やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第33話

「先輩!!何とかしてください。今週の土曜日、生徒会の予定が入ってたんですよ!!」

「八幡、うちも用事があったー。今週、じいちゃんの三回忌でさ」

「撮影なんて遊びだし良いだろ」

「..先輩。私を撮りたくないんですか?」

「..うちの事も撮りたくないの?」

「モデルは何人もいるからな」

「ぶーーー!!そこは「可愛いいろはは俺の眼に焼き付いているよ」とか言ってくださいよ」

「はいはい、可愛い可愛い」

「ほんっとうーに、頭に来ますね、生徒会休んじゃお!!」

「ばか、そっちを優先しろよ」

「八幡、うちの写真撮ってよ」

「南も家の用事を優先してくれ」

「ええ、うちも撮影してほしいよ」

 

いろはと南が俺のところに来て愚痴を言っている。南は法事でいろはは生徒会で集まるらしく今回は来れなくなったらしい。南といろはは昨日いた面子に日程を替えれないか確認していたが、無理だったようで二人で俺に泣きついてきた。

 

「あんたら、休み時間に煩いよ」

「川崎先輩って今週のこと知っているんでしたっけ?」

「一色、何かあるの?」

「今週末、八幡の家で写真の撮影会するんだよ」

「はぁ!?私、誘われてないんだけど....」

 

そういうと沙希は俺の事を睨んできた。俺が事情を説明すると今回は参加出来ないから、都合の良い日を決めて自分たちを撮影しろと言われ、了承してしまった。まあ、お陰で南といろはの機嫌が治ったので良かったのだが。

ただクラスで俺のとこに来て泣きつかないで欲しい。弁当を奉仕部で食べるようになってから、突き刺す視線を感じなくなったが、今日は南と生徒会長を泣かせているとヒソヒソ喋っている声は聞こえるし、視線で死ね!!って思われているのを肌で感じていた。

俺は逃れるように自分の教室を出て、材木座のクラスにお邪魔していた。

 

「材木座、今週の土曜日空いているか?」

「空いているが、お主、写真撮影があるのだろ?」

「ああ、それを手伝ってほしいんだ」

「我に手伝えることなどあるのか?我が居ると撮影に支障をきたすと思って、昨日は何も言わなかったのだが」

「あいつらにはメモリカード持ってくるようお願いしているが、撮った後バックアップ取ったり、メモリ容量によっては取捨選択しないといけないだろ。材木座ならノートパソコン持っているし、今回の事情も知っているから、その辺りをお願いできないかと思ってな」

「そういうことであれば我の力を貸そうではないか。他にいるものはあるのか」

「念のため、USBメモリとかSDとかの媒体があれば持って来てほしいな」

「分かった。いくつかあるので持っていくぞ」

「悪いがよろしく頼む。人数が多すぎて大変だろうが」

「いや、頼ってくれてうれしいぞ。八幡」

 

俺は今週行う撮影会のヘルプを材木座にお願いした。さすがに一人だと撮影とパソコンの操作は大変だしな。参加しない女性にお願いすると自分も撮影して欲しいと言い出しそうだし。皆がパソコンの操作が出来れば良いのだが、そういうわけにもいかないだろう。一応、参加者には材木座に作業を頼む事を了承して貰っているし、問題はない。

 

土曜日の朝10時に待ち合わせのため、駅に30分前に着くとすでに雪乃と陽乃が二人で待っていた。何か大きなバッグを持っているんだが、どれだけ服を持ってきたんだ?

 

「八幡、おはよう」

「ひゃっはろー、比企谷君。今日は私も混ぜてもらうね」

「..おはようございます」

 

俺が雪乃を見ると大きくため息をついていた。雪乃が自分から言うとは思えないので、誰かから聞き出したのだろうか。

 

「でさ、今日何するの?」

「え、知らずに着いてきたんですか」

「だってー、雪乃ちゃん実家に服を取りに来て、嬉しそうに出かけるのに教えてくれないもん」

「..雪乃。ここまで付いて来たなら教えても良いだろ」

「ええ、しょうがないわね。姉さん、私たちは八幡に写真撮影してもらうのよ」

「それで雪乃ちゃん、ドレスを選んでいたのね」

「ね、姉さん!!バラさないでよ//」

「良いでしょ、別に。写真とって貰うとき、見られるんだから」

 

雪乃はドレスなのか、でも陽乃は服は良いのか。まあ、この人ならどんな服でも似合うからいいだろうが。

 

「それで陽乃はどうするんですか。皆は制服と好きな服を持って来るはずですけど」

「うーん、私は誰かの制服借りるよ」

「陽乃だと、コスプレになっちゃいませんか」

「ひっどーい比企谷君。まだ現役で通じると思うんだけどな」

 

そんなことを話していると、徐々に人が集まってきていた。かおりは一緒の駅なので徒歩で来ており、材木座、仲町さん、海老名さんが到着した。うん?海老名さん?

