やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第31話

今日は、なんとか由比ヶ浜さんと一緒にお菓子を作って持ってきたわ。

本当はもっと難しいのを作る予定だったけれど、チョコカップケーキにさせてもらったわ、でもそれで正解だったわね。いつの間にか買い物かごに桃缶を入れていてチョコカップケーキに入れようとしていたし。

由比ヶ浜さんがクラスで喋ったみたいで食べてみたいと三浦さんが部室に来て、材木座君からは相模さん、折本さんのラノベを書いたということで相模さんが来ているわ。

 

「へえ、今度はお菓子作りをしているんだ、雪ノ下さんって何でも出来るんだね。うちもやってみようかな」

「昨日は由比ヶ浜さんと作ったので、簡単なチョコカップケーキよ」

「雪乃、結衣はちゃんと出来たのか」

 

私はそう言われ、思わず顔をしかめてしまったわ。以前に比べれば遥にマシになったと言えるのだけれど、どうして由比ヶ浜さんは桃缶にこだわるのかしら。

 

「雪乃、答えなくていい。その表情だけで十分伝わった」

「ヒッキー、ひどい!!でもゆきのん、以前よりはよかったでしょ」

「..ええ、以前よりはね」

「でも十分おいしいし」

「おいしいですよ、雪ノ下先輩」

「ああ、美味いな」

「我も美味と思います、このチョコカップケーキ」

「美味しいよ、うちも出来るかな」

「ありがとう、相模さん。誰でも作れるわよ。でも由比ヶ浜さん。桃缶にこだわるなら今度、桃を使うものを作ってみましょうか」

「うん!!」

 

「今回のラノベなんですが、この中で出ていないのは三浦殿になるので、先に読んでもらっていいでしょうか」

 

相模さんが出ていて、みんなが出ているってことは前の続きね。またハーレムものになるのかしら。

 

「問題ないと思うけど、材木。これって、続き物?」

「はい、3作目です」

「みんながこれを読む間、前のやつ読ませるし」

「相模さん、どうかしら。三浦さんに見せても大丈夫?」

「うん、良いんじゃないかな。ただ皆出ているんだよね。雪ノ下さん、結衣ちゃん、一色ちゃん問題ない?」

「いい(わよ)(よ)(ですよ)」

 

二人から返答があったので、私は三浦さんに以前のラノベを差し出したわ。

 

「ねえ、俺には聞いてくれないの?」

「八幡は良いじゃない、すべての作品に出ているのだから、諦めなさい」

 

そういうと、私たちは材木座君のラノベを読み出したわ。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

八幡が「シェアハウスでの決まりごと」を決めてから本当にラッキースケベが起こらない、起こせない。八幡はうちらの胸やお尻を見ていたり、洗濯物を畳んでいると下着をチラチラ見たりしているのに。

 

「ここに引っ越してきてから期待してたんですけど、ラッキースケベってあまり起こらないですね」

「うん、うち達も最初は大人しかったんだよ。それが段々ラッキースケベ起こしてエスカレートしていったんだ」

「そうね、私たちも夏で薄着になってからだったわね。八幡がチラチラ見てくるので余計にね」

「ここに来たときは「何やっているんだ、この人たちは」って思ってましたけど、今は分かる気がします」

「毎日近くにいるから余計に悶々としちゃうよね。いろはちゃんもそのうち、欲求不満になっちゃうよ」

 

今日は八幡が出かけているんだけど、いろはも随分ぶっちゃけているね。

そのうち、うち達と一緒でタガが外れちゃうんだろうね。でも、この家で何か起こすと、出て行けって言われるかもしれないし、八幡がまた出てくって言うかもしれないし。何かないかな...

