やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第22話

「今回、相模殿に依頼されて書いてみたのだが、2部構成にしてみたのだ」

「中二、2部構成って、どういうこと?」

「高校編と大学編って形に分けさせてもらった」

「材木座も色々試しているんだな、でも大学生活はあまり分からないんじゃないか」

「キャンパスライフではなく、同棲生活を書いているのだ」

「う、うちと八幡の同棲生活//」

「まあ、その辺は読んで貰えれば、分かると思うぞ」

「ただ、今回は先に生徒会長殿に読んで欲しいんだが」

「私や由比ヶ浜さんでは駄目なのかしら?」

「二人共、大学編に出ているので」

 

一色さんが、ラノベを読み終わると頬を膨らませて怒っているようだったわ、何か不味いことがあったのかしら。

 

「内容は問題ないんですけど、ちょっと後で言います」

 

何が書いてあったのかしら、でも後で聞けば良いわね。落ち込む内容とかではなさそうだし。

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

高校編。

 

うちは今、比企谷に壁ドンされてる!!ヤバい、どうしてこうなってるの!?

 

一週間ほど前、うちと比企谷は進路指導の先生に呼び出されていた。どうも比企谷と一緒の大学を希望していたらしい。後、数名一緒に呼び出されていたしね。

 

「お前たちが志望している大学なんだが、オープンキャンパスの日程が急遽変更になったと通知がきてな。今度の土曜日に変わったんだが行けるか?」

 

うちは特に予定もなかったので、行けると伝えた。比企谷も行けるらしい。比企谷はどうせ休みの日とか家でゴロゴロしているだけだろうけど。他の志望者は他のオープンキャンパスと重なるとか予定があるとかで、うちと比企谷だけが出席ということになった。

 

え?うち、誰かに連れてって貰えばいいや。って思っていたんで、こっちからの行き方とか全然知らないんだけど。比企谷に連れていってもらうしかないじゃん。でも比企谷とは色々あったから頼みにくいな。以前奉仕部に行って謝ったけど、まだ本当は許してくれてないと思うし。そう考えていると比企谷は問題ないのか、進路指導室を出ていった。

 

うう、どうしよう。うち行き方を調べても行ける自信がない。比企谷にお願いしてみようかな、でも嫌がられるだろうけど。でも一回聞いてみよ、そう考えて比企谷の後を追いかけて声を掛けた。

 

「あ、あの比企谷。オープンキャンパス一緒に連れてって貰えない?」

「ええ、やだよ。面倒くさい」

「..うん、ごめん。うちと一緒だとやだよね。喋り掛けてごめん」

 

そういって、うちは比企谷のそばを離れようとすると、比企谷は頭を掻きながら、うちに声を掛けてきた。

 

「相模、朝早くて良いなら一緒に行ってもいいぞ」

「いいの?うちなんかと一緒で」

「朝7時には出るつもりだったから。後、別にお前と一緒がイヤだとか思ってないからな」

「うん、ありがとう。じゃあ細かいことは後で教えて」

「ああ、分かった」

 

うちは今、比企谷の事が凄く気になっている。今回も最初は嫌がってても、うちのことをちゃんと考えてくれてる。ただ一方的に頼っただけだけど、それでも比企谷の優しさが伝わってきた。

 

うちと比企谷は土曜日の7時に駅に集合した。今日の朝は大変だった。比企谷に可愛い恰好を見てもらいたいため、昨日用意していたミニスカートを履いたんだけど、なんだかしっくりこなくて洋服ダンスを引っ掻き回していた。なんとか集合時間に間に合ったけど、比企谷を待たせてしまったようだし。

 

「..相模。その、凄く可愛い格好だな//」

「え!?..あ、ありがとう//」

「でも電車の中、気をつけろよ。土曜日と言っても満員電車だからな」

「あ、そうか。何にも考えてなかった」

 

比企谷に見てもらいたい一心でそんなこと考えてもいなかった。でも土曜日だから大丈夫でしょ。

電車に乗ってすぐ、うちの考えが誤っていたことが分かった。どうしてこんなに混んでいるの?平日はこれより凄いんだよね。お父さんたちも大変だな。

 

「相模、こっちに来い」

 

