やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第29話

「ひゃっはろー」

「こんにちは、陽乃」

「うん、比企谷君こんにちは」

「はぁ、姉さん。またラノベを頼んでいたようね」

「雪乃ちゃん、自分たちも一杯書いて貰っているんだから良いでしょ」

 

今日は既に材木座君が来ていて誰のラノベを書いたか聞いていたけれど、材木座君も大変ね。こんなにラノベを書かされて。私たちは良いのよ、奉仕部で受け持った依頼だから。

材木座君は姉さんが来る前に由比ヶ浜さんに呼んで貰っていたわ。

 

「じゃあ、みんなで読んでみましょうか」

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

私は高校三年となったが何も面白い事がない。あるとすれば静ちゃんと話しているときぐらいだし。だから静ちゃんが作った奉仕部に入ったけど、依頼と言っても詰まらないものばかり。高校になったら中学の時より面白可笑しく三年間過ごせると思っていたけど、この二年間はたいして面白いことは無かったな。後一年。ううん、もしかしたら大学に入っても一緒なのかな。私がそんな思考を巡らせていると、扉がいきなり開けられた。

 

「陽乃、失礼するぞ」

「静ちゃん、ノックぐらいしてよ」

「陽乃、先生と呼べ。良いじゃないかノックぐらい。比企谷、お前も入れ」

 

そういうと静ちゃんは男子生徒に部室に入るよう促した。多分一年生だよね、彼を見ると目が淀んでいるように見える、何か依頼かな。

 

「お、お邪魔しましゅ」

「ぷぷ、しましゅって」

「陽乃、笑うな。緊張しているだけだ。この小僧なんだがな、余りにもふざけた宿題を提出したので、罰として奉仕部に入部させることにした」

「小僧って。そりゃ先生の歳から見たらガキでしょうけど」

 

その男子が言い終わるかどうかの所で、静ちゃんが拳を出していた。髪の毛が揺れている、静ちゃんの拳を避けることが出来る人、中々いないからね。静ちゃんがワザと外したんだろう。

 

「比企谷、女性に年齢の事を言ってはいけないな」

「わ、分かりました。でも、なんですか入部って俺、何も聞いてないですよ」

「今、始めて言ったからな。お前は陽乃と一緒にこの部室で部活動をするんだ。陽乃、後は任せたぞ」

 

静ちゃんはそう言うと、部室を出て行った。

 

「座ったら」

「あ、はい。一年F組の比企谷八幡です」

「私は三年の雪ノ下陽乃よ、知ってるよね」

「いいえ、始めて知りました」

「...ふーん、それでどんなフザケた宿題を提出したの?」

 

私を知らない子なんているんだ。まあ一年生ってことは入学して一ヶ月も経ってないし、そう言う子も居るんだな。今のところ大きなイベントもなかったし。

 

「中学生活を振り返ってって作文ですよ。ちゃんと書いたんですけどね」

「どんな内容を書いたの?」

「リア充、爆発しろとかですね」

「あはは、それは静ちゃん怒っちゃうよ。それでここに連れてこられたんだ」

「ええ、ここは雪ノ下先輩一人ですか」

「うん、入りたいって子はいたんだけど、私からお断りしているの」

「じゃあ、雪ノ下先輩から平塚先生に言ってください。比企谷は要らないって」

「どうして?こんな綺麗なお姉さんと一緒に居られるんだよ」

「..正直に言っていいですか」

「うん、いいよ」

「雪ノ下先輩の表情、はっきり言ってすごく怖いです。その作った表情から何を考えているか、読めないんです。そんな表情されて二人で部活なんて、俺にはとても耐えきれないですよ」

「..ふーん、私のことそんな風に言った人初めてだよ」

 

何?この比企谷君って子、私の仮面を見破ったって言うの?初対面で見抜かれたことなかったし、何時も一緒に居るクラスの子たちにもバレていないのに。

これは静ちゃんにお礼を言わないといけないかも。すごく面白い子を連れてきてくれたんだから。

 

「では雪ノ下先輩。平塚先生のことお願いします」

 

