やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第34話

月曜日の昼休み、弁当を食べるために部室に集まっていた。今日は沙希が弁当を持ってきてくれて舌鼓を打っていると沙希が撮影会のことを聞いてきた。

 

「八幡、土曜日の撮影はどうだった」

「かおりに教えてもらってまだまだだろうけど、少しは上手くなっていると思うぞ」

「先輩。写真見せてくださいよ」

「うちも見たい」

「俺がスマホに入れたのは、小町が撮ったかおりを真ん中にして全員で写っている写真だけだ」

 

そういってスマホの写真を見せてあげた。

 

「じゃあ、雪ノ下と由比ヶ浜は持ってないのか」

「その恥ずかしくて見せれないわ」

「うん、私も恥ずかしいな」

「へんな写真撮っていたか?見せてあげても良いんじゃないのか」

 

そういうと結衣は俺の方に移動してきて、コソコソ話し出した。

 

「ヒッキーとのツーショットもあるんだけど、良いの?」

「な、なんで入れてるんだよ。確かに恥ずかしいな。でも見せない訳にもいかないだろ」

「..うん、じゃあ良いよね」

 

そういって結衣はスマホをみんなに見せていた。自分たちの時もやれとか言い出すんだろうな。

 

「へえ、結構綺麗に撮ってもらえるんだ」

「雑誌に出ているモデル見たいですよね」

「これなんか、グラビアみたいじゃん」

「結衣先輩ってやっぱり羨ましい身体してますね」

「「「....えっ//」」」

「..この眼鏡掛けているのって八幡だよね//...かっこいい//こんなツーショットも撮ってくれるんだ」

「先輩かっこいい//....でも、何であすなろ抱きしてるんですかね」

「うん//..あすなろ抱きとかお姫様抱っことか全員してもらったの?」

「ああ、眼鏡は優美子がくれてな。なぜか全員とツーショットを撮ることになった」

「雪ノ下先輩も撮っているんですよね、見せてください」

「あ、あの私はスマホには入れてないわよ」

「え、ゆきのん。撮影終わって中二に入れてもらってたじゃん」

「そ、そうだったかしら。家ではパソコンで見ていたので忘れてしまったわ」

「..ねえ、ゆきのん。もしかして私にも見せれない写真撮ったの」

 

雪乃はそう言われ、俺の方に助けを求めるように見てきた。多分、ツーショットのことだろう。ただここまでくるとどうしようもない、俺が首を振ると雪乃は諦め皆にスマホを見せていた。

 

「このハルさん先輩との写真いいですよね、仲のいい姉妹って感じで」

「このドレスいいな、うちもこういうの着てみたい」

「凄い綺麗だな、雪ノ下」

「これ、いいですよね。寝転がって髪の毛を広げて、ちょっとエッチぽくて」

「ゆきのん、普通の写真じ....」

「「「「....」」」」

「..ゆきのん、どうしてあすなろ抱きで頬っぺたをくっ付けているのかな」

「..へえ、こっちはお姫様抱っこで見つめあって、おでこをくっ付けていますね」

「..お互いテレながら顔を真っ赤にしてて良い感じだな、雪ノ下」

「..こっちは、ドレスを捲って膝枕してるね。雪ノ下さんがすごいやさしい表情で頭を撫でているし、八幡も照れているけど、目元緩んでいるし」

「「....//」」

「八幡、私たちの時もこれぐらいはやってくれるんだよね」

「そうですよね、先輩。最低がこのラインですよね」

「うちもやってもらお、他にもやってほしいこと考えて良いよね」

「..ゆきのん、ちょっとずるいと思う。..ねえ、ヒッキー。私やって貰ってないよ」

「ゆ、結衣。あくまでもカメラの練習だからな。みんな違うポーズを撮るだろ、それと一緒だぞ。ツーショットでも違うことをやっているだけだ」

「カメラの練習って、これヒッキーが撮ってたわけじゃないよね。ゆきのんの時って、かおりんも疲れて寝ていたし、陽乃さんだよね...今度の撮影の時も行って一緒の事、やってもらっても良いよね」

