」

「うん、八幡がうちと結婚してくれること嬉しくて言ったの。...黙ってた方が良かったのかな」

「いや大丈夫だ。それでどういったご用件ですか」

「比企谷君、私とも結婚してほしいな」

「...すみません、今は受け入れれないです」

「え...」

「俺は誰でも受け入れられるほど、人は出来てませんし城廻先輩のことも余りよく知りません。先輩にとって結婚は軽いものかもしれませんが、俺は一生支えあっていきたい人と結婚したい」

「..そうだよね、でも私にもチャンスはあるのかな」

「ええ、これから関わっていけばお互いのことが判るのでそれからでも良いですよね」

「うん、これからお願いします」

 

俺達は中断していた昼食を頂きだしたが沙希の弁当は本当にうまい。俺が褒めているといろはや姫菜、南も弁当を作りたいと言い出した。

 

「比企谷君、私もお弁当作ってきていいかな」

 

なぜか城廻先輩も作ってくることになったみたいだな。俺の昼飯代が浮くのは嬉しいのだが、向かいで結衣がなんだか怪しい顔をしていた。

 

「ヒッキー、あたしもクッキー焼いてくるね!!」

「ごめんなさい!!皆を置いて死ねないです」

「ひどいっ!!」

「結衣さん、黒檀は食べれないのよ。皆でバーベキューするときに作ってくれれば燃料として使用できるわ」

「ひどいっ!!」

 

結衣が頬を膨らませて怒っているが、何だか和んでしまったな。こっちに来てから皆の笑顔を見ることは少なかったが、今は皆屈託のない笑顔を見せていた。

 

「ふふ。...冗談はここまでで私から皆に伝えたいことが有るのだけれど、今日の放課後ここに集まれるかしら。大事な話があるのよ」

「それは私も聞いて良いのかな」

「ごめんなさい、八幡君と結婚している、する事が決まっている人だけ集まってほしいの」

「しょうがないよね、私はお弁当を頑張るよ」

 

お昼休みが終わり、午後の授業を受け6限目の授業が終了すると、俺は平塚先生に呼び止められていた。

 

「比企谷、話があるのだが生徒指導室に来れないか」

「..それは今じゃないと駄目ですか、今日は大事な用事が奉仕部であるので」

「何も聞いていないがそれは私も行って良いのか」

「すみません、内容については雪乃しか知らないので俺からは何も言えないですよ」

「では私も向かおう。駄目であれば出て行くよ」

 

俺と平塚先生は話をしながら奉仕部に向かっていくと、先生は笑みを浮かべながら俺に話しかけて来ていた。

 

「比企谷、なんだか雰囲気が変わったな」

「..俺は変わってませんよ」

「そうか、君がそういうのであれば変わっていないのかもな。だが私から見れば良い変化だよ。君の周りは変わっていっている、皆いい笑顔をするようになったじゃないか」

「そうですね、俺には眩しいですよ」

「君も良い笑顔をするようになったな」

 

俺はいつの間にか笑っていたらしい、俺達が部室に入っていくと皆が既に来ていた。平塚先生は雪乃に居ても良いか確認し、聞くのは良いが口を挟むなと言われていた。

平塚先生は壁にもたれていたが、その立ち姿も格好が良い。何でこの人は立っているだけで格好いいんだよ。

 

「集まったようね。昨日、母さんから提案があったの。よければだけれど私の実家に皆で住まないかと言われたのよ。もちろん八幡君も一緒に」

「あたしは無理かな、ママを一人に出来ないもん」

「結衣さん、貴女の御母様ももちろん一緒に住んでもらっても構わないわ」

「え!?じゃあさ、ヒッキーと皆で一緒に居れるってこと!?」

「そうね、八幡君はどうかしら」

「そうだな、小町にも伝えないといけないが良い案だと思う。...だが雪乃の父親は良いのか」

「....あの人はもう帰ってこないわ。私達と係わりたくないからって、でも離婚は出来ないから母さんに契約書を書かせたの、お互い何が有っても干渉しないって。あの人は選挙のため雪ノ下の姓だけが欲しかったのよ。...母さんも雪ノ下姓を他の女性に、子供が出来ても使わせないようには契約したのだけれど」

「そんなことが..」

 

ママのんは言わなかったが、俺には想像できないほど辛く悲しい思いをしたのだろう。

 

