やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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今回は葉山アンチですのでお嫌いな方はバックしてください。


「海老名の告白」

「海老名殿、本当に良いのか」

「うん...確認はお姉さんにしてもらえないでしょうか」

 

材木座君はラノベを姉さんに渡して確認して貰っているわね。海老名さんがそう言ったということは内容を知っているということだわ。海老名さんが材木座君に書かせたとみていいわね。

 

「ふーん、そういう事だったんだ...今日、私が呼ばれたのはこれの為だね。姫菜ちゃん。良いんだね」

「...はい。皆に知ってもらいたいから。後、途中で止めるのも無しにしてください」

 

私達はそれぞれラノベを受け取って読みだしたわ。何が書いてあるのか想像できないのだけれど。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

修学旅行の三日目、私は戸部っちから嵐山に呼び出されていた。やっぱり無理だったんだね。こんな相反する依頼、こなせるわけないよ。私は諦めて戸部っちの前に立っていた。これで私はグループに居られなくなるけどしょうがないよね。

でも戸部っちの後ろから比企谷君が急ぎ足で近寄ってきてくれていて、私が唖然としていると、比企谷君は戸部っちの横を通り過ぎ私の前に立っていた。

 

「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」

 

比企谷君は私の依頼のため、嘘の告白をしてくれている。ここで私が誰とも付き合う気がないことを言えば、戸部っちの告白を止めれる手を使ってくれた。

 

「...ごめんなさい。今は誰とも付き合う気はないの。誰に告白されても付き合う気はないよ」

 

ごめんなさい、比企谷君。私のせいで嘘告白なんてさせてしまって。私は居た堪れなくなってその場を離れた。

比企谷君には戸部っちの告白を止めてもらうことを依頼していて、彼は自分を犠牲にすることによってその依頼をこなしてくれた。でもこの後、奉仕部はどうなってしまうのだろう。私は今になって罪悪感が溢れて来てその場から逃げていた。

 

修学旅行前、戸部っちが私に告白することを隼人君に相談したみたい。それを聞いた子が私に教えてくれたし何となく雰囲気で分かってた。私は自分の周りを、関係を壊したくなくて、隼人君に何とかして貰おうと思って相談したけど彼は何もしてくれず、奉仕部に戸部っちを連れて行ったのを見かけた。隼人君だと何もしてくれなくて、関係ない人たちを巻き込んでしまう。

でも告白の依頼なんて雪ノ下さんだったら断ってくれるだろうと思ってたんだけど次の日、戸部っちが力強い味方が出来たって言っていたのが聞こえてきた。奉仕部が依頼を受けたってことだよね。どうして受けたんだろう、告白なんて二人の問題なのに。

 

私が隼人君に聞いても彼は何も答えてくれない聞いてもはぐらかすだけ。どうして隼人君は自分のグループの為、動いてくれないの。

雪ノ下さんはクラスが違うし私と接点がほとんどない。結衣は一緒のグループだから、私は奉仕部を訪れて比企谷君だけに分かるように依頼していた。多分すぐには気づかないだろうけど、戸部っちの告白までには気づいてほしいな。

 

私は比企谷君が今まで何をしたか知っている。今まで私が見たこと聞いたことで彼に頼ってしまった。

 

サキサキのことは何も知らなかったけど、深夜アルバイトのことを比企谷君の提案で解決したってサキサキが教えてくれた。

 

グループの男子の悪口を書いたチェーンメールが広まった時、隼人君が奉仕部を頼って解決していたんだろう。結衣が私達に変なこと聞いてきたし、隼人君が比企谷君と職場見学に行くことになったから。

でも私はその時、自分のグループの歪さを知った。どうして男子たちは自分たちで何とかしないのだろう。お互いチェーンメールには触れずに上辺だけ仲良くしてて、何も動かないしチェーンメールのことで話し合ったりもしていない。

 

千葉村でもそうだった。留美ちゃんのいじめを解消したのは比企谷君の提案だった。孤立から救えたわけじゃないけど私には考え付かない、でもすぐに実行できる良い案だと思った。その時隼人君が提案したのは皆での話し合い。そんなので解決できるなら、いじめなんて起こらないよ。

 

