やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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久しぶりにアップしました。
美醜逆転物を幾つか読んだことが有るんですが、途中で更新が無くなっており、自分で書いてみようとこのSSを書き始めた時から、書いていたのですが、文字数が多くなりすぎUPしませんでした。
今回、何回かに分けて投稿させてもらいます。

前回の続きで藤沢佐和子が材木座のラノベを持ちかえった設定です。




「美醜逆転1」

私は家に着くと材木座さんのラノベを読みたいからとりあえず、部屋着に着替えてすぐにパソコンに向かっていた。

 

どんなのが書いてあるんだろう、でも容量が学校で読んだ物より多かったけど、何で没にしたんだろうか。

それも読んでみれば、分かるかな。

私はすぐにパソコンにUSBメモリを差して、テキストを開いていた。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

 

ちゅんちゅんちゅん

 

「....」

 

あれ?今、何時なんだ?時計を見ると既に8時半を指している...

..はぁ!?遅刻じゃん!!何で小町は起こしてくれないんだよ。いや、目覚ましは掛けてたんだよ、自分で止めたのも覚えている。

ただいつもはそれから小町が起こしに来てくれるので二度寝をしてたんだが。今日はどうしたんだよ、もしかして小町の体調が悪くて起きれないのか...

俺は起き上がり着替えもせずに部屋を出て、小町の部屋の扉をノックしていた。

 

「小町、居るのか」コンコンコン

 

....

 

へんじがない。 ただの しかばね のようだ。

 

..馬鹿なのか俺は。とりあえず扉を開けてみたがそこには小町の姿はなかった。先に学校に行ったのだろうか。俺は小町の部屋を出てリビングに入ると、ご飯が食卓の上に置いてある。小町が朝食を用意してくれたのだろう、調子が悪いとかではないようだな。俺は朝食を頂いて学校に行く準備をしていた。

 

天気はどうなのだろうか。雨だと面倒なんだよな、自転車で行けないし。

俺はテレビを付けたが画面に移った映像に自分の目を疑った。

天気予報図を解説している女性が酷い。はっきり言ってデブスだ。容姿が整っていないのだが、それ以前に最低限の身だしなみもしていないのではないだろうか。髪の毛はボサボサで服はヨレヨレ、鼻毛も飛び出している。

なんだよこれ。天気予報が終わったようで、スタジオに映像が切り替わったのだが、そこでも目を疑いたくなるような格好をした女性が映し出されていた。

はは、何でこんな女性がキャスターとしてテレビに出てんだよ、チャンネルを変えてみたがどの局でも女性の容姿は変わることが無かったので、俺はテレビのスイッチを切っていた。

容姿で判断するつもりはないが、最低限の身だしなみは必要だろ。最初にみたのは全国放送の局だったから、普通は気を使うと思うのだが。

一局だけキャスターの都合で急遽当てがわれたってことならまだ分かるが、何で全局なんだよ。俺はスマホを取り出し、美人と入れて検索してみたが、俺の予想通り不細工が所狭しと表示されていた。

 

はぁ、小町も両親も居ないので何も聞けない。俺は諦めて学校に向かうことにした。完全に遅刻だがそれよりも朝見た番組が頭から離れない、どうなってんだよ。

まだ夢でも見ているのだろうか。それともラノベでよくある異世界に来てしまったのか、そんなことあり得るわけがない。ただその考えを否定することも今の俺には出来なかった。

学校についてもそんなことばかり考えていたため、俺は何も気にせず教室の扉を開け中に入ってしまっていた。そう言えば今は現国で平塚先生の授業だった。

 

「お、遅れました」

「比企谷か、席に座ってくれ」

 

遅れて教室に入って行っても平塚先生は俺を確認しただけで、席につくように言ってきて制裁を食らうことは無かった。おかしいな、ファーストブリッドを食らうと思ったのだが。

 

席に着くまでに由比ヶ浜の方を見たのだが、髪の毛は黒色になっており頭のお団子も無くなっている。最初は誰か分からなかった。

ただ俺の方をチラチラ見て来たので気付けたが、目が合っても何時もみたいに微笑みかけてくれることもなく目を逸らしてくる。

 