「でも良いの、それのおかげで八幡君を家に迎え入れれる。母さんも八幡君が来てくれることを心待ちにしているわ。

皆も家の事情もあるでしょうから無理にとは言わないけれど、もし八幡君が住んでくれれば都合のいい日に泊りに来てくれれば良いのよ。もし八幡君が来れなくても愛し合う部屋は欲しいでしょ」

 

皆、考えているようだな。まだ親に頼って居るから一人で決めれないだろう。俺の気持ちとしては雪ノ下家に住みたい。そうすれば嫁さん達と毎日一緒に居れるからな、ただ小町を一人家に残しては行けない。

 

「雪ノ下、聞いても良いか」

「どうされましたか先生」

「君達は一緒に住むと言っているがどういう事だ」

「私達は八幡君と結婚したんです。私の母さんも姉さんもです。八幡君と一緒に住みたいからと提案してきたんですよ」

「雪ノ下の母親もか、皆おめでとう。比企谷、皆を守ってあげろよ」

 

先生に素直にお祝いを言われるとは思っていなかった。こっちの先生は結婚願望は無いのか?皆にお祝いを言っていて、恨み言をいわないのだが。

 

「..先生は結婚願望はないのですか」

「私を貰ってくれる人がいるならしたいがそんな人はいないからな、このまま教師を続けるよ」

「先生は何で教諭に」

「..私は小さいときから虐められていてな、自分の容姿を恨んだが高校の時の担任が奉仕部を作ってくれて、私のような者に居場所を作ってくれたんだ。その先生が私に教師を進めてくれて教諭を目指したんだよ。私のような子達に手を伸ばしたくてな」

「先生、もしかして私をここに入れたのも..」

「ああ、雪ノ下も陽乃も私より酷い誹謗中傷を受けていた。とても見ていられなかったが、私が出ていっても酷くなるだけだから最初は他の先生にお願いしたが動いてくれなくてな、学校の中にいれる場所を作ったんだ」

「..先生、ありがとうございます」

「比企谷を入れたのは人の容姿だけで判断せず、人の内面をみようとしていたからな、入れ方は誉められたものでは無かったが、今こうして皆と結婚するまでに至ったんだ。私は間違っていなかったと思っているよ」

 

雪乃は瞳に涙を溜めて俺を見つめていて、そんな俺達を見た皆が俺に向かって頷いてきた。

俺も10年早く産まれていたらとか考えたこともあったんだ。先生一人なら悩むだろうがこっちは重婚出来るからな。俺は立ち上がり先生の前まで歩いていった。

 

「..静さん。俺と結婚してもらえませんか」

「ひ、比企谷!?にゃ、何を突然言い出すんだ//」

「静さんは俺達のことを見てくれている、今までそんな教師いませんでした。俺は静さんに憧れています。俺に静さんの一生をください」

「比企谷ありがとう//...だが返事は少し時間をくれないか、突然すぎて何も考えられないんだ」

「えぇ、良ければ雪ノ下家に来ていただいて、皆の話を聞いて貰っても良いかもしれません」

「ああ//だが今までこんなこと言われたことないから、パニックを起こしているんだ。ちょっと落ち着くまで座らせてもらうよ」

 

そういうと先生は椅子に座っていた。真っ赤な顔をしているが、若干ニヤけているように見える。口をもごもご動かしてでも何も言葉を発せず、俺の方を見て目が合っては視線を逸らされていた。

 

「先生がポンコツになったのは放っておいて、私は雪ノ下ん家に行けないな。下の子を面倒見ないと行けないし、家のことをしないといけないからね」

「沙希さん、来れる時で良いわ。でも八幡君とゆっくり出来るところがあると良いでしょ。実家ならお風呂も大きいので八幡君や皆と入れるわよ」

「ひ、比企谷とお風呂//」デヘヘ

 

なぜか先生が反応してしまっている、沙希と南以外は既に抱き合っているからお互いの裸はみているが、先生は免疫がないのだろう。未だに俺の方を見ては顔を真っ赤にしているのだが。

 

「あーしは行く。雪乃よろしくするし」

「うちも出来れば行きたいな」

「雪乃さん。私は行くよ、家であまりいい顔されてないからさ...」

「私も一緒です、だからなんとしても行きます」

「優美子さん、南さん、姫菜さん、いろはさん。もし八幡君が来れなくても来てもらって構わないわ、私もマンションから実家に戻るの。皆と一緒なら毎日が楽しくなりそうね」

「比企谷に求められて//手足を縛られて嫌がっている振りをしている私を玩具でさんざん弄んで凌辱されて//」デヘヘヘヘ

 