 

「あれ、今日って海老名さんもメンバーに入ってたっけ?」

「優美子と結衣に誘われたんだ。まだ二人は来ていないみたいだけど」

 

俺たちが話していると、雪乃の携帯が鳴り出した。会話を聞いていると、結衣と優美子が電車に乗り遅れたらしい。結衣は俺の家を知っているから直接来てもらうようにした。材木座は大きなリュックを背負っているが、多分パソコンが入っているのだろう。手が開いているので、材木座と俺は皆の鞄を持って一路家に向かって歩き出した。

 

「ヒキタニ君、私がお邪魔するのまずかった?」

「別に問題ないだろ、この人数なら一人増えても」

「..そういうことじゃなくてさ。修学旅行の後、私のせいで奉仕部が危なかったでしょ。今はそんなこと無いようだけど、今だに私の中で申し分けなかったと思っているんだ」

「..あれは海老名さんのせいじゃない。まあ色々あったけど、あれのおかげもあって今の奉仕部があるんだ。海老名さんが気にすることじゃ無いだろ」

「そういってもらえると、私としても有難いんだけど。...うん、分かった。今は材木座君の依頼もあって楽しそうだしね」

「ああ、だから気にしなくていいぞ」

「じゃあ、私もラノベお願いして良いかな。もちろんハヤハチで!!」

「そんなの書かせる訳ないだろ、材木座にしてもそんなの書きたくないだろうし」

「うん、じゃあ私で書いてもらうね。ヒキタニ君との濃厚な奴」

「頼む、そっち方面も止めてくれ。せめて普通のラブコメで」

「へえ、ヒキタニ君。普通のラブコメなら書いてもらってもいいんだ」

「..本当はこれ以上、黒歴史を増やしてほしくないんだがな。他の奴が良くて海老名さんが駄目って言えないだろ」

「うん、ありがとう」

 

そういって海老名さんは材木座の方に行ってラノベを頼んでいるようだ。海老名さんの中で修学旅行の件があったので、今までラノベを頼まなかったのだろうか。聞けなかったが今はラノベを材木座にお願いしているようなので、問題ないのだろう。いつまでもあの件を引きずるのも良くないしな。

 

家につくと小町が玄関から飛び出してきて、皆に挨拶しだした。

小町の部屋を着替え部屋にし、材木座は俺の部屋で撮ったデータの処理を、書斎では俺と折本が写真撮影を行い、撮影中、次の人が待機するようにした。皆、撮影中も見たいと言っていたが、さすがにこの人数は入れないからな。靴については、養生テープをオヤジが買ってあったので、撮影の時、履きたい人には裏に貼ってもらうようお願いした。

 

「八幡、照明とかちゃんしたのあるんだね、ちょっとビックリした」

「ああ、初心者のくせに小町のためなら、こういうの買っちゃうんだよな。俺の時は昔から持っていたコンデジで数枚撮っただけだが」

「それある!!でも、そんなもんだよ。私もコンデジで撮ってもらっただけだし」

 

俺は親父の買った一眼レフを用意しだした。使い方は今まで何度か触っているので問題ないんだが、撮影テクニックははっきり言ってまったくの素人だからな。

 

「へえ、EOSKissなんだ」

「この付いていた標準レンズしかないんだが、問題ないか」

「うん、今回は照明もあるし広く使えないから、それで充分だよ。今回気を付けないといけないのはホワイトバランスだろうね」

「オートじゃ駄目なのか」

「オートでも良いけど、自分でやった方がいいよ。カメラのディスプレイだと確認しにくいけど、今回はパソコンですぐ確認できるから、一番良い設定を見つけた方がいいね」

「ふーん、じゃあ試し撮りした方がいいな」

「後、今回はレンズが無いんでしょうがないけど、顔のアップを撮るんなら望遠レンズを使った方が良いよ」

「近くにいてもか?」

「被写体の歪みが少なくなるんだ。私のカメラで試したのを見せるからとりあえず、誰かで試し撮りしようか」

 

女性陣は今、小町の部屋で色々用意をしているので、俺達は小町を呼んできて試し撮りをした。それをパソコンに表示したのだが、確かにオートとホワイトバランスで調整したものとでは違う写真になっていた。

かおりと一緒に一番良い設定を見つけた後、かおりの望遠レンズで撮ったアップも見せてもらったが、確かに歪みが少ない。アップを撮るには望遠レンズの方が良いのか。単純に被写体に近づけばいいと思っていたのだが。

 

「今回みたいに全身写真でも望遠の方が良いのか」

「うん、広さに余裕があるならそうなるね。今回の部屋だとバストアップしか撮れないし。ただ背景をボカすには開放値って言って八幡のだったらF4とか書いてあるでしょ。その値が小さいほど、背景をボカすことが出来るんだけど、望遠だと数字が大きくなっていくんだ」

「なかなか難しいもんだな」

「今はそのレンズだけ考えればいいから。今回はカメラの操作練習というより、いかにモデルの気分をよくして良いポーズとアングルを撮れるかだよ。それこそモデルが脱いでも良いと思わせるかだよね」

「俺にそんなこと出来るわけないだろ」

「それある!!でも無言で写真撮ったらだめだよ、こっちからも色々要望を出すようにね。八幡がしてほしいポーズをいかに自然にさせるかだよ」

「一人目は千佳にして、私が色々指示するから二人目からは八幡ね。もちろん千佳のとき、撮りたいポーズがあれば言ってくれればいいから」

 

そういってかおりは仲町さんを呼びにいった。二人目は海老名さんのようで、書斎に入ってきて椅子に座っていた。まずは制服なんだよな。

 

「ヒキタニ君。さっき優美子と結衣が着いたよ」

「ああ、分かった」

「じゃあ、千佳。撮影するからまずは自分でポーズ取ってみて」

「う、うん。こうで良いかな」

「いいね、ちょっと目線をカメラからずらして、うん。じゃあ顎上げて」カシャカシャ

 

かおりは色々注文しながら仲町さんを撮影していった。俺も一緒に撮影していたが、俺も段々ノッてきて注文してみたくなってきた。

 