俺は席に着くと何気なく教室内を見まわしていた。川..川何とかさん、..サキサキは頬杖を突くことなく、授業に集中しているようだが制服を改造することなく着ているようだ。

 

三浦も髪の毛が黒く化粧もほとんどしていないな。金髪で探していたので見つけるのに苦労したが美人なので目立つ。

 

海老名さんは一心不乱に何かをノートに書きこんでいるがBLでも書いているのだろうか。何かの本を何冊も積んでいるが、平塚先生も注意はしていないのだが良いのだろうか。

 

相模は俺の席より前に座っているのだが、後ろの女子から消しカスを投げられていた。後ろがコソコソ話して笑っているので気づいているようだったが、何もする気はないようだ。

 

そして俺が知っている平塚先生の授業では絶対になかったのだが、調子に乗って話している連中がいる。

平塚先生の授業でそんなことすると、生活指導室に速攻で呼ばれてたからな。ただ今騒いでいるのは本当にブスとデブばっかだな、ピアスやネックレス、ブレスレットを付けているが俺から言わせれば豚に真珠だ。装飾品に気を使う前に最低限の身だしなみを整えてほしい。

平塚先生は騒いでいる生徒に注意もせず淡々と授業を進めていた。

 

休憩中も観察していたが、葉山の周りに何時もの三バカはいたが、三浦達は一緒には居なかった。その代わりに女子生徒が何人かいたが俺には何が良いのか全然分からない容姿の女子ばかりが集っている。

しかも葉山は重そうな...いや確実に俺の倍は有るのではと思える女子を脚の上に座らせ腰に手を回し後ろから抱き着いていた。

 

「隼人君凄いっしょ。まあ、結婚してんだしぃ、夫婦仲良くてやっべーって」

「うん、隼人君の奥さんって学園一の美人だから凄いよな」

「うん、他校や大学に居るのも皆、アイドルやモデルやってる子とかっしょ、やっべーって」

「それな」

「だな」

「はは、夜が大変だよ。32人いるからね」

 

は?はぁぁぁ!?あ、あれが学園一って...32人も相手いるのかよ凄いな。しかも結婚ってもう出来るのかよ...だが今、後ろから抱いている女子のような容姿が32人なら全く羨ましくないけど...

 

「このクラスってブスが多いから嫌になるっしょ」

「総武でもこのクラスに集まっちゃってるからな」

「そうだよね。三浦さん、由比ヶ浜さん、海老名さん、相模さん、川崎さんって本当に酷いもんね」

「それな」

「だな」

 

はぁ!?デブスが何をほざいてんだよ、俺は思わず喉まで出かけた言葉を飲み込んでいた。何が起こってんだよ、由比ヶ浜の方を見ると三浦と海老名さんで集まっているが聞こえているのだろう、3人とも俯いていた。

駄目だ、あんな由比ヶ浜の悲しそうな顔を見たくない。

 

「でもJ組の雪ノ下さんが居ないだけいいよね」

「隼人君、幼馴染っしょ」

「止めてくれよ戸部。親の仕事の関係で何度かあったことが有るだけだから」

「雪ノ下さんってこの学校一のブスだよね」

「それな」

「だな」

 

駄目だ、文句を言いたいしぶん殴りたい。俺は自分が抑えられそうになかったので、逃げるように教室を出、マックスコーヒーを買ってからベストプレイスで時間を過ごして落ち着くようにしていた。また授業をさぼってしまったな。

 

何で俺はこんな気持ちを抱いてんだ?二人は部活仲間だが、それ以外の特別な感情は何もない...

..だが二人の事をあんな風に言われるとムカついてしまう。

 

だがどういうことなんだ?いくら容姿が受け入れられないと言ってもあそこまで言われる事は無いだろう。

俺が知っている世界でも容姿が受け入れられないからと言って、幾らかは有っただろうが全員が虐めを受けていた事はないハズだ。

 

その後、教室に戻ったが俺の身に何が起こっているのか考えていたため、昼も食べずにいたら何時の間にか放課になっていた。仕方ない、部活に行くか。あたりを見渡すと既に由比ヶ浜は既に居なくなっている。

そう言えば由比ヶ浜は誘ってくれなかったんだな、それもこの不思議な現象の影響か。

廊下を歩いていても騒いでいるのはデブスばかりで、俺から見て容姿の整っている女子は皆頭を俯かせて歩いていた...

