今日はゴールデンウイーク三連休の前日。その後、二日学校にくれば4連休が続くのだけれど、今日もいつも通り部室で勉強会を行っているわ。最近、私のクラスメイト
特に結衣には教え方が合っているようで、最初に分かる問題を解かせて褒めて、分からない問題でも途中まで分かれば褒めてあげているわ。結衣は褒めれば褒めるほどやる気を出すタイプのようで、真鶴さんが褒めながら教えた問題は次の時には一人で解けているわ。私も見習わないといけないわね。
私達が勉強会を始めてから1時間ほど経つと、扉をノックする音が聞こえてきたので、私は入室を促すと生徒ではない女性が入ってきたわ。
「どうぞ」
「失礼します。こちらが奉仕部でよろしいのですね」
「か、母さん!?..ど、どうして母さんがここに?」
なぜ母さんが?私を迎えに来たのかしら。でも何も用事はなかったはず...
「皆さんは勉強を続けてくださいね。...雪乃、こちらに材木座さんって方はいらっしゃいますか」
「ひゃ、ひゃい!!」
「そう、貴方が...雪乃、彼とお話しさせてもらって良いかしら?」
「材木座君、大丈夫?」
「あと雪乃、私が出ている小説を読ませていただける?少し前にね、陽乃の部屋に入って行ったら、机の上にこれが置いてあったのよ」
そう言って母さんは机の上にラノベを置いたのだけれど、これは姉さんのパラレルワールドの話ね...不味いわ、私のも両親が出てくるのは余り良いようには書いていないのだから。
「陽乃を問いつm...いいえ陽乃に聞いたら、こちらにいらっしゃる材木座さんに書いて頂いたということで、興味が湧いてお邪魔させていただいたのよ....早く用意なさい。雪乃」
怖い...声を荒げているわけではないのだけれど、私は何も言えずにラノベを用意して渡したわ。皆何も言わずに勉強の手も止まっているわね。
「さて材木座さん。貴方のご両親に連絡させていただいて5月3日からの三日間、貴方の外泊許可を頂きました。ですので貴方の身は私が預かりますから」
「あ、あの、その日からSUPER COMIC CITYに行く予定がありましゅので、無理なんでしゅが」
「...........」ジー
「..い、行かせてもらいましゅ」
あんな射殺すような目を向けられて断れるわけないわ。早々に材木座君は諦めたようね。
「貴方から来たいというのであれば誘ったかいがありますわ....後、皆さん。隼人君のことで、かなりご迷惑をお掛けしたようですね、陽乃からそちらの件も伺いました。もしよろしければ皆さんも一緒に別荘へご招待させて頂きたいと思っていますがどうですか。もちろん雪乃は一緒に行きますよ」
「..私も行くのね」
「え!?雪乃ん家の別荘!?あーし行きたい!!」
「良いんですか!!うちも行きたいです!!」
「私、ビッグサイト行く予定が入っちゃってるよ」
「私も家のこと、やらないといけないから行けないな」
「..ゆきのん、良いのかな」
「雪ノ下さん。私は葉山君のことって何か知らないけど良いの」
「ええ、来れるのなら来てほしいわ」
そういえば真鶴さんは葉山君のことは知らないわね、でも母さんが皆を招待って何を考えているのかしら。あと一人、何も答えていないわね。
「八幡、あなたはどうするのかしら」
「いや、俺はゴールデンウイーク、あれがあれだから」
「そう、予定はないのね。では小町さんと戸塚君達に聞いて貰えるかしら。いろはさんと折本さん、仲町さんには私から連絡しておくわ」
「なんでそうなるんだよ」
「では何か用事があるのかしら」
「...無いけど」
「すみませんね皆さん。急に誘ってしまって。まさか私の知らないところで、こんな扱いを受けているとは思いもしなかったものですから」
母さんはそういうと、材木座君を見据えているわ。材木座君は鞄からタオルを取り出して汗を拭きだしたのだけれど、止まらないのか何度も拭っているわね。
「今回来れない人も次回は夏休み前に余裕を持って御招待させて頂きます。夏休みだと受験勉強本番でしょうから陽乃も呼んで勉強を教えるように言っておきますから。では細かいことは雪乃に伝えますので、来れる方はお願いしますね」
母さんはそう言い、お辞儀をして部室を出て行ったわ。
「は、八幡。どうしよう、我は殺されて山中に遺棄されるのではないか」
