やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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台風の影響でヒッキーだったので、久しぶりに書いてみました。

長々と書いてしまい、また途中でどうしてもエロに持って行ってしまってます。
R-15で収まっているとおもってますが、問題があれば指摘してください。



「葉山の後悔」

はぁ、昨日八幡の家に泊まったけれど、結局二人っきりにはなれなかったわね。

結衣も泊まりに来るはずが用事が有ったと言うことで泊まりには来れなかった。

でも私は姫菜と優美子に抱きつかれたため、布団から抜け出せず、八幡の部屋に忍び込めなかった。どうも結衣が私のことを二人に『夜中に抜け出してヒッキーの部屋に行こうとする。』と教えていたらしい。

 

どうして二人は私に胸を押し付けてくるのよ。思わず八幡に抱かれているときに他の女性も混ざっていた時を思い出して揉んでしまったじゃない。

優美子と姫菜の声を聞いて興奮してしまって余計に寝れなくなってしまったわ。

 

でも今の問題は南よ。私達が映画を見ている最中に抜け出して帰ってこないと思っていたら、お義母さんと一緒にお風呂に入って背中を流していたのだから。

お義母さんも嬉しそうに南に接していて、『一緒にお風呂に入ってくれる義娘が欲しいわ』とか言っていたわ。

お義父さんは羨ましそうに南を見ていたわね、流石にお義父さんと一緒にはお風呂には入れないけれど。

 

その後、南は客間で私達に責められていても、『お義母さんの娘//』とか言ってずっとニヤニヤしていたのだから。

 

私も急がないといけない。周りが八幡との距離を詰めて行っているのだから。

 

私はマンションに帰ってきて、一息ついた後、スマホを確認すると材木座君から『緊急で連絡が取りたい』と私宛にLineが来ていた。

 

なにかあったのかしら、彼には私の連絡先を教えてるけれど、今までパソコンのメールにしか送ってきたことがない。彼から来るなんてよほどの緊急時にしかないと思うわ。

 

『材木座君。今、いいかしら』

『ひゃ、ひゃい。電話してよろしいでひょうか』

『ええ、良いわよ』

 

材木座君が私に電話するなんてよほどの事ね。そう思っていると通話を知らせる音が鳴りだした。

 

「はい」

『ゆ、雪ノ下さんのお宅でしゅか』

「私の携帯だから私しか出ないでしょ。それにしてもあなたが私に連絡して来るなんて珍しいわね、何かあったのかしら」

『ひゃ、はい..き、今日、ゲームセンターにいたら葉山殿が来て、話しかけられたんでしゅ』

 

私は葉山と聞いた時、過去..いいえ今からだと未来で起こった出来事を思い出し血の気が引いていた。

 

「...材木座君、私に敬語は要らないわ。でも詳しく教えてほしいの」

 

それから材木座君は色々と詰まりながらも私に教えてくれていた。

 

彼の話では今日、弟さんとゲームセンターに居たところ、葉山君が来たということだった。偶然だったのだろうけど、彼に話しかけてきて色々と私達のことを教えて貰えないかと言われたらしい。でも弟さんが居たので、その場では話をせず月曜日の放課後に時間を貰えないかと言われたそうだ。

 

『そ、それでラノベの事やグループのことを聞かれると思って正直に言った方が良いのかどうかと。

...特に雪乃殿とは婚約の話があったので連絡を取らせてもらったのだ。

八幡も知っていることだが、雪乃殿の知らぬ所で相談するのもどうかと思い連絡させて貰ったのだ』

「そうね。ありがとう教えてくれて。...あなたは何も隠す必要はないわ。知っていることを全て教えて上げなさい」

『..よいのか』

「ええ、でもそうね。出来ればラノベのことを優先して話してくれないかしら。そして出来れば彼のラノベも書いてあげると言ってほしいの」

『内容はどういったもので』

「..ラノベの中で良いので彼が後悔するもの..かしら」

『何も思いつかないのだが』

「私を使ってもらって良いわ。ただ私と彼が結ばれて幸せになることは絶対にあり得ない。彼と一緒になるぐらいなら死を選んでほしいの」

『...だが...それは』

「貴方が今、考えた内容は何となく想像つくわ。私が凌辱されるとかではないの」

『..ひゃい』

「それでも構わない。材木座君お願い。彼を止めて。..お願い」

『...何かあるのだな、了承した。ではまた月曜日に報告させていただく』

「ええ、本当にお願い。..お願いします」

 

私は感情が高ぶり声に出てしまっていたのだろう。材木座君は何も聞かず、私の言うことを聞いてくれていた。

材木座君の話次第でまた未来を繰り返すかもしれない。それだけは絶対に阻止しないと。

私が犠牲になれば八幡を救えるかもしれないけれど、そのやり方では八幡を一番苦しめる事になるから。

もし八幡のもとを離れるという選択をするのであれば、先ほど材木座君に言った死を選ぶというのもあながち嘘ではないわ。

 

お願い材木座君。彼が衝動的な行動を起こさないように誘導してあげて。

 

 

 

月曜日の放課後

 

「済まないね材木座君。それで色々と教えてほしいけど良いかな」

 

俺は屋上に材木座君を呼び出していた。彼が奉仕部に入り浸っているのは知っている、彼なら色々と情報を持っているだろう。俺の事も聞いているだろうが、彼はカースト底辺だ...いや今では俺のほうが下だな。ただ彼は俺に歯向かうことはしないだろう。

 

「な、何を聞きたいんでしゅか」

「そんなに緊張しなくていいから、奉仕部で何をしているか教えてほしいんだ」

「..ら、ラノベを読んでもらっておる」

「ラノベ?ライトノベルなら俺も読んだことはあるが、なぜ奉仕部で読んでいるんだ」

 