「仲町さん、いいかな。正面向いて左足を前に組むようにしてもらえないか」

「いいね、八幡。のってきたみたいだね、ウケるし」

「じゃあ、顔を左に傾けて。うん、重心を左足だけにして体を少し傾けて」

 

ヤバい!!テンション上がってきた。結構楽しいな、これ。俺とかおりは仲町さんに注文を付け、寝転んでもらったり座りながら足を組んでもらったり撮影に没頭していた。

 

「はい、千佳。お疲れ」

「仲町さん、ありがとう」

「ううん、こっちこそありがとう。ちょっと疲れちゃった」

「...ヒキタニ君。座って足組ませたとき、スカートの中撮ろうとしてた?」

「え!?まったく気づかなかったが、その見えていたのか」

「うん、丸見えだったよ」

「本当に!?かおり!!何てポーズさせるのよ!!」

「それある!!でも撮影中、まったく気にならなかったでしょ。千佳もノッてたってことだよ」

「う、うん//その比企谷君も気づいていた?」

「いや、まったく気にならなかった。全体を見ているんで一部なんて気にしてないしな」

「じゃあ、後は材木座君に見られなければ良いよね。私のメモリに移してもらうだけにしておこ」

 

かおりと仲町さんとのツーショットを数枚撮影し、俺とかおりはメモリを渡した後、次の人を呼んできてもらうよう仲町さんにお願いした。

俺たちは海老名さんの撮影を開始したのだが、かおりの言うことは聞くのに、どうしてか俺の言うことを聞いてくれない。

 

「ねえ、ヒキタニ君。どうして私は名前で呼んでくれないの?」

「もしかして、それで言うことを聞いてくれないのか」

「....」

「..姫菜//両手を腰に当ててくれないか//」

「うん//」

 

なんとか姫菜が言うことを聞いてくれるようになり、撮影は順調に進んでいった。なんで皆名前呼びに拘るんだよ、分かれば良いじゃないか。

 

この後も休憩を挟みながら皆の撮影を行っていき、かおりは休憩中に化粧を直し途中に入れてもらって撮影を行った。

優美子が撮ったときはあとで、結衣と姫菜を混えて撮影したり、結衣の時は雪乃が混ざって撮影を行った。

 

結衣の時はかなりまずかった。座らせてから上目遣いになるように撮影した時、胸の谷間が目に入り、思わず見入ってしまった。

その後に控えていた雪乃が拗ねてしまい、表情が暗かったので、かおりに撮影を続けるように言ってから、雪乃のそばに近寄って行った。ずっとかおりはカメラで撮影していたが、雪乃の暗い顔を見たくなかったので、俺はお構いなしに頭を撫でに行った。

 

「は、八幡//撫でて貰わなくて良いわよ//」

「そうか、じゃあちょっと前に立ってくれ」

 

俺は雪乃を後ろからあすなろ抱きして、雪乃の耳元に口を近づけた。

 

「雪乃には笑顔が似合うから、俺に見せてほしいな//」

「..八幡//」

 

そこからの雪乃は素直に言うことを聞いてくれ、撮影が順調に終了した。

待っていた陽乃もちょっと拗ねだしたが、頭をナデナデすると気分を切り替えて撮影に入ってくれた。誰かの制服を借りたのだろう。似合っていて確かに現役と言っても通じるぐらいだった。

 

「似合ってますね、陽乃//」

「ありがとう。じゃあ、お願いね」

 

俺とかおりはいつもどおりに撮影し、一通り終わると、陽乃は雪乃を混えて撮影を行った。陽乃と雪乃が二人でファインダーに入ると、雑誌の表紙みたいだな。二人共、最初は拗ねていたが今は笑顔で撮影させてくれているし。これで終わりかと思っていたら、陽乃が俺と一緒に撮りたいと言うことで対応したのだが、お姫様抱っこしろと言われたのにはビックリした。雪乃が出て行った後で良かったが、かおりが雪乃の撮影の時から、いつもの笑顔が無く怒っているようだった。

 

制服での撮影が終わると、小町と撮影が終わった人達が食事の用意をしてくれていたようで、俺とかおりと材木座も食事をいただいていた。

 

「なあ、かおり。なんで今そんなに怒った顔しているんだ」

「...いいの?言っても」

「言われないと分からないだろ」

「雪ノ下さんにあすなろ抱きしてたじゃん!!お姉さんにはお姫様抱っこしたし!!ウケないんだけど」

「はぁ!?ヒキオ、どういうことだし!!」

「ヒッキーどういうこと!?ゆきのんも説明してよ」

「は、八幡が撮影中、私を笑顔にするためにしてくれただけよ//」

「私はお願いしたよ。比企谷君素直に聞いてくれたし」

「「「「「....」」」」」ジー

「そうだね、ハチ。私も期待しているから」

「姫菜、ハチって俺のことか」

「そうだよ、ハヤハチとかトツハチって呼んでいるから分かりやすいでしょ」

「ヒッキー、私の時もやってよね」

「ヒキオ、あーしもだし」

「それある!!私の時もよろしくね。千佳も良かったらお願いしたら」

「う、うん。あすなろ抱きとか、お姫様抱っことか憧れるよね//比企谷君、よろしくね」

「..はぁ、分かったよ」

 