「そんなことするわけないだろ」
「大丈夫よ、材木座君の家にも連絡しているのだから」
「..なぜ、我の家を知っておったのですか」
「学校に聞いたんじゃないか」
「..我の個人情報がこんなに簡単にバラされて良いものなのか」
「雪乃の母ちゃんなら身元しっかりしてるから教えたんだろ」
「そ、そういえば姫菜殿はビッグサイトに行くのであるな!!」
「無理だよ、材木座君の欲しいのとジャンルが違うから探すの大変だよ..でも大手なら分かるかもしれないから一応、欲しいの教えておいて。近くに有ったら探してあげる」
「姫菜殿、よろしく頼む」
八幡は小町さんと戸塚君、戸部君に連絡を取ったのだけれど、小町さん以外は部活があるということで来れないようね。
私はいろはさん、折本さんと仲町さんに連絡を取ったわ。いろはさんは葉山君のことが有ってからサッカー部のマネージャーを辞めたのだけれど、家の用事があるということで今回は来れないと返信が来たわね。
折本さんと仲町さんは問題ないということだったので、別荘に行くのは、材木座君、八幡、私、結衣、優美子さん、南さん、真鶴さん、小町さん、折本さん、仲町さんね。
でも母さんはどうするつもりなのかしら。材木座君に指導するだけなら、明日からの休みで家に招いてもよかったと思うのだけれど。
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俺と小町、かおりは朝の8時前に千葉駅前に来ていた。今日から雪ノ下家の別荘にいくのに駅前に集合するためだ。俺たちが駅に着くと、観光バスが止まっていて、既に雪乃は来ていた。
「やっはろーです、雪乃さん」
「やっは..皆さん、おはよう」
「うす」
「おはよう!!私と千佳も誘ってくれてありがとうね。でも総武の皆と泊りで旅行とか凄い楽しみ!!ウケる」
「材木座はまだ来ていないのか」
「もう来ているわよ、既に母さんと一緒にバスに乗っているわ」
暫くして千佳も来たので俺達がバスに乗り込むと、前側の席で材木座とママのんが向かい合って座っていた。ママのんは着物ではなく、清楚な白いブラウスにカーディガンを羽織り、ロングのタイトスカートを履いていた。とても大学生の娘がいる母親には見えないな。
二人は何か話しているようで材木座は助けを求めるような顔をしてきたが、俺達は挨拶をし後ろの席に移動すると、ママのんはまた何か材木座に話しだしていた。
他にも知らないスーツを着た女性が座っていたが立ち上がると俺達に挨拶してきた。田中さんと名乗り、今回俺達の世話を運転手の都築さんと一緒にしてくれるらしい。田中さんも綺麗な女性で平塚先生と同い年ぐらいに見える。
このバスは普通の観光バスではなく、中型だが座席は革張りで後部座席はソファーのようになっており、コの字に配置されていて一辺に三人ならゆったり座れそうだな。
「凄いバスだな」
「お、お兄ちゃん。こんなの乗ったことないよ」
「八幡。一番後ろの席は横並びに座れるわ。一緒に座りましょ」
「なあ雪乃...母親が居るんだが良いのか」
「...そ、そうね。今日は控えておこうかしら」
「じゃあ、私と座ろ!!八幡君!!」
「それある!!私も一緒に座るから!!」
そう言って千佳とかおりに腕を引っ張られ一番後ろの席に移動していた。雪乃は悔しそうにしているが、ママのんの前なので自重しているようだな。
結衣、優美子、南、真鶴が到着しバスに乗ってきたが、俺達が既に席に座っているのを見ると、真鶴以外は不機嫌になりながら挨拶をしてきた。それぞれが空いている席に座ると、ママのんがバスの後ろに来て挨拶をしだした。
「今日は来てくれてありがとうございます。三日間一緒に居るのですから、ご遠慮なさらず私にも話しかけてくださいね。では行きましょうか」
ママのんがそう言って前の席に着くとバスは動き出した。材木座は相変わらず、ママのんの相手をしているが何だか普通に喋っているな。遠くて聞こえないがママのんが笑っているようにも見える。
バスは順調に高速に乗り、途中渋滞などもあったがパーキングに入って行ったので、トイレに行くと材木座も一緒に付いて来た。
「材木座、何を喋ってたんだ」
