やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第42話

「小町が総武に受かってから書いた方が良いと思ってな。この間の合格祝いのとき、思いついて書いてきたのだ。ただ、どうしてもこれで良いのか判断がつかず、知恵を借りたいのだが」

 

この間の合格発表で小町さんが無事に受かって、皆でお祝いしたことを言ってるのね。

材木座君が小町さんのためにラノベを書いたのは、どういった内容になっているのかしら。

 

「材木座、いつか言っていた近親相姦じゃないだろうな」

「..そっちにした方がどれほど楽だったか、ただ我にはこれで良いのか分らぬのだ」

「ゆきのん、みんなで読んでみようよ」

「今回は先にチェックしなくても大丈夫かしら」

「はい。皆さん出てきますが、たぶん大丈夫と思います」

 

材木座君はそう言って私たちにラノベを渡してくれたわ。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

「あの先輩ってモテるんだね~」

「誰の事?」

「名前は知らないんだけど、今日は三浦先輩と歩いていたよ。生徒会長とも一緒に居るとこ見たことあるし」

「私は由比ヶ浜先輩と一緒に帰ってるところ見たよ。後、海老名先輩とも一緒に居るの見たことあるし」

 

小町は総武高校に入って、一緒のクラスになった子と仲良くなり、三人で話をしていた。でも誰の事を言ってるんだろ、その四人だったら葉山さんかな。結衣さん達は葉山さんのグループだから一緒に居てもおかしくないし、いろはさんはサッカー部のマネージャーだしね。

 

「相模先輩や川崎先輩とも一緒に居るとこ見たことあるし、雪ノ下先輩も一緒に帰っていったことあるよ」

 

うん?南さん、沙希さん、雪乃さんと一緒に居た?南さんも上位カーストだからグループが違っても一緒に居てもおかしくないし、雪乃さんも家の関係で居てもおかしくないけど、一緒に帰るほどの仲なのかな。でも沙希さんが葉山さんと?喋ることぐらいはあるのかな。

 

「でも小町は余り好きじゃないな。爽やかイケメンだけど」

「うん?爽やかイケメンじゃないよね」

「小町ちゃんって、誰の事言ってるの?」

 

二人が不思議そうな顔をして、小町の事を見ていた。葉山さんのことじゃないのかな。

 

「二人こそ誰のこと言ってるの?小町は葉山さんと思ってたんだけど。サッカー部キャプテンの」

「葉山先輩なら私たちも知ってるよ。名前は知らないけどさ、よく見かけるんだよね」

「どういう人?」

「ちょっと猫背で」

「うん」

「目が淀んでて」

「う、うん」

「髪は長めで何時も襟足が跳ねてて」

「..」

「小町ちゃんみたいにアホ毛があるの」

「....」

 

それってもしかして。ううん、もしかしなくても一人しかいないじゃん!!

 

「そ、その先輩って、何時も気怠そうにしてる人?」

「そうそう、小町ちゃん知ってるの?」

「う、うん。知ってるっていうか、....さっき出てきた先輩達、みんな小町の友達だし」

「え!?小町ちゃんって雪ノ下先輩や三浦先輩と友達なの!?すごく綺麗だけど怖くない!?」

「他の先輩達も総武の可愛い先輩ばっかりじゃん!!」

「みんな良い人だよ。雪乃さんも優美子さんすごく優しいお姉さんだし。小町が総武に受かったとき、一緒に祝ってくれたもん」

 

みんな小町のお祝いで家に来てくれて、雪乃さんや結衣さん達が率先してご飯やケーキを作ってくれて、みんなでゲームしたりお話ししたり楽しかったな。

女性だけじゃなくて、材木座さん、戸塚さん、一緒に受かった大志くんも来てくれたし。

お兄ちゃんは大志くんに何で来た。って言って睨みつけてて、沙希さんに怒られてたけど。でも京華ちゃんには頬を緩めて、股ぐらに座らせて頭を撫でてたんで、みんな羨ましそうにしてたな。

 

「小町ちゃん、どういう繋がりなの!?」

「あ、あの、これ見てくれるかな」

 

そう言って小町はスマホを二人に渡して、お祝いしてもらった時にみんなで撮った写真を見せてあげた。

 

