やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第3話

奉仕部に昨日の顔ぶれが集まっていたわ。由比ヶ浜さん、一色さん、平塚先生は期待しているのか、にこやかな表情を浮かべているわね。

対して材木座君については、かなり疲労が溜まっているのだろうか、眠そうな顔をしているわ。

 

「このUSBメモリにそれぞれのラノベを書いてきたので後はお願いしていいですか、もう帰りたいんで」

「材木座、お前の書いた小説なら自分なりに評価してみろ」

「ねえ、俺は居なくても良いんじゃない?お前たちは一回ずつの黒歴史で良いけど、俺はこの後3回黒歴史が追加されるんだけど」

「良いじゃない、あなたの黒歴史が100個から103個に増えても3パーセント増えるだけよ。私なんて初めてだったからあなたの比じゃないぐらいだわ」

「いや、お前は自分から作成した黒歴史だから良いじゃん!!」

 

そう言われ昨日の出来事を思い出し赤面していると、比企谷君の顔も徐々に赤くなっていくのが分かったわ。

 

「何でゆきのんもヒッキーも見つめ合ってんの!!」

「先輩!!、きもいです、きもいです!!」

「ねえ、きもいって大事なことだから2回いったの?」

「まあ良いじゃないか。今から私たちにも黒歴史が作成されるのだし」

 

「では誰のラノベから発表するのかしら」

「最初は私が良いです!!先輩が読んでくれるのが一番良いんですけど、さすがにやってくれないと思いますので、雪ノ下先輩お願いします。で、私の声は結衣先輩お願いします」

「ええ、分かったわ」

「いいよ、いろはちゃん」

「やっぱり、帰っちゃだめ?」

「駄目(よ)(です)(だ)!」

「じゃあ、始めましょうか」

 

**************************

 

(ここから材木座の小説)

 

奉仕部が終り下駄箱で上履きを片付けていると、突然目の前が真っ暗になった。

 

「だーれだぁ」

「その声は一色だろ、何してるんだ」

「何してるかって、目隠ししているんですけど」

「いや、名前当てたんだから手を離してもらえないか」

「えーー、かわいい後輩に触れられているんですよ、ほかに言うことはないんですか」

「はいはい、かわいいかわいい」

「なんですか、その棒読み、もうちょっと愛情をこめて伝えてください。って、きゃあ!!」

 

そういうと一色は手を離して俺との距離をとった。だが一色の後ろに段差があり、躓いて尻餅をついていたのだが俺のほうに脚を向けていたため、M字開脚しており青白の縞々パンティが丸見えになっていた。

 

「いや!!先輩見ないで!!」

「すっ、すまん!!」

「痛っ!!」

 

一色はすぐ足を閉じ、立ち上がろうとしているが、足を痛めたようで苦悶の表情を浮かべていた。

 

「一色、動けないんだろ。保健室に連れて行ってやるから俺の背中に乗れ」

「ええ、でも恥ずかしいです」

「でも動けないだろ、良いから乗れって」

「...先輩、すみません。じゃあ失礼します」

「おう」

「......」

 

お互い、恥ずかしさで無言になっているが、俺の精神がかなりまずいことになっている。一色をおんぶして保健室に連れていくだけなのだが、やばい!!

何がやばいかって俺の背中に当たる感覚が!!それと俺が手で支えている太ももの感覚がもっとやばい!!

思わず手を動かしてスベスベな太ももを堪能したいが、それをやると俺は警察の世話になってしまう。なんとか自分の欲望と戦い理性を保ちながら保健室に連れて行った。

 

「軽くひねっただけだと思うけど、無理しないでね。明日腫れが引かないようだったら病院に行ったほうが良いわね。家までは大丈夫?私が送っていければ良いのだけれど、この後職員会議があって何時になるか分からないの」

 

保健医の先生がそういうと一色はお礼をいい、帰り支度を始めたが歩くのが辛いのか、ひょこひょこ歩いていた。

 

「なあ、一色帰れるのか」

「大丈夫です、これ以上先輩に迷惑を掛けるのは悪いですし」

 

そういうと一色は俺の横を通り過ぎようとしていたが、無理しているのが解った。どうすればいいんだ、これ。まあ恥ずかしいが肩を貸してやればいいか。俺は一色の腕をとり自分の首に回した。一色は一瞬ビクっとしたが、拒否されることもなく無言で2人、下駄箱まで歩いていった。

 

「一色、ここで待っててくれ」

「ここまで連れて来てもらってありがとうございます。先輩は帰ってもらって良いですよ。あとは何とか1人で帰りますから」

 