「材木座さん、小町のご飯どうですか」

「おお、小町嬢。すごくおいしいぞ」

「まあ、今日は材木座も大変だからな、遠慮せず食べてくれ」

「お兄ちゃんって、ご飯については何もしてないじゃん。そういえば材木座さん、小町のラノベもお願いしますね」

「八幡に聞いていたが、良いのか?八幡とのラブコメで」

「はい、ちょっと考えてみてください」

「..近親相姦とか?」

「材木座、お前小町と一緒の思考しているぞ、進級大丈夫か」

「おにいちゃんひどいよ!!小町的にポイント低い!!」

「..まあ、考えてはみるが、小町嬢のラノベは少し時間をくれないか」

「材木座、小町嬢は止めてくれないか、水商売みたいだ」

「では何と呼べば良いのだ」

「普通に小町で良いだろ」

「材木座さん。いいですよ、小町で」

 

ご飯を食べた後、俺とかおりは休憩中ずっとソファーでダラけていた。さすがにちょっと疲れたな。普段喋らないから口が乾くし。

 

「八幡、疲れた~」

「まだ半分も終わっていないぞ、ゆっくり休憩してくれ」

「うん、八幡。肩貸してね」

 

かおりは俺の肩に頭をあずけてきて、目を閉じているようだ。本当に疲れたんだろうな。後、休憩は30分ぐらいあるのでこのまま寝かせておいた方が良いよな。

皆は次の用意で着替えとか行っており、リビングは落ち着いて座っていられる。

 

「材木座、俺とかおりの写真で腕の差ってあるか」

「我には写真のことはよく分からないが、両方共綺麗に撮れていると思うぞ。ただ折本殿の写真は構図にこだわっているように見受けられるな」

「そうか、ちょっとかおりが大変そうなんでな。もしこのまま起きなければそのまま寝かせておこうと思ったんだが、かおりに写真は敵わないだろうな」

「八幡、大丈夫だよ。私も一緒に撮るから」

「起きてたのか、かおり」

「うん。ちょっとウトウトしてたけど、目を閉じてたんで大分楽になったよ」

「大丈夫か、無理はするなよ」

「うん、でももうちょっと肩を貸してて」

 

かおりはまた目を閉じたので、俺はそれ以上、話すのを止めた。かおりが大丈夫というのであれば、こちらから止めさせるのは気が咎める。本当に無理であれば途中で休んでもらえばいいんだし。ただこの後の予定を変更するのが良いかもしれないな。

 

休憩が終わると小町が呼びにきた。かおりも起きてノビをしていた。

 

「おにいちゃんも早く着替えて」

「え、俺、関係あるの?」

「皆と撮るでしょ。もうちょっとちゃんとした恰好しようよ」

 

俺は小町と一緒に部屋に入るとすぐに着替えるように言ってきた。小町セレクトの服を着て書斎に入っていくと、すでにかおりはカメラの準備を整えていた。今回は優美子が最初に撮るらしい。でも洋服でなくて水着で待っているんだが。椅子には水着を着て上に服を羽織っている姫菜と結衣が待機しているし。

 

「なあ、どうしてみんな水着なんだ」

「皆で話し合って、折本が大変そうだから、後一回の撮影にしてもらおうってなったし。またヒキオにお願いすれば撮れるっしょ」

「うん、だから今回は服か水着で撮ってもらって、また次回にお願いしようって」

「ヒッキー、お願いね」

「ごめんね。私のせいで皆に気を遣わせて、八幡も次回あるって事になって」

「いや、俺もそうお願いするつもりだった。撮影ってこんなに大変とは思っていなかったしな」

「じゃあ、早速パッパとやっちゃうし」

 

そういうと上に羽織っていた服を脱いで、姫菜と結衣も上着を脱いでいた。最初に三人で撮るのか、それであれば着替えにいけるからか。

優美子と結衣は千葉村で着ていた水着のようだな、優美子は赤色のビキニ。結衣は水色のビキニ。姫菜は千葉村ではスクール水着だったが、今回は色を揃えて着たのか、黄色のビキニを着ていた。信号機で揃えたのか?

こうやって並ぶと万乳引力がすごい。なにがとは言わないが、順番でいくと姫菜、優美子、結衣になるんだな。ずっと見ていると顔が赤くなっていくので俺はカメラの用意を始めた。

 

「ヒッキー、見すぎ!!」

「良いじゃん、結衣。ヒキオも大きい方がいいんだし」

「そんなことないよ、ハチは私ぐらいの大きさが良いんだよ。ね、ハチ」

「はいはい、じゃあ、撮影を開始するから」

 

俺は何食わぬ顔をして撮影を開始した。でも顔が真っ赤になっているのが分かる。10枚ほど撮影すると今度は優美子一人での撮影となった。

 

途中までは普通に撮影していたのだが、優美子は俺を見てワザと胸を強調するようなポーズをとってきていた。はっきり言ってエロい。膝を床につけ足を開き頭の上で手を組んで胸を強調してきたり、背中を向けてお尻を強調して上半身を振り向かせたり。顔の表情は妖艶で俺は夢中になって優美子の写真を撮りつづけていた。

 

「八幡?八幡!!おい!!もう終わりで良いよね」

「..あ、ああ、悪い。夢中になってしまった」

「ヒキオ、あーしの身体すごいっしょ」

「ああ、凄かった。つい夢中になっていた」

「じゃあ、ヒキオ最後に一緒に撮るし」

 

俺と優美子は一緒に写真を撮った。その際、眼鏡を掛けろと言われて、優美子が持っていた眼鏡を掛けさせられた。あすなろ抱きとお姫様抱っこをさせられたが、水着なので肌に直接触れているので恥ずかしいな。

 

「ヒキオ。その眼鏡、あーしからのプレゼントだから」

「いや、貰えないだろ、こんな高いもの」

「家に余ってたやつだし。だから皆の撮影の時も付けな」

「分かったよ。ありがとうな、優美子」

 