そして材木座君は色々と教えてくれた。彼が書いたラノベを持ちこんでいるのは、2年の1学期からでそこから今でも書いたものを皆で読んでもらっているらしい。

それで雪乃ちゃんからの提案で、奉仕部や関わりのある人たちがメインでのラノベを書いて批評して貰っているということだった。

 

「そんなことをしていたのか」

「左様、なぜか皆が主人公として書いてほしいと言われたので批評して貰っているのだ」

「..それはヒキタニとのラブストーリーだったりするのかい」

「そう言ったものもあるが、SFや異世界物とかを書いておるな。以前、雪乃..下殿、由比ヶ浜殿、一色殿を悪の魔法使いとして皆に倒されるものを書いた時は批評も聞かず、逃げてしまったが」

「あははは、そんな扱いしたら彼女達は怒るだろ、良くそんなもの書いたね」

「それまでのラノベの批評で我も鬱憤が溜まっておったのでな。気晴らしがてらに書いてみたら思わず筆が乗ってしまって、どうせなら読んでもらいたかったのだ」

「面白そうなことをしているんだな、何だか興味が出て来たよ」

「もしよかったら、葉山殿もどうだ」

「お願いしようかな」

「分かった。では早いうちに書き上げてくる、では我は退席させてもらうぞ」

「まってくれ。後、奉仕部で俺の話が出ることはあるのか」

 

材木座君は返答に困っているようだが、俺が待っていると彼はしぶしぶ話し出した。

 

「..修学旅行でのことは聞いておる。その時に三浦殿がグループを解散させると言っておったことや子供の時に雪ノ下殿と婚約していたことも」

「そうか、それ以外には何かあるのかい」

「いや、我が居る時に葉山殿の話題が出たのはそれっきりのはずだ」

「ありがとう、呼び止めて申し訳なかったね」

 

そう言うと材木座君は踵を返して校舎に入っていった。彼は自分の書いたラノベを読んでもらっているだけのようだな。内容については、多分全てラブストーリーなのだろう、雪乃ちゃんが悪者の話もあると言っていた。気にはなるが流石に読ませてもらえないだろうな。

 

材木座君は次の日にはラノベを書いてきてくれていた。

凄いな、一日で書き上げてくるなんて思わなかった。家でゆっくりと読んで見よう、材木座君も他の人には見られたくないと言っていたからな。

 

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(ここから材木座の小説)

 

俺の前を雪乃ちゃんとヒキタニが手を繋いで歩いている。お互い顔を赤くして言葉少なくゆっくりと雪乃ちゃんのマンションに向かっていた。

何で雪乃ちゃんが俺以外の男と付き合っているんだ!?しかも相手はヒキタニだと!?

 

そうか、俺の気を引きたくてヒキタニにお願いしたんだな。それなら俺が雪乃ちゃんを貰ってやるよ。

 

俺は先回りして雪乃ちゃんのマンションに入って行った。鍵はないがエントランスも他の住民が入るのを見計らい、雪乃ちゃんの部屋の近くで身を隠していた。

 

それから五分くらい経った時、誰かが歩いてくる音が聞こえた。覗くと雪乃ちゃん一人で帰って来たようだな。

雪乃ちゃんが鍵をあけ部屋に入って行った瞬間に俺は駆け出し扉が閉まる前に俺も部屋に入って行った。

 

「!?は、葉山君!!何をしているの!?」

「君を貰いにきたよ、雪乃ちゃん」

「何を言っているの!?早く出て行って!!あなたなんか私の家に入らないで!!誰か!!」

「うるさい!!」

 

俺は思わず雪乃ちゃんに手をあげてしまっていた。雪乃ちゃんの頭を叩き反動で壁に頭をぶつけたため、脳震とうを起こしたようだった。

 

俺は雪乃ちゃんを抱え上げ、リビングに連れて行った。そして後ろに手を回させ縛り上げていた。

 

「...は、葉山君やめなさい!!。今なら誰にも言わないから」

「雪乃ちゃんは俺の物なんだ、ヒキタニに渡すぐらいなら俺が全てを貰うよ」

「お願い葉山君。あなたにも後悔してほしくないの」

「後悔なんてしないさ雪乃ちゃん」

「だ、誰か!!」

 

俺が顔を近づけて行くと雪乃ちゃんは顔を逸らし騒ぎ出した。俺は雪乃ちゃんの顔を両手で挟み、自分の方を向かせて唇を奪っていた。

 

「どうだい雪乃ちゃん。ファーストキスだろ」

「最低よ、泥水をすすった方がいいわ」

 

俺はまた手をあげてしまっていた、雪乃ちゃんの頬は赤くなっていたが彼女の目は俺を睨んだままだった。

 

「そんな強がりを言っても無駄だよ」

「誰か助けて!!」

 

雪乃ちゃんが大声を出したので俺は口で塞いでいた。そして舌を入れていった。

 

つっ!?

 

「助けて!!誰か!!」

 

俺の舌を噛み雪乃ちゃんはまた騒ぎ出した。俺はまた頬を叩き雪乃ちゃんの口を手で塞いでから、ハンカチを彼女の口に詰め込んでいた。

さすが高級マンションだな、玄関の方に確認しに行ったが気づかれて居ないようで、誰も騒いでいない。

 

 

俺がリビングに戻りズボンを下ろしていくと、雪乃ちゃんは明らかに狼狽する表情となっていた。

俺が近づいて行くと、いきなり脚をあげ股間を狙ってきていた。ただ的が外れ内腿を蹴り上げただけだが、俺は逆上していた。

 

「どうして俺を受け入れないんだ!!滅茶苦茶にしてやる!!」

 

..

.