「いや、それはかおりがまた疲れちゃうだろ」

「..優美子や姫菜にも教えておくね。次回はダメかもしれないけど、また撮ってもらうとき、最低でもこれぐらいはして貰わないと」

 

そういうと、結衣は俺より早く部室を出て行った。

俺も教室に戻ったのだが、先に戻った結衣に聞いたのだろう。俺が教室に入ると優美子、姫菜、結衣が俺を睨みつけていて、俺が席に着くと三人が近寄ってきた。

 

「..ヒキオ、あーしらも撮ってもらえるんだよね」

「ハチ、どうなの?」

「約束して、ヒッキー」

「..ああ、分かったから。ただ今週撮る時は、かおりが疲れてしまうから止めてくれ。またその後ってことで」

「..わーたし」

 

何とか納得してもらったが、席に着いても三人はこちらを睨みつけていた。早く先生来ないか、三人が出している不機嫌オーラでクラスが何時も以上に静まっており、俺に何とかしろという視線までが降り注いでいた。

 

 

 

八幡が放課後、部室に来て珍しく自分から、話しかけてきたわ。

 

「昼、言えなかったんだが、昨日陽乃が家庭教師をするって言って家に来たぞ」

「姉さん、本当に始めたのね」

「ああ、親がちょうどいて挨拶までしていったし。親の前で俺が陽乃って読んでいたから両親も勘違いしだしてな」

「勘違いってどういうこと?」

「俺と付き合っていると思ったらしい。確かに年上を呼び捨てにしているから、そう思われても仕方ないんだが」

「そ、その誤解はちゃんと解いたのかしら」

「ああ、陽乃が俺なんかを相手にしてないのは伝えておいた。家庭教師も暇つぶしだしな」

「姉さんは日曜日に来ることになったの?」

「不定期だが連絡するとは言っていた。今度の日曜日は朝の10時に来るらしい。まあ無理に来てもらうこともないしな。時間のあるときだけでも教えてもらえると助かるし。昨日2時間ほど教えてもらったんだが、凄く分かり易くてな」

 

そうなのね。でも姉さんのことだから、何時ご両親と小町さんを懐柔するか分からないわね。私もウカウカしていられないわ。早急に手を打たないと。

でも、今日のお昼は八幡に申し訳なかったわ。ちゃんと八幡に謝っておいたほうが良いわね。

 

「今日のお昼はごめんなさい、八幡。私が写真を入れていたばかりに」

「いや、雪乃が撮影で言ってきたとき、俺もその写真が欲しいと思っていたから撮れて嬉しかったんだ//」

「..八幡//」

「..雪乃//」

 

私は八幡に近づきたくて、席をたったのだけれど、部室の扉が開いたのですぐに席に座ったわ。

 

「邪魔するし」

「やっはろー」

「ハロハロー」

「こんにちはぁ」

 

私が慌てて座ったことには誰も気づいていないようね。三浦さん、由比ヶ浜さん、海老名さん、相模さんが一緒に部室に入ってきたわ。毎回どうしてタイミングが悪いのかしら。

そういえば、今日は相模さんのラノベに三浦さんを入れる予定だったわね。材木座君はどうやったのかしら。

 

「ねえ、雪ノ下さん。あーしにも写真見せてほしいんだけど」

「私にも見せてほしいな」

 

私は三浦さんにスマホを渡すと彼女達は私と八幡を睨んできたわ。

 

「ヒキオ。約束どおり、あーしにもやってよね」

「ハチ、忘れないでね。でもこの写真って雪ノ下さんからお願いしたんだよね」

「いや、元は俺のせいで雪乃の機嫌が悪くなってしまって、あすなろ抱きしたのが始まりだ」

「ああ、制服の時、そんなこと言っていたね。でもそのおかげで私たちも撮ってもらえたからいいけど、この写真みたいにしてほしかったな」

「じゃあ、ヒキオが今度の撮影の時、あーしらとどういうことをしたいか考えるし」

「ど、どんなことをしたいかって//」

「な、なんでヒッキーが照れてるの。えっちなこと考えすぎだし//」

「ハチと撮影できることなら良いんじゃないかな//」

「い、いや、そんなこと撮影出来ないぞ//」

「撮影出来ないってヒキオ、あんた何を考えたし//」

 