私は中学校で人気があった先輩からの告白を断っていた。話したこともないのに何で告白されたんだろう。でも次の日から調子に乗っていると言われて、私へのいじめが始まった。その先輩からしてみれば、付き合えるのであれば誰でも良かったのだろう。実際、次の週には他の子と付き合いだしたと聞いていたから。

でも私へのいじめが無くなることはなくて、どんなに説明しても友達だった子は離れて行って私は学校で孤立してたけど、趣味仲間を見つけて寂しさを紛らわしていた。

趣味に興じていると周りも私に係わりたくないのか段々いじめは無くなっていって、私は居ないものとして扱われていた。

 

高校に入っても一年生の頃は、クラスで話すことはあったけど誰とも仲良く出来なかった。でも高二になって優美子がグループに誘ってくれて、私は久しぶりに趣味以外での友達が出来て嬉しくて楽しくて、その関係を無くしたくなかった。

 

文化祭で委員会に出席者がほとんどいなくなったのを解決したのも比企谷君って聞いた。一年の時に一緒のクラスで実行委員に真面目に参加していた子から聞いたので間違いないのだろう。最終日に相模さんを泣かせたって聞いたけど、それも何かを解決するために取った行動だろうと想像できた。

 

戸部っちのことを優美子に相談すれば何とかしてくれると思ったけど、優美子の性格からして穏便には済まないことは想像できた。もしかしたら私のせいでグループが無くなってしまうかもしれない。そうなると隼人君と離れてしまうかもしれないので優美子にはお願いできない。だから私も奉仕部に、ううん、比企谷君を頼ってしまった。

 

修学旅行が終わって登校したら、私達のグループは今まで通り変わらずにいた。でも結衣が落ち込んでいるのが分かった。

修学旅行の後、奉仕部は崩壊寸前だったので私は三人に謝りたかった。でも今、言ってしまうと比企谷君が守ってくれたグループが崩壊してしまう。私は自分の居場所を守るために比企谷君を犠牲にしていた。

 

クリスマスイベントの前に結衣からディスティニーランドに誘われた。その時、奉仕部の三人は私から見て修学旅行前、いや、それ以上に仲良くなっているように感じた。良かった。なにが有ったのか知らないけど、元通りに戻ってくれて。あそこまで壊れかけていたものが修復できる関係があるなんて思わなかった。私もあの中に入りたい。でも私にはその権利も資格もない。

 

私はこのことは誰にも伝えるつもりはなかった。もしここで私がこのことを話したら全てが壊れてしまうだろうから。

でも私は材木座君のラノベで始まった奉仕部を中心とした今の関係をこれからも、そして高校を卒業しても続けていきたい。だから皆が関係あることで隠し事なんてしたくない。隠していたら何時までも私が求める奉仕部のような関係を築けないと思うから。

 

私は皆に本当のことを知って貰うため、このラノベを材木座君に託した。

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「ハチ、ううん八幡君、雪ノ下さん、結衣。ごめんなさい!!本当は自分の言葉で伝える事なんだけど、上手く言葉に出来なくて半分も説明出来ないと思って、材木座君にお願いしたの。...本当にごめんなさい」うぅ

 

海老名さんは私達に謝罪の言葉を発していたのだけれど、私は彼女のことより自分のことが許せないわ。

 

「...八幡。あなたのやり方、嫌いだわ」

「ッ!!」

「私は!!...私はあなた一人、傷つく姿を見たくなかったの!!相談して欲しかった!!頼って欲しかった!!私達三人で喜びも悲しみも痛みも分け合いたかった!!...でも、ありがとう。私が戸部君の依頼を受けたばかりに嘘の告白なんてさせてしまって、背負わせてしまって、本当に...本当にごめんなさい」うぅ

「ゆきのんが悪いんじゃないよ。ゆきのんとヒッキーは受けるつもりなかったのに、あたしが一緒のグループでカップルが出来たら素敵だなって思って、姫菜の気持ちも考えずに....ぁ、ヒッキーに人の気持ち考えてよって、あたしが一番考えていなかった。ヒッキー、あんなこと言って、ごめんなさい、ごめんなさい」うぅ

 

私と結衣は声をあげて泣き出してしまったわ。まさかこんな理由があったなんて知らなかったのだから。

 