次の駅で、ちょうど開いた扉横のスペースに比企谷はうちを誘導してくれた。ここなら痴漢とか大丈夫だよね、でもうちと比企谷は向かい合う形でちょっと恥ずかしいけど。

また次の駅に着いたようだが、反対側の扉から結構な人が乗ってきたようで、うちと比企谷の距離がほとんどなくなっていた。

比企谷はうちの頭に右手を回した状態で肘を壁につけている。うちは比企谷の胸に頭をくっつけて、右手は比企谷の胸に添えていた。

うちの左手はカバンをもっていて、下に垂らしているが、比企谷の股間に思いっきり当たっちゃっている。しょ、しょうがないよね、でもこんな状態でも何だか嬉しい。比企谷の匂いを嗅いでいると凄く落ちつける。うちは目を閉じて体を比企谷に預けていた。

 

「さ、相模。恥ずかしいんで、右手を動かすの止めてくれ」

 

え!?うちは比企谷の匂いを堪能していて気づかなかったが、いつの間にか右手で比企谷の胸を擦っていたようだった。は、恥ずかしい。でも比企谷もこれで、うちのこと意識してくれるかな。うちは顔を上げ比企谷と見つめあうようにした。顔が近い!!後ちょっとでキスできそう!!

 

「..駄目?」

「こ、こんなところで止めてくれ」

 

比企谷はうちの耳に顔を近づけそう言ってきた。電車の中じゃなかったら良いのかな。もうちょっと触っていたいな。でも怒られたくないので、これ以上は止めておこ。一言「うん」って言って、右手は比企谷の腰に手を回して抱きつき、うちは比企谷の匂いを堪能することだけに集中し目を閉じた。

 

東京駅に着くと、ようやく満員電車から解放された。比企谷の顔は凄く赤くなっている。うちも顔は赤くなっているけど、比企谷を堪能出来たから満員電車も良いと思った、次の電車もこれぐらい混んでくれればいいけど。

 

「じゃ、じゃあ、次の電車のホームにいくぞ」

「うん、また混んでたら守ってね」

「次はあんなに混まないだろ」

「..そうなんだ」

 

比企谷の言ったとおり、あまり電車は混んでいなかった。残念だな。

 

大学に着くとサークルの紹介とかで人が溢れていた。うちもサークルには興味あるけど今日は色々見て回らないとね。

うちは比企谷の後ろを着いていこうとしていたが、いきなり手首を捕まれ呼び止められた。

 

「君、可愛いね。どうサークルのこと紹介するんで、こっちに来ない?」

「い、いえ、今日は色々見て回りたいんで結構です!!」

「俺たちが、色々教えてあげるからさ」

「て、手を離してください!!」

 

うちが何を言っても手を離してもらえず、引っ張られそうになったところで比企谷が来てくれた。

 

「すみません、こいつ俺の彼女なんで辞めてください」

「あ、そうなんだ。悪いな」

 

そういってようやく手を離してくれた。いやだ、こんなの。好きでもない奴に体を触られたくない。

 

「あ、ありがとう。比企谷」

「..わるいな相模、彼女なんて言って。お前、可愛いんだから気をつけろよ」

 

今回は比企谷が守ってくれたけど、うちは怖くて比企谷の空いている左手を握ってお願いしていた。

 

「..凄く怖かった。比企谷、今日一日で良いから彼氏になって。うちの手を離さないで」

「..ああ、分かった」

 

そこから、うち達は手を繋ぎながら大学の施設を見学し、楽しい時間を過ごした。

うちはこの大学に入れるか微妙な成績だけど、比企谷と一緒にキャンパスライフを過ごしたい。もっと勉強を頑張らないと。そんなことを考えていた。

今握って貰っている手は今日一日でおしまいだけど、大学に入った後も手を繋いでもらえるといいな、その時は恋人繋ぎで。

 

 

大学編。

 

うちと八幡は一緒にオープンキャンパスに行った大学に無事、合格していた。今は普通に会話するようになり、お互いのことを名前で読んでいる。でも八幡はまだ誰とも付き合っていない。今日は奉仕部にお邪魔して八幡と一緒にアパートニュースを広げていた。

 

「八幡はどういう間取りの部屋を借りるの?」

「まあ、金銭的に1Kとかになるだろうな。でも、ある程度綺麗なところだと6万とかするんだな」

「うん、セキュリティとか考えると、1Kでも8万とかだよ」

「ああ、でも荷物がほとんど置けないんだよな、せめて二部屋あるといいけど」

 

雪ノ下さんと結衣ちゃんがいる中、ちょっと言いにくいけど、うちはずっと考えていたことを八幡に提案した。

 