静さんはMなのか。嫌がっている振りとか言っちゃってるし、妄想がとんでもない方向に突っ走っている。でもこれってもうOKってことじゃないの。

 

俺の気持ちはもう決まっている。ただ小町も連れて行きたい。最終下校時刻まで皆と雪ノ下家に行くことを話していた。それを小町にも伝えないといけないので、俺は自転車で自宅に向かっていた。

 

ふと近所の公園のベンチが目に付き、スピードを緩め改めて見てみると、知っている女性二人が泣いているようだった。はぁ、俺には関係ないことだろうが、見てしまうと気になってしょうがない。

俺は自転車を止め二人のもとに歩いて行った。そういえばこちらでもう一人と面識はあるのか?分からないが知っている方に話しかければいいだろう。

 

「..折本」

「ひきぎゃあぁ」うぅ

「どうしたんだ、こんな所で」

「う、うっさい!!振った女なんて構わないでよ!!私に優しくしないで!!あんたに見られたくないからどっかに行ってよおぉ!!」うあぁぁ

 

俺が折本を振った?こっちの世界では立場が逆転しているのか。仲町さんは折本を介抱していたようで俺は仲町さんの方を見ると彼女は自己紹介しだした。

 

「は、初めまして...海浜総合2年の仲町千佳です」

「比企谷八幡、総武高校2年だ。折本とは中学の同級だ」

「貴方が比企谷君だね//かおりから聞いてるよ」

「それで何があったんだ」

「比企谷帰ってよ!!あ、あんたに見られたくないからあ!!」うわあぁぁぁ

 

折本は俺に突っかかってきそうだったが、また泣き出してしまい仲町さんに抱かれていた。俺が仲町さんの方を見ると彼女は淡々と話しだしていた。

 

「かおりと私は海浜なんだけど生徒会の手伝いをしてたの、もうすぐ卒業式だから。

私達でも何か皆の役に立てればなって。でも今日、私は掃除当番だったんで、かおりだけが生徒会室に向って、扉の前まで行ったら中から...私達を誹謗する話し声が聞こえてきたそうなの」うぅ

「そうなのか」

「私とかおりは皆の役に立てればって、少しでも先輩達に感謝を伝えたくて、先輩達の為に何かできればって思って!!

でも私達は何をしても認めてもらえないの!!駄目なの!!

私達が醜いからって、手伝いもしちゃいけないの!?どうしてよ!!仕事に関係ないじゃない!!私達の事なんて誰も見てくれない!!いらない人扱い!!

私達だってお世話になった先輩達に感謝を伝えて送り出したいよ!!ちょっとでも役に立てるなら手伝いたいよ!!それもさせてくれないなら全部、綺麗な子だけ集めてすれば良いじゃない!!」うわぁぁぁ

 

仲町さんは俺の服を握りしめて感情を吐き出し、泣き出してしまった。俺は二人の頭を俺の腹の方に引き寄せ頭を撫でていた。二人はビックリしていたが俺の腕や腰に手を回してきて泣き続けている、俺はこの二人を何とか守れないか考えていた。

 

「ありがとう、比企谷君」うぅ

「...どうして優しくするのよ、中学の時も...私に興味ないなら優しくしないでよ」うぅぅ

「ごめんなさい、関係ないのに比企谷君に当たり散らして」

「いいんだ、よく頑張ったな」

 

そう言って俺は二人の頭を撫で続けていた。ただこの後どうすれば良いんだ。折本ならもしかしたら俺を受け入れてくれるかもしれない。ただ仲町さんは俺と初対面だから可能性は少ないだろう。

ただ彼女も放っておけない。今日、城廻先輩を断ったが、俺にはただ結婚したいということしか分からなかった。だが仲町さんは結婚とかではなく、自分の容姿でひどい扱いを受けているのが伝わってきた。そんな仲町さんを放っておけない。

ただ彼女は俺のことを何も思っていないはずだから受け入れてくれないだろう、異世界から来たとかも結婚相手以外には言わない方が良いだろう。

 

「..俺から見たら二人とも綺麗なんだよ」

「そんな見え見えの嘘つかないでよ!!」

「嘘じゃない折本。顔を上げてくれるか」

 

折本は首を横に振り顔を上げなかったので、俺は折本の顎に手を伸ばし顔を上げさせた。折本の眼は赤く、未だに涙を流して唇を震わせていたが俺は構わず震えている唇にキスしていた。