「雪乃殿と姉上のことを聞かれただけだぞ。怒られると思ってたのだが何も言われてないぞ」
「そうなのか、何か笑っていたようだが」
「我が雪ニャンラノベを書いた理由で「お姉ちゃん」って言わせたかったと伝えたら笑っておったな」
「..そうなのか、普通の反応だな」
「もしかしたら、雪乃殿も姉上も誤解していないか」
「分からない。俺達は家のことは何も知らないからな。材木座にも当たり障りないことしか言わないだろうな」
俺達がバスに戻って行くと、ママのんの前には雪乃が座っていて何か喋っていた。どうも三日間の予定を話しているな。
他の女子たちは帰ってきておらず、材木座と後ろに座っていると、真鶴が帰ってきて俺達の間に座ってきた。
真鶴は童顔で少しぽっちゃりしているが健康的な体型だ。何時もは眼鏡を掛けて髪を三つ編みしているため、まじめで垢抜けない印象しかないが、今日は耳の後ろでサイドテールにしており、コンタクトをしているのか眼鏡を掛けていない。目は垂れ眼で結構可愛いので、学校にも一緒の格好をしてくればモテると思うのだが。
胸の大きさは普通と思うが鞄をたすき掛けしてるので、どうしても目が惹きつけられてしまう//材木座も照れているな。
「ねえ、二人ともラノベよく読むんだよね、お勧め教えてよ」
「真鶴もラノベを読むのか」
「うん、でも余り話す人が居ないんだ。友達でも読んでる子少ないしね」
「真鶴殿はどういったのが好きなのだ」
「「ダンまち」好きだよ。ベル君可愛いよね」
「俺は今「妹さえいればいい。」や「エロマンガ先生」を読んでいるな」
「..比企谷君て妹ものばかりなの?」
「い、いや他にも読んでるからな。たまたまだよ」
「我は「ダンまち」であればやはりアイズたんが一押しだな。あと「このすば」も好きだし「GATE」も読んでおるぞ」
「ふーん、比企谷君のはちょっとあれだけど、材木座君と好み似てるかも。私「GATE」知らないから今度貸してよ」
「わ、我ので良ければ幾らでもよいぞ」
「うん、他にもお勧め教えて」
真鶴は材木座とラノベ談議に花を咲かせだしたな、俺も一緒にしたいんだが、なんで受け入れれないんだよ。妹さえもエロマンガ先生も面白いだろ、そう考えていたらいつの間にか帰ってきていた小町達が下げ荒むような眼で俺を見ていた。
「..お兄ちゃん。途中から聞いてたけど、小町ドン引きだよ」
「妹さえいればいいって、ヒキオって本当にシスコンっしょ」
「エ、エロマンガ先生って、どんなエッチなの読んでるんだし。ヒッキー」
「た、たまたま昨日読んでただけだから。エロマンガ先生もエッチなのじゃなくて、妹物...」
「妹物って...はぁ、まあいいや。今度はあーしと結衣が隣だからね。真奈、材木。場所変わるし」
優美子がそう言うと二人は左隣りのソファー席に移動していった。優美子は空いた席の中央に俺を座らせ両隣に優美子と結衣が座って、雪乃も移動してきて材木座と真鶴が座っているソファーに腰掛けた。
材木座達は席を移動した後も二人でまたラノベの話で盛り上がっており、俺もあっちに行きたいと考えてると優美子に右手を恋人繋ぎされ、それを見た結衣も左手に絡めてきた。
「八幡、なんで二人で手を繋いでるの。ウケない..」
「私達が隣だと嫌だったの。..私にはしてくれなかったよ」
かおりと千佳が帰ってきて俺達を見たとたん、文句を言いだした。
「あんたら二人、さっきまで隣だったから良いっしょ。こんどはあーしらがヒキオとイチャつくし」
「イ、いちゃつくって私達、話してただけだよ!!ウケないよ」
「私ももっと八幡君と話がしたい!!」
二人は文句を言いながら俺たちが座っている座席の右側に座ると南が遅れて帰ってきた。
「優美子ちゃん結衣ちゃん、ずっこい!!」
南はそういうと俺の方に近寄り背中を向けると足の上に座ってきて、俺に背を預けてきた。
「み、南。重いって」
「みなみん、危ないから駄目だって。何かあったら、ゆきのん家に迷惑掛かるし」
「うぅ、結衣ちゃんに正論はかれた...」
「な!?あたしのこと馬鹿にしすぎだし!!」
南は項垂れて前の席に移動していった、ちょっと可哀想だな。前の方はママのんが今は田中さんと話しているし、小町はかおりたちの横に座って、ソファーには既に三人づつ座っているため、空いてる席がなく南は前の座席に一人座っていた。
