やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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この前に書いた「 IF 総武道高校ラノベを考えるのは間違えている。」とは繋がっていません。第5話の続きとなります。

今回はさがみんを出したかったのでかなり強引かも知れませんがよかったら読んでください。


第6話

「先輩、私正直言って黒歴史を侮っていました、後から色々と来るんですね。とくに一人で過ごしていると不意に思い出して悶えちゃうんですけど」

 

一色さんは部室に入ってくるなり文句を言っているわ。でも一色さんだけではなく、私、由比ヶ浜さん、そして比企谷君も同じみたいね。

 

「俺もだわ、お前たちが作ってくれた黒歴史のおかげで!!しかも雪ノ下の分が癒えないうちに3つ追加されるなんて自己最高記録だわ!!」

「よかったじゃないですか、自己記録更新できて」

「でも比企谷君、私たちは初めての黒歴史なのよ、あなたのように大量生産していないから、慣れていないのよ」

「うんヒッキー。私もかなりヤバかったよ、布団から出れなかったもん」

「黒歴史に慣れるってなんだよ。そこまではまだ行ってないよ」

「ヒッキーも土日ほとんど部屋から出なかったんだよね、小町ちゃんからメールで聞かれたけど答えられなかったから、知らないって言っちゃった」

「いや、それで助かる。小町にラノベのこと喋ると絶対面倒なことになるし」

「うん、ヒッキーもバラさないでね」

 

コンコン

 

私たちがそれぞれ土日をどのように過ごしていたか話していると、扉をノックする音が聞こえてきた。

 

「どうぞ」

「ひゃっはろー!!」

「姉さん...。何しにきたの?用事がないのであれば帰ってちょうだい、まだ部活中なのよ」

「比企谷君、雪乃ちゃんが冷たい!!」

「雪ノ下さん、なにしにきたんすか」

「「こんにちは」」

「うん、こんにちは」

 

コンコン

 

姉さんが来て挨拶をしていると、また扉をノックする音が聞こえてきたので私が「どうぞ」というと城廻先輩が女子生徒を連れて入ってきたわ、どうして城廻先輩と彼女が一緒に来たのだろう?この部室に余りいい印象を持っていないと思うのだけれど。

 

「城廻先輩...相模さん、こんにちは」

「めぐり、委員長ひゃっぱろー!!」

「....うす」

「「...こんにちは」」

「うん、こんにちは」

「....おじゃまします」

 

「今日は突然ごめんね、雪ノ下さん。あ、はるさんが居るんであれば出直したほうがいいかな?」

「いいえ、姉さんは無視してもらって構いません、よろしければ御用をお伺いしますが」

「雪乃ちゃんがひどいよぉ」

「じゃあ、相模さんいいかな?」

「...は、はい」

「実は相模さんに相談されてね、一人で奉仕部に行きづらいと言うので連れてきたんだ。ここからは相模さん、一人で話さないとね」

 

「は、はい、...き、今日は雪ノ下さんに文化祭のことを謝罪しに来ました。うちが、周りの人たちと違うって思われたくて、でも雪ノ下さんに仕事を押し付けて遊んでばかりいました。...雪ノ下さんの仕事ぶりを見て勝手に嫉妬して雪ノ下さんが体調を崩しても、うちは遊んでばかりで最後までみんなに迷惑を掛けて本当にすみませんでした!!」

 

相模さんは泣きながら最後まで自分の言葉で謝罪を行い、最後顔を涙でくしゃくしゃにしながらも私にお辞儀をして謝罪をしてきたわ。彼女のこんな姿を見たことがない。文化祭の時はいつも遊んでいて仕事だというと嫌そうな顔ばかりしていたもの。

 

「いいえ、相模さん。本来はあなたの仕事の補佐をおこなう約束だったのに、私が仕事を抱えてしまったのがいけなかったわ。私の方こそごめんなさい」

 

「..ゆ、雪ノ下さん...ありがとう」

 