 

今、俺は満たされ雪乃ちゃんの身体の上に身を預けていた。

彼女を俺の物に出来たんだ。

 

彼女みたいなのをマグロっていうんだったかな。はっきり言って雪乃ちゃんの反応はつまらなかったが、明日から毎日抱いていけば、そのうち積極的になるさ。

雪乃ちゃんをみると何かをぶつぶつ言っているな、目も焦点があっておらず、虚構を見つめているようだった。

 

「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」

 

俺はスマホを取り出し雪乃ちゃんの写真を撮っていた。

股から流れ出ている血が俺の物と混ざり合ったものと雪乃ちゃんの顔が一緒に写るように写真におさめていた。

 

「雪乃ちゃん、明日も来るから拒否しないようにね、うっかりこの写真をヒキタニに見せてしまうかもしれないから」

「....イヤ、ハチマン、ゴメンナサイ」

 

雪乃ちゃんの拘束を解いたが、彼女は動く気配も見せず俺に向かってくることも無かったので、俺はマンションを後にしていた。

 

やった!!とうとう雪乃ちゃんと結ばれた!!雪乃ちゃんが完全に俺のものになったらヒキタニに写真を見せてやるのも面白いだろうな。

俺は明日、雪乃ちゃんをどうやって抱こうか考えながら眠りについていた。

 

...

..

.

 

一階が騒がしい、何かあったのだろうか。まだ朝の五時だが俺は一階に降りていった。

下に行くと父さんが急いで出かける用意をしていた。

 

「おはよう、何かあったのかい」

「隼人か...雪乃ちゃんが亡くなったそうだ」

「!?ど、どうして」

「マンションから飛び降りた。...そしてこれは誰にも言うなよ...部屋には誰かに強姦された跡が有ったらしい」

「...そんな...」

「父さんは今から雪ノ下家に行ってくる」

「お、俺も」

「お前が来ても何も出来ないだろ。雪乃ちゃんの遺体も検死を受けるから早くても明日か明後日になる」

 

俺が呆然としているなか、父さんは慌ただしく家を出て行っていた。

どうして自殺なんかしたんだ、昨日は無理やりだったが、これから雪乃ちゃんと愛し合えるようにするつもりだったのに。

 

俺はどうやって学校まで来たか分からないほど混乱していたが、学校は何事も無かったかのようにいつも通りだった。まだ誰も知らないのだろう。ただヒキタニは学校に来ていないようだ。

 

昼休み、何処からともなく噂話として雪乃ちゃんが亡くなったと俺の耳にも聞こえてきていた。

 

結衣達が教室を走って出て行った。多分平塚先生の所に行ったのだろう、その後、彼女達が帰ってくることはなかった。

 

父さんが家に着替えに帰ってきたので聞いてみると、今日の朝からヒキタニは任意同行で警察に行っていたらしい。

ヒキタニの遺伝子を調べたが犯人ではないと言うことだった。分かり切ったことだが。

ただ雪乃ちゃんの遺体を見て泣きながら崩れ落ち、雪乃ちゃんに『一緒になろう』と言ってキスすると何処かに行こうとしたので父さん達が止めようとしたが、制止を振り切り何処かへと走っていってしまったと言うことだ。

 

 

翌日も俺は学校に来ていた。今日は周りが騒がしい。雪乃ちゃんのことで色々と噂しているようだった。

そして授業が始まったのだが今日もヒキタニは来ておらず、結衣達も学校には来なかった。

昼のLHRのため、先生が入ってくると神妙な顔をしながら話し出していた。

 

「‥比企谷が亡くなった、‥自殺したらしい」

 

俺はその言葉を聞いた時、雪乃ちゃんの時以上に動揺していた。

なぜ!?ヒキタニにはまだ何もしていないだろ、どうして彼も死を選んだんだ。

 

俺が呆然としているなか、戸部と戸塚君、材木座君が先生に詰め寄っていたが、先生も詳しいことは分からないの一点張りだった。

 

家にどうやって帰ってきたのか覚えていない、ただ今は何も考えたくなくて俺はベッドに横たわっていた。

 

..

.

 

「ど、どうして貴方もこっちに入るの!?」

「良かった雪乃。もう俺から離れないでくれ」

 

そう言ってヒキタニは雪乃ちゃんに抱きついていた。二人は制服を着ているが死んだときに着ていたのだろう。

二人は泣きながらお互いを抱きしめあっていたが暫くすると雪乃ちゃんがヒキタニから離れようとしていた。

 

「は、八幡。離して、私は穢れているのよ」

「そんなのは関係ない。俺は雪乃が好きなんだ」

「八幡...私はあなたに愛してもらえる身体ではないわ」

「俺は雪乃を何があっても愛するって決めているんだ」

「...八幡、聞いて。...私は‥葉山君に‥お、犯されたの。彼はどこかに隠れていて私が家に入ったときに押し行って来たわ。

‥そして私は...犯されたのよ。写真を撮られ毎日くるからと言われ、私は絶望感で一杯になり、あなたに申し訳なくて自殺という最悪な選択をしたわ」

「...葉山だったのか、...すまん!!」

 

どうしてヒキタニが謝っているんだ?そう思っているとヒキタニは土下座をしていた。

 

「俺がマンションの玄関まで送っていけば良かったんだ。雪乃をエントランスまでしか送って行かなかったから」

 

なぜヒキタニはそんな事言っているんだ。悪いのは俺だ、俺のせいにすればいいだろ。

雪乃ちゃんはそんなヒキタニを見て涙を流しながらヒキタニの頭を胸に抱きしめていた。

 

「八幡、あなたは悪くないのよ」

「雪乃も悪くないだろ」

「でも私は穢れているの、..そんな私が貴方に愛して貰う資格なんて無いの」

「人が愛し合うのに資格なんて入るのか...だがそう言うなら、雪乃が拒んでも今から俺が犯して穢してやる」

 

そう言いながら、ヒキタニは雪乃ちゃんに口づけをしていた。最初は軽い接吻の後、ゆっくり舌を入れて行き、それを雪乃ちゃんも受け入れていた。

雪乃ちゃんも涙を流しながらヒキタニの唇を貪っていた。

 

「は、八幡。こ、こんなところでだめぇ//」

 