そういうと比企谷君は席を立とうとしたので、私は呼び止めていた。素顔を出して。

 

「比企谷君、何を言っているの?辞めさせる訳ないでしょ。私の素顔を見たんだから」

「...綺麗ですね、俺は素顔の方が好...い、良いと思いますよ//」

「ふふ、ありがとう。でもこれで部活は一緒にやらないとダメだからね」

「...はぁ、分かりました。では雪ノ下先輩。これからよろしくお願いします」

「じゃあ、これから私は八幡って呼ぶから、八幡は陽乃って呼んで」

「い、いや、それは出来ないです。雪ノ下先輩」

「陽乃」

「雪ノ「陽乃」下...」

「...」

「...は、陽乃さん」

「..まあ今はそれでいいか。いつか呼び捨てにしてね、八幡」

 

こうして奉仕部に新しい部員が入ってきた。私は八幡の事を何も知らない。八幡も私の事を知らない。でもこれから二人で過ごして、お互いの事を理解していければいいな。

 

八幡が入部してから一週間、私たちは色々な事を話した。八幡が部活に入ってから、私は学校に来るのが楽しみになっていた。八幡と話しているだけなんだけど、凄く楽しくて堪らない。

八幡には友達はいないらしい。私には友達と呼べる人はいるけど、でも本当の意味での友達って居るのかな。本当の友達って何だろう、お互いの考えを言い合ってる人?それであれば、八幡と私は既に友達だと思うけど。私の友達で考えを言い合って尊重できる人って八幡ぐらいしか思いつかない。

 

「八幡、私と八幡って何?」

「部活仲間って所じゃないんですか」

「私と八幡は友達じゃないの?」

「..友達って今まで居たことないんでよく分からないんですよ、話したりウェイウェイ騒ぐだけなのが友達なら、俺と陽乃さんは色々話しているんで、友達って言って良いと思いますけど」

「そんなに深く考えなくていいでしょ、八幡は私の素顔や今まで話してきたことを知っている。私は八幡の話してきたことを知っている。お互いの意見を言い合える、だから友達じゃ駄目?」

「まあ、陽乃さんが俺で良いのなら」

「うん!!じゃあ、これからは友達ってことで願いね」

「はい、俺もお願いします。は、陽乃//」

「!!...うん、八幡//」

 

今まで、呼び捨てで呼んでって言っても聞いてくれなかったのに、始めて呼ばれて私は照れてしまった。八幡も照れてるけど、こういう所可愛いんだよね。達観した事を言ったり、捻くれた考えを持っているけど、私と話している時たまに年上のように感じることがある。自分の考えをしっかり持っているから、つい甘えそうになったり、頼ってしまいそうになることもあるし。

 

「八幡、ひゃっはろー!!」

「おはようございます。なんですか、その挨拶は陽乃さん」

「陽乃」

「は、陽乃//」

「ちょっ、て、手を繋がないでくださいよ//」

 

私は挨拶をするとすぐ彼の手を取った。私もちょっと恥ずかしいけど、八幡は顔を真っ赤にしている。下駄箱なので、他の生徒が私たちの事を見て驚いた表情をしていた。私は今まで異性に対してこういった態度をとったことはないけど、八幡だけは別。私を対等に見て接してくれるから。

私たちが八幡の教室に向かっていく最中、廊下はさながらモーゼの十戒のようだった。生徒が私たちを見るとみんな廊下の端っこに移動して、こちらを眺めていた。

あーあ、楽しい時間ってすぐ過ぎちゃうな、もう八幡の教室に着いちゃった。この手を離さないといけないな。

 

「八幡。また部活でね」

「分かりました。陽乃さん」

「....」

「陽乃//」

「うん、じゃあね」

 

放課後、部活に八幡が顔を出すと挨拶もそこそこに、すぐ文句を言ってきた。

 