「俺、南の方に行ってくるから手を放してくれないか」
「え!?ヒッキー、みなみんが良いの?」
「いや、せっかくの旅行なんだから代わってくる。俺は一人でもいいが南一人は可哀想だろ」
「もうちょっとこっちに詰めれば、あーしの横に座れるっしょ」
「そうだな、じゃあ呼んでくるぞ」
「いいよ、私が呼んでくるから」
そういうと、かおりは南を呼んできてくれて、南は優美子の隣に腰掛けた。ただそのおかげで優美子と結衣は俺の腕に抱くようにくっ付いてきてきた//
「でもさ、皆積極的になったよね。ウケる」
「あーしら、ヒキオのこと好きだし」
「へ!?そ、それは知ってたけど、八幡の前でも言っちゃうの」
「皆、告白したんだよ。まだヒッキーは誰も選んでないけど」
「私が勇気を出して告白したのに、その日の午後には全員、勢いに任せて告白してるのよ..クッ」
「うん、その後うちらで八幡とキスしまくったもんね」
「「へ!?」」
「びっくりしましたよ。お兄ちゃんが首に包帯巻いてて、見せて貰ったらキスマークがたくさん付いてましたよ」
「..次の日、学校にも包帯していったから、材木座や戸部に「遅い中二病」って言われたな。先生にも怪しまれたし」
「へ、へぇ。...みんな告白したんだ」
「そ、そうなんだ...」
戸部は俺達と一緒に教室に居ることが多くなっていた。戸部は姫菜のことを今でも好きなようだが、それについて俺は申し訳なく思っている。俺はいまだに誰を好きなのか答えを出せていなかったから。
葉山と戸部は部活中もほとんど話をしていないらしい。サッカーは連携が大事なスポーツだが問題ないのか。俺には関係ないことだが気にはなる。
雑談していると、いつの間にか二回目の休憩所に入ったようでトイレから帰ってくると、今度は雪乃と南が隣に座ってきた。今回は材木座と舞鶴は前の座席に座って二人でラノベ談義している、そして何故か小町がママのんと話しているので席に余裕があった。
「雪乃は良いのか」
「ええ、隣に座るぐらいは問題ないでしょ」
「八幡、うちに手貸して」
南はそう言って俺の右腕を取り俺の手を太ももで挟んでいた。チョッ、やばい//南はショートパンツだったので太ももの感触が気持ち良すぎる//
南は勝ち誇ったような顔をして雪乃の方を見ていたが、雪乃の感に触ったようでいきなり身体を密着させてきて頭を俺に預けてきた。
「すこし眠りたいから、肩を貸してもらうわね」
雪乃はそう言って目を閉じていた。南もそういう風にやり返されるとは思っていなかったのか、驚いていたが一緒のように俺に頭を預けてきた。さすがに俺の理性がヤバかったので南の太ももから手を抜いて俺から恋人繋ぎをするように手を繋ぎに行った。
「また雪乃と南に出し抜かれてるし」
「でも大丈夫なのかな」
「寝ててもたれてたってことにすれば良いっしょ」
車が走り出し暫くそうしていると雪乃は本当に寝てしまったようで寝息が聞こえてきた。周りも朝が早かったためか皆寝始めてしまったようだ。俺も寝ようと思い目を瞑っていると、南がモゾモゾ動き出していた。
「八幡、皆寝ちゃったからキスできるよ」
南は俺の耳に口を近づけて俺の耳を甘噛みしてきた。な、何しちゃってるのこの子!?
「皆が寝ている中、こういうことするのって背徳感が有ってちょっと興奮するね。ねえ八幡、チューしよ。...してくれないなら首に吸い付くよ。うちはそれでも良いけど」
南はそう言うと俺の首筋に顔を近づけて吸い付いてきた。
「み、南。後が残るのは不味いから止めてくれ」
「じゃあ、チューしてくれる?」
「わ、分かったから」
俺と南は皆が寝ている中、唇を重ねあっていた。
「ふふ、皆が居て隠れてするのって凄く興奮するね//」
「お、俺も眠いんだ。もういいだろ//」
「うん、ぐっすり寝れそう。ありがとうね八幡、..好きだよ//」
「..//」
南はそう言って、身体をずらしてソファーに横になり俺の膝に頭を置いてきたので、俺が撫でているとすぐに寝てしまったようだ。
はぁ、俺が駄目なんだろうが、彼女達には振り回されっぱなしだな。今回の旅行はどうなるんだ。まだ着いても居ないのに、すでに俺はかなり疲れていてすぐに眠ってしまっていた。
...