「....そ、それから比企谷、あんたにも謝罪させてほしい」

「まて、俺は何もしてないぞ」

「うん、あんたはそう言うって思ってた。文化祭の最後、うちは比企谷に助けられたの。でもそのことを謝罪にきたんじゃない、あれはわざとやったんでしょ?雪ノ下さんのため、ううんそれも違う、雪ノ下さんが倒れても成功させようとした文化祭のため、それを謝罪したいんじゃない。せっかくうちは助けてもらったのにその後、比企谷の悪口を言いふらしていたの。今思い返すとうち本当に最低でした。謝っても許してもらえなくてもいい。でも謝罪させてほしい。だからここに来ました....比企谷、本当にすみませんでした。それと、ありがとうございました」

 

相模さんは涙を流しながら謝罪すると比企谷君に深々とお辞儀をし、また泣き出してしまったため城廻先輩に胸を借りていたわ。彼女が比企谷君に謝罪するとは思っていなかったのだけれど、彼女にとっては良い方向にすこしでも変われるきっかけになってくれればと思うわ。

 

「あー、その相模、こちらこそ暴言を吐いて申し訳なかった、後、なんだ、そのありがとうな」

 

少し泣き止んだ相模さんに比企谷君は声を掛けていた。相模さんも「うん、ありがとう」と言いながら頷いていた。

 

私は紅茶を配り、みな相模さんに気を配っていたのか他愛もない会話をしていたので読書でもしようと思っていたところ、姉さんが話し出した。

 

「じゃあ、私の用件を言っていいよね。私土曜日に静ちゃんと飲みに行ったの。その時静ちゃんがかなり酔っていたんだけど、変なこと言い出したんだ。『黒歴史がぁ』とが言っていたんだけどね。比企谷君・・・・『八幡、許して』とか『雪ノ下の胸を揉んだ』とか『由比ヶ浜のお尻触った』とか『一色と抱き合った』とか、どういうことか説明してくれるよね。事と場合によっては....潰すよ....」

「....」

「何も喋らないってことは本当のことって思っていいんだよね?」

「え、比企谷君。君って最低だね」

「....比企谷、いくら何でもそれは....」

 

比企谷君は俯いて何も喋らない。私たちのために、また自分を犠牲にするつもりね、私は由比ヶ浜さんと一色さんに目配せし彼女達が頷いたのを確認した。

 

「姉さん、その件は私から説明させてもらうわ」

「雪乃ちゃんは黙ってて」

「いいえ、言わせてもらうわ。その件は比企谷君はまったくの濡れ衣よ」

「じゃあ、どういうことか説明してもらえるの?雪乃ちゃん」

「ええ、実は作家希望の生徒から小説の批評を行ってほしいと依頼があったの、そして私たちが主役の恋愛小説を書いてもらったのよ」

「小説の批評からどうしてみんなが出ている小説の話になるの?」

「言葉で言うより見てもらったほうが早いわね、私の分だけ見せてあげるわ、それでいいでしょ」

「ゆきのん、私のも見せていいよ。ヒッキーの濡れ衣が晴れるなら、いくらでも見せてあげて」

「雪ノ下先輩、私の分も見せてあげてください。私たちのせいで先輩が疑われているのは耐えられません」

「....その..すまん」

「比企谷君、その言葉は違うのでは?」

「....そうだな、雪ノ下、由比ヶ浜、一色、その、ありがとう」

「ヒッキー!」

「先輩!」

 

比企谷君がお礼を言ってくれた、かなり照れているようだけれど。私はパソコンを立ち上げ、それぞれのファイルを開くと姉さんにパソコンを渡したわ。私たちは顔を真っ赤にしながらも比企谷君をみんなで守れたことがすごく嬉しく感じられた。姉さん、城廻先輩、相模さんはパソコンの画面に釘付けになって読んでいるわ。

 

ヘエー、イイナー。

ワタシモ スキダツテ イツテホシイ。

イジメラレタイ。

....