 

ガラガラガラ

 

「..ウス」

「ひ、比企谷君!?ど、どうしたのかしら」

「ひっk、比企谷君。今日は何もないよ」

「ここに来たら駄目だったか」

「い、いいえ。そんなことないの、ただ珍しいと思って。何時もは何か依頼がないと来なかったでしょ」

 

雪ノ下はそう言って、紅茶を用意しだしたのだが、自分の分と由比ヶ浜の分しかコップに入れていなかった。

なにこれ?虐め?何だか涙が出そうになる。泣かないよ、男の子だもん。

 

「..俺は貰えないのか」

「ひ、比企谷君が飲んでくれるの!?」

「貰えるなら欲しいんだが」

「そ、そうなの。では入れるわ。暫く待っていて頂戴」

 

雪ノ下はそう言って紅茶を入れてくれ、俺の机の前まで持ってきてくれた。だがその手は震えており、俺の前に恐る恐る紙コップを置いていった。パンさんの湯飲みじゃないんだな。

これも不思議な現象の影響か、何時もなら冷めるまで待つのだが、雪ノ下が自分の席に戻っても不安そうに見ていたので、俺は紙コップに入っている紅茶に何度も息を吹きかけ一口頂いていた。俺にしたらまだ熱いのだが火傷しなくて良かった。

 

「上手いな、ありがとう雪ノ下」

「!?..えぇ//いつも要らないと言うから、...本当に飲んでくれたのね」

「ああ、こんな美味しい紅茶、中々飲めないだろ」

「..比企谷君、ありがとう//」

 

なぜか雪ノ下は目に涙を溜めている。この空間は何時もと変わらないから気にしていなかったが、こちらの雪ノ下と由比ヶ浜は誹謗中傷を受けているんだよな。

 

「なあ、ちょっと聞いてほしいことが有るんだが良いか」

「え、ええ。でも私達で良いのかしら」

「あたしも聞いて良いの?」

「ああ、ただもしかしたら二人を馬鹿にしているとか、からかっているとか思うかもしれないが」

「..今更よ、私達は今まで色々言われてきたわ...でも比企谷君に言わたことはないから..」

「うん、ひっk、比企谷君に言われるのはちょっと辛いかな、..はは、今更だよね...」

「由比ヶ浜。呼びにくいなら、ヒッキーで良いぞ」

「えっ、でも最初言った時に止めろって言われたよ」

「それも含めて話したいんだ」

「じゃあ、ヒッキーって呼んでも良いの」

「ああ、由比ヶ浜が呼びやすいように呼んでくれ」

「う、うん、じゃあこれからヒッキーって呼ばせてもらうね」

 

そう言うと俺は雪ノ下と由比ヶ浜が座っている前、依頼者が座るところに椅子を持っていって座った。

 

そして俺は今日の朝から感じる違和感について二人に話していた。俺にとって雪ノ下も由比ヶ浜も美少女だと伝えると二人とも俯いてしまった。

 

「比企谷君...冗談は止めてほしいわ」

「う、うん。ヒッキー、あたし達を揶揄わないでよ。...そんなこと言われると余計虚しくなっちゃうよ」

「俺にとっては二人とも美少女なんだよ。雪ノ下は容姿端麗、才色兼備、文武両道、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花って言っても良いぐらいだ」

「いい加減にして!!私にそんなこと言ってくれた人なんて今まで居ないのよ!!」

 

俺がそう言うと、雪ノ下は涙を流して俯いてしまった。その手は固く握られていて机の上で震わせている。

 

「..由比ヶ浜は天真爛漫な笑顔でちょっとアホなところも和ませてくれて、俺にも話しかけてくれる優しくて可愛い美少女なんだよ」

「アホって...でも可愛い美少女って初めて言われた//...でもねヒッキー、あたし達に気を使わなくていいよ..」

 

由比ヶ浜は自虐的な表情を浮かべていたが、瞳からはとめどなく涙が溢れていた。

 