八幡が責められていると、扉をノックする音が聞こえて、材木座君が入ってきたわ。とりあえずこれで話を終らせれるわね。でも、また私は八幡に助けてもらったわ。彼が自分のせいと言ってくれたおかげで、私は責められなかったから。もしかして撮影できないことを考えているっていうのも、話をそらすためにワザとしたのではないかしら。

 

「今回は撮影の前に書いたので、海老名殿については、名前呼びをしていないのだ」

「それについては、どうしようもないわね。いいかしら、海老名さん」

「うん、いいよ」

 

八幡が材木座君のラノベを読んでいるとき、一色さんも来たわね。八幡が読んでいる間に紅茶を用意しておきましょう。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

旅行が終って数日後、雪乃が実家にお土産を持って行き帰ってきたんだけど、何だか表情が暗いよね、何かあったのかな。

 

「ねえ、雪乃。暗い顔してどうしたの」

「南。皆が集まってから話したほうが良いのだけれど、この家を出て行かないといけないかもしれないの」

「え!?ど、どういうこと!?」

「詳しくはみんなが集まってから話すけど、9月一杯で出る必要があるって言われたわ」

「後一月ちょっとしか無いじゃん!!」

「ええ、覚悟だけはしておいて頂戴」

 

その夜、みんなが帰ってきて集まると雪乃が話してくれた。

この家の持ち主は雪ノ下建設の従業員で今、海外に転勤してて本来なら後4年は帰ってこない予定だったのだが、奥さんが体調を崩し、日本に帰ってくることになったらしい。

帰ってくるのが、10月下旬ということで、うち達は9月末までには引っ越して、10月に清掃業者を入れると言うことだった。

最初はうちが八幡と同棲したいと思って、提案したことが今のシェアハウスになったんだけど、今はこの四人と離れたくない。せっかく楽しい思い出が一杯出来て、これからも楽しいこと、みんなでして行こうと思っていたのに。

 

「でもそういう理由ならここを空けないといけないな」

「うち、みんなと離れたくないな」

「そうだよね、離れたくない」

「先輩、嫌ですよ。私引っ越してきてまだ3ヶ月しか経ってないんですよ」

「今回はここを出ていくしかないでしょうね。でも私は諦めたくないから、後一月でシェアハウス出来るところを見つけてくるわ」

「うん、みんなで探してみようよ。夏休みだから動きやすいし」

「そうだね、みんなアルバイトしているけど、時間がある時、探してみようよ」

「はい、私も不動産屋とか回ってみます」

「そうだな、俺も結構気に入っていたからな、新しい家を探そうか」

 

うち達は新居を探すために色々な不動産屋を回ったけど、なかなか良いところはなかった。最低5LDK、荷物置場、駐車場。これだけはあってほしいからね。変に妥協してしまうと、のちのち問題が出てくるかも知れないし。

 

「なかなか見つからないものね。家にもお願いしているのだけれど、良い知らせは入らないわ」

「うん、うちも友達にも聞いて空き家が無いか探して貰っているけど、条件に合うところないよ」

「ここの環境に馴れたんで、なかなか難しいよな」

「先輩。何かいい手は無いんですかね」

「こればっかりは正攻法で行くしかないだろ」

「....そうですよね」

 

うち達が話して項垂れていると、結衣がニコニコ顔で帰ってきてみんなの方に近寄ってきた。

 

「ねえ!!もしかしたら良いとこあるかも」

「え!?見つけたの?どういう所?」

「今日、優美子と姫菜に会っていたんだ。で、二人に話したら「あーしらの居る女子寮にくれば良いじゃん」って言ってね」

「でも女子寮なんでしょ。それって大学が違うし、八幡が入れないわ」

「最後まで話を聞いてよ。女子寮って言っても、おじいちゃん個人でやっていて大学が違っても問題ないの。優美子と姫菜も大学違うしね。でも最近、身体が辛いからって言って、管理出来なくて閉鎖しようと思っているらしくて、今は優美子と姫菜の二人しか住んでないの」