「今日、大変だったんですよ。話したこと無い連中から「何で手を繋いでいるんだ」とか「名前で呼んでいるけど付き合っているのか」って、質問攻めですよ」

「へぇ、それで八幡はなんて答えたの?」

「と、友達だって言いましたけど//信じてもらえなかったですね」

「よかったじゃん、クラスでも話す友達作れるかもよ」

「良いですよ、そんなの。皆、俺を通して陽乃の近くに近づきたいだけなんですから」

「八幡はそういうのも分かっちゃうんだ」

「そりゃ、今まで喋ったこと無いのに、今日の朝のことで喋りかけられれば、嫌でも気付きますよ」

「でも、中には八幡と話す切っ掛けが欲しかった子がいると思うよ」

「それは無いですね、俺と喋りたいって奇特な人がいるとは思えないし」

「じゃあ、私は奇特な人なんだ」

「そうじゃないですか、俺を部活に入れて話し相手にしてるぐらいなんで」

「あはは、そうだよね。....八幡。今もこの部活、辞めたいと思っている?」

「..俺は陽乃と話している時、すごく充実しているんですよ。お互い本音で喋れるって中々無いですからね。ここに入るまでは学校にも来たくなかったんですけど、今はこの部活が楽しみで学校に来てますよ」

「よかった、そう言って貰えて」

「でも、陽乃は三年だからもうすぐ引退ですよね」

「え?なんで?」

「普通、一学期が終了したら、受験勉強のために引退するんじゃないんですか?」

「私、辞めないよ。受験勉強なんてしなくても大学入れるから。勉強するならここでも出来るしね」

「じゃあ、まだ部活続けるんですね.....ヨカッタ」

 

中間テストが始まるので、部室が一週間使えなくなった。八幡と合えない。って普通なら思うんだろうけど、私は八幡のクラスに放課後お邪魔していた。

 

「ひゃっはろー、八幡」

「は、陽乃。何しにきたんですか」

「部活ないからさ、遊びにきたよ」

「すみません。俺、さすがに勉強しないと不味いんで」

「じゃあ、お姉さんが見てあげるよ。八幡って数学苦手なんだよね」

「結構ですよ。陽乃は自分の勉強してください」

「私、やる必要ないもん。八幡の苦手教科教えてあげるからね」

「..じゃあ、お願いします」

 

私たちは放課後、サイゼや図書館に行って勉強していた。八幡は数学さぼっていただけで、理解はするんだよね。だから教えている方も楽しくなってくる。いくらでも教えたことを吸収していくから。

 

「八幡。中間テスト終ったけど、どうだったの」

「陽乃のおかげですごくよかったですよ、全教科平均点以上でしたし」

「そんなので満足していたら駄目だよ。学年一位を目指さないと」

「俺なんかには無理ですよ。今の成績を維持するように頑張りますよ」

「だーめ。私と一緒の大学を目指してもらわないと。まあ私の希望だけどね」

「..まあ、努力はしますが、期待しないでくださいよ」

 

私は八幡といる時間を高校だけで終わらせたくなかった。私が大学に行っても二年待っていれば、その後の二年間は一緒に過ごせるから。

 

「雪乃ちゃん。今日、私の友達呼んでいるからね」

「姉さんが友達を家に呼ぶなんて珍しいわね、どういった人?」

「私の仮面を初対面で見抜いた捻くれた思考の持ち主だよ」

「..何時も喋っている人よね、信頼出来る人?」

「私を雪ノ下家の陽乃ではなく、雪ノ下陽乃として見てくれる。そう言えば雪乃ちゃんなら分かるよね」

「部屋に行っていようと思ったけれど、私も興味が出てきたわ。姉さん、紹介してもらえるかしら」

「うん、良いよ。じゃあ私は駅まで迎えに行ってくるわね」

 

私は自分の誕生日、八幡を家に招待した。最初は渋ったけど、最後には言うこと聞いてくれるんだよね。珍しく雪乃ちゃんも興味示したみたいだし。

私が駅に着くと、八幡は既に待っていた。待ち合わせ時間より、30分も早いんだけど。

 

「おはよう、八幡」

「おはようございます」

「待たせて悪かったわね」

「いいえ、俺も今来た所ですから。陽乃も早いですね、まだ30分前ですよ」

「八幡に早く逢いたかったから//」

「か、勘違いしちゃうんで、やめてください//」

 