 

「そうだ!!みんなで海に行こうよ、泊まりで!!雪乃が実家から貰ってきたステップワゴンで、五人で行けば良いじゃん!!」

「露天風呂が部屋に付いているところあるし!!そこでヒッキーに先に入ってもらって、全員で入って行ってもいいよね!!」

「でも八幡が入ってくれるかしら、ホテルにある大浴場とかに行きそうなんだけれど」

「それはさ、水着で入ろうよ。って言って、入らせておいてから「ぽろんもあるよ」ってことで良いんじゃないかな」

「いいですね、でも先輩に言うと部屋は別じゃないと行かないって言いそうですよ」

「「「うん...」」」

 

そうだよね。八幡はその辺、しっかりしてるし。何か良い案はないかな。

 

「バンガローってどうなんだろ、よく田舎の海とかにあるでしょ。ごろ寝だからみんなで寝れるよ」

「でもそれこそ、八幡は来てくれないんじゃないかしら」

「ベッドのところもあるから、何とかなるんじゃない?とりあえず今日の夕飯の時にでも、聞いてみようよ」

「そうね、まず行けるかよね」

 

夕飯時、八幡に提案したら、すんなり良いんじゃないか。って言ってくれた。うち達に行先や日程を任してくれたので、四人で場所を決めていた。どうせなら遠くに行こうってことで伊豆半島の方に足を伸ばすことにし、一泊での旅行を計画して、浮かれながら当日までを過ごした。

 

これが恐怖(喜劇?)の始まりとも知らずに...

 

「うーーーーみーーーー!!」

「南、浮かれすぎだ。早く鍵を借りに行くぞ」

「うん!!でも海に近くて良い所だね」

「そうね。書いてあった通り、バンガローから歩いて海まで行けるわね」

「バーベも出来るって書いてあったしね、ゆきのんよく見つけたね」

「ええ、喜んでもらえて嬉しいわ」

「ここで、先輩と...グフフ」

「いろは、今は欲望を抑えなさい。夜まで持たないわよ」

 

「「「「「こんにちは」」」」」

「はい、いらっしゃ..は、八幡か!!」

「材木座。お前何やっているんだ、こんなところで」

「我はここで管理のアルバイトをしているのだ」

「この予約をしていた比企谷とはお主のことだったのか」

「あら、材木座君。久しぶりね」

「中二じゃん、やっはろー!!」

「材木座君じゃん!!ひさしぶりー!!」

「木材先輩、お久しぶりです!!」

「皆さんお変わりなく...八幡、もしかしてこの五人で来たのか...ウラヤマシイ」

「ああ、みんなで海に行きたいって言いだしてな。材木座。久しぶりだからアルバイト終わったら、夜でも俺たちのところに来いよ。色々積もる話もあるだろ」

「行ってもいいのか!!八幡!!」

「ああ、時間があれば来てくれ。じゃあ、また後でな」

 

八幡が管理室に出て行った後、うち達は材木座君に釘を刺しておいた。

 

「材木座君、夕飯時なら来ても良いわ。その後は分かっているわね..」

「中二、良いよね...」

「材木座君、分かるよね...」

「木材先輩、配慮してくださいね。あと来るなら差し入れは必須ですよ」

「....は、はぃ..」

 

バンガローには既に布団が置いてあり、後は敷けば寝れるようになっていた。まあ、雑魚寝見たいなもんだしね、今日の夜は楽しまないと。

うちは八幡の横に寝て抱きつきながらイチャイチャチュッチュッ出来るよう、邪魔な三人にはご退場願わないといけないので、強い酒を持ってきていた。まあ、未成年もいるけど、飲んだことない人は居ないし何とかなるでしょ。

 

うち達はバンガローに荷物を入れ、着替えた後、早速海に向かって行った。

 

「ここで良いじゃん。バンガローにも近いし、海の家もすぐそこにあるし」

 

みんなでレジャーシートをひき、用意していると材木座君が来てくれて、パラソルを二つ刺してくれた。回りをみても田舎の海だからあんまり人もいない。サーファーがいるけど、海水浴客と海岸を分けているみたいで、危なくもなさそうだし。

 

「八幡、このパラソルは我からのサービスだ。後、オモチャだが水鉄砲とボディボードも使ってくれ」

「材木座、ありがとうな」

「「「「ありがとう!!」」」」

 