「閉鎖するんなら、ダメじゃん」

「ううん、管理できる人が入れば良いんだよ。ね、ヒッキー」

「そういうことか、俺が管理人としてそこに入って、みんなが入居者として入ると」

「うん、部屋は八畳でトイレとか付いてないし、共同トイレ、共同風呂、ご飯も一緒の所で食べているから、不人気なんだって。でも私たちにしてみれば、今と変わんないでしょ」

「ただ俺が管理人だと、優美子と海老名さんが嫌がるだろ。この間、結衣の所に遊びに来たときも俺を見て顔を真っ赤にしてたし」

「「「「..はぁ」」」」

「あの時はヒッキーがお風呂上りに、トランクス一枚でウロウロしていたからでしょ」

「パンツで居たからって照れることか、中学生じゃないんだから」

「..そうなんだけどさ」

 

トランクスだと床に座っているとき、たまに隙間から見えているんだよね。気づいてないのかな。うちは見えるから言わないんだけど。

でも八幡って、うち達にはパンティやブラが見えることにはうるさいのに、自分は気にしてないんだよね。よく考えたらそれって不公平じゃない?うちも風呂上がりぐらいパンティ一枚で居たいし。

 

「今のままではみんなバラバラになる可能性が大きいから、一度、話を聞いてみてもいいのではないかしら」

「そうだな。もし俺が駄目でも四人が離れずに住めるなら、そこに入った方がいいし」

「駄目だよ、八幡。うちはそんなんだったら嫌だからね」

「そうですよ、先輩。私も嫌ですよ」

「八幡。あなた自分以外を一緒の所に住まわせれば良いと考えているなら、許さないわよ。私たちはこの五人での生活を送りたいのだから」

「そうだよ、ヒッキー。五人一緒だからね」

「すまん。そうだな、俺も諦めずに探してみるよ。でも優美子と海老名さんがいるところに話は聞きに言った方がいいだろうな」

 

うち達は次の日、三浦さんと海老名さんが住んでいる寮に全員で押し掛けて行った。

 

「場所は良い所だな、今の所から一駅で鉄筋の二階建てだし。話を聞いたとき、一刻館みたいな建物を想像していたが」

「一刻館ってめぞん一刻だっけ」

「ああ、南。よく知っているな」

「お父さんが単行本持っていたからね、でも建物の前にちょっと庭が有って真ん中に入り口があるから今風の一刻館って感じなのかな。駐車場も数台分あるね」

「犬を飼っていれば総一朗さんって呼ぶんだけどな」

「先輩、オタク話はやめてくださいよ」

 

うちと八幡がめぞん一刻の話をしていると、いろはが文句を言ってきた。どうしてオタクって言うんだ。ただ漫画を読んだことが有るだけなのに。

うち達がそんなことを話している間に、結衣が三浦さんに電話を掛けて着いたことを知らせていた。

 

「皆、ひさしぶり」

「ハロハロー」

「車、駐車場に止めちゃって。今は誰も借りてないからさ」

「優美子、海老名さん。久しぶり」

「..うん、ヒキオ、ひさしぶり//」

「..ヒキタニ君も来てくれたんだね//」

「俺がお邪魔しても良いのか、女子寮なんだろ」

「あーしと姫菜しか居ないんだから良いんだし。一応じーちゃんも居るんで挨拶しておこ」

 

そういうと三浦さんは玄関に案内してくれた。玄関の真正面が管理人室で、その左がキッチン&リビングの共同スペースがあって、右には階段、その奥には扉が三つあった。

そんなことを考えていたら、おじいちゃんが出てきた。

 

「おお、よく来てくれたな。二人から聞いているよ。まあ、ゆっくり見てってくれ」

「「「「「お邪魔します」」」」」

「君がヒキタニ ヒキオ君だね、優美子ちゃんと姫菜ちゃんからよく聞いているよ」

「じ、じーちゃん何言ってるんだし//」

「そ、そうだよ。じーちゃん//」

「「「「ヒキタニ ヒキオ//」」」」ププ

「じ、じゃあ、こっちで話しようか」

 

そういうと三浦さんはうち達を隣にあったリビングに案内してくれた。普通の家みたいなリビングで、今住んでいる所より広いな。ソファーが置いてあり、隣には食卓机が置いてある。ただ安い机を並べた物で大人数でも座れるように配置されていて、椅子もパイプ椅子で安っぽい。