..
.
バスで寝ていると俺はかおりと千佳に起こされた。何故か怒っているよ、この二人。
なんで怒っているのか不思議に思い下を見ると雪乃と南は俺の膝枕で寝ていて、俺の右手は南の頭に置いており、左腕は雪乃の腰のほうから胸に回されていて、雪乃が抱くように寝ている。俺はすぐに手を引き抜いたがかおりと千佳はかなり怒っているな。
「八幡イチャイチャしすぎだよ。ウケないんだけど..」
「..八幡君、約束して。私にも後で時間頂戴」
「ち、千佳!?私は!?」
「かおりも駄目。分かった?八幡君」
ち、千佳が怖い。俺は声が出せず頷くことしか出来なかった。だがこの二人は俺の事をどう思っているのだろう。
雪乃達からは好意を伝えてくれた。もう勘違いだなんて思わない、そう考えること事態、皆に失礼なことだから。
俺は答えを出せていないが俺も彼女達の事をもっと知りたい、知って安心したい。俺のことも知って欲しい。そして出来れば...
バスは別荘に着いたので皆を起こし、都築さんにお礼を言って降りていくとそこに三人の女性が立っていた。
「先生、陽乃..さん、めぐり。こんにちわ」
「ハチ君、こんにちわ!!」
「「....」」
「八幡、ここは学校外だぞ」
「いつも通り呼んでよ。八幡君」
言える分けないじゃん!!先生も何言っちゃってるの!?ここにママのんが居るってこと分かってんだよね、陽乃も年下から呼び捨てで呼んだらママのん怒っちゃうよ」
「ママのんとは私のことですか」
「え!?え?なんで...」
「八幡君、声に出てたよ」
「ふふ、では私の事はこれからママのんって呼んでくださいね」
「そ、それは失礼ですので」
「ではなんと呼んで貰えるんですか」
「..雪ノ下さん」
「はーい。でも何時もと呼び方が違う..」
「陽乃じゃなくて」
「あら、雪乃だけではなく陽乃も呼び捨てなんですね」
「それは雪ノ下の「はーい」奥様..」
だからなんで陽乃が答えるんだよ。
「奥様「はい、私ですか」...」
どうして田中さんが答えるんだよ、結婚してるのかよ。
「お母さんに失礼ですから」
「お義母さんだなんて、陽乃か雪乃は貴方と結婚していたかしら」
「...令夫人に「あら私のことを令夫人だなんて//」...」
だからどして田中さんが答えるんだよ。照れるなよ、可愛いじゃないか。
「諦めてください、私の事はこれからママのんって呼んでくださいね」
「..わ、分かりました」
「八幡、私は?今回は学校関係ないぞ」
「分かりましたよ、..静//」
「ふふ//ありがとう」
「ね、ねえ、もしかして先生も仲間入りしてるの?流石に予想外すぎてウケないんだけど」
「結衣ちゃん、問題にならないの?学校で」
「別に付き合ってるわけじゃないしね。学校では何もしてないし」
「では荷物を各部屋に置いてからお昼にバーベキューをしますので皆さん、庭に来てくださいね」
ママのんがそう言い、改めて別荘を見たがそこには木々で覆われた2階建ての大きいコテージが建っていた。隣にも別荘はあるが木々で遮られており、見えないようになっている。少し離れたところにテニスコートや池があり手漕ぎボートが置いてある。凄いな、掃除も行き届いていて感想がそれしか出てこない。
俺と材木座は都築さんが案内してくれて部屋に入っていった。その部屋にはベッドがあり、ノートパソコンも置いてあった。
「比企谷様、材木座様。ご用意が終わりましたら庭に来てください」
「「分かりました」」
俺達がお礼を言うと、都築さんはバーベキューの用意があるということで、部屋を出て行ったので俺と材木座は部屋で少し寛いで話していた。
「我と同室だな。八幡」
「男二人だからな、俺はお前が居てくれて助かるよ」
「なぜだ?何時もなら我のことをぞんざいに扱うではないか」
「...それはすまん。ここで一人寝てると隣に誰か入ってくるとかありそうで怖いんだよ」
「羨ましいではないか...だが頼むので部屋に連れ込むなよ。お主の情事を見たくも聞きたくもないのでな」
「そんなこと出来るわけないだろ...」