「八幡。背中に日焼け止め塗って」

「やだよ、恥ずかしい。みんなで交代でやれば良いだろ」

「八幡。私にも塗ってほしいのだけれど」

「ヒッキー、早く塗ってよ」

「そうですよ、先輩。はやく塗ってください」

 

うち達は、レジャーシートにうつ伏せで寝て、八幡に催促していた。こんな時はなんで、みんな息がピッタリなんだろう。八幡も飽きれて断る気もなくなったのか、文句を言いながらも、顔を真っ赤にしながら、うちの背中に塗ってくれた。その後、雪乃、結衣、いろはも塗ってもらっていた。

八幡も背中に日焼け止めを塗ろうとしていたので、寝てもらい皆で塗ってあげたけど、皆目がヤバい。トランクスの中に手を入れたりしてるし、うちも肩に塗っているとき、耳に顔を近づけて息を吹きかけたら、八幡から怪しい声が漏れてきたし。

 

「じゃあ早速、海に入ろうよ!!」

 

それぞれ水鉄砲やボディボード、浮き輪などを手に持ち海に走って行った。うちはボディボードで大きい波が来て、波に飲まれた時は溺れるって思ったけど、すごく楽しくっていつの間にか一人で遊んでいた。

雪乃と結衣も水鉄砲でお互い掛け合っていたんだけど、いろはは何時の間にか、浮き輪で八幡と沖に出てイチャコラしていやがった。どうして浮き輪に二人で入って抱きついているの!?八幡は顔を真っ赤にして離れろって言っているみたいだけど、いろはは抱きついて満面の笑みを浮かべているし。

いろはは帰ってきたら、うち達三人から責められてたけど、ずっとニヤけ面でフにゃけていた。まったく、羨ましい。

 

この四人は目立つのだろう。ナンパしにくる奴もいたけど、うちらはまったく相手にしないし、雪乃にしゃべり掛けた奴はコテンパンに言い負かされてた。八幡には羨望と嫉妬の眼差しが降り注がれていたけど、そもそも四人侍らかせているんだから、しょうがないよね。

 

「ねえ、お昼どうする?」

「そうね、海の家で何か買いましょうか」

「私も見たいんで一緒に行きます」

 

うちと雪乃、いろはは三人で海の家で焼きそばや蛸焼きとか色々買って、パラソルの所に戻ったんだけど、結衣が八幡の上に乗って抱きついていた!!

 

「ど、どうして抱きついてるのよ、結衣!!」

「何しているのかしら、あなたたちは」

「先輩!!何しているんですか!!」

「いや、俺が寝転んでいたら、いきなり抱きつかれたんだよ」

 

回りを見ると缶ビールが転がっており、結衣は顔を真っ赤にして寝ているようだった。もしかして一気飲みしたのかな、結衣はお酒弱いのに。

 

「とりあえず、結衣を退かせてくれないか」

「自分でやればいいじゃない、そう言って堪能していたのでしょ」

「ち、違うからな//退かせるとき、どこか触ってしまうかもしれないだろ//」

「いいじゃん。ラッキースケベって思えば」

「しょうがねえな//」

 

八幡は結衣の体を横に寝転ばせ、パラソルの影に入るよう、移動してあげていた。そういう所、やっぱり八幡はやさしいんだよね。でも結衣の体に触れてたのは許せないけど。

でも、いろはも結衣もしょっぱなから攻めてるね。うちは夜のことしか考えてなかったけど、この分だと雪乃も何かしようとしているかも。

でも結衣は自分が寝ちゃったら、何にも出来ないじゃん。まあ、邪魔者が一人減ったと思えば良いんだけど。結衣の表情は寝ているのに、かなりニヤけている。夢の中で八幡に抱きついているんだろうな。

 

うちと八幡はお昼を食べながらビールを飲んでいた。雪乃といろはは酔ってしまうからって、飲んでいないけど、夜も飲まないつもりかな。うちの計画が...

あんまり飲むと海に入るのは危ないんで、1本づつにしておいた。でもこんなに天気の良い日に潮風を浴びながら飲むビールって、めっちゃおいしい!!