「...もしかしたら俺は異世界、パラレルワールドから来たんじゃないかと思っている」

「それこそあり得ないわ!!比企谷君、私達を揶揄うならここから出て行って!!」

「うん、今日のヒッキーおかしいよ。何時もほとんど喋らないのに...でも喋ってくれた内容が酷いよ」

「..二人を傷つけるつもりはない。ただ俺の身に何かが起こっているのは確かなんだよ」

 

二人は俺の言った事が信じられないのだろう、その目には悲しみを帯びた表情をしている。二人のそんな表情は見たくない。俺は元居た世界の二人にも言った事がないことを話していた。

 

「..俺にとって二人の事が大事なのは容姿とかではなく、三人で此処にいる時間が好きなんだよ。三人で雪ノ下が淹れてくれた紅茶を飲みながら他愛もない話や読書をしてこの部室でのんびり時間が過ぎていくのが好きだった。

雪ノ下は完璧に見えるが方向音痴で、体力がなくパンさんと猫が好き過ぎてポンコツになったりするだろ」

「...//」

「でもいつも正しくあろうとして、自分を曲げない。欺瞞が嫌いで俺はそんな雪ノ下に憧れてた」

「あ、ありがとう//」

「由比ヶ浜は俺なんかにも何時も笑いかけてくれて分け隔てなく接してくれる、そんな由比ヶ浜が俺には眩しかったんだよ。..料理は禍々しいけどな」

「料理が禍々しいって酷いし。...でもヒッキーはあたし達のこと容姿じゃなくてちゃんと見てくれてたんだね//」

「俺が知ってるのは、この不思議な現象が起こる前、異世界でのお前たちだ。だがそれは二人も一緒だろ、今までの俺がどんな奴だったかは知らないが、今の俺にも普通に接してくれてる」

 

グワーッ!!何言っちゃってんの俺!?馬鹿なの!?は、恥ずかしい!!家に帰って布団に包まって枕に顔を埋めたい!!

ただ二人は俺を馬鹿にするどころか顔を朱色に染め、俺の方を潤んだ目で見ながら会話に答えてくれていた。

 

「比企谷君は私達にも優しかったわ。分かりにくい優しさだったけれど、それでも私は嬉しかったの。皆に何を言われても貴方が私達に態度を変えることはなかったわ」

「うん、ヒッキーは優しかったよ。でもあたし達と一緒に居るのは申し訳なかったし、ヒッキーもあたし達に気を使ってくれてたの。だからあまりここには来ないようにしてたよ」

「..もし俺が近くにいてお前たちが虐められたりするようなら、一緒のことをするかもしれない」

「比企谷君、私達は近くにいていいの?貴方の知っている私達ではないのよ」

「うん、そうだよね。...ヒッキーに迷惑はかけたくないし」

「確かに俺の知っている二人とは違って自分の事を自虐している。だが気にするな、俺はお前たち二人と何時までもこうして一緒に居たいと思っているんだ。もし二人が俺と一緒に居ても良いと思ってくれてるならだが」

「...比企谷君、それが本当ならその、...私なんかでも比企谷君と...その..け、結婚してもらえるのかしら」

「ヒッキー、あたしもヒッキーと結婚してほしいな」

「な、なんでいきなり結婚とかそんな話になるんだよ、大体二人一緒に結婚なんてできないだろ」

「貴方のいた世界ではどうだったのか分からないけれど、こちらでは何人でも結婚出来るの、男性でも女性でも重婚出来るのよ」

「えぇ!?そうなのか...」

「うん、だからさ。ヒッキーが良いんなら皆で結婚できるんだよ」

「それって二股だろ、そんなのお前たちが嫌だろ」

 

そういえば葉山は32人居ると言っていたな、全員と結婚しているのか?だから嫁さんが居たのに何も言わなかったのか。

 

「ううん、だってそれが普通だもん。あたしはゆきのんと一緒なら嬉しいな」

「私も由比ヶ浜さんとなら...でも私はまだ信じられないの。貴方が異世界から来たということもそうだけれど、私がその、..美少女だなんて。私はそんなこと言われたことないわ、やはりすぐには信じられないのよ」

「そうか、じゃあどうすれば信じて貰えるんだ」

「その、比企谷君は...私に触れることは出来るの?」

「触れるって手とかで良いのか」

「ええ」

 