勘違いしてもらって良いんだけどな。でもそう言う考え方が、八幡なんだよね。

家に着くと、玄関には雪乃ちゃんが待っていてくれた。雪乃ちゃんも私の話を聞いて興味津々なんだろうな、普段なら人見知りするので自分から出てくることはないのに。

 

「ただいま、雪乃ちゃん」

「お帰りなさい、姉さん。は、はじめまして、雪ノ下雪乃です。中学三年生です//」

「比企谷八幡、総武高校1年だ。よろしくな」

「はい、上がって。今日は三人しか居ないから八幡も気楽にしてってね」

「じゃあ、お邪魔します」

 

二人は私の誕生日を祝ってくれた。この前の休み、親が知り合いを呼んでパーティを開いてくれたけど、今日二人が祝ってくれる誕生日会の方が比べ物にならないくらい楽しい。

二人は私に誕生日プレゼントを用意してくれていた。雪乃ちゃんからはハンカチ。八幡からはヘアピンのセット。私が着けると八幡がテレながら似合うと言ってくれた。雪乃ちゃんも褒めてくれた。

 

「あ、あの、比企谷さん。これから八幡君って呼んでいいですか」

「うん?ああ、良いぞ。俺も雪乃って呼んでいいか」

「はい。八幡君は総武高校ですよね、私も来年入る予定なので、入ったらよろしくお願いします」

「ああ、雪乃が総武高校に入ってくれると嬉しいな。もしかしたら一緒に遊べるかもしれないし」

「ねえ、あなたたち。今日の主役は私だよ、どうして二人で話し込んでいるのかな」

「姉さん、良いじゃない。やき餅はみっともないわよ」

「うう、八幡。雪乃ちゃんが虐めるぅ」

「いいじゃないですか、雪乃みたいに可愛い子が俺と話してくれるなんて無いんですから」

「か、可愛い//」

「八幡。私といっつも話しているじゃない!!」

「は、陽乃は可愛いって言うより、そ、その綺麗って言った方が//」

「年上でも可愛いって言ってもらいたいの」

「..陽乃も可愛いですよ//」

 

そう言って私の頭を撫でてくれた。八幡から私に触れてくれたのは初めてだけど、何かすごく恥ずかしい。でも心地いいな、何時も聞いている妹の小町ちゃんにやってあげて慣れているんだろう、すごく安らぐし。私が照れていると、雪乃ちゃんがこっちを見て頬を膨らませていた。雪乃ちゃんも八幡に撫でられたいんだよね。でも今は私だけを撫でていてほしい。

 

テストは私が八幡に教えていた結果か分からないけど、学年十位に入ったみたい。このまま頑張ってくれれば、好きな大学に入れるよね、進路は自分で決めてほしいし。本心は一緒の大学に来てほしいんだけど、そんなことお願いできない。私の我儘で八幡の進路を決めてほしくない。

 

休みの日も遊ぶようになったんだけど、雪乃ちゃんが付いてくるようになった。でも八幡も小町ちゃんを連れてきてくれたんで、雪乃ちゃんの友達になってくれた。

小町ちゃんは中二だけど、八幡が通っているので総武高校を目指しているみたい。八幡の話だと、難しいかもって言っていたけれど、入ったら八幡、雪乃ちゃん、小町ちゃんが一緒に高校生活送るんだよね。なんだか私が入れないのが悔しいな。

 

「陽乃、最近楽しそうだね。比企谷君は陽乃にとって大事な存在なんだね、告白しちゃえば?」

「な、何を言っているのよ、は、八幡は友達だよ//」

「小中高って一緒だけど、陽乃のそんな表情見たことないよ。でもよかったじゃん、陽乃が信頼出来る人を見つけられて」

「...うん」

 

文化祭なんかのイベント、私と八幡は何時も二人で作業を楽しんでいた。回りも私の表情が八幡といると生き生きしていると言って、好意的に見てくれているみたい。後で何時もからかわれたりしたけれど。