「...姫菜。あーし全然知らなかったけど、これ本当のことなんだよね」

「そうだよ優美子。ごめん、相談できなくて」

「あーしも悪かったし、相談しにくい雰囲気作ってたみたいだし。..でも!!戸部も姫菜も奉仕部に依頼するのは間違ってるっしょ!!」

「そうだね、告白なんて人に手伝ってもらうことじゃないよ。二人の問題なんだから。雪乃ちゃんも流されて依頼を受けたようだけど、そのせいで奉仕部を潰すところだったんだよ」

 

そうね。もし八幡が私達とやり直したいと思ってくれずに、あの告白をしてくれなかったら私は掛け替えのないものを失っていたのね。

 

「..八幡。ごめんなさい」うぅ

「ヒッキー、あたしもごめんなさい」うぅ

「俺もすまなかった」

「..八幡、我が口を出していいのか分からないが、修学旅行の後、奉仕部がギクシャクしていたであろう、お二方に事後報告でも詳細を伝えていなかったのか。雪ノ下殿も自分が受けた依頼の報告を受けなかったのですか」

「...ああ、修学旅行の後、いろはの生徒会長選も有って姫菜の依頼は今日初めて二人は知ったはずだ」

「では、お二方だけでなく、八幡も悪いであろう」

「そうだね。材木座君の言う通り、報連相が出来てないんだから。もしかしたら言い出せる雰囲気では無かったかもしれないけど、時間は幾らでも有ったはずだよ」

「...それを言ってしまうと、雪乃も結衣も戸部の依頼を受けたことで自分を責めると思った。結衣はグループから抜けることになるかもしれない。...俺は二人が傷つく姿を見たくなかったんだ」

 

あぁぁぁ、八幡は私達のことを考えて....私は涙が溢れてきて何も言えなかったわ。結衣も同じように二人で泣いていたわ。

 

「でも八幡君が傷ついていいわけないよ。隼人のグループなんて表面上だけでしょ、そんなに気にする必要もないと思うけど」

「..お姉さん、それでも私には居れる場所がそこしかなかったんです」

「姫菜ちゃんが言いたいことは分からなくはないけど、それは隼人や優美子ちゃん達となんとかすべきことだよね」

「はい。あーしも自分のことだけでなく、皆のことをもっとよく見るべきだったし...」

「私、全く知らない事ばっかりだったけど、チェーンメールとか留美って子、撮影の時に自転車で来た子だよね。葉山は何もしてないのか?」

 

八幡がチェーンメールのこと、千葉村でのことを川崎さん達に説明しているのだけれど、私はまだ泣き止まないので何も言えなかったわ。

 

「はぁ、隼人も小学生のころから全く成長してないな。..でも私も謝らないといけないね。南ちゃん、文化祭の時、私が余計なことを言ったから雪乃ちゃんへの対抗心で皆に分実よりクラスを優先って言ったでしょ。それについて謝らせてもらうわ、ごめんね」

「お、お姉さんは何も悪くないです。うちが何も考えずに言ったことですから。雪ノ下さん、もう一回謝らせてください。本当にすみませんでした」

「あ、ぁりがとぅ」うぅ

 

私は泣いているので、言葉がうまく発せられない。いまだに涙が止まらないわ。八幡が一番私達のことを考えてくれていて、守ってくれていたことに今頃気づくなんて...

 

「八幡もごめんなさい」

「俺も謝罪を受けているから、もういいぞ」

「ううん、ここに居る皆にも知ってもらいたいの。うちは文化祭の最終日、皆が困れば良いと思って、うちを見つけて欲しくて逃げ出したの、実行委員長なのに。それで八幡が見つけてくれたんだけど、その後に見つけてくれた葉山君に八幡が何もせずに付いて行ったら、うちは皆から責められてたはずなんだよ。もしかしたらそれで虐めになっていたかもしれない。それを八幡が自分に悪意が向けられるように葉山君が助けたことにするために、うちに暴言を吐いて救ってくれたの。八幡、本当にありがとう」うぅ

「南...」

「そういうことだったんですね、今の二年生でも噂になりましたから」

「私も雪ノ下に謝らせて。アルバイトしてた時、家のこと色々言って、ごめん」

「い、いいえ、川崎さん。私もあなたの事情も知らずにアルバイトを辞めさせることしか考えていなかったわ。私の方こそ、ごめんなさい」

 

私はようやく泣き止んで川崎さんに謝罪出来たわ。

 