俺は立ち上がり机を回って雪ノ下の横に立つと、雪ノ下も立ち上がって俺の方を向き手を差し出してきた。その手は微かに震えており俺が手を近づけていくと自分の方に引っ込めようとしていたので、俺は雪ノ下の手を握りしめて自分の方に引き寄せていた。

 

「!?..比企谷君//ありがとう//」うぅ

 

雪ノ下は顔を真っ赤にし目を潤ませている、ただ手を握っただけなのに。俺も顔は真っ赤だろう、だが雪ノ下はまだ信じられないのか俺から身体を遠ざけようとしていた。

こんな雪ノ下は放っておけない、俺が握った手は今だに震えが止まっていない。

俺は雪ノ下を引寄せ身体を抱きしめながら頭を撫でていた。

 

「!?ひゃぅ//」

 

俺が抱きしめると雪ノ下の身体は大きく震えていたが、今は俺から逃れようとはしなかった。

雪ノ下ってこんなに小さかったのか、今までどれだけの誹謗中傷をこの小さな体で受けていたのだろう。

 

「今までよく頑張ったな、雪ノ下」なでなで

「ひ、比企谷君!?..う、うぁ、...う..う、あ、あああぁっぁぁあぁぁ」

 

雪ノ下は俺の胸に顔を埋めて嗚咽をあげ泣き出してしまった。今までどれほど辛い目に有っていたのだろう、俺への虐めどころではなかったのかもしれない。

俺が雪ノ下を抱きしめていると、由比ヶ浜も立ち上がり俺達の方に近寄ってきた。

 

「..ヒッキー、あたしも良い?」

 

由比ヶ浜も泣きそうな顔で話しかけてきていた。俺は雪ノ下の頭を撫でていた手を広げ由比ヶ浜を抱きしめられるようにしていた。

 

「ああ」

「ヒッキぃぃ!!」ウワーン

 

由比ヶ浜も俺に抱きつき声をあげ泣き出してしまったが、俺は二人の背に腕を回して抱きしめていた。二人とも辛い目に合っているんだろうな、こっちの世界ではこれからも無くなることはないのだろう。だが俺でも支えになれるのなら、二人のために出来ることをしていきたい。

 

雪ノ下も由比ヶ浜も俺に抱きついてずっと泣いている。俺の目の前に二人の頭が有るのだがすごく良い匂いだな、思わず匂いや体の柔らかさを堪能してしまっていた。

こんなに距離が近いと色々とまずいんたが。今、邪なことを考えるのは不味い。二人は泣いているんだ、そんな二人に厭らしい感情を向けるなんて。だが俺の身体はそんな思いに関係なく、瞬く間に反応してしまっていた。

 

「ヒッキー//...か、下半身が大きくなってるよ//」

「ひ、比企谷君//私達で欲情してくれてるの?」

「..あ、当たり前だろ//俺はこんな経験初めてなんだ、二人とも俺にとって美少女だぞ、そんな二人を抱きしめてるとこうなるんだよ//

...すまん、二人が泣いているときに劣情を抱いて本当に申し訳ない、軽蔑してくれ」

「ううん嬉しいよ、ヒッキー//あたしを女として見てくれてるんだよね」

「嬉しいわ//比企谷君、私でこんなにも//」

「は、恥ずかしいからもういいだろ、離してくれ」

「「いや(やだ)//」」

 

俺が手を離し抱きしめるのを止めても離れてくれず、愚息を押し付けるようになっていても二人は離れてくれない。

いや今は俺が腰を引いても二人が身体を押し付けてきていて、俺の愚息は大変なことになっていた。

 

「ヒッキーお願い。あたしを..あたし達を潰れるぐらい抱きしめて//」

「私もお願い。比企谷君、離さないで//」

「思いきり抱きしめたら痛いぞ」

「良いよ、もっと抱きしめて」

「痛くても良いの、あなたから抱きしめて欲しいの」

 

二人にそう言われ解いていた腕を二人の背中に回して力を加えていった。さすがに力任せにする事は無かったが、それでも雪ノ下と由比ヶ浜の身体は今までに無いぐらい密着している。

 