「あーーー!!この男の人!!小さい女の子を足に乗せてる人!!」

「そうそう、なんで小町ちゃんの隣に座ってるの!!」

「..そ、そのお兄ちゃんなんだ」

「「ええーーーー!!」」

 

二人が言っていたの、お兄ちゃんのことだったんだ。小町たちが、ううん、二人が騒いでいると他の女子がだんだん集まってきて、大変な騒ぎになっていた。

 

「これって戸塚先輩だよね!!私、負けてる..」

「大志くんも居るんだ!!」

「この女の子、可愛い!!小町ちゃんの妹?こっちの小さい男の子も」

「沙希さんと大志くんの弟妹だよ」

「この写真って総武を代表するような綺麗な人ばっかりじゃん!!後、知らない人もみんな綺麗だし!!」

「お兄ちゃんの繋がりで仲良くなってね」

「..小町ちゃん、お兄さんって何者?」

「捻くれボッチだよ」

「「「「「「ボッチなわけないじゃん!!」」」」」」

 

だって、自分でボッチって言ってるし、奉仕部に入るまでは本当にボッチだったし。でも今だにボッチって言うのは確かにおかしいと思うけど。

 

「小町ちゃん。ううん、小町さん。お兄さんに私を紹介してください!!」

「「「「「私も!!」」」」」

「..良いよ、でも先輩達に目を付けられるよ」

「え!?..」

「そ、それは不味いよね」

「うん、平和に過ごしたいし」

 

なんだろ。結局お兄ちゃんの回りに居る人たちが凄いから近寄りたいだけで、あの人たちに対抗しようって子は居ないんだね。

雪乃さん達が何かするわけないし気にしないだろうけど、目を付けられても良いから紹介して欲しいって言うんであれば、小町が骨を折ってあげてもいいけどな。

小町がそういうと、集まってた子達は段々離れていったんだけど、一人モジモジしている子がいた。

 

「ひ、比企谷さん。お兄さんに会わせてもらえないかな」

「小町で良いよ。綾瀬さんどうしたの?」

「私も綾で良いよ。この間ね、自転車置き場で自転車をドミノ倒ししちゃったとき、お兄さんが何も言わずに倒れた自転車を起こすの手伝ってくれたんだ。でも、すぐに何処かに行っちゃって、お礼もろくに言えていないの」

「うん、そういう事なら良いよ。もしかしたら先輩達も居るかも知れないけど、良いかな」

「うん、お礼を言いたいだけだから」

「分かった。じゃあ、放課後でいい?」

「うん。お願いします」

 

綾さんは本当にお礼を言いたいだけだろうな、それなら断る必要もないし。

でもお兄ちゃんって回りからモテるって思われてるんだね。小町としてはお義姉ちゃん候補が沢山居た方が良いけど、お兄ちゃんの事をちゃんと分かった上で近づいてほしいな。

そういう意味では綾さんは他の子とは違うから、会わせても問題ないよね。でも、このモヤモヤは何だろう。最近、お兄ちゃんのことを考えると変な気持ちになっちゃうんだよね。

 

放課後、小町は綾さんを連れて奉仕部に向かった。綾さんとは今まであまり喋ったことなかったけど、結構しゃべり易いので、打ち解けるまで時間は掛からなかった。

 

「お兄さんって八幡さんって言うんだ」

「珍しい名前でしょ」

「でも小町ちゃんも珍しいよね」

「気に入ってるけどね」

「うん、良い名前だよ。私なんて有り触れた名前だし」

「ありがと、でも綾ちゃんも良い名前だよ」

「こっちこそ、ありがと」

 

小町たちが奉仕部の部室に入っていくと、雪乃さん、結衣さん、いろはさん、お兄ちゃんが紅茶を飲んで喋っていた。

 

「やっはろーです」

「お、お邪魔します」

「小町さん、こんにちは。そちらの方は?」

「はい、お兄ちゃんのお客さんで綾瀬 綾ちゃんです」

「..ふーん、ヒッキーどういうこと?」

「..先輩、また何かしたんですか」

「八幡。何時、どこで彼女に何をやらかしたのか正確に報告しなさい」

「俺が何かしたの確定かよ。何もしていないはずだ。..でも何処かで..」

「じゃあ綾ちゃん、お兄ちゃんに言いたいこと言っちゃって」

「こ、小町ちゃん。先輩達は良いの?」

「良いから良いから」

 