奥にはキッチンが見えていて、三浦さんと海老名さんはキッチンに入っていき、うち達にジュースを出してくれた。

 

「さっきのじーちゃんが管理人さん。ちょっと前に病気で倒れて、それまではここに住んでいたんだけど、今は息子さんの家にいるし。危ないってことで免許を返して、自転車でここまで来ているんだけど、大変みたいだし」

「じゃあ、夜は管理人さんがいないと言うことなの?危なくないのかしら」

「うん、戸締りはしてってくれるんだけど、一軒家と比べると大きいからね、空き部屋も多いし。部屋にも鍵は付いているんだけれど、トイレがないから夜中起きたときとか怖いんだよね。だからヒキタニ君が管理人室に居てくれると私たちも助かるんだけど」

「いや、俺が居ても、もし入られたらどうしようも無いだろ」

「全部屋に緊急ボタンがあって管理人室に繋がってるし、手持ちのボタンもあるし。後、窓も見れば分かるけど、防犯用だから開いてても一応、人が入れないし」

「本当だ。全開にしても20cmも開かないみたいですよ、ああこのボタンを押すと全開に出来るんですね」

「後、廊下側は小さい窓で摩りガラスなんで中は見えないし」

「結構、防犯はしっかりしているんじゃないかな。今のところより色々考えられているみたいだけど」

「うん、うちも大丈夫と思うよ」

「でも俺が管理人になったとして、俺が鍵を管理するんだろ。俺が劣情を催したらどうするんだよ」

「それなら私たち四人は既に八幡に手篭めにされているわ。鍵が付いていない部屋で一年以上一緒に住んでいるのに、鍵が手に入って手を出すとは思えないもの」

「へえ、ヒキオって誰にも手を出してないんだ」

「誰かとそういう仲になっていると思ったんだけど」

 

今、三浦さんと海老名さんの目が一瞬だけど、輝いたように見えた。これってライバルが増えるだけじゃないの?でも住む所がないんだし悩むところだね。

 

「お風呂とかどうなっているんだ?」

「風呂はこの奥にあるし、見てみる?」

 

うち達はお風呂に案内して貰った。お風呂の前に洗面所があるんだけど、蛇口が四つあるんでこれなら、朝混まないよね。脱衣所も別だし。

 

「凄い!!広い!!」

「うん!!うちここのお風呂に入りたい!!」

「五、六人ぐらい一緒に入れそうね、シャワーが四つもあるわ」

「浴槽も今の三倍ぐらいありそうですね、泳ぐことは出来ないですけど、身体を伸ばして入れますよ!!」

「お風呂ってここしかないんだよな?俺も良いのか入っても」

「ヒキオも一緒に住むんだから、ここを使うし。何だったらあーしが一緒に入ってあげるし」

「うん、ヒキタニ君と一緒に入っても十分広いからね」

「そ、それは不味いだろ」

「逆に広いから一人だと寂しいよ、あーしもここでは姫菜と一緒に入っているし」

「うん、だからヒキタニ君も一緒に入れてあげるよ。三人で入っても身体伸ばせるぐらい広いから」

「そ、それはいいです//」

「「「「....」」」」

 

うち達ヤバいんじゃない?三浦さんと海老名さん凄い積極的だし。でもここなら、うち達にもチャンスがあるってことだよね。離ればなれになるよりはよっぽど良いのかな。

 

「先輩、私も一緒に入ってあげますから」

「いろは。あなた私たちに怒っていなかったかしら。私たちは配慮が無いとまで言われたのよ」ニコッ

「うぅ、ごめんなさい」

「いろはは配慮するんでしょ。私は一緒に入ったことがあるので私が入ってあげるわ」

「うちと結衣は身体洗ってあげたことあるから、うちが一緒に入ってあげるよ」

「そうだね、みなみんと一緒に色々洗ってあげたしね」

「...へえ。ヒキオ一緒に入ったことあるんだ」

「..ヒキタニ君、どういうことかな」

「俺がお風呂に入っているとき、三人で入ってきたんだよ。でも俺はすぐにお風呂から出たぞ。後、南と結衣が言っていたのは、この間海に泊まりで行ってお風呂にゴキブリが出たんで水着で入っただけだ」