 

なんだかおかしな感想が聞こえてくるのだけれど、とりあえず比企谷君の濡れ衣は晴れたようね。

 

「比企谷君、雪乃ちゃん、ガハマちゃん、一色ちゃん、ちゃんと謝罪させて。疑ったりしてごめんなさい」

「私もごめんなさい。特に比企谷君には失礼なこと言って」

「比企谷、私もごめん!!」

 

「その今回のは勘違いされてもしょうがないのでいいですよ..先生だけは許せないけど」

「ラノベの内容を一部だけ聞くと比企谷君がみんなを誑かしているものね」

「私には誠実でしたよ。断っても家に送ってくれましたし」

「うん、ヒッキーが付き合ってくれって言ってくれたもん」

「いや、今内容を言わないでくれる?そっちに話が行ったら面倒なんだけど」

「ねえ、雪乃ちゃん。私もその...小説を書いてもらうことはできないのかな?」

「私もお願いしたい!!」

「うちも比企谷との和解の意味を込めて....」

「何を言っているのかしら、あなたたちは。そんなことお願いできないわ」

「じゃあ、比企谷君からお願いして!!」

「いやですよ、そんなの」

「でも、これ書いたのって材木座君だよね?体育祭の時、作家目指しているって言っていたような。相模さんさっき図書館に居なかったっけ?」

「うん、居たと思います。うち呼んで来ますね!!」

「私も行く!!」

「私も!!」

 

そう言うと私たちが停めるまもなく、3人で部室を出て行ったわ。私たちはため息をついて呆れ返っていた。

 

**********

 

「は、八幡!!こ、これはどう言ったことでごじゃるか!?」

 

材木座君は城廻先輩と相模さんに手を引かれ連れて来られていた。かなり言葉使いがおかしくなっているわね、いきなり女性に手を引かれて連れてこられたのだから。顔を真っ赤にしてかなり戸惑っているようだし。

 

「ねえ、材木座君。私たち3人にも恋愛小説を書いてくれないかな?」

「....あの、どちらさまでしゅか?」

「あ、ごめんね。私は雪乃ちゃんの姉、雪ノ下陽乃よ」

「私は覚えているかな?3年城廻めぐりです」

「うちは2-F相模南です」

「でも書こうにも皆さんのことよく存知あげませんし...」

「それは奉仕部のみんなに聞いて書いてよ」

「失礼な事書くかもしれませんし、男はどうすんでしゅか?八幡には以前もう俺を使うなって言われてましゅし」

「比企谷君、ダメなの?」

「比企谷君...」

「比企谷...」

「お、俺?嫌ですよ、何でわざわざ黒歴史をこれ以上増やさないといけないんですか」

「比企谷君、私の卒業記念に駄目かな..」

「うちも比企谷への謝罪記念に...」

「なんだよ謝罪記念って」

「これから比企谷と仲良くしたいなと思って、二人で恋愛小説を共有できたら楽しそうじゃん」

「何言ってるの?そんなの共有なんてできないぞ!!黒歴史ってだいたい一人のとき、襲ってくるんだぞ!!」

「でも材木座君の小説の批評のためにやっていたんだよね。材木座君どうかな」

 

そういうと姉さんは惚れ惚れする笑みを浮かべ材木座君に問いかけていたわ。

 

「あ、あの、そのお願いしましゅ...」プシュー

「じゃあ、後は比企谷君だけだよね」

「騙されるな!材木座!!魔王に良いように洗脳されているだけだぞ!!」

「へぇ、誰が魔王...か.な...」( º言º)

「ヒェ!!....ごめんなさい」

「じゃあ、いいよね?」

「八幡、いいのか?」

「わかった、わかった、好きにしてくれ!!」

 

ついに比企谷君も折れて、姉さんたちのラノベを書くことになったようね。材木座君の小説の批評が目的なはずなのに....でも比企谷君が「好きにしてくれ」って言っていたから私もまたお願いしようかしら。

 

「我からも一つお願いがありましゅ...音読を本人にお願いしたいのでしゅが...」

「どういうこと!?音読するの!?」

「ええ、私たちは交代で読んだわよ」

「読んでもらえたのは嬉しかったのですが、やっぱり素人ですので。本人であればもっと感情移入して貰えるかなと...」

「どうする?めぐり、委員長」

「私はいいよー」

「....うちもいいですよ」

「じゃあ、決まり!!材木座君、「「よろしくお願いします!!」」」

 

こうして比企谷君の黒歴史が新たに追加されることになったわ。


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