雪乃ちゃんがそう言うと俺の視界が周りを見渡していた。そこは辺り一面草原でどこにも建物のようなものが無かった。

 

「じゃあ、この広い野原で青姦だな」

 

ヒキタニはそう言って、雪乃ちゃんの服を脱がせていった。雪乃ちゃんも俺の時とは全然違い、八幡を気持ちよくさせるため、積極的に動いていて、俺にとってはAVを見るより卑猥だった。

 

「お前は俺のものだ。だからどこにも行かないでくれ。勝手に死ぬのも許さないからな」

「ええ、私は八幡のもの//これから一生離れないわ、だから私をずっと貴方で穢し続けてください」

「雪乃。俺を受け入れてくれ//」

「ええ、来て八幡//私を貴方だけのものにして//」

 

そこからは二人とも会話をすることなく、喘ぎ声とお互いの名前を呼ぶ声だけが聞こえてきている。ただ俺はそこから離れることが出来ず、二人の行為を見ているしかなかった。

...屈辱だった。雪乃ちゃんの表情は蠱惑で身体も俺の時とは違い、卑猥な様を俺に見せつけていた。とても何時もの雪乃ちゃんからは考えられないほど、煽情的でヒキタニの身体を貪っていた。

 

..

.

 

「..夢精している」

 

俺は雪乃ちゃんとヒキタニが出ている夢を見て、夢精してしまっていた。はっきり言ってショックだった。夢の事とはいえ、雪乃ちゃんのあんな表情は見たことがない。俺が犯した時には見せてくれなかったのに。

 

シャワーを浴び身支度を済ませてから、学校に向かった。

 

やはり雪乃ちゃんとヒキタニが自殺したことを噂している。中にはヒキタニが雪乃ちゃんをレイプしたのではないかという噂をする奴も現れていた。

 

「でもあのヒキタニならやりかねないよね」

「それな」

「だな」

 

俺の周りでも一緒のことを噂している奴がいる。何時もの俺なら否定することはしないだろうが、どうしても彼らが許せなくなってしまった。

 

「..いい加減な噂で人を傷つけるな!!」

「あ、ああ。わるい隼人君」

 

そういうと彼らは俺の近くに居づらいのか席を離れて行った。俺はその日、一人で過ごしていた。今までの学校生活で一人で居たことは無かったが、案外良いものだな。思考を遮られることなく、想いを募るころが出来る。

俺は今、自首しようかずっと悩んでいた。

 

 

俺が眠りにつくと、すぐに雪乃ちゃんとヒキタニが抱き合っている姿が、目に入ってきた。

今日は小屋のようなところで、抱き合っており、雪乃ちゃんの身体が艶めかしくヒキタニの上で動いている。

 

そして俺はまた、夢精してしまっていた。

俺は眠りにつくと、雪乃ちゃんとヒキタニの性生活を見るようになり、俺は毎日夢精してしまっていた。

 

..

.

 

雪乃ちゃん達は小さい村にいるようで、その村は亜人というのだろうか獣の耳の生えた人達の村で、犬耳や猫耳の可愛い女の子が何人も居る。雪乃ちゃんも最初は耳を撫でさせてもらい悦に入っていたが、ヒキタニがデレデレしているのを見ると、雪乃ちゃんは女の子の頭を優しく撫でながら、ヒキタニには怒りだしていた。

 

そこは貧しく日々の食事にも困るような環境で水も近くの川まで汲みに行く生活を行っているようだ。そして雪乃ちゃん達は村長の家の小屋で生活をさせて貰っていた。

 

「あんた達はわしらを嫌ってないようじゃが、そろそろ村を出ていってくれんかの」

「どうしてですか、俺達は助けて貰ったのにまだ何もお返しが出来てないです」

「人はわしらを嫌っておる、この村の者もその内、お主達に嫌がらせをするやもしれぬ」

「「...」」

 

二人は貧しいのに嫌っているはずの自分達を助けてくれた礼をしたいと話し合っていた。

 

狩りでヒキタニがなぜか動物に気配を悟られず近づいていきナイフで頸動脈を切っていたが、非効率だと言って二人の知識で罠を作っていた。

雪乃ちゃんも豊富な知識で野生の食べられる植物を見つけては亜人の女性達に料理方法を教えていた。こちらでは果物や土の上になる野菜ぐらいしか取らないらしく、雪乃ちゃんの根野菜の料理に皆が驚いていた。

 

そして要らない木材を集め、川に水車を作ろうとしているようだった。

ただ最初のころは変なことをしだしたと受け入れてもらえず、石を投げられヒキタニは雪乃ちゃんを守るため、覆いかぶさって守っていた。ヒキタニの背中には幾つものアザが出来ていたが、それでもヒキタニは文句を言わず作業に明け暮れていた。その横で雪乃ちゃんは申し訳なさそうにヒキタニに寄り添っていた。

次の日、亜人の一人が二人に近寄ってきた。ヒキタニは身構えていたが、その亜人は二人が何をしているのか興味を持ち、話を聞きに来たようで、二人を手伝うと言い一緒に作業をしだした。

 

日にちが経つにつれ、二人を手伝う亜人が増えて行き、一週間もたたないうちに水車と水路が完成し、村までの用水路が出来ていた。

それを見た石を投げた亜人も二人に頭を下げ謝っていた。二人は気にしていないと伝え仲良くしてほしいと言い、亜人も了承していた。

 

ゆっくりとだが亜人たちの生活にゆとりが持てるようになってきているようだ。二人は村の人達に感謝され迎え入れられて、空き家を貰い毎日抱き合っていた。

 

..

.