「..へえ、海に行ったんだ。結衣、あーし誘われてないんだけど」

「結衣にどこか行くとき誘ってって言ってたんだけどね...」

「うぅ、ごめん」

「じゃあ、隣のトイレをみてみるし」

 

「これは不味くないか。個室が三つあるけど、隣に俺が入っていたらさすがに嫌だろ」

「うん、確かに」

「八幡用スリッパを用意すれば入っているのが分かるでしょ。八幡はスリッパを数えれば誰かが入っているか分かるわよ」

「ここしかトイレ無いのか?」

「ここの上にもあるし。だから大丈夫だし」

「じゃあ、空いている部屋見てみる?じーちゃんに鍵は借りているんだ」

 

「フローリングの八畳なんだね、クローゼットも付いているし」

「ああ、まあまあ広いんじゃないか。エアコンも付いているしな」

「今六畳だからちょっと広くなるんだよね」

「私はこっちの方がいいですね、今畳なんで荷物とかで痛めないか気になる事あるんですよ」

「でも雪乃は狭くなるが問題ないか。今よりクローゼットが狭いだろ」

「ええ、でもそれは我慢するしかないわね」

「我慢は止めてくれ、後々不満が出てくるぞ」

「三浦さん、海老名さん。ここは何部屋あるのかしら」

「管理人室を除いて、一階に三部屋、二階に七部屋だし」

「うん、全部一緒の作りだよ」

「では私たちが入っても四部屋は空き部屋なのね。空き部屋は自由に使えるのかしら」

「あーしらは使って無いけど、ヒキオが管理するなら大丈夫っしょ」

「なら私は問題ないわ。引越の時、必要の無い物は実家に持っていくつもりだし」

「そういえば、俺たちも荷物置場に置いていたな。それを空き部屋に入れれば良いのか」

「後、外に大きい倉庫もあるし」

「収納で困ることはないか」

「空き部屋を使えば問題ないんじゃないかな。でも私も薄い本がいっぱいになってきたんで、空き部屋に置かせてもらおうかな。共同の荷物置場に置いておけば、誰かが興味を持って読んでくれるかも知れないし。愚腐腐」

「俺が管理人になったら、鍵はちゃんと管理するからな」

「えぇ、じゃあ布教できないよ!!」

「それは個別に部屋に行けばいいだろ」

「そういうとき、照れて見てくれないでしょ、でも一人でみれる環境があれば、読んでくれると思うよ」

「姫菜、諦めな。あーしの部屋にもたまに置いていくけど興味ないから」

「雪ノ下さん!!雪ノ下さんって本に興味あるでしょ。ちょっと読んで見て!!さきっちょだけでいいから!!」

「ご、ごめんなさい。私も興味は無いわ」

「駄目だよ!!読まず嫌いは!!ちょっとで良いから読んでみて!!初心者用を用意しておくから」

「は、八幡、助けて」

「ははは、は~ぁ」

 

うちはちょっと読んでみたいんだけど、今はそんなこと言えないな。海老名さんに捕まったら一気にそっちの世界に引っ張られそうだし。でもここに住むならちょっと借りてみようかな。

うち達は二階に移動して、みて回っていた。

 

「洗濯機はここにあるんだね」

「お風呂の上がベランダになっていて、洗濯物をここに干しているけど、外から見えないように壁も在るから安心だよ」

「結構広いベランダだな。あっ」

 

八幡は何かを見つけて、言葉が止っていた。八幡の視線の先には下着が干してあって、三浦さんと海老名さんは慌てて隠していた。

 

「ヒ、ヒキオ。見た?」

「ああ、でも見慣れているから大丈夫だぞ」

「はぁ!?あーしの下着で何にも思わないわけ!?」

「ヒキタニ君、それはちょっと失礼じゃないかな!?」

「優美子、姫菜、無駄だよ。ヒッキーは私たちの下着見放題だもん」

「うぅ、あーしはまだ無理だし」

「うん、私も」

「でもここで、バーベ出来そうだね」

「わざわざここでしなくても庭で出来るし、倉庫にグリルもあるし」

「あ、そうか。結構広いしね」

「じゃあ、リビングに戻るし」

 