小町がそういうと、綾ちゃんはお兄ちゃんに喋りかけていた。雪乃さん達は最初怪しんでいたけれど、綾ちゃんがお礼を言っていると、視線が段々穏やかになっていって、綾ちゃんがお礼を言い終わった時には、雪乃さんが紅茶を用意してくれていた。

 

「綾瀬さん、紅茶を飲むかしら」

「い、いただきます」

「ヒッキー。数日前のことなら、ちゃんと覚えておかないと駄目だよ」

「先輩って優しいから色々、手伝ってくれるんですよね。じゃあ、今から生徒会室で私のお手伝い、お願いします」

「..一色さん」ニコッ

「..いろはちゃん」ニコッ

「ヒィッ!!...ま、まだ一人で大丈夫だったかなぁ、あはは」

「一色さん。あなたそういって何時も八幡を連れていくわね。もう二年生でしょ、自分たちだけでやり遂げようと思わないのかしら」

「そうだよ、いろはちゃん。いっつもヒッキーに頼ってばっかり」

「す、すみません。でも先輩が居ると、私...生徒会の仕事が早く終るじゃないですか」

「はぁ、あなたが楽をしたいだけじゃない。何だったら私が手伝ってあげましょうか。今までの議事録や会計報告すべてチェックしてあげるわよ」ニコッ

「け、結構です..」

 

綾ちゃんが居る前でまた、いつもの光景が繰り出されていたんだけど、綾ちゃんはビックリしてるみたい。この空気はいつもの事なんだけど、慣れてないと厳しいよね。

 

「大丈夫だよ、綾ちゃん。いっつもこんな感じだから」

「こ、小町ちゃんは平気なの」

「うん、もう慣れちゃったかな」

 

その後は雑談しだしたので、綾ちゃんもゆっくりだけど、雪乃さん達に打ち解けていった。

 

「小町ちゃん、先輩達って優しいんだね」

「うん。怖いときもあるけど、普段は優しいよ」

「八幡先輩も最初、無口で怖い人かなって思ったけど、喋ると優しい人だったし」

「ありがとうね、綾ちゃん。あんなのでも小町には大切なお兄ちゃんだし」

「..小町ちゃんが羨ましいな。私一人っ子だから」

「まあ、家ではごみいちゃん何だけどね」

「..小町ちゃん。そんなこと言わない方が良いよ」

「..うん、そうだね」

 

つい照れ隠しでお兄ちゃんのこと、ごみいちゃんって言っちゃうんだけど、綾ちゃんみたいに一人っ子だと、兄妹って羨ましいんだろうな。小町もそういった人たちの事を考えて喋らないと。

 

「八幡先輩がモテるのも分かる気がするな」

「そう?中々気づかないと思うよ」

「あの優しさ、私だけに向けてくれないかな//」

「あ、綾ちゃん...」

「小町ちゃん。私も八幡先輩にアプローチして良いかな」

「う、うん。小町がとやかく言うことじゃないからね」

 

なんだろ、またモヤモヤした気持ちが出てきた。どうしてだろ、お兄ちゃんがモテるのは良い事だし、綾ちゃんだったら、いい子だからお義姉ちゃん候補に入っても良いんだけど...

 

その次の日から、綾ちゃんはお兄ちゃんに近づくため、奉仕部に入って勉強を教えてもらったり、自転車で一緒に帰ったりしているみたい。

小町が奉仕部に遊びに行ったときは、お兄ちゃんに頭を撫でてもらっていた。小町はモヤモヤした気持ちが日に日に強くなっていった。

 

「ねえ、お兄ちゃん。最近、綾ちゃんと仲良いね」

「奉仕部に入ったからな、綾も勉強会に参加して俺たちと一緒に勉強してるぞ」

「それにしては、頭撫でたり雰囲気が良いんだけど」

「綾は褒めてあげると、凄く勉強頑張るんだよ。新しい妹ができたみたいで、小町と同じように接してしまうんだよな」

「..お兄ちゃん、妹は小町だけじゃ駄目なの」

「何言ってるんだ、俺の妹は小町だけだろ」

「だって綾ちゃんのこと、妹ができたみたいって言ったじゃん!!」

「それは言葉の綾だろ。何を怒ってるんだ」

「小町の気持ちも知らないで、綾ちゃんばっかり!!...もういい!!」

 