 

俺は罪の意識に苛まれていた。自首をした方が良いのだろうか。もしかしたらこの夢も俺の罪の意識から来ているのかもしれない。

俺は父さんに罪を打ち明けていた。

 

「馬鹿野郎!!」

 

父さんは俺を殴ると、涙を流していた。その横で母さんも同じように泣いていた。

 

「ごめん。父さん、母さん」

「..隼人、お前は今から自首しろ」

 

俺は父さんと母さんに付き添ってもらい、警察に出頭していた。そして俺は少年院に送られることとなった。

父さんも母さんも仕事を辞め、千葉を出て行った。俺には罪を償って帰って来てほしいと言われ、俺は少年院で罪を償うため、何事にも真剣に取り込み模範生として扱われていた。

総武高校でも騒然となり、俺のことを何人も恨んでいるそうだが、今の在校生と会うことは今後ないだろう。

 

ただ、雪乃ちゃんとヒキタニの生活は未だに夢で見ており、ストレスなのか俺の頭髪は段々、抜け落ちていった。

 

..

.

 

雪乃ちゃん達が森の中でわざわざゴザを敷いて抱き合っていた。なんで森の中でやってんだよ。俺の考えが彼女達に伝わることなく、ヒキタニが雪乃ちゃんの身体を貪っている。そして今は二人で横になっていた。

 

「..ここの地面、何だか温かくないか」

「ええ、凄く心地良いわ。...そう言えば誰かが言っていたわね。川の水で温かいところがあるって」

 

2人は頷きあい、服を着ると家の方に駆けだしていた。そしてスコップなどの道具を持ってきて、その地面を掘り始めていた。少し掘ったあたりで、水が湧きだしてきている。

 

「やはりそうね、お湯が出ているわ」

「触るなよ、雪乃。安全か確認しないと」

「そうね、身体に有害な物質が入っているかもしれないわ。でもこれで入れれば温泉に出来るわね」

 

2人はそう言ってどうしようか相談し、罠にかかっていた動物にそのお湯を冷ましてから与えていた。

特に死ぬことも無かったようで、二人は深く穴を掘っていき、お湯が沢山出ると古代ローマと同じ製法で作ったローマンコンクリートに石を並べて岩場の所まで水路を作り、温泉を作っていた。

 

..

.

 

俺は少年院を出た後、親が大阪に移り住んでいたため、そこに転がり込んでいる。頭髪は全て抜け落ちていたためカツラを被っていた。中卒扱いのため何処にも就職できず、俺はホストになり源氏名はハヤトでそのまま名前を使っていた。

 

「ねえハヤト君。今日良いでしょ」

「ええ、楽しみにしてますよ」

 

俺は上客の一人とホテルに泊まっていたが俺は早漏だった。何時も夢精してしまっているからだろう、女性に申し訳なかった。

ただその女性は俺に優しく接してくれ、別にSEXだけで貴方と付き合っているのではないと言ってくれていた。

 

しかし翌朝になると、その女性は表情を落ち込ませていた。

 

「ハヤト君、やっぱり私と別れて」

「どうして」

「...ずっと寝言で『雪乃ちゃん、雪乃ちゃん』って言っているのよ」

「え!?」

「知らなかったの?どんな夢を見ているのか知らないけれど、夢精までして..自信無くすよ」

「..すまん」

「だから別れて」

「分かった」

「..止めてくれないんだね」

「...俺も夢を見たくて見ているんじゃないんだ、ただ毎日彼女が夢に出てくるんだ」

「そんなに好きなのね。私が出る幕はないようね」

 

そう言うとその女性は出て行き、それ以来ホストに顔を出すことも無かった。

俺に想いを募らせてくれる女性は何人もいたが、彼女も結婚も出来ずただ日々を過ごすだけの生活だった。

 

..

.

 

雪乃ちゃん達は露天風呂を作ったようで、ヒキタニは岩の上に雪乃ちゃんを座らせ足を開かせ顔を埋めていた。

 

「は、八幡//こ、ここでやったらお湯がよごれちゃうぅぅ//」

「大丈夫だ、乳白色で分からないしすぐに流れてくからな」

「あ、あぁぁ//だ、だめぇ//誰か来るかもぉ//」

「村の人なら俺達が毎日抱き合っているの知っているから大丈夫だ」

「大丈夫じゃないぃ//わ、私達見られるのよ//」

「見せるの好きだろ」

「‥そ、そんなことないぃ//」

 

雪乃ちゃんはそう言いながらも逃げようとせず、快楽を貪っていた。ヒキタニも分かっているのか、一向に責めるのを辞めず、今は湯船の中で始めてしまっている。

 

雪乃ちゃん達の温泉は瞬く間に繁盛していた。二人の居る世界ではお風呂自体が一般的では無いらしく、温泉何て見たことも無いのだろう。

2人の村には観光に色々な種族が集まるようになったので、雪乃ちゃん達は村の外に宿泊施設のようなものを建てていた。

 

雪乃ちゃんは化学の知識を生かして、石鹸や洗剤を作り出して、それが飛ぶように売れている。

また料理でもマヨネーズなど今まで無かった物も作り人気を集めていた。今は醤油や味噌を造ろうと試行錯誤しているようだ。

ヒキタニも剣玉や駒、ヨーヨーなど一人で遊べるものを亜人の村人と一緒に作って村のお土産物として売っていて、大人にも子供達にも好評だった。

 

この村では学校が作られ雪乃ちゃんが教師で子供達に教育を受けさせている。大人たちも時間がある時は授業を受けていたので、この世界の一般人は文字の読み書きが出来ないのに村の住民は高い文字認識率を誇っていた。

 

「雪乃先生。教壇で何て格好しているんですか」

「は、八幡//は、恥ずかしい//」

 

雪乃ちゃんはタイトスカートのスーツを着ていた。そう言えば学校を作っているとき、ヒキタニが裁縫屋で作って貰っていたな。先生になる記念にプレゼントが必要だとか言って。

今は教壇の上でスカートを捲くしあげて脚をヒキタニに開かせられている最中だった。

 

「生徒があなたの痴態で女性の身体の勉強をしてますよ。もっと足を広げて見せてあげないと。雪乃先生、ここは何て言うんですか」

「あぁ//い、いやぁ//そ、そんなのぉ、いえないぃ//」

 