そういうと、優美子は部屋を出て行き、交代で結衣が洋服を着て入ってきた。

 

「ねえ八幡!!あんた眼鏡掛けるとすっごい格好いい!!私の時も掛けてね!!」

「眼鏡ぐらいで変わるわけないだろ、じゃあ姫菜。次いいか」

「はぁ、ハチ。あんな優美子見せられたら、私敵わないよ」

「姫菜は明るい表情で撮れば良いんじゃないか」

「うん、じゃあよろしくね」

 

俺は姫菜に色々注文をつけながら、撮影を行っていった。半分ほど撮ったとき、俺は姫菜の素顔を見たくなっていた。

 

「なあ、姫菜。眼鏡を取ってもらえないか」

「ええ、恥ずかしいよ」

「良いから取ってくれ」

「う、うん//眼鏡を取った顔見せるの、ハチが始めてなんだからね//」

 

そういうと、姫菜は眼鏡を取って、俺に顔を見せてくれた。やっぱりトップカーストだな、凄く可愛い。俺は姫菜に色々注文をつけながら、撮影を行っていった。途中、姫菜は水着の肩ひもをズラしたりして俺を惹きつけていた。

 

「ハチ。トップス取っていいかな」

「はあ!?トップスってブラの事だろ。まずいって、それは」

「手ブラだよ、さすがに見えるようにはしないよ」

「じゃあ、反対向いているから」

「ううん、外している最中も撮影して欲しいの」

「..わ、分かった//」

 

姫菜はトップスを外しながら、俺には見えないようにしていた。大丈夫そうなので俺は撮影を行っていたが、俺の方をずっと見て惑わすような表情でトップスをゆっくり外していた。手から溢れた胸が俺の目を離さない。

 

「ハチ、私の身体って綺麗?」

「あ、ああ、綺麗だよ。姫菜//」

「ありがとう。じゃあそろそろ最後で良いよね」

 

そういうとトップスを着けたいので反対に向いてくれって言われた。

 

「じゃあ、ハチ。眼鏡を付けて私もあすなろ抱きとお姫様抱っこしてね」

 

俺は言われるがまま、姫菜の要求を満たしていた。ハッキリ言ってかおりと結衣が居なければ、とっくに理性が飛んでいただろう。優美子とは違う色気を姫菜は放っていた。

 

「ヒッキー。この後、休憩してから千佳ちん撮ってもらうんで。休憩中にかおりん着替えてね」

「うん、分かったよ」

 

俺たちは結衣の撮影を開始した。結衣はシャツを重ね着したように見えるニットのワンピースで下にミニスカートを履いていた。凄く可愛い、でも言ったら怒られるだろうがビッチっぽい格好だな。結衣は誘惑するような色っぽい雰囲気を出しており、途中上着を脱ぎたいと言って、結衣はニットを脱ぎだした。その時も撮影を続行していたが、胸から下はおへその上ぐらいまでのチューブトップで結衣の魅力がアップしていた。

胸がチューブトップから溢れていて凄いことになっている。俺はまた我を忘れて、色々なポーズを要求していた。途中、下着が見えていたが、お構いなしにシャッターを切りつづけていたため、俺はまたかおりに止められていた。

 

「ヒッキー、どうだった//」

「ああ、その凄く良かったよ//」

「じゃあ、ヒッキー。私とも撮ってよね」

 

そういって俺と結衣はツーショットを折本に撮影して貰い、休憩に入った。

 

「ねえ八幡。大丈夫?」

「大丈夫だ。ありがとうな、かおり。止めてくれて」

「ううん。結衣ちゃんリビングに行ったんで私たちも行って休憩しよ」

「分かった。皆なんであんなに色気を出せるんだ。かおりがいなかったら、とっくに理性が飛んでいると思うぞ」

「それある!!でも女は魔性って言うからね。私にあんな色気が出せるか自信ないけど」

「か、かおりも十分魅力的だぞ//」

「う、うん。ありがとう//じゃあ、休憩いこ//」

 

俺とかおりと材木座は休憩していたが、かおりは自分の用意があると言って、暫くすると着替えにいった。

 

「八幡、写真を見ていると我の自我が崩壊しそうだぞ」

「俺もそうだ、なんで女ってあんなに色っぽくなるんだ。一人で撮ってたらヤバかったぞ」

「お主は良いではないか、我は写真の女子と二人で写真を選別しているんだぞ」

「頼むから変な気は起こすなよ。問題なければ撮影が終わった人とリビングで作業したらどうだ。誰か居るだろうし」

「そうだな。ここで作業をさせてもらう事にする」

 

俺たちが休憩から戻ると、仲町さんが既に待機していた。仲町さんはTシャツを着ていたのだが、丈が目茶苦茶短くて、胸が隠れるぐらいしかない格好だった。下は黒色ミニのフレアスカートでガーターベルトして網タイツを履いていた。

 

「な、仲町さん。凄い格好だな」

「う、うん。私ハードロックとかヘビメタが好きなんだ。だからこういう恰好に憧れていてね」

「じゃあ、普段する格好じゃないのか」

「うん、流石に出来ないよ。でも今度ライブがあるんで、ちょっとチャレンジしてみるつもり」

「..凄く似合っているぞ//」

「ありがとう//」

 

俺たちが喋っていると、かおりが用意を終えて部屋に入ってきた。かおりはモノトーンのワンピースを着ていた。よく分からないがベアトップと言うらしい。俺にはチューブトップとの違いが分からないな。