サザエもビールにめちゃくちゃ合うし!!この苦味が良いんだよね!!って八幡に言ったら、おっさんくさいって言われたけど、良いじゃん!!おいしいんだから!!

 

うち達はお昼を食べて少し休憩した後、また海で遊んでいた。

雪乃はボディボードを八幡に教えてって、お願いしてて、二人で海に入っていったんだけど、大きい波が来たとき、雪乃は「きゃー」と言いながら八幡に抱きついていた。八幡もニヤけてて波が過ぎ去っても雪乃は離れてないし。ボディボードしに行ったんじゃないの!?うちといろはは水鉄砲を持って二人のいる所に走っていき、思いっきり水を掛けてやった。

 

「雪乃!!ボディボードしに来たんでしょ、何で抱きついているのよ!!」

「そ、それは大きい波だったので怖かったのよ//」

「..ふーん、じゃあ、私がボディボード教えてあげるから」

「結構よ、八幡に教えてもらうから」

 

うちが雪乃と言い合っていると、いつの間にかいろはが八幡を連れていこうと手を引っ張っていた。いろはの奴、抜け駆けしやがって。

うちと雪乃は結託し、いろはと八幡を追いかけていると、大きな波が来て四人で波に飲まれてしまった。波にもみくちゃにされながらも立ち上がると、雪乃といろはは八幡に抱きついていた。くっそー、どうしてこうおいしい所持っていくかな。

結衣も途中で起きてきたんだけど、八幡に近寄っていって抱きついてるだけじゃん!!

 

夕方、遊び疲れバンガローに帰ったんだけど、よく考えたら、うちだけ八幡と何にもなかったじゃん!!しょうがない、明日も遊ぶ予定だから、その時はいっぱい抱きつくんだから。

 

雪乃といろはが先にお風呂に行った。うちと結衣も後で入るため待っていたんだけど、結衣は寝ていたことをずっと文句言っている。

 

「みなみん、どうして起こしてくれなかったの!!」

「結衣がお酒弱いのに飲むからでしょ。でも抱きついてたから良いじゃん!!うちなんて何にもなかったんだから」

「うぅ、そうなんだけどさ。もっと海で遊びたかったし」

「明日、もっと遊ぼうよ。朝から海に行く予定だから、十分時間あるでしょ」

「そうだね、ヒッキーともっと遊ばないと」

 

雪乃といろはがお風呂から出てきたので、うちと結衣がお風呂に入るため、お風呂で水着を脱ごうとしたら、何か足元で動いた気がした。よく見るとゴキブリがカサカサ走っている。

 

「きゃーーーー!!」

「いやーーーー!!」

 

うちと結衣はお風呂から走って、部屋でお風呂を待っていた八幡に抱きついていた。

 

「は、八幡!!ゴキブリ!!」

「ヒッキー!!何とかして!!」

「と、とりあえず二人共、落ち着いて離れてくれ//」

 

八幡はうちらを離すと、お風呂に見に行ってくれたんだけど、どこにもゴキブリは見当たらなかったらしく、戻ってきたんだけど、うちも結衣も怖くて入れなかった。

 

「は、八幡。一緒に入って」

「ヒッキー、お願い」

「さ、さすがにまずいだろ、一緒に入るのは//」

「水着つけたままで良いからさ、一緒に入って」

「...ああ、分かった//」

「「....」」

 

雪乃といろははジト目でうちらのことを見ていたんだけど、さすがにゴキブリって事で何も言わなかった。

でもこれってイチャイチャイベントじゃん!!お風呂に向かう最中、そういうことを考えて、結衣の方を見てみると、多分一緒のことを考えていたんだろう。お互い目配せし頷いてお風呂に向かって行った。

 

「ヒッキー、髪洗ってあげるから、座って」

「いいよ、自分でやるから」

「いいじゃん、座りなよ。二人で洗ってあげるから」

「じゃ、じゃあ、おねがいしましゅ//」

 

うちと結衣は八幡の髪の毛を洗ってあげて、うちは洗い終わるうちに、手にボディソープを付けて、八幡の体を洗い出した。こうすれば逃げれないしね。

 