隣で仲町さんが可愛い悲鳴を上げている。俺が離れると折本は顔を真っ赤にし目から涙を溢れさせながら信じられないって表情を俺に向けていて、仲町さんも横で顔を真っ赤にしていた。

 

「..ひ、ひきぎゃぁ//でょ、どういうちゅもりよぉ//」

「俺はかおりが欲しくなったんだ、だからキスしたんだよ」

「ッfskオk//」バタバタバタ

「かおり」チュッ

 

かおりは手足をばたつかせて、何か言っていたが録に言葉にできず口をパクパク鯉のようにしていたので、俺はまた唇を塞いでいた。

かおりは全身の力が抜けてしまったようで、椅子にもたれ放心して俺の事を呆然と見ていた。

 

「ひ、比企谷君。私も綺麗って本当に思ってくれてるの?」

「ああ、仲町さんはショートカットが似合ってて凄く綺麗だし可愛いぞ」

「じ、じゃあさ、私にもそのキ、キs」チュッ

 

仲町さんがそう言ってきたので俺は言葉を遮るようにキスしていた。俺がキスしている最中、仲町さんは喉の奥から呻き声のような音を出していたがお構い無しに唇を合わせていると、仲町さんは俺の唇を甘噛みするように求めてきた。

お互い唇を甘噛みしてから俺が顔を離すと、顔を真っ赤にし目を見開いて、俺のことを見つめて口は半開きにしている。

 

「信じて貰えたか」

「ひゃい//」

「二人とも、俺と結婚して貰えないか」

「..私、中学の時振られたよ」

「今は結婚してくれるかくれないのか答えてくれ」

「お、お願いしましゅ//」

「比企谷君、私は会ったことなかったけど好きでした。結婚してください」

「ああ、でも会ったことないのに何で好きってなるんだ」

「かおりから聞いてたの。振られた時の話を」

「そうか、...二人とも結婚してくれるってことで良いんだよな」

「「うん//」」

「ありがとな、じゃあこれから話すことは口外しないようにしてほしいが良いか」

 

俺は二人の間に座って、二人と手を握り合いながらちょっと前に異世界から来たことを説明していた。説得力がないので嫁さん達の写真を見せ、俺と全員結婚しているというとようやく信じてくれた。

 

「じゃあ、は、八幡の中では私達は美人なんだ//へへ、ウケる」

「今更だけど、私も良かったの」

「千佳が俺に感情を吐き出してくれた時、俺は千佳を守ってあげたいと思ったんだ」

「八幡君//」

「かおり、俺はこっちの中学の時の記憶がないんだ。辛いかもしれないが教えてくれないか」

「..うん」

 

かおりは俺に振られた話をしてくれた。俺は相手が誰だろうと素っ気なく対応していたらしいが、折本には美人に対しても自分に対しても態度が変わらず、自分が聞いたことは面倒臭がりながらも受け答えをしてくれていたので、段々俺に惹かれていったそうだ。

そして俺を呼びだし校舎裏で告白したのだが、俺は受験があるからとかおりを振った。それで終わればよかったのだろうが、告白をクラス一の美少女、俺からすればブスだろうが、に見られてて翌日、黒板にデカデカと書かれていた。

かおりは揶揄われていて、その時俺が登校したのだが、告白を見ていた女が俺にかおりを揶揄うように話しかけて来たらしい。だが俺はその女をボロクソに言って、かおりに向けられていた誹謗を自分に向けた。そして俺はその日から虐めの対象となっていたということだった。

 

「だから私は八幡に謝ったんだけど、お前は悪くないって言ってくれて、でも私が近くにいるのは拒否してきたの。一緒に居て虐められるのを防ぐために。私はずっと八幡に守られてたの」

「そうか、教えてくれてありがとうな」

「ううん、だから私は今でもずっと八幡が好き、でも叶わないと諦めてた」

「すまん。でもそれはこっちの俺だろ、今の俺で良いのか」

「それある、でも八幡は八幡じゃん」

「私はその話を聞いて、八幡君にずっと会いたいと思ってたの。かおりが何回も話すんで、何時の間にか好きになってて、会ったことも無いのに恋い焦がれて。でも私じゃ不釣り合いだから会いにも行けなかった。それが今の八幡君は私を綺麗と言ってくれる。私にとって今ここに居る八幡君以外考えられない」

 