俺は一色と一旦離れ自転車を取りに行き、下駄箱まで向かったが一色の姿はなかった。ただ、校門のほうを見ると一色が一人、無理して歩いているのが見えた。俺は一色を追いかけ声を掛けた。

 

「無理するな」

「いえ、先輩にこれ以上ご迷惑は掛けれないので」

「良いから自転車の後ろに乗れって」

「..でも」

「そんな調子で歩いていたら家に何時間かかるか分からないだろ、俺のことは気にするな」

「....じゃあ、お願いします」

 

そういうと一色は素直に自転車の後ろに跨ったので、俺はゆっくり自転車を漕ぎ出した。

 

「....」

 

また無言だ。たまに一色が方向を指示するぐらいでお互い何も喋らない。俺は喋れないんだけどね。腰に手を回しているんで背中に当たる感覚がとても気持ち良い。いやいや注意して運転しないと。そんなこと考えていると一色家に着いたようだ。

 

「ありがとうございます、先輩。お礼がしたいのでお茶でも飲んでいってください」

「いや、悪いだろ。別にお礼なんかいらないし」

「いえ、このまま帰したら私がお母さんに怒られます」

「....分かった。じゃあお言葉に甘えようかな」

「はい、あがってください」

「お邪魔します」

 

家に上がると電気が消えており、誰もいないことが分かった。いやこれ不味いんじゃないの?一色は問題ないの?まあ俺のこと男として意識していないだけかも知れないけど。なにそれ悲しい。リビングに入りソファーにとりあえず2人腰を下ろした。

 

「ごめんなさい、先輩。お母さんがいると思っていたんですけど出かけているみたいで。でもお茶ぐらい飲んでいってくださいね」

「いや、じゃあ帰ろうかな。勝手に男が上がりこんでいるとか、よろしくないだろ」

「待ってください、すぐお茶を出しますから」

 

そういうと一色は立ち上がり動こうとしたが足の踏ん張りがきかず、俺のほうに倒れ掛かってきた。

 

「きゃ!!」

 

俺の胸元に一色は顔をうずめ、一色は呟いた。

 

「....どうして先輩は私にこんなに優しくしてくれるんですか。今日みたいなことされたら、先輩の事がもっと好きになっちゃいます」

「一色それは勘違いだ。よく言う吊橋効果みたいものだ」

「私の気持ちを一時の気の迷いみたいに言わないでください」

 

そういうと一色は俺の胸から顔を離した。

 

「先輩、ずっと好きでした。私じゃ駄目ですか?」

「いっし...いや、いろは。俺は何時も俺のそばに居てくれる、いろはが好きだ」

 

そういうといろはは、目を潤ませ顔を近づけてきた。そしてお互いの唇を重ね合わせた。

 

 

「ごめん、いろは。お母さん昼寝して....あ、あなたたち何しているの!?」

 

昼寝していたいろはの母親にキスしているところを見られた。なにこれ恥ずかしい。

この後、いろ母から質問攻めを受けたが、初めて俺に彼女ができた記念すべき日となった。

 

 

(ここまでが材木座の小説)

 

**************************

 

 

「....」

「いや、これ一色じゃないだろ、こんな謙虚な一色、見たことないし」

「私、謙虚ですよ!!おしとやかですし!!」

「はいはい、『謙虚』と『おしとやか』を辞書で調べてこい」

 

ギャーギャー!!

 

2人顔を真っ赤にして照れ隠しなのか言い合っているわ。確かにこんな一色さんは見たことないわね。

 

「私の時も思ったのだけれど、どうしてショーツを見せるの?その次の文章に繋がっている訳でもないのだから、不要と思うのだけれど」

「いや、ラッキースケベはラノベの基本なので必ずどこかには入れたいんです」

「まあ、あなたにも拘り(こだわり)があると思うのでいいのだけれど」

「ねえ、中二。その、キ、キスをした後、すぐに終っちゃうんだけれど、お互いの考えや感想とか入れたらどうかな」

「我に経験のないものは書けん!!」

「そんな、言い切られても....」

「でも他の小説を読めば参考に出来るのではなくて?」

「いや、どうしても八幡がイチャコラしているのは腹の虫が治まらなくなりますし」

「おなかがすくの?」

「はぁ、由比ヶ浜さん『腹の虫が治まらない』とは怒りがおさまらないってことよ」

「へぇ」

「でも由比ヶ浜殿のラノベは接吻後も少し続いておるぞ」

「じゃあ、期待しちゃおうかな」

「まあ、私は後二つ聞き終わった後、感想を言わせてもらうよ」

 

材木座君は段々なれてきたのか、最初のころのような変な敬語はあまり使わなくなっているわ。でも私に対してはどうしてか、抜けきらないようだけれど。

 

こうして一色さんのラノベは終了したわ。

 


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