「ヒッキー//ヒッキー//」

「あぁぁぁ//比企谷君//」

 

どこにそんな力が有るのかと言うほど、二人も俺に力強く抱きついてきていたので俺の方が降参しそうになっていた。

 

「ひ、比企谷君//...私とその..き、キスも出来るの?」

「あ、あたしもして欲しい//」

「..ま、まってくれ。俺達は付き合ってもいないだろ。これ以上は好きな相手とすべきだ」

 

俺がそう言うと二人は一旦俺から離れてくれたが、二人とも俺のことをずっと見つめていて唇を震わせていたかと思うと、雪ノ下が話し始めていた。

 

「わ、私は、雪ノ下雪乃は比企谷八幡君が好きです//」

「あ、あたしもヒッキーが..八幡君が好き//ずっと前から好きでした//」

 

な、何で二人とも告白してくるんだよ、どっちか一人を選ばないといけないのか、でもここでは重婚できるんだよな。雪ノ下と由比ヶ浜の二人と居れるなら、二人が許してくれるなら俺は二人と付き合いたい。

良いのだろうか、でも二人が認めてくれるなら...

 

「..お、俺もお前達二人のことが好きだ//二人が良かったら俺と付き合ってくれ//」

「「はい//」」

 

そう言うと二人はまた俺に抱きついてきていた。二人は俺を受け入れてくれて、今は泣いていないが俺に柔らかい身体を押し付けてくる。うぅ不味い、このまま二人とチュッチュして劣情に身を任せたいが、ここでそんなことするわけにはいかない。でもちょっとぐらい良いよな。

 

 

「雪ノ下、由比ヶ浜。ほ、頬にキスして良いか//」

「「はい(うん)//」」

 

俺はそう言って雪ノ下と由比ヶ浜の頬にキスしていた。

 

「は、初めて何でこれで勘弁してくれ」

 

二人は顔を真っ赤にしていたが、今度は俺を椅子に座らせると両隣に椅子を持ってきて座り、腕を抱きしめながら頬にキスしてきた。

雪ノ下と由比ヶ浜はタガが外れたようで俺から離れることなく、頬にキスしてきたり胸に顔を埋め匂いを嗅いでくる。良い匂いとか言われたが異性に匂いを嗅がれるって凄く恥ずかしいんだけど。

由比ヶ浜は犬のように俺の胸や首に顔を埋めクンカクンカしている。

雪ノ下は俺の胸に顔を埋めて匂いを嗅いだり、首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぎ舐めてきて、段々と上に上がってきたかと思うと俺の耳を咥えだしたため、思わず俺は声を出してしまっていた。

ま、待って//耳は弱いから//

 

「比企谷君//凄く艶めかしい声を出してるわよ//」

「ヒッキー、耳が弱いんだね//」

 

2人はそう言うと俺の耳を舐めたり咥えたりしてきた。いや//耳に舌を入れないで//

変な声が出てしまう。そんな声を聞いて二人は嬉しいのか執拗に責めてきている。

だ、駄目だ。何とか抑えないと。俺はそれでも手を出すことなく二人のしたいようにさせていたがまずい、もう理性が崩壊しそうだ。

 

「雪乃、結衣..その、...お前達が...お前達の唇が..欲しい」

「はい(うん)//」

 

俺も恥ずかしさが薄れ雪乃と結衣の名前を呼びキスしていた。

二人ともキスをした後は暫く放心してしまったが、二人は俺を受け入れてくれ、その後もずっとイチャイチャしていた。

俺は理性が崩壊しそうになっていたが、二人ともそんな俺から離れず二人は脚を俺の脚に絡めるようにしている。

パンティが見えても気にせず脚が動くたびに股間にも刺激を与えて来るため、もう少しで暴発するんじゃないかと思ったところで最終下校の鐘がなっていた。

 