 

私も高三になってから。ううん、八幡と出会ってから一変したのを感じている。この高校生活を終わらせたくない。でも私はもうすぐ卒業してしまう。八幡と離れたくない。

 

卒業式の日、私は奉仕部に足を運んでいた。今日で部室ともお別れ。私と八幡二人で過ごしてきた大切な場所。扉を開けると八幡が座っていたけど、私が部室に入ると席を立ち上がってきた。

 

「陽乃、卒業おめでとうございます」

「..八幡、今までありがとう。今度雪乃ちゃんが入って来るから、仲良くしてあげてね」

「ええ、雪乃と奉仕部を続けていきますよ」

「....うん、お願いね。じゃあ、さようなら」

 

私は涙を見せたくなくて、八幡の前から逃げるように出ていこうとしたけれど、八幡に呼び止められていた。

 

「陽乃、待ってくれませんか」

「何?八幡」

 

私は八幡に背を向けたまま話していた。自分がこんなに弱いとは思っていなかった。今まで、小学校、中学校と卒業式を経験したけど、こんなに悲しく、寂しく、そして名残惜しいと感じることは無かった。

八幡には泣き顔は見せたくない、こんな弱い私に幻滅するだろうから。

 

「俺、陽乃の大学に行きます。だから待っていてください」

「...だ、駄目だよ。進路は自分のやりたいことを見つけて決めないと」

「決めてますよ。俺は陽乃と一緒に奉仕部を作って、二人で大学生活を送りたいんです。だから待っててください。絶対行きますから」

 

私の目からは大粒の涙が溢れ出していた。八幡は私に近づいてきて、私の手をとり振り向かせた。

 

「俺は陽乃の事が好きです」

 

私は八幡に抱きついていた。泣いているだけで言葉が出せず、返事も出来なかったけど、八幡は何時までも私の頭を撫でてくれていた。

 

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「中二、ちょっと急ぎすぎじゃないかな。卒業まで書いているんでしょうがないんだろうけど」

「ああ、そうだな。最初の方はまだ良いんだが、イベントとかもうちょっと細かく書くべきじゃないか」

「そうね期間を考えると、3部作とかに分けたほうがよかったと思うのだけれど」

「皆の言う通りちょっと早足だよね。でも書きたい事は伝わるので後は掘り下げて書くようにしていったらどうかな」

「私が出て来た所で八幡をどうして信用したか、書いても良いでしょうね」

「比企谷君と私で口論するのも良いかもね、出会いの時にお互いの主張を言い合って認めていって、私が比企谷君を信頼していくって形にしたほうがいいかな」

「ただ、主張については難しく無いですか」

「何でも良いんだよ、学校に対してとか授業についてとか、些細な事で口論するってよくあるでしょ」

「そうですね、参考にさせてもらいます」

 

批評が終わり皆で紅茶を飲んでいる時、姉さんが何か考え込んでいたわ。よからぬ事を考えてなければ良いのだけれど。

 

「比企谷君、私決めた」

「何を決めたんですか」

「土日、今まで連れ回していたけど、今週から比企谷君の家庭教師するからね」

「け、結構ですよ、文系私立なら行けるんで」

「大丈夫よ、私がご両親に国立に進む事のメリットを説明させてもらうから」

「陽乃、止めてください。家の両親なんて国立だと費用が安くなるって理由だけで決めそうなんで」

「でも勉強しておいて、損はないはずだよ。比企谷君、将来やりたいこと決まっているの?」

「..いえ、まだですけど」

「それなら、選択肢を増やすためにも勉強しようね。どうせ比企谷君には断れないんだから、諦めなさい」

 

そういうと、姉さんはスマホをプラプラし出したわ。多分、あの中に八幡が録音した音声ファイルを入れているのね。でも姉さんの事だからバックアップもしっかりとっているのだろうけれど。

姉さんはこのラノベのような事を実行するつもりね、私も一緒の大学に行っても良いのかもしれない。大学でも奉仕部のような集まれる場所を作れば、楽しくなるでしょうし。

 


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