ヒキタニは高校の制服で雪乃ちゃんはスーツを着たまま身体を弄ばれている。雪乃ちゃんも恥ずかしそうに答えを言いながら、二人は教壇でも抱き合っていた。

 

またヒキタニの案で風車を作ったようだ。広くなった村や隣に作った観光客用の宿泊施設に水を巡らせるため、川から引いた水を高台に上げるのを自動にし村全体に水道を張り巡らせている。

風車の動力で粉ひきも行えるようにして、雪乃ちゃんはパンを作っていた。そのパンもわざわざ違う街から買いに来る人がいるほどの人気があった。

パスタやうどんなども作っており食堂は賑わっているようだ。

ヒキタニはラーメンを作ろうとしていたが、なかなか思うようには出来ていないようだな。

 

「水の汲み上げが不要になったわね。本当にさぼることに掛けての努力は怠らない人ね」

「ああ水汲み大変だっただろ、後な風車小屋の最上階が展望台になっているんだが、そこに回るベッドも作ったぞ」

「あ、あなたは何てもの作っているのよ//」

「今から見に行かないか」

「み、見に行くだけよ//」

 

雪乃ちゃんは照れながらもヒキタニに手を引かれ風車小屋に入っていった。

もちろん見に行くだけで終わるハズがなく、二人は村を見下ろしながら交わりあっていた。

 

この村は他の街に比べると何世紀も先を行っているが、二人の持つ知識は門外不出としていたのである日、王国の使者が来て村を明け渡すように言ってきた。ヒキタニは門前払いしていたが暫くすると王国軍が攻めてきていた。

 

ヒキタニが一人、王の前に進んでいく。

 

「主等は我に刃向かうのだな」

「ああ、だが戦争する前にあれを見てくれ」

 

ヒキタニが指差す野原を見ていると、いきなり大爆発が起こっていた。

王や兵士が呆然としているなか、ヒキタニは地面を指差していた。

 

「...もちろん此処も爆発させることが出来るぞ」

 

次にロケット花火だろうか、いきなり打ち上げて爆発させていた。王達が驚いている中、またヒキタニは話し出していた。

 

「あれの何十倍も大きい物もある。ここから王国に撃ち込むことも可能だ。何だったら今から撃とうか、お前達の帰るところが無くなるだろうが」

 

王は屈服しヒキタニは負けを認めさせ、村の自治権と不可侵条約、亜人の不遇を改善するよう約束させていた。

 

国王軍が帰って行く中、雪乃ちゃんがヒキタニに近づいていった。

 

「貴方一人に大変なことを押し付けてごめんなさい。でも私達のために頑張ってくれて、ありがとう」

「俺がやりたかっただけだ、...だがそう言ってくれてありがとうな」

「でも花火だけで追い払うなんて、私には考えつかないわ」

「こっちの人にしてみたら、爆発物なんて初めて見るだろうからな、雪乃が火薬を作ってくれたおかげだよ。

ただ火薬の量が多過ぎだ、あんなのは花火でなく爆弾だぞ。俺の所まで空気が振動してたからな」

「あなたも驚いたのでしょ、ビヒリ谷君」

「懐かしいな、それ...ただ今日の夜は覚えておけよ」

「あら、何をされるのかしら//」

「それは楽しみにしておいてくれ...ただ雪乃にも王の顔を見せてあげたかったな...いや、やはりあんな奴らに雪乃を見せたくない」

「あら私を独占したいのね、大丈夫よ。私は八幡のものだから」

「雪乃//」

「八幡//」

 

二人が抱き合いキスすると、村人が駆け寄り、祝福していた。

この日、ヒキタニは自分達の家で交わっていたが、雪乃ちゃんを繋がったまま抱え上げ、家の庭まで連れ出し犯していた。さすがにこれには雪乃ちゃんも怒っていた。だが最中は雪乃ちゃんも悦んでいたが...

 

翌日、二人は村長の家に連れて行かれ、村人が用意してくれていた民族衣装に二人は着替えさせられていた。

 

「二人ともわしらの為にありがとう。今まで辛く当たった事も有ったが、どうか水に流してほしい。そしてこれはわしらからのささやかなお返しじゃ」

 

そう言って村長が裏庭の扉を開けるとパーティー会場が設置されていて、二人は村人総出で結婚式を挙げてもらい、皆に祝福されていた。二人は涙を流しながら村人一人一人にお礼を言っていた。

その夜は風車の展望台で民族衣装での着衣プレイを楽しんでいた。

 

この村を奪おうとする盗賊もいたが、ヒキタニが背後に廻って爆弾を使って攪乱し、雪乃ちゃんと亜人がいつの間にか作った鉄砲で盗賊達を返り討ちにしていた。

 

雪乃ちゃん達が来た時と比べると、想像もつかないほど亜人も設備も増えていた。ただこの村で住めるのは亜人だけで、人は観光客として昼に決まった施設しか入れていなかった。

差別だなんだと叫ぶ人たちもいたが、未だに人から迫害を受けている亜人にとってみれば、当然の措置だろう。二人は異世界に来てから彷徨っていたところを亜人に助けられ、村を発展させていたのだから例外のようだが。

 

学生の時言っていた「みんな仲良く」というのは、理想であって実現は出来ないと俺は夢の中で幾度となく教えられていた。

 

..

.

 

俺は既に60歳になろうとしている、未だに二人の夢を見て夢精していた。

最近は高血圧で、もしかしたら俺はこのまま二人の性生活で心停止してしまうのかもしれない。

 

二人はまだ若く30にも行ってないように見える。やはり俺の罪の意識が見させている夢なのだろう。

俺には二人の年老いた姿は想像出来ないから。

 

..

.