そういうと何時の間にか家を出て来てしまい、近くの公園まで走ってきてしまった。あーあ、あんなこと言っちゃって、小町どうしたんだろ。

ううん、本当は気づいている。小町はお兄ちゃんのことが、異性として好きなんだってこと。でもそんなこと言えないよ。お兄ちゃんに迷惑をかけるだけだから。

 

小町が公園のブランコに座っていると、誰かが近寄ってきた。誰かは分かってるけど、小町はそちらを見ることが出来なかった。

近くまでくると、頭を撫でてくれて小町に話しかけてきた。

 

「小町、俺の妹は小町だけだから」

「..」

「俺は小町のことが一人の女性として好きだ」

「お、お兄ちゃん?」

「だが俺たちは当たり前だが付き合えない。それは分かるだろ」

「..それは、小町もお兄ちゃんのことが男性として好きでも?」

「ああ、いくら俺たちがお互い異性として、想いあっても許される事じゃない」

「世間がどうでも二人が想いあってれば良いじゃん!!」

「俺は小町の事、異性として愛している。でもその前に俺は小町のお兄ちゃんなんだ。だから、小町には普通の幸せを掴んでほしい」

「..そうだね、小町もお兄ちゃんのことが異性として好き。でも、あくまでもお兄ちゃんと妹なんだよね」

 

しばらく公園で頭をなでてもらった後、小町はお兄ちゃんに手を引いてもらい、家に帰って行った。何年ぶりだろ、手を繋いでもらったの。でもお互いの気持ちが分っても、この手は多分、今日限りなんだよね。

夜、ベッドに入ったんだけど、中々寝付けないな。お兄ちゃんが好きって言ってくれたことは、凄く嬉しかったけど、結局は妹なんだよね。

小町はベッドから出ると、枕を持ってお兄ちゃんの部屋に入って行った。

 

「..小町か」

「うん、お兄ちゃん。今日だけ一緒に寝てくれないかな」

「..ああ、いいぞ」

「お兄ちゃん、今日だけ小町を恋人として扱って」

「そ、それは」

「ううん、別にエッチな事をしてほしいわけじゃないの。一緒に添い寝してほしいだけだから」

「分かった」

 

小町はお兄ちゃんの布団に入って行って話しかけた。

 

「お兄ちゃん。明日からは何時もの兄妹だから今日だけは存分に愛してね」

「ああ、大好きな小町を抱きしめるからな」

 

そういうとお兄ちゃんは小町の事を抱きしめてくれたんで、小町は涙が溢れて泣き出してしまった。何時ものお兄ちゃんなら撫でてくれるんだけど、今日はずっと両手で抱きしめてくれていた。

小町は最後に気持ちの整理を付けるため、お兄ちゃんの方に顔を向けた。

 

「八幡さん、小町はあなたのことが好きです。あなたを愛してます」

「俺も小町の事を愛してる」

「八幡さん..最初で最後の口付けをしてください」

「..小町、愛してるぞ」

 

お兄ちゃんはそういって、小町に口付けしてくれた。小町はまた涙が溢れてきて、お兄ちゃんの胸を借りて泣き続けた。

....

...

..

.

 

「お兄ちゃん、早く起きてよ。学校に遅刻するよ!!」

「ああ、おはよ」

「うん、おはよう!!ほらほら、早く食べないと」

 

あの日から小町は気持ちに踏ん切りをつけ、お兄ちゃんと接するようにしていた。お兄ちゃんも暫くして恋人が出来て、小町のことは妹として接してくれている。

あの夜の事はお兄ちゃんと小町だけの秘密。お互い話題に出すこともなく、こうして小町の初恋は失恋で終っていった。

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「「「....」」」

「どうであった?どうしても兄妹なので、我が考えると最後は失恋になってしまうのだが」

「確かに難しいわね。付き合うとなると、読み始める前に八幡が言っていた近親相姦になってしまうでしょうし」

「義理の兄妹という設定も考えてみたのだが、小町でラノベを書くのが初めてなので、今回は極力やめた方が良いと思ったんです」

「それであれば、結婚もできるので問題ないのだけれど」

 