まず二人揃って撮影をし、俺とかおりは仲町さんを撮り始めた。仲町さんも撮影が二回目だからだろうか、かなりノっているようで撮影は順調に進んで行った。

 

「Tシャツの中に手を入れてくれ」

「うん」

「じゃあ、口を半開きにして、物欲しそうな表情で」

「...//」

「そのまま、右手の指を口に咥えるように。..うん、可愛いぞ。じゃあ、左手をTシャツを上げるように上に持ってってくれ」

「そ、その恥ずかしいんだけど//」

「千佳、やってくれ」

「は、はい//」

 

ほぼ下半分黒色のブラが見えている状態で俺は千佳の表情を撮影していった。彼女がたまに魅せるエロティックな表情が俺を捕らえて離さなかった。

 

「じゃあ、仲町さん。終わりで良いかな」

「...さっきみたいに名前で呼んでくれないの?」

「え!?俺、名前で呼んでたか」

「うん、八幡。千佳って呼んでたよ」

「その、仲町さん。呼び捨てにしてすまなかった」

「..ううん、八幡くん。名前で呼んでくれたほうが嬉しいな//」

「分かった。千佳//じゃあ、俺とツーショット撮ってくれるか//」

「はい//」

 

そういって俺は眼鏡を掛けて千佳の横に行くと、彼女は顔を真っ赤にして俺の方を見ていた。

 

「千佳、ビックリでしょ」

「う、うん。八幡くん。格好いい//」

「ありがとうな、お世辞でも嬉しいよ」

「..お世辞じゃないんだけどな」

 

俺はまず、あすなろ抱きをして、数枚撮ってもらった後、千佳をお姫様だっこして撮影に入った。

「かおり、ちゃんと撮ってね」

「うん、じゃあ撮るよ」

 

そういうと千佳はいきなり首に絡めた腕に力をいれ、俺の頭を彼女の方に持っていった。なんだ?と、思っているうちに千佳は俺の右頬にキスしていた。

 

「ああ!?千佳!!何やってるの、ウケないよ!!」

「八幡くん、撮影ありがとう//」

「い、いや、その、お、俺のほうこそ、ありがとうな//」

「八幡、テンパりすぎ!!ウケる!!」

「ほっぺだけど、は、初めてしちゃった//」

「その、他の連中には黙っててくれ。俺への罵倒が凄い事になるんで」

「それある!!じゃあ、私とも撮ってよね。ウケるし//」

「ええ、この後、誰かくるんだろ」

「じゃあ、今から撮れば良いじゃん。千佳よろしく」

 

そういうと、かおりは千佳にカメラを任せて、千佳とは違う方向でお姫様抱っこさせ、左頬にキスしてきた。

 

「ありがとうね、八幡。へへ、ウケる//」

「いや、こちらこそ、そのありがとう//」

 

千佳は撮影を終え、次の人を呼びに書斎を出て行った。

 

「なあ、今日の撮影で腕は上がっているんだろうか」

「うん、モデルへの指示は格段に上がっているよ。カメラも最初のころより手ぶれとか少なくなっているんじゃないかな。撮り方が様になってきているし」

「自分じゃ分からないな、でももっと練習しないとイケないんだろうな」

「うん、また今度あるんでしょ。外で撮影すると良いかもね」

「公園で撮ると良いかもな。かおりとのラノベじゃないが、桜をバックでも良いだろうし」

「ただ花見時期だと人が多いからね」

「それについては、今度の参加者に聞いてみるよ、かおりも良い日を教えてくれ」

「うん、分かった」

 

俺たちが話していると、陽乃が入ってきたので俺はかおりの撮影を開始した。

膝丈のワンピースなので、あまりエロさは感じなかったが、普段の活発なかおりからは感じられない清楚なイメージで、そのギャップか俺は夢中で撮影を行っていた。

途中、かおりのカメラを借りたが、望遠レンズが付いていたので、俺はかおりのバストアップで色々な注文を行っていた。

 

「八幡、そんなにアップばかりだと恥ずかしいよ//」

「ああ、分かった。じゃあ、またこっちで撮るから」

 

一通り、撮影を終えたが、かおりはかなり疲れており、俺は陽乃に休憩を入れるようにお願いした。

 

「比企谷君、私は普段着だし化粧もそのままだからさ、比企谷君一人の撮影で良いよ」

「すみません、陽乃。じゃあ、かおりをリビングに連れていくんでちょっと待っててください」

 

俺はかおりに肩を貸してリビングまで連れて行き、ソファーに寝かせて小町に毛布を掛けるようお願いした。

 

「雪乃、今から陽乃の撮影をするんで来てくれないか」

「姉さんは八幡一人で撮るの?」

「ああ、普段着だから俺一人で良いって言われてな」

「私も八幡だけで良いわ。折本さんにこれ以上、無理はさせれないもの」

「悪いな、雪乃」

「ごめんなさい、雪ノ下さん」

「いいえ、折本さん。私たちのわがままに付き合って貰ってありがとう。今はゆっくり休んでね。じゃあ、八幡。行きましょうか」

 

俺と雪乃は書斎に入って、陽乃の撮影を始めた。一回目の撮影の時も思ったが、陽乃はこちらから指示を出さなくても、自然とモデルのようなポーズを取ってくれる。逆に注文をつけるのが憚れる(はばかれる)が、何も言わないのもどうかと思い、俺はしてほしいポーズをお願いしていた。

「比企谷君ってえっちなポーズ好きだよね」

「え、そんなことないと思いますけど」

「多分、男が好む恰好と女が好む恰好は異なるんだろうね。でも撮ってくれてありがとう。じゃあ、あとは雪乃ちゃんを撮ってあげて」

 