 

「ここは...」

 

俺は草原の中、一人で寝ていた。ここは来たことがある、いや正確には見たことがある...夢の中で。

俺は村の方向が分かったので向かっていった。昔なら昼過ぎには着く距離のはずだが、今の俺は体力がなく、半日掛かってたどり着いていた。

 

ただ着いた時間が夕暮れで村には入れて貰えないということだった。

 

「雪乃ちゃんを...雪ノ下雪乃さんと比企谷八幡に会わせてくれ!!」

 

俺がそう言うと、亜人の女の子が驚き村の方に駆け出していった。俺は門番の亜人からしばらく待つように言われ、その場でへたり込んでいた。

 

「..貴方は誰なの、どうして私達の名字を知っているのかしら」

 

しばらく待っていると、懐かしい声が聞こえてきた。俺が顔を上げるとそこには夢で見続けた雪ノ下さんと比企谷が立っていた。

 

俺はその場で土下座し、頭を地面に擦り付けた。

 

「雪ノ下さん、比企谷。本当に済まなかった。俺は葉山隼人だ」

 

俺がそう言うと、二人から息を飲む音が聞こえていた。二人はしばらく何も言ってくれなかったが、比企谷が声を掛けてくれていた。

 

「葉山、顔を上げろ」

 

俺が顔を上げると、比企谷は俺を睨んでいた。雪乃ちゃんは顔面が蒼白になり、亜人の女の子が支えていた。それにしても二人とも若い。俺が60歳を超えているのに、30いや20代にしか見えない。

 

「..葉山、俺はお前を許すことが出来ない。ただ今のお前を見て殴ろうとも思わない」

「比企谷!!お前の気が済むまで俺を殴ってくれ、殺して貰ってもいい。ただ謝罪だけはさせてくれ」

「..出来るわけないだろ、老人虐待になっちまう。ただ過去の事だと割り切ることも出来ない」

「..そうね、葉山君。貴方を許すことは私にも出来ないわ。でも貴方に対して報復をしたいとも思わない」

「なんでだ、あんなに酷いことをした俺を...本当に済まない」

 

俺は比企谷に連れられて、彼らの家に入っていった。さすがにこんな老人を夜、村の外には放置できないということだった。

 

「葉山君、確かに私は今でもあなたを許せないし顔も見たくないわ。でも結果論だけれど、八幡がこっちに来てくれて、この村の人達が受け入れてくれて私は凄く幸せなの」

「ああ、俺も葉山には思うところはあるが、今は幸せだからな」

「済まない」

 

そして俺達は少しずつだが、お互いの話をしていた。こちらの世界では地球の数倍寿命が長いということで、年齢は俺と同じでも二人は凄く若々しかった。

俺はそんな二人を羨ましく思いながら、ずっと気になっていたことを聞いた。

 

「今から凄く失礼なことを聞くかもしれないが、教えてくれないか」

「ああ、答えれる範囲ならな」

「...比企谷、風車の上に展望台があって、そこには回転するベッドを作ったか」

 

俺がそう言うと、雪ノ下さんは顔を真っ赤にしながら俺のことを睨んでいた。

 

「..葉山、お前こっちに今日来たんだよな。この村に入ったことがあるのか」

「その言い方だと有るんだな...実はな比企谷が亡くなった後から、俺は夢を見るようになったんだ..二人の夢を毎日...」

「はっ!?な、なに言ってんだ。お前」

「えっ!?ど、どういうことなの?」

「俺は毎日、二人のことを見てたよ。抱き合うのを」

「「...//」」

 

雪ノ下さんは俺を睨みながらも顔を真っ赤にしている。比企谷も顔を赤くさせていたが、俺はそんな二人に俺の事も伝えていた。

 

「...そ、そう。あ、貴方も大変だったのね...私達のせいで//」

「ずっと覗かれてたってことか」

「俺も見たくなかったよ、ただ二人が幸せに暮らしていると思えたのは..俺がこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、嬉しかったよ」

 

それからも俺達はお互いのことを話していた。夜が更け、俺は客間で寝させてもらい朝を迎えていた。

 

「..夢精していない」

 

そう言えば、二人の夢を見ることも無かった。もしかして二人に謝れたので解放されたのだろうか。

俺が起きて行くと、二人は既に起きていたようで、俺に声をかけてきた。

 

「おはよう」

「うす、葉山...その、なんだ...夢はどうだったんだ」

「ああ、昨日は見なかったよ」

「そ、そう//良かったわね」

 

用意してくれた朝食を済ませ、俺は村を出て行った。

比企谷と雪ノ下さんは歳だからこの村か隣の宿泊施設に住めるようにしてくれると言ってくれたが、俺は二人の申し出を丁重に断った。二人は幾らかのお金と武具を俺にくれ見送ってくれていた。

 

ようやく解放されたんだ、身体は昔のようには動かないだろうが、俺もこの世界で自由にしていきたい。晴れやかな気分になりながら、俺は次の街に獣を倒しながら赴いていた。

 

「この歳でも何とかなるものだな。最初に獣を見たときは戸惑ってしまったが」

 

だが疲れた、今日は早く寝よう。俺は身体を休めるため宿屋で眠りについていた。

 

..

.

 

「ねえ八幡。昨日は葉山君が居たから出来なかったでしょ」

「ああ、でもまさか葉山に見られてるって思わなかったな。どうだ露出狂のゆきのんとしては」

「な、何を言っているの//あ、貴方が好きなだけでしょ//」

「ふーん、今日は窓際で見えるかどうかのギリギリでしようと思っていたんだが」

「..あ、貴方がしたいのなら私は良いわよ//」

「俺はいいや、じゃあお休み」

「...ね、ねえ八幡」

「....」

「ほ、ほら//ここだと私の裸が外から見えてしまうわ//」

 

雪ノ下さんは裸で窓際に立って比企谷を誘っていた。青白い月明かりを背に受けてとても神秘的で見惚れていた比企谷もいつの間にか立ち上がり雪ノ下さんに近づいていった。

そして二人は月明かりのなか、お互いを求めあっていた。

 

おいぃぃ!?何でまた二人のことを夢で見てんだよ!?もう許されたんじゃないの?