二人は俺のことを想ってくれてたんだな。いや入れ替わる前の俺をか。なんだかそんな二人と結婚するのは申し訳ない気がするが。

そういえば、こっちの俺が向こうに行っているとしたら、どうなってるんだ。気になるが確かめようがない。もし雪乃や陽乃に何か言ったらボロボロにされているだろうし、静さんに何か言ってファーストブリッドを食らっているのだろうか。

 

俺達は嫁さん達の事など色々な話をし時間も遅かったため、話を切り上げていた。

 

「帰ろうか。千佳の家はどこなんだ」

「今日はかおりん家に泊まるつもり」

「じゃあ行こうか」

 

俺はかおりの家まで二人を送っていき家の前で二人とキスをしてから別れ家路についた。

 

小町が用意してくれたご飯を食べ終わった後、ソファーに座りながら雪ノ下家に行くことを説明していた。ソファーで引っ付きながら話していたが、小町は俺に雪ノ下家に行けと言ってきた。

 

「小町はどうするんだ」

「小町も行きたいけど、春休みになるまで我慢する」

「..どうしてだ」

「小町は勉強頑張らないといけないから。お兄ちゃんといると何時も甘えちゃって勉強できないでしょ。今の小町は総武に行くため頑張るの、お兄ちゃん、お義姉ちゃん達と一緒の高校に行くために頑張るんだ。今はそれをモチベーションにしてるからお兄ちゃん一人で行ってきてよ」

「じゃあ、俺に甘えるのはこれまでだな」

 

俺はそう言い小町を離そうとしたが、小町は力を込めてきて俺から離れず身体を密着させてキスしてきた。

 

「言ってることと違うだろ」

「今は良いの、お兄ちゃん成分を蓄えているんだから」

 

そう言って小町は俺にキスしてきていた。なんだよお兄ちゃん成分って。

 

ぴんぽーん

 

俺達がソファーに座り、チュッチュしていると、インターフォンが鳴りだした。こんな時間に誰だ?

 

「...小町が出るよ」

 

小町が不機嫌になりながらインターフォンで応対していたが玄関に向かっていき、何か話した後、お客を引き連れてリビングに入ってきた。

 

「「きちゃった//」」

 

小町の後に、かおりと千佳が入ってきていたが二人が見ている中、小町は俺にキスしてきた。

 

「お兄ちゃん成分、充電完了。じゃあ小町は勉強してくるであります。ヘッドホンしてるから幾ら声を出しても大丈夫ですよ、楽しんでくださいね。お兄ちゃんの部屋に布団置いておくから」

「「...//」」

 

もしかして二人はエッチしに来たのか。どうしてもそう言った事を考えてしまうので、顔が赤くなってしまう。

 

「ど、どうしたんだ、二人とも//」

「あのさ、私達と結婚してくれるんだよね」

「ああ」

「八幡君、私達をその...だ、抱いてほしいな//」

「良いのか」

「うん、かおりん家に行っても八幡君のことしか考えられないの」

「それある!!もうさ、考えないようにしようと思っても無理なんだよ。それだったら八幡に愛して貰えればってなったんだ」

「分かったよ、部屋に行こうか」

「「うん//」」

 

俺は二人を連れて部屋に入っていった。部屋に入ると二人はいきなり俺に抱きついて来てベッドに押し倒してきた。

 

「な!?がっつきすぎだろ」

「もう我慢できないの//八幡君」

「それある!!八幡にいっぱい愛して貰わないと//」

 

二人はそう言って俺にキスしだし服を脱がせて来ていた。

 

「ま、まて!?汗臭いから風呂に入らせてくれ」

「八幡の汗の匂い大好きだからこのままで良いよ」

「うん、私達で八幡君の汗を舐めとるよ」

 

そう言うとかおりは俺にキスしてきて、千佳は俺の身体を舐めまわしてきた。そのまま俺達三人は愛しだした。

 

かおりは途中で寝てしまったので、小町の持ってきてくれた布団に寝かせ、千佳と抱き合っていたが千佳も俺の上で達した後、気を失うように寝てしまった。

千佳は俺の脚に自分の脚を絡めており、退かすのが面倒で俺もかなり眠かったため、そのまま狭いベッドの中で重なり合いながら二人で眠りに入った。

 

「八幡、朝だよ」

「おはよう、八幡君//」

「ああ..おはよう」

 

俺が起きると千佳が俺の事を恥ずかしそうに上から覗いている。まだ学校に行くには早いのだが。

 