うち達は皆で移動して色々話をしていた。ここでは今おじいさんが食事の用意をしてて、三浦さんと海老名さんは余りしないらしい。洗濯は自分たちでやっていて、部屋の掃除は自分たちの部屋ぐらいで共同部分については、おじいさんがやっているみたい。

 

「優美子、海老名さん。まず正直に言ってほしいんだが、俺がここに入っても問題ないのか。さっきの下着もそうだが、お風呂上りとか廊下ですれ違うこともあるぞ」

「下着を見られるのは恥ずかしいけど、それぐらい大丈夫だし」

「うん、それより夜怖いし、皆が来てくれた方がいいかな。じーちゃんも今のままだとここを閉鎖するって言っているし」

 

うち達が話していると、おじいさんがリビングに来てくれた。

 

「君たちがここに入ってくれれば、私は息子の家でゆっくり過ごすつもりだ。ヒキオ君や皆さんには、料理や掃除などしてもらわないといけないので、料金についても格安にさせてもらうよ、ただ光熱費とかの管理もお願いしたいのだが」

「ええ、詳しい話は入ることになってから、また教えてください。一度皆で相談させて貰います」

「私たちも行くところがありませんので、前向きに検討させていただきます」

「そうだね、うち達の方が切羽詰まっているからね」

「そうですよ、南先輩。後一月しかないんですから」

「ヒキオ、あーしはあんた達に来てほしいし」

「私もだよ、ヒキタニ君、みんな。ぜひ来てね」

「うん、優美子、姫菜。相談して連絡するね」

 

うち達は自宅に戻り、早速相談を始めた。ほとんど反対意見は出ずにその日のうちに、引越しを決心し、後は費用やその他を聞きにいこうとなった。

契約の関係で八幡は管理人としておじいちゃんと何回か話をしていた。どうもすぐ出て行かれると色々問題があるんで、せめて大学在学中は出ていくのは止めてほしいと言われたみたい。雪乃も何度か女子寮に行っていたけど何をしに行っていたかは教えてくれなかった。海老名さんの本でも借りているのかな。

引越し業者を使ってもよかったんだけど、雪乃の車があるんで、何往復かして9月頭には引越しまで完了していた。

うちと八幡、いろはは少し遠くなっただけで大学まで歩いていける距離だし、雪乃と結衣は電車が一駅変わっただけだから、そんなに不便は無いといっていた。

 

「南、こっちに引っ越してから、またパンティで居るんだな」

「だって八幡も、お風呂上りでパンツ一枚じゃん」

「男と女で違うだろ」

「それは性差別だよ、うちだってお風呂上がりぐらいパンティ一枚で居たいことあるし」

「あーしも何時もこの格好だし」

 

そういう優美子はT-シャツ、下は赤いパンティでリビングをウロウロしていた。うちはパンティ一枚にバスタオルを肩に掛けて胸を隠していて、八幡はボクサーパンツ一枚で三人リビングで涼んでいた。他の人たちは今、みんなでお風呂に入っている。

 

「ヒキオだって嬉しいでしょ、今日はあーしと南、一緒にお風呂入れて」

「はぁ、しまったな。じいさんと雪乃に騙された気分だよ。契約の時、ルールは皆で多数決で決めることと、管理人として大学在学中は出て行くなって言われて、契約書まで書かされて、違約金まで書いてあったし」

「うん、まさか雪乃がそんな契約をおじいさんにお願いしていたは思わなかったし」

「優美子だって、二月前は干してある下着見られたら怒っていたのに、どうして今はお風呂一緒に入るようになっているんだよ」

「一緒に住んでれば、馴れちゃうし。でもヒキオって毎日、誰かとお風呂入っているのに手を出さないよね、本当にヘタレだし」

「逆に出せねえよ、怖いだろ。その後が」

「でも嬉しいんでしょ、一緒に入れて。入ってくるなと言いながら、あーしのおっぱい見てたし//」

「うちも何度も見られてたな。最初はすぐ風呂出て行ったのに、今日なんて浴槽で凝視されてたし//」

「..そ、そんなことないじょ//俺も疲れているからゆっくり浸かりたいだけだじょ..」

 