「み、南か!?か、体は自分で出来るから良いって//」

「いいからいいから。うちらが洗ってあげるから」

 

結衣も頭を流し終わって、うちと一緒に体を洗い出した。

 

「ちょ!?は、恥ずかしいから、止めてくれ//」

「良いじゃん、ヒッキー。前もやってあげるから」

 

八幡は二人に挟まれ、逃げられずにされるがままになっていた。うちは後ろから水着にも手を入れて、前に手を回そうとしていたら、浴室の扉がいきなり開けられた。

 

「あなたたち、何をやっているのかしら」ピキッ

「南先輩、結衣先輩。それ以上やると分かってますよね」ピキピキッ

 

そこには眉間に青筋を立てた氷の女王と小悪魔からサタンに変位した二人が立っていた。

うちと結衣はおとなしく手を引っ込めたが、二人は扉を閉めることもなく、立っていた。

暖かいお湯を浴びても寒く感じる。彼女達の視線はうち達を凍らせるぐらいの冷気を帯びていた。八幡がお風呂を出るまで、二人は扉の前から動くことがなかった。

 

お風呂を出たら、何時もの二人に戻っていた。まあ、何時ものことだしね。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど、海では雪乃もいろはも良い思いしていたしね。

 

「じゃあ、そろそろバーベキューの準備でもしよっか」

「そうね、野菜とか切らないといけないし、結衣手伝ってくれる?」

「うん、いいよ」

「じゃあ、私は冷蔵庫からお肉出しておきますね」

「俺は、炭に火を起こしてくるわ」

 

バーベキューの準備をしているころ、材木座君も差し入れを持って来てくれた。

 

材木座君は海産物を買ってきてくれてて、サザエやヒオウギガイ、イカなんかを持ってきてくれた。

うちはヒオウギガイって始めて食べたんだけど、めっちゃおいしい!!ビールが何杯でも行ける!!潮風を浴びながら、バーベキューもいいよね。うちはまたお酒を片手に色々食べながら、皆で騒いで夕食の一時を過ごしていた。

うちと結衣、八幡は二十を越えているんでお酒飲んでも良いんだけど、雪乃といろはは余り飲まないようにしていた。まあ、倒れると不味いしね。

ある程度、食べ終わり皆ほろ酔い気分で雑談していると、一匹の猫がうち達の近くによってきた。

 

「ああ、その猫は野良猫なんだが、ここで色々な人たちに食べ物を貰っていてな、いつの間にか住み着いてしまったのだ」

「にゃー、にゃー」

 

ほろ酔いの雪乃がにゃー、にゃー言いながら猫に近づいていき、頭をさすっていると、猫に喋り掛けていた。

 

「何を咥えているニャ?」

 

猫が口に何かを咥えていたので、雪乃が手をだすと、猫は雪乃の手に咥えていたものを落とした。

それは猫にやられたのだろう、雪乃の手の平でモゾモゾ動いており、逃げようとしているのだろうけど、のたうち回っているだけだった。

雪乃は短く「ヒッ!!」って言葉を出した後、気を失ってその場に倒れこんでしまった。

 

「は、八幡!!雪乃が!!」

「猫はゴキブリとか捕まえるからな、獲物を雪乃に見せたかったんだろ。ウェットティッシュを貸してくれ。後、誰か申し訳ないが布団を敷いてきてくれないか」

「う、うん。良いよ。ゆきのんは大丈夫なの?」

「気を失っただけだ、このまま寝かせておけば良いだろ」

「そうだね。じゃあ、布団敷いてくるね」

 

うちと結衣が人数分の布団を敷いた後、八幡は雪乃をお姫様だっこして、雪乃を寝かせに行った。

そういえば、いろははどうしたんだろうって思って彼女の方を見ると、既に寝ているみたいだね。多分、遊び疲れているところに慣れていないアルコールが入ったもんだから、一気に眠気が来ちゃったんだろう。

八幡が戻ってきたので、いろはも運ぶようにお願いして連れて行ってもらった。

 