難しいわね、私には思いつかないわ。どうしても兄妹だと障害もあるでしょうし。

 

「..そ、その兄妹でキスするのってどうなの。ヒッキー」

「..俺は小町のことは好きだが、そういうことは考えられないな。このラノベだと異性として好きと書いてあるが、それもな」

「それが普通の兄妹なのでしょうね」

「高坂兄妹のようにしようとも考えたのだが、パクリになってしまうから辞めたのだ」

「誰だし、それ」

「ラノベの話だ。二人で結婚式してたな」

 

一体どいったラノベなの?兄妹で結婚式なんて。今度、八幡の家にお邪魔したとき、読ませてもらっても良いかもしれないわね。

でも小町さんのことを考えると、失恋で良いのかしら。彼女がどういった内容を希望しているのか分からないわね。八幡ではなく、大志君だったら問題ないのだけれど、八幡は怒ってしまうわね。

 

「でも最後は、やはり失恋しかないのかしら」

「うん、付き合うってなると、色々あるだろうし。二人で駆け落ちってパターンもあるのかな」

「駆け落ちはないだろ、いくらなんでも」

「でも、二人とも諦めきれなくて、家族や周りにも反対されるだろうから最後はそうなるんじゃない」

「八幡はリスクを考えて実行しないと思うわ。一人どこかに行ってしまうって方がしっくりくるわね」

「そうだな、色々考えてしまってそうなるだろうな」

「でも、それだと結局失恋だよ」

 

「あと、あたしはヒッキーがしばらくして恋人が出来たってとこは直してほしいかな」

「そうか、お互い気持ちの整理を付けて、次の恋愛に行ったってことだろ」

「中二、しばらくってどれぐらい?」

「2、3か月と言ったところか」

「付き合えないけど好きな人が何時も近くにいるんだよ。せめて卒業後、一人暮らしした後とかにした方が良いんじゃないかな。その時、小町ちゃんに他に好きな人が入れば良いけど、そうじゃないと家に連れてきたら辛いもん」

「..確かにそうだな」

 

「材木座君、私たちでも最後、どうすれば良いのか分からないわ」

「小町にはこのまま見せるぞ。材木座が書いてくれたんだし」

「大丈夫かな、小町ちゃん」

「まあ、何かあったら俺のお兄ちゃんスキルで機嫌を直すから心配するな。..材木座、もし落ち込みが酷かったら、義理の兄妹の話で今度は頼むかもしれん」

「分ったぞ、八幡。それであれば幾らでも考えられるからな」

 

八幡はこのまま、小町さんに見せるようね。小町さんも普通の恋愛で書いてもらえるとは思っていないだろうけど、良いのかしら。何かあれば、八幡がフォローするでしょうし、納得がいかなければ、また書いてもらうようにすれば良いわね。

 

「..そういえば、材木座君。私や三浦さんはそんなに怖いのかしら」ニコッ

「い、いえ。そ、そんなことないでしゅ」

「いろはちゃんの時もだけど、あたしも笑うと怖いの?「ニコッ」ってした後、いろはちゃんが「ヒィッ!!」って言っているよね。中二、どういうところが怖いのか教えてほしいなぁ」ニコッ

「い、いいえ、二人ともお綺麗ですから、怖いなんて滅相もないでしゅ」

 

八幡は私たちが話している最中、ラノベを小町に見せたいから。って言って逃げるように出て行ったわね。材木座君は私たちが何も言っていないのに、何時ものところに正座しだしたわ。

 

「ねえ、中二。あたし達なにも言ってないよね。正座するってことは、自分の中で疚しいことがあるからだよね。ねえ、どういったことか教えてよ。ねぇ、早く教えてよ」

 

材木座君は何も言えなくなってしまっているわ。私も由比ヶ浜さんが色々言っているので、口を出すことができないわね。

でも由比ヶ浜さんは怒りだすと「ねえ」と言うことが多くなるのかしら。今日は、由比ヶ浜さんに任せておけばいいわね。

八幡はラノベを小町さんに見せるのでしょうけど、ちょっと心配だわ。小町さんが悲しまなければいいのだけれど。

 


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