そういうと、陽乃は椅子に腰を掛けて雪乃の撮影を促した。

 

「八幡、お願いね//」

「ああ、こちらことよろしくな」

 

そういうと、雪乃はハイヒールを履きライトの前に立って、羽織っていた上着を脱いでポーズを決めたのだが、俺は見惚れてしまった。タダでさえ見入ってしまう容姿が一段と魅力を増しており、俺は生唾を飲み込んでいた。

雪乃は髪をアップにしていて、シンプルなロングドレスを着ており、背中が大きく開いていた。背中にはもちろんブラなんて着けてない。って事はノーブラなのか?大きく開いているスリットから生足が覗くたびに、俺の理性が削られていった。

 

「比企谷君、雪乃ちゃんに見惚れているのは良いけど、早く撮ってあげてね」

「は、八幡//私はいつでも良いわよ//」

「あ、ああ」

 

俺は言葉を発するのも忘れ、カメラのシャッターを切り続けていた。

 

「ね、ねぇ八幡//私には指示をして貰えないのかしら//」

「すまない。じゃあ左手を腰に当ててくれ。うん、スリットから足を出して左足を右足の前に出すように」

「ええ、これで良いかしら」

「うん、綺麗だぞ。雪乃。じゃあ今度は少し足を開いて、頭の後ろに両手を回してくれ。それで腰をクネらせて。じゃあ口を少し開いて顔を横に向けてくれ」

 

俺は疲れていたのだが、それも忘れて写真を撮りつづけていた。撮影が終わるころ、俺は最後にしてほしいポーズがあったので雪乃にお願いしていた。

 

「雪乃。最後に髪を解いてもいいか」

「ええ、良いわよ」

「じゃあ、仰向けに寝てもらって、悪いが髪の毛を解いてくれ」

「良いわよ、でもこれで良いかしら」

 

俺は雪乃に仰向けに寝ているところに近づいて、髪の毛を四方八方に広げた。

 

「じゃあ、両足をスリットから出して組むようにしてくれ」

「は、八幡//恥ずかしいわ//」

「綺麗だよ、雪乃//」

「あ、ありがとう//」

 

俺は雪乃の上から撮るため、椅子の上に立ち撮影を行った。撮影を終えると、雪乃とのツーショットを撮るため、陽乃にシャッターを押すようにお願いした。

 

「八幡//やってほしいことがあるのだけれど//」

「ああ、変な事じゃなければ良いぞ」

「座って、あすなろ抱きをして頬を合わせてほしいのだけれど//」

「あ、ああ//」

 

俺たちが頬を合わせると、陽乃が撮影を行ってくれた。ただ、陽乃がなんだかムクレているようだな。そういえば、ツーショットを撮ってなかった。この後、撮れと言われるのだろう。

その後、雪乃を抱えお姫様抱っこしたのだが、カメラ目線ではなく見つめ合うようにしてお互いのおでこをくっつけての撮影だった。

 

「ありがとう、八幡//」

「..雪乃、こちらこそありがとうな//」

「じゃあ、私にも一緒の事してよね」

「わ、分かりましたよ」

 

今度は雪乃がカメラを持ち、陽乃に先ほどと同じような写真を撮らされた。さらに陽乃に膝枕をしてもらい撮影を終わった。

 

「....八幡、私と膝枕してない」

「いや、もういいだろ。後、ドレスに顔の脂が付いちゃうし」

「じゃあ、足を出せば良いのね」

 

そういうと、雪乃はスカートを捲り上げて両足をだしていた。スカートの中から水色の下着が見えている。見ないようにしていたが、どうしても目が引き寄せられ、なんどか見てしまっていた。

 

「は、八幡//恥ずかしいから早くして//」

「は、はい。おねがいします//」

 

雪乃に膝枕してもらったが、素肌の感触が目茶苦茶気持ちいい。このまま寝れたらどれぐらい気持ちいいんだろうか。ただ俺の理性はゴリゴリ削られていた。雪乃は俺の頭を撫でてカメラに目線を向けていた。俺達は照れながらも陽乃に写真を撮ってもらい撮影は終了した。

俺たちはリビングに移動すると、皆、普段着に着替えていて、自分のスマホや材木座のパソコンで写真を見ていた。

 

「八幡、雪ノ下さん、お姉さん、ごめんなさい。途中で撮影抜けちゃって」

「いや、ありがとうな。かおりのお陰で撮影も慣れたし、大丈夫だぞ」

「折本ちゃん。私と雪乃ちゃんも、ちゃんと撮ってもらえたから気にしないでね。今日はありがとう」

「折本さん、私からもお礼を言わせて。今日は本当にありがとう」

「かおり、ありがとうね」

「あーしも嬉しかったし、あんがと」

「かおりん、今日は楽しかった。ありがと」

「折本さん、ありがとう。飛び入りだったけど、凄く楽しかったよ」

「ううん、こちらこそありがとうね」

「比企谷君、材木座君もありがとうね」

「「「「「ありがとう」」」」」

 

「じゃあさ、最後に皆で写真撮ろうよ」

 

陽乃さんがそう声を掛けると、みんな賛同して撮影を行うこととなり、書斎だと狭いのでリビングで撮影することにした。材木座がカメラを持っていたが、小町が替わると言っている。

 

「材木座さん、今日はみんなで撮るんですから、あっちに入ってください」

「いや、我が撮影するぞ、小町があっちに行ってくれ」

「材木座君。今回、君たち三人が主役だよ」

「材木、早くこっちに来るし」

「材木座君。あなたにも入ってほしいわ」

「そうだよ中二、早くこっち来て」

 