うちと結衣、八幡、材木座君はグリルを囲みながら四人でお喋りをしていた。空には満点の星空が広がり、耳には波音が聞こえている。すごく良い所だな。

 

「ねえ、八幡。海に行ってみない?」

「私も行きたい、ヒッキー」

「まあ、散歩がてら行ってみるか、材木座はどうする?」

 

八幡が材木座君に話しかけたとき、うちは材木座君を睨みつけた。多分、結衣も一緒だと思う。それを察したのか、材木座君は管理室を離れられないと言って、グリルを見ていると言ってくれた。

 

八幡を真ん中にうちと結衣で腕に抱きついて、海に歩いて行った。良いな、こういうのも。八幡も最初は歩きにくいとか言っていたけど、海に付くころには何も言わずにうち達に腕を預けてくれた。砂浜につくと、うち達は腰を下ろしていた。

街灯が余りないので、星空が綺麗で海には漁船だろう、所々光っている。潮風が心地良い。

 

「綺麗だね。また、こうやって皆でこれたらいいね」

「うん、本当に綺麗。来年も一緒に来たいよね」

「ああ、俺も皆で何時までも、こうやって馬鹿騒ぎしていたいよ」

「「「....」」」

 

それぞれ、思う所があるのだろう。それからは無言で海を眺めているだけだった。

うち達は浜辺に腰を下ろしていたが、しばらくしてからバンガローに帰って行った。

材木座君は後片付けをしてくれていたようで、グリルの回りは綺麗になっており、火を少し起こして一人お酒を飲んでいた。

 

「材木座。すまんな、後片付けさせてしまって」

「ありがとうね、材木座君」

「中二、ありがとう」

「いや、我も今日は久しぶりに懐かしい話が出来て楽しかったのでな。これぐらいはさせてくれ。では我はそろそろ戻ろうかな、何かあれば管理室に来てくれ。今日はありがとう」

「こちらこそ、ありがとうな、おやすみ」

「「おやすみ」」

 

そろそろ寝ようかって話になり、後片付けをした後、歯磨きをしてバンガローに入って行った。外に街灯があるので部屋の中は電気を付けなくても程よい暗さになっている。

雪乃といろはは奥に寝かされていたので、三人分の布団が並んで空いている。うちと結衣は両端を選んで八幡に真ん中でなるようにお願いしていた。

 

「俺、端が良いんだが」

「いいじゃん、ヒッキー。真ん中で寝てよ」

「八幡、あんまり喋っていると雪乃といろはが起きちゃうから静かにしないと」

「..分かったよ」

 

八幡は渋々真ん中の布団に入っていき、うちと結衣は両端の布団に入って行った。

おやすみの挨拶をすると、八幡は疲れていたのか、すぐに寝息が隣から聞こえてきた。うちは暫く時間がたつのを見計らい上半身を起こした。

結衣の方をみると、目を開けてうちの事をみている。一緒のこと考えていたんだよね。お互い頷き、八幡の布団にゆっくり入って行った。

 

うちは八幡の右腕に抱きつき、八幡の右足に足を絡めていた。結衣の足と当たったようだから、一緒の恰好を左側でしているのだろう。うちと結衣が絡みついていても八幡は起きることは無かった。本当に疲れているんだね。うちは、八幡の匂いをずっと嗅いでいた。結衣も一緒の事を反対側でしているみたい。うちが八幡の胸に手をおいて擦っていると、結衣も一緒の事をしだした。

暫くたつと、結衣の上で何かが動いたのが見えたんだけど、いきなり息を飲み込む音が聞こえて、胸を触っている手が動かなくなった。何があったんだろう、うちは上半身を起し結衣をみると寝ちゃったみたいでほっぺを触っても反応が返ってこなかった。

 

うちは結衣を八幡から離すため、反対側に回り結衣を転がして八幡から遠ざけた。これで八幡はうち一人で堪能できる!!