「雪ノ下さん。あーしもごめん。戸塚とテニスしてた時って奉仕部で依頼受けてたんだよね。その時知らなくて聞きもせずに、あーしがテニスしたかったんで割り込んじゃったし」

「いいえ、これから気を付けてくれればいいのよ」

 

葉山君の対応については、言いたいことがあるのだけれど、今は些細なことだわ。

 

「八幡君。隼人は君がどういう方法を取るか知っていたんじゃないかな」

「...嘘告白の後、謝ってきて俺がこう言うやり方しか出来ないと知っていた。とは言ってましたね」

「うん、八幡君と同じだけの情報を持っていて、今まで八幡君の解決方法を何度も見ているからね。だから君ならどんな手でも実行してくれるって分かってたんだよ」

「じゃあ、隼人は分かっていながら止めずに見てたってこと!?」

「そうだろうね。私が隼人と一緒の立場なら、こういった事にならないようにするけど、もしなってしまってもグループで集まっているとき、姫菜ちゃんに質問して嘘告白の時言った言葉を言わせるよ。それなら奉仕部に頼る必要ないからね」

「そんな簡単なことなら隼人も気づいてたんじゃ」

「自分で質問するのが嫌だったんでしょ。ガハマちゃんに言ってもらうようにすれば良いんだろうけど、奉仕部に依頼した後だと自分が二人から相談受けていたことの説明が必要だからね。雪乃ちゃんにはバレたくないだろうから。

隼人から姫菜ちゃんに聞くと優美子ちゃんも居るから一人だけに聞くわけにはいかないし、優美子ちゃんがそこで告白する流れを作っちゃうかも知れないよね。グループ内で恋愛話をしたくないんだよ」

「そんなことでヒキオに押し付けて奉仕部を壊して...ヒキオ、雪ノ下さん、結衣。あーし達のグループのせいで大変なことになって、本当にごめん!!」

「優美子は悪くないだろ」

「ヒキオ、幾ら今回あーしが知らなかったとは言え、こんなことする奴がグループに居るなんて、許せないし!!」

「うん、あたしも葉山君は許せない」

 

私も今回の件は許せないわ。彼にとって私達の事は何とも思ってないかも知れないけど、私にとって大切な関係なのだから。

 

「葉山はグループを守りたかったんだ。...俺が奉仕部を守りたかったように」

「それは違うよ。本当に守りたいなら人に協力してもらったり相談するのはいいけど自分が先頭に立って動かないと、八幡君のように。...もしかしたら隼人は奉仕部を潰したかったのかも」

「な、何で..」

「雪乃ちゃん、隼人とのこと皆に喋っていい?」

「いいえ、姉さん。私が言うわ。私と葉山君は子供のころ、口約束だけれど親同士が決めて婚約していたの。でも小学校の時、私は虐められていて彼が余計なことをして虐めが酷くなったので私の両親が怒って解消されたわ。

でも高校を出たら改めて話あってお互いが良ければ婚約って流れだったの」

「そうだったんですね」

「じゃあ、隼人が誰とも付き合わないのって..」

「ええ、貴女達が拒まれたのは私のせいかもしれないわ」

「でも振られて良かったし。隼人がこんな奴とは知らなかったし」

「私も良かったです。あの想いは偽物って分かったんですから」

「婚約なんてするつもりは無かったけれど、今回の件で話す気もなくなったわ。もし親が勝手に婚約させようとしたら、...姉さん。私は家を捨てるわね」

「うん雪乃ちゃん、良く言ったね。隼人は雪乃ちゃんの拠り所を潰したかったのかも知れない。これについては私の憶測だから気にしなくていいけど。...私に隼人が回って来るかも知れないけど、そうなったら隼人を潰す。それが駄目なら二人で逃げるよ」

「ええ」

 

逃げなくても私の行き先はもう決まっているわ。八幡に迷惑をかけるけれど、こういうのを押し掛け女房って言うのよね//

 