「あ、あのさ、八幡。うちとルームシェアしない?」

「はぁ!?一緒に住むってことか」

「「....」」

「うん、だって3LDKだと安いところは10万ぐらいでしょ。広いし八幡がいればセキュリティ考えなくいいし、荷物を置くところに一部屋使えるでしょ。ご飯も二人で交代で作れば、自分の時間が作れるし家電製品も二人で共用すればかなり費用を抑えれるよ」

「た、確かに魅力的な提案だが、南はいいのか。その、俺と二人で住むってことに」

「うん、ルームシェアなら普通でしょ」

「は、八幡。相模さん。もし良かったら私もルームシェアに入れて貰えるかしら、三人になればもっと良いところに住めると思うわよ。私の持っている家電製品を使えば新しく買わなくて良いでしょ」

「雪乃は金銭的に困ってないだろ、わざわざルームシェアしなくても良いじゃないか」

「私も今までの一人暮らしで、無言でインターフォンを押されたりして怖いこともあったのよ、八幡が居れば問題ないでしょ」

 

な、なんてこと言い出すのよ、雪ノ下さん。それだとうちと八幡のラブラブチュッチュなイチャイチャ同棲生活が出来ないじゃん!!

 

「ま、まって雪ノ下さん。大学が違うんだから通えないんじゃないの?」

「相模さん、大丈夫よ。あなたたちが住む予定のところから20分ぐらいで電車で行けるようだし」

「ヒッキー、さがみん。私も一緒に住んでいいかな、私も電車ですぐの所だし」

「ゆ、結衣ちゃんまで!!だって大学には歩いて行けた方が良くない?」

「いくらセキュリティとかあっても怖いからさ、4人だとお互い頼れるしね」

「相模さん、あなたと八幡が行く大学は私と由比ヶ浜さんの大学のちょうど中間地点になるわ、電車一本で行ける所だし。4人で住めば駅前で結構良い部屋のところを借りれるわよ」

「ま、まて、いくらなんでも女性3人と一緒に生活なんて出来ないぞ、俺の理性が持ちそうにない」

「逆よ、八幡。貴方が劣情を抱いたとして相模さん一人だと、どうしようもないでしょ。でも後二人いれば、貴方を止めることが出来ると思うのよ」

 

いや、それが狙いだったんだけどさ。雪ノ下さんは私のほうを見て微笑んでいるけど目が怖い。結衣ちゃんも目が笑っていないし。多分二人にはバレているんだよね、だからこんな提案をしてきたんだ。

 

「いや、でもなあ。4人だと1部屋荷物部屋として5LDKだろ、なかなか無いぞ」

「私が加われば家に頼んで見つけてもらうわ。シェアハウスが出来るかも知れないわね。1軒家であれば、もっと利便性が良くなるわよ」

「確かに1軒家は魅力的だな、駐車場とかあればもっと良いし。今はとても買えないが、車とかバイクに乗ってみたいしな。車があればみんなで出掛けれるし。でもその俺と一緒でも良いのか、風呂とかトイレとか共有になるんだぞ、風呂上りもパンツ1枚でうろうろするだろうし」

「そんなの親と住んでれば普通のことじゃん。気にしないよ」

「じゃあ、早速頼んでみるわ。相模さん良い提案だったわよ」ニコッ

 

ああ、雪ノ下さんにしてやられた。うちの狙いを阻止し、自分の欲求を叶えてしまっている。八幡にはより魅力的な提案をしてるし、やっぱり手強いな。

 

うち達のシェアハウスはあれよあれよと言う間に話が進んだ。雪ノ下さんが見つけてきた家は2階に4部屋、1階に2部屋+リビングキッチンとかなり広く使える間取りとなっていた。もちろん駐車場もある。

費用についても一人の負担は4万円とかなり安くすんでいた。雪ノ下さんの部屋にはウォークインクローゼットがついているので少し多く出しているってことだけど、うちと結衣ちゃんは1階の和室を洋服部屋にしていた。

 

「なあ、そのTシャツ、俺が捨てようとしてたやつじゃないか」

「ええ、大きいのでパジャマにちょうど良いのよ」

「まあ捨てるつもりだったから良いけど、せめてパンティの上に何か履いてくれないか。チラチラ見えていて、目のやり場に困るんだが//」

「あら、小町さんもこういう格好していたのでしょ、実家と一緒と思えば良いじゃない」

「そうだよ、ヒッキー。私のこのTシャツも元はヒッキーのだし」

「頼む結衣。ブラを付けて来てくれ。はあ、南。何とか言って貰えないか、この二人に」

「...ごめん、うちも寝巻代わりにTシャツ借りてた」

 