これってこれから地球の時間で10年生きられるとしたら、その数倍の年数見続けるの!?この歳で夢精って辛いんだよ!!疲労感、半端ないんだよ!!

ねえ、二人とももう性行為するなよ!!俺の身が持たないから!!

 

 

俺はこの世界でも二人の生活を100年以上見守りながら生きて行った...

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

...なんだこれはどういうことだ!?材木座君は何でこんなものを書いているんだ!!彼には一度、ちゃんと話を聞くべきだな。

 

俺は雪乃ちゃんと高校を出た後、話し合って結婚することになっているんだ。

..ただそれも親同士の単なる口約束。雪乃ちゃんの考えを聞いたことが無い。俺は雪乃ちゃんが受け入れてくれると思っているが、実際はどうなのだろう。

 

一度、聞いた方が良いのではないか。確かに今、雪乃ちゃんは比企谷に惹かれていると思う。ただ聞いても彼女の性格上、認めることは無いだろうが。

俺は雪乃ちゃんが一人、廊下を歩いていた時に話し掛け、放課後に話をしたいと伝えた。

 

俺は放課後、材木座君を屋上に呼び出していた。どうしてもラノベについて、なぜあのような内容になったのか聞きたかったから。

 

「お、お待たせしましゅた」

「待っていたよ材木座君。ラノベで聞きたかったのだが、どうしてあんな内容なんだい」

「しょ、しょれは葉山殿の事は詳しく知らぬし、第三者視点でのラノベも書きたかったのだ」

 

俺達がラノベのことを話していると、屋上の扉が開き雪乃ちゃんが出てきた。どうして彼女がここに?放課後、話をしたいと言ったので俺の事を探していたのかもしれない。屋上と言っていなかったので、奉仕部に行って呼ぶつもりだったのだが。

 

「何かしら、葉山君」

「..雪乃ちゃん」

「そうやって呼ばないでって言っているでしょ。何か話があるのかしら」

「材木座君。席を外してくれないか」

「いいえ、彼にも居てもらいましょう。なんでも答えて上げるわ」

「良いのかい、雪ノ下さんは答えづらいと思うよ」

「そんなこと良いわ、早く言いなさい」

「..雪ノ下さん、俺との婚約話はどう考えているんだい」

「そうね、この際はっきり言っておきましょう。私は貴方と結婚するつもりは全く無いわ」

「っク!!..で、では雪ノ下さんは今好きなやつが居るのか」

「ええ、私は八幡が好きよ。愛しているわ」

「...!?」

 

まさか雪乃ちゃんが好きな人をハッキリ言うなんて思わなかった。何時ものように早口でまくし立て、比企谷のことを扱き下ろすと思っていたんだが。

 

「..比企谷が受け入れてくれなかったらどうするんだ」

「もしそうなっても貴方には関係ないでしょ」

「..雪ノ下家はどうするんだい」

「ふっ、それこそ貴方には関係ないことだけれど、私は家のために結婚するつもりなんてサラサラないのだけれど。

でも言っておくと私は貴方のことを何とも思っていない、貴方と結婚させられるなら何処かに逃げるか、逃げれなければ、そうね... 死を選ぶかも知れないわ」

「....」

「では話は終わりのようね。材木座君、行きましょうか」

 

死を選ぶって...これでは材木座君が書いたラノベと一緒の事になってしまうじゃないか。異世界があるとは思っていないが、俺がラノベのようなことをすれば、それこそ自殺するかもしれない。もし比企谷に何かをしても、彼女は嘆き悲しみ比企谷にもしものことがあれば、死を選択するんじゃないのか。

 

あそこまで比企谷への好意をハッキリ言われると、どうしようも無いな。ある意味、清々しいよ。

俺の初恋も終わったということか、いやとっくに終わっていたのだろう。思えば小学校の時、彼女を選ばず皆を選んだ時点で彼女には愛想をつかされていたのだ。

それを今まで引きずっていたのは俺なのに自分に都合の良いように解釈して、彼女は俺のことを好きなはずと考えていた。もしそうなら高校で一緒になって俺が話しかけた時、避ける態度は取らないだろう。

 

でも今日、ハッキリ言われてようやく気付けたよ。

 

雪ノ下さん、俺は諦めるよ。比企谷を想っている女性は何人もいるが、せめて君が報われるよう祈るぐらいの応援はさせてくれ。

 

おまけ

 

「材木座君、協力してくれてありがとう」

「あれで良かったのか。葉山殿に恨まれるのではなかろうか」

「大丈夫よ、彼は現状を把握出来るわ。私は彼が衝動的、短絡的な行動を取らないようにしたかったのよ。

今まで私が曖昧な態度だったから勘違いさせていたかもしれないけれど、今日私の気持ちを伝えたのだから勘違いしないはずよ」

「左様か」

 

「‥そう言えばあなたに聞きたいことが有ったのだけれど、葉山君のラノベを送ってくれたので読んだわ。

卑猥なことが何度も出てきたけれど、必要だったのかしら」

「あ、あれは葉山殿に何度も夢を見させるという設定なので」

「大体、私達のラノベより今回の物が長いってどういうことかしら、卑猥なことを何度も書いているだけだったでしょ」

「い、いや、二人の力で村が発展していくというのを書きたくて、気づいたら長くなってしまったのだ。我には必要なことだったと思っておる」

「私が露出狂というのも必要なことかしら」

「‥ヨク ニタヨウナ モノデハ ナイカ」(いつか八幡にパンティ見せても良いとか言っておったし)

「聞こえないのだけれど、とても不愉快な気分になったわ。部室で聞いてあげるから、今から来なさい」

「ま、待って!?ゆ、ゆるしてぇ!!」

 

 

後日、特別棟の何処からか男子の悲しげな鳴き声が聞こえてくると噂が広まっていた。

 


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