「じ、じゃあ帰ろうか」

「やだよ..ヒッキーと離れたくない..」

「私も一緒に居たいわ、あなたと離れたくないのよ」

「これからいくらでも一緒にいれるんだ。そんなに急がなくても良いだろ」

「でも何だか怖いの。明日になったら比企谷君が戻ってしまって、今日のことが無かったことになってしまうのが」

「うん、あたし達をずっと抱きしめていてほしいな」

「...不安なのは分かるがどうしようもないだろ、一緒にいたら俺は二人が欲しくなる。それでもし元に戻ったら、それこそ二人に申し訳ない」

「..ありがとう比企谷君。私達のことを考えてくれているのね」

「うん、でも何時かはあたし達を抱いてほしいな」

「あ、ああ結婚するんだろ。そうなったら幾らでも抱き合おう」

 

俺も二人と離れたくない、俺を受け入れてくれているんだ。だが一緒に居れば二人を欲しくなる。もしかしたら俺は夢を見ていて、明日には戻っているのかもしれない。夢だったら良いのだろうが、もし異世界ならそれこそ二人を抱くのはいつ帰るのかも分からないのだから、俺は2人を抱くことは出来ない。

二人と別れた後も、今だに抱きしめた余韻が残っている。俺は自転車を立ちこぎして急いで家に帰っていた。

 

「ただいま、小町」

「お、お兄ちゃん!?お、お帰りなさい...ごめんなさい顔を見せて、すぐ自分の部屋に行くから」

「行かなくていいから、ちょっと話を出来ないか」

「..お兄ちゃん?」

 

そうか、小町もこちらでは大変な目に合っているのかもしれない。小町は俺と目を合わそうとしなかったので、俺は小町に近寄り抱きしめていた。

 

「お兄ちゃん!?..は、離してよ、比企谷菌が移るよ」うぅ

 

なんだよ比企谷菌って。小町が言われているのか、やはり小町も学校では虐めに合っているのだろう。小町は凄く辛そうな表情で涙を流していた。

 

「..小町、今から俺が話すことを聞いてくれるか」

「..うん//」

 

俺と小町はソファーに隣り合って座り、俺は小町の手を握りしめていた。

そして俺が今日、朝起きてから学校に行き教室でのこと、雪乃と結衣のことを話していた。

 

「信じられないよ、...昨日はスマホで美少女ゲームしてたじゃん」

 

俺はそう言われ、繋いでいない手でスマホを取り出すと、怪しげな顔のアイコンをタップしアプリを立ち上げたのだが、そこに映し出されたのは俺から言わせれば、全く可愛いとか美人には思えないグラフィックが表示されていた。

何で歯に青のり付けてんだよ。いや街中でそんなの中々いないから確かにレアだよ、でも何でこれがURなんだ。俺は速攻でアプリを終了し、ごみ箱に捨てていた。

 

「えぇ!?良いの?昨日URが出たって喜んでたじゃん」

「良いんだよ、こんなののどこが良いんだ」

「うん、小町はお兄ちゃんの言った事信じる。今もこうやって隣に居て手を繋いでても嫌な顔しないもん」

 

いやいや隣に座らせないとか手も繋がないとかおかしいだろ、こっちの俺は何してんだよ。

 

「それで雪乃さん結衣さんと結婚するんだよね」

「ああ、俺にとって二人は大切な女性なんだ。こっちに居るようなら、本当に俺で良いのか分からないが、二人が望むなら結婚するよ」

「そのさ、...小町も駄目かな」

「ハァ!?さすがに兄妹は出来ないだろ」

「うん?近親婚出来るよ」

「..小町は良い人いないのか」

「ずっとお兄ちゃんが好きだった。でもお兄ちゃんに嫌われたくないから言えなかった。...小町はお兄ちゃんが、八幡さんが好きです//」

「小町//..分かった。ただ二人に伝えてからでいいだろ、勝手に増やしたくないんだよ」

「うん、お兄ちゃん。これからもよろしくお願いします」

「ああ、こちらこそよろしくな」

「へへ、じゃあお兄ちゃん。今日はお兄ちゃんが大好きな御飯作るから一緒に食べようね」

「ああ、楽しみにしてるよ。小町、料理を作りながらでいいんで色々と教えてほしいんだが」

「うん、こっちの世界のことだよね」

 

小町はそういうと料理を作りながら色々教えてくれた。

こちらの世界では男女が付き合うのは結婚するということだった。そういえば雪乃も結衣も簡単に結婚という言葉を発していたな。俺が付き合ってくれと二人に言ったのも、結婚してくれと同義語ということだった。俺は知らないうちに二人同時にプロポーズしてたんだな//