少し前ならそんなことありえないと思ってたが、今では否定することが出来ない。陽乃は俺のことを理性の化け物と言ったが、今はその理性を保てる自信もない。
「そういえば材木座。真鶴とずっと話してたな」
「わ、我とあそこまで長く会話してくれる女子は初めてだぞ//」
「ラノベの話をしてるのか」
「左様、真奈殿とラノベやアニメ談議しておると楽しいのだ//」
「..名前で呼んでるのか」
「ま、真奈殿から呼んでほしいと言われてな//我も名前で呼んでくれてるのだ//」
「俺もそっちで話がしたいな」
「お主は無理であろう、真奈殿以外の女子から引っ張り回されるであろうな」
「...そうだよな」
俺達は用意をし庭に降りて行くと、都築さんと田中さんがバーベキューの用意をしていたので、俺達も手伝っていた。
「では皆さんで頂きましょうか」
ママのんがそう言ったので俺達はバーべを頂いていた。陽乃も雪乃もママのんが居ても皆と楽しく、お喋りしながら食べてるな。俺は材木座と二人で他愛ない会話をしながら食べていた。
「少し私とお話しできませんか」
「は、はい」
俺はママのんに呼ばれ皆と少し離れた位置に二人で腰掛けた。
「貴方にお礼を言いたかったのです、ありがとうございました」
「な、何のことですか」
「陽乃から伺いました。貴方のおかげで雪乃にあんなに沢山のお友達が出来たと伺ってます」
そう言って、ママのんは雪乃の方を微笑ましく眺めていた。
「い、いいえ。雪乃..お嬢さんやその友達がお互いを認め合ったからですよ。そこに俺は入っていませんから」
「陽乃から全て伺ったと言ったでしょ。修学旅行、文化祭その他のことも全て伺ってます。そして貴方がしたことにより雪乃の気持ちに変化が現れたことも、そして気持ちを曝け出したことも。
今まで雪乃は全てのことに対して、自分の事さえどこか冷めた目で見ていました。それを貴方が変えてくれたのですよ」
「..それは俺ではなく、雪乃お嬢さんに貴女の言葉で伝えてあげてください」
「もちろんです、ただ貴方にもお礼をどうしても言いたかったのです。本当にありがとうございました」
「..こちらこそ、そう言っていただいて、ありがとうございます」
ここで否定してしまうのは間違っていると思ったので、俺は何も反論せず受け取っていた。俺が果たした役目など微々たるものだろう。一番は雪乃が考え行動に移したのだから。
「陽乃も変わりました。今まで私の言葉には何も考えずに..いいえ、今までも考えてはいたでしょう、でもそれまでは何も言いませんでした。でも今では自分の考えを言ってくれるのです。これも貴方の影響ではないですか」
「買いかぶり過ぎです、俺にそんな影響力は有りませんよ」
「貴方と材木座さん、そして周りに居てくれるお友達のおかげではないでしょうか。陽乃も私が小説の事を知ってから貴方達の事を教えてくれるのですが、凄く楽しそうに話してくれるのです。大学のことでもあんなに楽しそうに話すことはないのに」
材木座のラノベや皆の影響、それは確かに頷ける。特に材木座は何も考えずに書いているだろうが、俺でさえラノベを読んで色々考えてしまうこともあるからな。
俺達が話していると皆は食べ終わったのだろう、雑談に花を咲かせていた。
「後、陽乃も雪乃もいつも通り呼んであげてください。私のことを呼ばないようにすればいいと思っているのかもしれませんが駄目ですよ」
「わ、分かりました。..ママのん//」
「ふふ、初めてですよ。私をそのように呼んでくださる方は。私も八幡さんには一目置いています、私達夫婦では変えれなかった娘達を一年足らずで変えてしまったのですから。..八幡さんに嫉妬もしていますのよ」
「...」
「すみません、時間を頂いて。では八幡さん、私達も頂きましょうか」
ママのんは俺のことを買いかぶり過ぎだ。俺が雪乃や陽乃に何かしたわけではない、もしかしたら切っ掛けを作ったかもしれないが、そこからは彼女たちが考え行動しただけなのだから。
皆が食べ終わり雑談しているなか、俺とママのん、都築さん田中さん、後なぜかビールを片手に楽しそうにママのん達と会話している静とでご飯を頂いていた。