「これで皆、言いたいことは言ったかな....うん、じゃあ後は優美子ちゃんの番だよ。どうするか自分で決めてね」

「..姫菜、結衣。グループ壊すけど良いよね」

「「うん」」

「分かったし。...あーしは隼人に振られた後、グループを続けたいのか分からなかった。でもそんな上辺だけのものなら壊して新しいグループ作った方が良いっしょ」

「そうだね、あたしはここに居る皆と仲良くしたい!!」

「...私が求めても良いのかな、私のせいで奉仕部が崩壊しそうになったんだよ」

「海老名さん。私達は八幡のおかげで関係を修復出来たの。でも真実は知らなかったのよ。私は教えてもらえて良かったわ、八幡が私達を守ってくれていたことが分かったのだから//」

「そうだよ、ヒッキーがあたし達を大事に想ってくれてるって分かったんだし//」

「雪乃//結衣//」

「ありがとう」うぅ

「じゃあ決まったじゃん!!あーし達で新しいグループ作るし、ヒキオも材木もよろしくするっしょ」

「は!?俺も入ってるの?」

「わ、我もですか」

「当たり前だし、沙希も南も入ってるしクラスは違うけど雪乃も一緒だし、いろはも小町もだし」

「はぁ?私も入っているのか」

「私も入っているの、三浦さん」

「私と小町ちゃん、学年違いますよ」

「うちも入ってるんだけど、良いのかな」

「細かい事はいいっしょ。後、あーしのことは優美子って呼ぶし。あーしは皆のこと、名前で呼ぶから」

「うん、皆で遊べばいいと思うよ」

「もちろん陽乃さんも入ってるから来れるときだけでも来てほしいし。一緒に遊んだり勉強教えて欲しいじゃん」

「ありがとうね、優美子ちゃん」

「私、グループというのが何をするのかよく分からないのだけれど」

「一緒に遊んだり勉強会したりするんだし、春休みやってたことの延長と考えればいいっしょ」

「では今まで通りね、よろしくお願いするわ。三浦さん」

「優美子だし」

「ゆ、優美子さん//」

「三浦、私はグループなんてどうでもいいんだけど」

「サキサキ、ちょっと耳かして...セキ チカク...」

 

海老名さんが何かを川崎さんに吹き込んでいて顔が赤くなっていくわね。何を言われてるのかしら。八幡の方をチラチラ見ているのだけれど。

 

「ん、んん//ゆ、優美子。私も入るから」

「一緒に駄弁ったり遊ぶだけだから深く考えなくていいっしょ、家や他の友達と約束有るなら優先すればいいし」

「なら私は良いですよ」

「うち、クラスで違うグループにいるけど」

「そっち優先すればいいっしょ」

「それでいいなら、いいかな」

「なあ、優美子。俺は一人がいいんだが」

「わ、我も群れるのは好かぬ」

「ヒキオに拒否権ないし。材木、耳かすし」

 

優美子さんが材木座君に何か言うと驚いた顔をした後、怯えだして回りを忙しなく見渡して諦めたようね。

 

「...み、三浦殿。我も入れてくだしゃい」

「慣れたら名前で呼ぶし、ヒキオも良いね」

「どうせ拒否できないんだろ。材木座はなにを言われたんだ」

「ミナノ..シャシン...スマホ..バレタ..」

 

八幡が材木座君に聞いているのだけれど、声が小さくて聞こえないわね。

 

「お姉さん、今日は呼び出してすみませんでした」

「姫菜ちゃん良いよ。今日のは私も知りたかったことだから教えてもらえて良かったよ。材木座君、わざわざ私のラノベを書いて呼び出さなくても良かったのに。本当のことを言ってくれれば来ていたから。じゃあ、私はそろそろ帰ろうかな」

 

姉さんは皆に挨拶して帰っていったわ。もしかしたら家に報告するかもしれないけれど、私にとって葉山家はどうでも良いことだし、もう彼とも話したくないわ。

 

私は今、八幡と二人で話したい。もう一度、きちんと謝りたい。彼には任せると言っておきながら、自分の受け入れれない方法を取ったので否定してしまったのだから。

あの後、自分でもなぜあのようなことを言ったのかも分からず、暫く考えていたのだけれどようやく気づけたわ。私は八幡のことが好きだということを。この気持ちも含めて八幡に告げて謝罪したい。

 

でも今日は難しいでしょうね。今、優美子さん達はグループのことを話し込んでいて帰ろうとしないわ。八幡の家に行っても良いのだけれど、そこで私のことを拒絶されたらと考えてしまうと家にはお邪魔できない。

 

改めて八幡と二人で話す機会を作らないといけないわね。

 


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