中学生以上であれば親の同意はいらず、簡単に結婚できるためすぐに婚姻届を出すらしい。

ただ、離婚については相手が亡くなった時に籍を外すとか余程のことがないと許可が下りないため、女性でも重婚をしている人は沢山いるということだった。

 

昔は俺から見て美人がモテていたらしいが、今では正反対の女性がモテている。昔と言っても平安時代とか大昔のことらしいが。ただ大きな出来事だったらしく文献が幾つも残っているらしい。

そんな大昔だと流石に今とは価値観が異なるのだろう、俺が知っている世界でも江戸時代とは違っていたらしいからな。

 

御飯を食べ終わり俺がお風呂に入っていると、小町が背中を流したいと言って裸でお風呂に入ってきた。な、何しちゃってんのこの子。今日は色々と不味いんだが..

 

「お兄ちゃんありがとう、一緒に入ってくれて」

「..ああ」

「ま、前も洗った方が良いよね//」

「自分でやるよ//まだ流石に恥ずかしいからな」

「..うん、そうだね」

 

ねぇ小町さん?何でそんなに残念そうな顔をするの?お互い身体を洗い、浴槽に向かい合って入っても小町は自分の身体は隠さず俺の股間を何度もチラ見していた。

幾ら兄妹でも今日は本当に不味い。今まで小町に欲情することはなかったはずだが小町の裸を見た時、なぜか俺の愚息は見る見るうちに色欲まみれになってしまっていた。こちらの世界の影響なのか?今まで妹としてしか見ていなかった小町に興奮している自分を見て、俺は罪悪感が溢れて来ていた。

 

俺はすぐに風呂から上がったが本当に不味かった。もしあのまま一緒に入っていたら、取り返しの付かないことをしていただろう。

俺は邪な考えを振り払うため、自分の部屋にこもってこの現象のことを調べたが、何も分からない。昨日も特に変わったことは無かったし、何もしていないはずだ。そもそも俺が何かしたぐらいで異世界に来れるとは思えない。

ネットで調べても出てくるはずもなく、ラノベが検索結果に引っ掛かるだけだった。

いくら調べても何も出て来ない。そもそも本当に異世界に来ているかも分からないが、帰り方なんてネットに出てくるはずもない...

 

今の俺には打つ手がない。何か光に包まれたり、どこかに吸い込まれたとかならそこまで行ってみるのだが、そんな覚えもないからな。

 

ただ戻れるとしても、俺は帰りたいのか…

二人の顔が脳裏に焼き付いている、俺に抱きつきながら声をあげ泣き出した顔を。

二人を悲しませたくない、俺にとって二人は…

 

「あれ、もうこんな時間か」

 

すでに12時近くになっていたため調べるのをやめ、寝る準備をしてから布団に入るとノックする音が聞こえてきた。返事をすると扉が開いて小町が枕を抱いて入ってきた。

 

「..お兄ちゃん、一緒に寝て貰っても良い?」

「..あ、ああ」

 

小町は夕方に見た自分を卑下していた時の表情をしていたため、俺は断れず二人で布団に入っていた。

今日はこれから色々とスマホで検索する予定だったが、どうも出来なくなってしまったな。そういえばパソコンのエロ画像も全て俺にとっては欲情するものではないのではないか。仕方がない諦めるか。

 

「お兄ちゃん、ごめんね」

「いいんだ、久しぶりに一緒にお風呂入ったり、こうやって布団に入るのも良いだろ」

「..うん、小町には記憶無いけど、ちっちゃい時は一緒にお風呂入ったり寝てたんだよね。お休み、お兄ちゃん」

「..おやすみ、小町」チュッ

 

俺が頬にキスすると小町は驚いていたが、満面の笑みを浮かべ眠りに入っていった。こっちでは子供の時でも一緒にお風呂に入ったり、寝ることはなかったのか。確か俺が中学になるまでは一緒に入っていた筈だ、小町が小4の時までは一緒に入っていたから記憶が無いということは無いだろう。やはり違う世界なんだよな。

俺も小町の寝顔を見ていたら眠くなってきたため、そのまま眠りについた。

 

 


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