八幡をみるとまだぐっすり眠っているみたいだし。でもよく見ると股間にテントが張っていた。

 

ゴクッ

 

い、いいよね。戴いちゃっても。八幡も疲れているんだし、疲れをとるためスッキリさせてあげた方がいいよね。暴発するより、うちが処理してあげた方が後始末も楽だし。

酔っているのか、うちの頭からは八幡の股間のことしか考えられなくなっていた。うちは自分に言い聞かせると、眠っている八幡にキスをし八幡の右側に抱きついた後、右手を胸から徐々に下ろしていき、お腹を擦りながらパンツの中に手を延ばしていった。

 

ゴゾゴゾ

 

うちの頭の上から何か音がしたので、見てみると頭の上10cmも離れていないところで、何かが動いていた。

見たこともないような大きさのアシダカグモがゴキブリを捕まえており、食べているのだろう。

うちは意識を手放した.....

....

...

..

.

 

うちが起きると八幡に抱きついていたはずなのに、一人で寝ていた。時計を見ると8時を過ぎている。ごろんと反対に体を向けると、誰かの体にぶつかったみたい。

ぶつかったのは雪乃で八幡に抱きついている。うちは体を起こして確認すると、八幡の腕枕で雪乃といろはが抱きついており、うちと結衣は布団の端っこまで追いやられていた。

 

雪乃はうちを退けて八幡の横に入ってきたな。やり返そうと思い雪乃の体を転がそうとすると、八幡の足に両足を絡めて体を動かないようにしていた。いろはも一緒のように足を絡めている。

 

こ、こいつらうちと結衣に退かされないように足を絡めていやがる。うち、入るとこないじゃん!!左右とられているし。うん?真ん中空いてるじゃん!!

うちは昨日の夜、考えたことを思いだし、手を出そうと思ったけど、それと同時に昨日の夜見た光景が脳裏に蘇り、一気に怖くなってきた。

回りをキョロキョロ見渡しアシダカ軍曹がいないか確認していると、八幡が起きたようだった。

 

「うん?お、おい。これどうなっているんだ?」

「八幡、おはよう」

「..おす、南ちょっとどうにかしてくれ」

 

うちは雪乃といろはを頭を上げ、八幡の腕を出してあげた。八幡は両腕が痺れているって文句を言いながら足に絡まっている雪乃といろはの足を退けていた。

 

「なあ、俺の隣って南と結衣だったよな」

「うん、うちも気づいたら端っこに移動してて雪乃に場所を取られてた」

「こいつら何を考えているんだ」

「そ、そうだよね。何で八幡に抱きついてたんだろ」

 

うちが夜、抱きついていたことはバレていないよね。そう思っていると雪乃と結衣、いろはも起き出した。結衣も起き出して文句を言い出した。

 

「な、なんで私こんな所で寝ているの!?ヒッキーにみなみんと一緒に抱きついて寝てたのに」

「私が起きたときは結衣先輩、そっちまで転がってましたよ。先輩には雪乃先輩が抱きついてましたし」

「「うそ!?」」

「ねえ、なんでうちが端っこで寝てて、雪乃が八幡の横で寝てたのよ」

「南。あなた私が起きたとき、八幡のズボンの中に手を半分入れていたわよ、それはどういうことか説明して貰えるかしら」

「「「え!?」」」

「い、いやぁ。覚えてないなぁ」

 

四人にジト目で見られ、うちは目を反らしていた。さすがに言えない、夜うちが何をしようとしていたか何て。

 

「まあ、良いじゃないか。朝飯食おうぜ、お腹が空いた」

「そ、そうだね。朝ご飯用意しようよ」

 

よかった。あれ以上、聞かれるとさすがに八幡に怒られるよね。三人はまだ怪しんでて、うちのこと、睨んでいるし。

 

うちらは旅行2日目も海を満喫していた。一日目と変わらず、八幡に抱きついたりしていたけど、みんなお酒は飲まないようにしていた。今日、帰らないといけないしね。

海で遊んだ後、シャワーを借りて帰り支度をしていると、材木座君が来てくれた。

 

「八幡、また機会があれば来てくれ」

「まあ、今年は難しいだろうがな」

「そうか。来週、彩加殿が来てくれるんだが」

「何!?戸塚がくるのか!?」

「左様、彼女と二人で来てくれるらしい」

「!?戸塚に彼女....」

 