雪乃がおじいさんにお願いして入居するとき、八幡に色々うち達にいい条件を契約させていた。うちはそんなこと考えも付かなかったけど。おかげで、うち達はラッキースケベ起こしたい放題、お風呂にも八幡が入っているとき、突撃するようになっていた。さすがに女性一人で入ることは皆牽制しあって無いんだけど、八幡も段々馴れてきて、今では浴槽に一緒に入ってくれるし。

ただ下半身はまったく慣れていないようで、何時も大きくしているんだけど//

でも部屋の鍵は絶対閉めてるんだよね、うちは何度も夜中に管理人室に行ったんだけど、開いていることはないし。

ここは女子寮ってことになっているんだけど、そのうち八幡ハーレムになっちゃうんだろうな。それはそれで面白いのかも//

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「「....//」」

「な、なんであーしが一緒にお風呂入ったり、ショーツでウロウロしてるんだし//」

「うん、うちもさすがにパンツ一枚で居ないよ//」

「材木座君、私も出してくれたんだ。有難うね」

「どうせなら仲のいい人を一緒に出した方がいいと思ってな」

「ねえ、相模さん。このラノベに書いてあったみたいにちょっとは薄い本に興味ない?」

「..う、うちは興味ないよ」

「そんなこと言ってぇ、いまちょっと考えたでしょ。良いから、これ貸してあげるから」

「い、いいよ海老名さん」

「だーめ、今日家に帰ったら読んでみて。読まなくても良いから明日返してくれればいいから」

 

海老名さんはそういって袋に入っている雑誌を相模さんに渡したわ。ラノベに出ていた本のことね。どういう内容を書いているのかしら。でも相模さん、三浦さんやラノベに書いてある対応から余り読んではいけない物なのは想像付くわ。海老名さんは相模さんのカバンに入れて満足げな表情を浮かべているのだけれど。相模さんは困った顔をしているわね。

 

「材木座君。このラノベだと私が契約のため、色々と裏で動いているようなのだけれど、あなたの中で私はどういった人物像になっているのかしら」ニコッ

「..ごめんなさい」

「謝罪を聞きたいわけでは無いのよ。以前も氷の女王と言っていたわね、そちらについても説明していただけるかしら」

「ごめんさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

「...まあ、良いわ。ラノベについてだけれど、所々台詞が長くて、地の文が少なかったりするでしょ。セリフが多いと読みやすいのだけれど、説明不足が目立ってしまうわ」

「うーん、それについては、俺はいいかなと思うけどな」

「そうなの、八幡」

「ラノベって台詞が多かったりするからな。雪乃はラノベを読まないから知らないだろうけど」

「私や雪ノ下先輩、結衣先輩、海老名先輩が後半まったく出てこなかったですね」

「お風呂入ってるって書いてあったけど、でもこのラノベはさがみん主役だから良いんじゃない」

「材木座君、雪ノ下さんが腐女子になるのが読みたい!!」

「そ、それは出来ぬ。ゆ、雪ノ下殿が腐女子なんて恐れ多い」

「雪ノ下さんにも薄い本を貸してあげるからね!!明日相模さんから返してもらったら雪ノ下さんに渡すから!!」

「いいえ、海老名さん。私は借りないわ」

「一回だけでも読んでみようよ」

「え、海老名さん。うちは良いから今から雪ノ下さんに貸してあげたら」

「...相模さん。今なんて言った....」

 

え、海老名さんの表情が変わって怖いわ。眼鏡の奥に見える瞳から彩色が消えていて、その目で相模さんを見つめていた。相模さんは血の気が引いているわね。

 

「え、海老名さん。き、今日読んでくるんで、うちに貸してね」

「うん。じゃあ明日、感想聞かせてね」

「は、はぃ」

 

海老名さんはそう聞くと満面の笑みで相模さんに微笑み掛けていたわ。でも思わぬ形で脱線してしまい、最終下校時刻が来てしまったので、今日の部活は終了ね。

でも明日、海老名さんは薄い本を私に持ってくるのかしら。あの目で見られたら断れるか自信無いわ。

 

 


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