「昨日、あのまま寝ちゃったんだよね。私、八幡君と繋がったまま寝ちゃってて今も繋がってるよ//あぁ//う、動かさせないでよ//」

「千佳ずっこいよ、私も一緒に寝たかったな。でも八幡、朝から元気だね//ウケるし//」

「か、かおり!?触らないで//」

 

かおりは俺と千佳の股間に手を伸ばし刺激してくる。俺はそのまま千佳をいただき、かおりも欲しくなりまた抱き合っていた。

 

コンコンコン

 

扉をたたく音が聞こえてきて、かおりの喘ぎ声が聞こえたのか扉を開けずに小町が話しかけてきた。

 

「朝から盛ってるのはいいけど学校遅れるよ、御飯用意してあるから」

「わ、分かった。いッ、イくよ//」

「は、八幡//あ、あぁ、いっ、いッ、一緒ぃ//」

 

千佳とかおりを抱いた後、三人でお風呂に入り一緒に朝ごはんを頂いていた。学校には遅れてしまったが、二限目には間に合うだろう。俺達は一緒に家を出て行った。

 

一限目の途中で入るのは注目を浴びるため、時間を調整し休み時間に教室に入っていき机に着くと、嫁さん達が皆、俺の机の方に来てくれた。

 

「おはよ八幡。今日はどうしたんだし」

「ヒッキー、大丈夫なの」

「うん、心配しちゃった。八幡君に何かあったのかなって思って」

「うちも心配だった。でも来てくれてよかった」

「心配かけるなよ、八幡」

「スマン、病気でも怪我でもないから心配掛けて悪かった」

「ううん、何もなければ良いんだよ。ヒッキー」

 

ただの遅刻でも俺のことを心配してくれる人たちがいる。これからは皆に心配かけないようにしないといけないな。そんなことを考えていると葉山が俺の席に近寄ってきた。

 

「ヒキタニ君、ちょっと話できないか」

「なんだ、葉山」

「ここではなんだから、次の休み時間に話出来ないか」

「...分かったよ」

 

そう言って葉山は自分の席の方に戻って行った。葉山の席には女が座っていたが、こちらを下卑た目でみており、嫁さん達は皆、俯いてしまっていた。

 

「気にするな、あんな目で人を見る奴のどこが綺麗だって言えるんだよ」

「..うん」

 

2限目の授業が終わると、葉山は俺の方を見て教室を出て行ったので、俺も後ろについて出て行き、人通りの少ないところで葉山は振り返ってきた。

 

「ヒキタニ君、どういうつもりなんだ」

「なんのことだ、葉山」

「モテない女性ばかり集めていることだよ」

「お前には関係ないだろ、俺は皆のことが大事なんだ。..なあ葉山お前の嫁さん達は皆綺麗なのか」

 

こちらでは恰幅が良く俺から見ればブスでデブな身なりが整っていない女性がモテている。そう言えばアフリカか何処かで太った女性が持てる村があったと思うが、やはり育った環境によるものなのだろうか。

俺にはとても受け入れれないのだが...

 

「ああ、モデルやアイドル、女優もいるからな」

「..お前の嫁さん達は内面はどうなんだ?」

「内面?皆、我が儘で可愛いぞ。あの我が儘ボディで甘えてきたりされて見ろ、我慢できないだろ」

「..そ、そうか。ただ人の悪口を言うのはおかしくないか」

「それも彼女達の我が儘だよ、自分を見てほしいって事だからな」

 

我が儘って凄い言葉だな..

我が儘ボディって結衣や舞依さんみたいな身体の事を言うのでは無いのか?こちらではデブに対して言う言葉なのか..

こちらの男性は内面を気にしてないのか?美人かどうかはそれぞれの主観だから良いとしても内面は大事だろ。一緒に住んだりしていないのだろうか、何時も一緒に居れば嫌になると思うのだが。それらも全て我が儘と言う言葉で済ませているのか。

 

「君も美少女が出てくる本やゲームをしてたじゃないか。ヒキタニ君、俺はチェーンメールの件で君に貸しがある。良かったらモデルでも紹介するが」

「結構だ、チェーンメールの時は奉仕部での話だろ」

「ああ、ただ君の案で解決して貰ったからね」

「俺はお前に貸しを作った覚えはない。気にするな」

「分かったよ、...でも紹介してほしかったら何時でも言ってくれ」

「頼むことはないがな。じゃあ行って良いか」

「ああ」

 

こちらでもチェーンメールは有ったのか、後で雪乃と結衣に聞いておいた方が良いな。過去のことを色々言われると、俺も誤って何か言ってしまうかもしれない。

 

 

 


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