八幡は戸塚君に彼女がいると知った途端、放心状態になって帰ると言って車の三列シートに乗り込んで行った。

 

「はぁ。しょうがないわね、帰りは私が運転するわ。材木座君、お世話になったわね。ありがとう」

「中二、ありがとうね」

「うちもありがとう」

「木材先輩、ありがとうございました」

「こちらこそ、来てくれてありがとう。もし来年ここでアルバイトしていたら、また来てくれ」

「うん、それじゃあね」

 

うち達は車に乗り込み、帰路についた。カバンに潜むアシダカ軍曹と一緒に....

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「今回もさがみんだけのラブコメじゃないんだよね、よかったのさがみん?」

「うん、良いよ。イチャラブ カイテ モラッタシ」

「?そういえば、材木座も出てくるんだな」

「ああ、アルバイトは他の女子を出そうと思ったのだが、また怒られそうなのでな。彩加殿も名前ぐらいならいいと許可を経ているぞ」

「それで戸塚も出しているのか、そういえば以前のSFでも出していたな」

「男で出せるのが、八幡以外だと彩加殿か我しかいないのでな」

 

たしかに今回のアルバイトであれば、材木座君が適任かもしれないわね、他の女性であれば混ざる形にしないといけないでしょうし。

 

「ねえ八幡。猫って虫とか咥えてくるのかしら」

「ああ、このラノベに書いてあるとおりだぞ、ゴキブリとか捕まえてくるからな。家のカマクラは外に出ないんで見たことはないけど」

「家猫は大丈夫なのね」

「たしか家に猫がいるとゴキブリが外に逃げていくらしいな」

「あと、アシダカグモが途中から、アシダカ軍曹ってなっているのはどうしてかしら」

「アシダカグモは益虫なのでな、敬意を表してネットではアシダカ軍曹と呼ばれているのだ」

「クモなのになんで益虫なんですか」

「アシダカ軍曹は人間に害は無くて、ゴキブリを駆除してくれるのだ」

「でも見た目キモいですよね、ゴキブリがいるのとどっちか良いんですかね」

 

一色さんはスマホでアシダカグモの画像をみて顔をしかめているわね。ゴキブリとアシダカグモ、私はどちらとも共存はしたくないわ。

 

「中二、泳ぎに行くのであれば、どういった水着か書いた方がいいと思うんだけど」

「確かに、ラノベで水着が出てくるときは細かく書いてたりするからな」

「それは怒られそうなのでやめたのだ。我の趣味を書くとこの後、指導してもらうことになるかもしれぬし...」

「...たとえば、私だとどういった水着を考えていたんですか」

「生徒会長殿であれば、ピンクとか黄色のビキニでフリフリが付いているやつで」

「うちは?」

「相模殿は白黒のビキニで考えていた、由比ヶ浜殿は黒のワンピースでお腹の横が無いタイプ」

「では、私はどういったものかしら」

「白で青色が散らばっているビキニで服みたいなワンピースが付いている奴を考えていました」

「聞いた限りでは普通の水着ね。それであれば書いてもよかったのでは?」

「名前とか詳しく分からないので、止めさせてもらいました。ムネノ オオキサ カケナイシ」

 

三浦さんが前の二作を読み終わると、いきなり文句を言い出したわ。

 

「材木、なんであーしが出ていないし!!」

「しょうがないじゃん、優美子。元々さがみんのラノベで、このシリーズは始まったんだから」

「じゃあ、今度はあーしもここに入れて」

「優美子、シェアハウスの関係で、これ以上は難しいんじゃないか」

「そこは、材木が考えればいいっしょ」

「い、一度、考えてみます」

 

私たちが話していると、ラインに折本さんから到着したと連絡が入ったわ、一色さんが迎えにいくようね。

でも材木座君はどうするつもりなのかしら、三浦さんも入れると他の人も入りたいって言われるでしょうし。でも色々考えてもらえれば、これからのラノベのためには良いのかもしれないわね。

 


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