そう言って、うちがさっき着替えたTシャツを見せると八幡が驚いていた。

 

「それって俺が昨日一日きていて、洗濯籠に入れたやつじゃないか!!風呂上りに着るものじゃないだろ」

「なんだか八幡が着ていたのを借りると、落ち着いて寝れるんだよね」

 

まあ寝る前にベッドで一汗かいたんだけど、抱かれているみたいで凄くいいんだよね。

 

「いいじゃない八幡。今まで一緒に住んでいてラッキースケベがたくさん起こって、お互いの裸も見られているのだし」

「いや、どう考えてもおかしいだろ。俺が風呂に入っているときに入ってきたり、風呂上り巻いていたバスタオルが落ちたり、何時の間にかみんなで俺の部屋で寝ていたり、起こしにくると布団に潜り込んできたり、起しに行くと寝ぼけて抱きつかれたり、挙げればキリがないぞ」

「でも、ヒッキーも喜んでたじゃん」

「..そ、そんなことないでしゅよ」

「雪乃も結衣も寝ぼけると大変だしね、うちも何度抱きつかれたか」

「あら、南も人のこと言えないわよ。私に何度もキスしてきたでしょ」

「そうだったな、俺も南にキスされたし。って、全員にされているんだけど」

 

うち達はお互いのことを名前で呼び合うようになっていた。雪乃も結衣も八幡も大切なルームメイト。八幡はまだ誰とも付き合っていないけど、うちはこの4人での共同生活を大切にしたかった。このまま何時までも一緒に入れたら良いのにな。

 

「うち達が共同生活しだしてもう1年経つんだね、凄く充実していたな」

「そうね、楽しく過ごせているわ。この時間は1人暮らしだと味わえなかったわね」

「うん、私も凄く楽しいよ。このままずっと4人で過ごせたら良いのにね」

「ああ、なんか色々あったけど、これからもよろしくな」

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「うぅ、材木座君。これ高校編までは良いけど、大学編はうちとのラブコメじゃないじゃん!!」

「まあ皆とラブコメイベントがあって、楽しく過ごしているということで」

「なんだか納得できない!!どうせならルームシェアして2人でイチャラブSEXしているの書いて欲しかった」

「さ、相模さん。あ、貴女は何を言っているのかしら」

「さがみん、それは駄目だよ。せめてイチャラブまでにしないと」

 

「高校編のほうで電車の中で相模さんの降ろしている腕があそこにって書いてあったのだけれど、書く必要はあったのかしら」

「そういえばそうだね。そこについては、その後何も出てこなかったよね」

「俺が気になったのは南が「うち」って自分のことを呼んでいるところだな、文章にすると読みにくくなるな」

「うん、そうだね。ひらがなで書くと判りにくくなってた。カタカナにした方が良いんじゃないかな」

「相模殿の呼称をカタカナにすると固くならないか」

「ひらがなで「うち」と書くのであれば、もっと文章の勉強をして判りやすく書くしかないわね」

 

「大学編のほうは、ラブコメになるのかな」

「一応、ハーレムものを意識してみたのだが」

「うん、でもこういう大学生活も憧れるよね、大学はバラバラでも今の奉仕部が続いているみたいで」

「そこですよ!!私が怒っているのは。1年後って書くなら私も一緒のところに引越ししてきたとか書いてくれれば良いじゃないですか!!」

「生徒会長殿、それは我の考えが足りなかった。申し訳ない」

「いいえ、良いんですけど、何だか仲間に入れて貰えなかったような感じがして、....ちょっと寂しかったんです」

「一色さん、貴女も奉仕部の仲間よ。だからこのラノベについて気にする必要はないわ」

「そうだよ、いろはちゃん。何時も一緒に居る仲間じゃん!!」

「いろは、俺たちみんな、お前のことを大事に思っているぞ」

「あ、ありがとうございます//」

「いいな、うちもその中に入りたい」

「もちろん貴女もすでに入っているわよ、相模さん」

「あ、ありがとう、雪ノ下さん!!」

 

一色さんが最初怒っていたのはそういうことだったのね。でも一色さんや相模さんはもう奉仕部の仲間だわ。私たちは恥ずかしくて今までは言葉には出せなかったけど、やはり言葉で伝えないと不安になったり、させたりするものだと改めて思い知らされるわね。

 

でも大学に進学した際、皆がバラバラになるのだろうと考えて、寂しくなると思っていたのだけれど、こういう方法もあるのね。出来ればこのラノベが現実になるようにしたいわ。


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