材木座はそう言われ、テレながら入ってきた。

 

「じゃあ、折本ちゃんが真ん中で比企谷君と材木座君が折本ちゃんの横ね。三人はソファーに座ってもらって、私たちは回りで撮ろうよ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

折本を真ん中に俺が右、材木座が左に座ってから、皆が俺たちを取り囲むようにして、撮影を行った。こういうのも良いな、この写真は印刷して部屋に飾っても良いかもしれない。

写真撮影後、着替えや後片付けを行った後、皆でお茶を飲みながら一息付いて雑談していた。

 

「じゃあ、みんな帰ろうか」

「ええ、そうね」

「「「「「お邪魔しました」」」」」

「小町。俺、駅まで送ってくるから」

「うん。また皆さん来てくださいね」

 

俺と材木座は女性のカバンを持って駅まで歩いて行き、皆を見送ったあと、家へと帰った。

 

「今日は疲れたな、小町もお疲れ」

「ううん、小町は何もしてないよ。でも三浦さんと海老名さんって始めて喋ったし、仲町さんは始めて会ったけど、皆いい人たちだね」

「ああ、話してても面白いしな。俺も千佳とちゃんと喋るの初めてだったが、いい人だったし」

「...あれ?そういえば、かおりって皆が帰ったとき、居たか?」

「うん?覚えてないけど、小町の部屋には荷物なかったよ」

「....ちょっと、玄関みてくる」

 

俺は玄関に向かうと、見慣れない靴が脱いであった。これ、小町のじゃないよな。

 

「見慣れない靴があるんだが、もしかしてまだどこかに居るのか」

「書斎かな?ちょっとみてくるね」

 

小町が書斎に見に行ったが、誰もいなかったと言って帰ってきた。

 

「おにいちゃんの部屋に居るんじゃない?」

「俺の部屋?一応見てくるか」

 

俺は自分の部屋に入っていくと、カバンが置いてあり、布団が膨らんでいるのが分かった。部屋の中はカーテンが閉めてあるので薄暗かったが、覗き込むとかおりが寝ている。俺はかおりを起こさないよう、ゆっくり部屋から出てリビングに戻り、小町に居たことを伝えた。

 

「ねえ、おにいちゃん、どうするの?」

「かおりも疲れているから起こすのも躊躇われてな、でも不味いよな」

「うん。でも、もうちょっと寝かせてあげたら。折本さん、凄い疲れてたもん」

「まだ4時だから、後2時間ぐらいしたら起こせばいいか。小町起こすの、よろしくな」

「おにいちゃんが起こしてあげなよ」

「不味いだろ、俺だと悲鳴を上げられるぞ」

「大丈夫だよ。多分...」

「多分かよ。でもかおりの写真との比較や写真の出来を確認したかったが、部屋のパソコンが使えないな。まぁ後で良いか、ちょっと俺も横になってて良いか」

「自分の部屋で一緒に寝てきたら」

「出来るか、そんなこと」

「まあ、起こしてあげるからこの毛布使って」

 

俺は毛布を掛け寝ようとしたが、かおりが使っていた毛布だろう。凄く良い匂いがする。これ寝れないんじゃないか。だが疲れていたのだろう、俺はいつの間にか眠りについていた。

 

「おにいちゃん、起きてよ。そろそろ折本さんも起こさないと」

「あ、ああ」

 

小町は夕食の用意するからといい、キッチンに入っていった。俺が起こさないといけないのかよ。自分の部屋に移動し電気を点け、かおりに声を掛けると目を擦りながら起きたようだ。

 

「八幡、おはよ」

「ああ、おはようってもう夕方だぞ」

 

かおりは上半身を起こしてきたのだが、な、なんで下着のキャミソールなんだよ。すこし隙間が出来て、ピンクのものが見えたし。俺はすぐ顔をそらしたが、見えた光景が忘れられない。顔は目茶苦茶赤くなっているだろう。

 

「..えっち//」

「い、いや、そのすまん//」

「いいよ、いつかヌード撮ってもらう予定だから//」

「はぁ、俺が撮れるわけないだろ」

「みんな、撮ってもらいたいと思っているよ。一人だと恥ずかしいけどね、..でも私は一人だけで撮ってもらいたいかな。ウケるし」

「..俺には無理だな、恥ずかしくて目を向けることが出来ないぞ」

「ヌード撮影はまた、何時かね」

「....」

「じゃあ帰ろうかな、ごめんね。勝手にベッド借りて」

「大丈夫だ、送ってくから用意してリビングに来てくれ」

「うん」

 

俺はかおりを家まで送っていき、ご飯を食べた後、写真の出来を確認していた。撮影中は思わなかったが、かなり大胆な恰好をさせていたようだ。下着が写っていたり、普段ならやらないような恰好もやらせているし。

かおりの写真と見比べると材木座が言っていたとおり確かに構図が違う。かおりは自分で動いてローアングルで撮っているものや被写体をワザと真ん中に写らないようにしている。今度の撮影には俺も真似させて貰おう。今日の撮影だけでも確かにレベルが上がったのが写真から分かる。最初はたまに手ぶれを起こしているが、後半になればなるほど、手ぶれの数か少ない。ただかおりと比べるとまだまだなので、もっと練習しないといけないんだろうな。

 

その夜、俺は寝ることが出来なかった。布団に入るとかおりの匂いが充満している。かおりの胸と色々な女性の表情が頭の中を駆け巡り、その日は何時までも寝ることが出来なかった。

 


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